【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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昨日貰った指摘により使う毒の威力がレベルアップ!

実際フグ毒の呼吸困難の苦しみとどっちが辛いんだろうね?


出張!セツニキゼミ!その六

 

 

 カルト宗教の拠点を強襲する時、まず最初に行わなければいけないのは、人払い、消音、認識阻害の結界を張る事だ。

 

 今回もその例に漏れず、突入前にちゃんと張っている。

 

 ちなみに本来の流れだと次の様になる。

 

 まず始めにカルト宗教が本物かどうかの確認。これはアガシオンや紙式神を飛ばして施設内を確認すれば良い。物質の透過が得意なゴースト系やガスト系は基本的に意志疎通する事が困難だが、小精霊とも言うべきアガシオンにそのような不具合は存在していない。

 

 性能が現地民向け過ぎるんだよな。強い、弱いでは無く、便利過ぎる。

 

 偵察した時点で悪魔や結界を見付けた場合、一度支部へ報告。大抵の〝黒札〟や〝札持ち〟ならここで依頼は終了。支部は調査から強襲依頼に切り替え、再掲示。

 

 後は集めた戦力が暴れられる様に鬼手一族へ連絡して結界を構築して貰い、強襲するという流れとなる。

 

 塩漬け依頼になっていた理由は単純に〝黒札〟には面倒で、アガシオンや式神を操れる〝札持ち〟にとっては報酬が安いからだろう。やはり報酬は大事だな。

 

 今回は俺と先輩が居たので支部に強襲依頼の作成を頼み、そのまま調査依頼は完了、新たに強襲依頼を受けた形となる。

 

 岩手支部は現地民だろうが有能なら融通が効くのだ。どう考えても俺の威光も入ってるが。

 

 懐から煙草を取り出し、火を着ける。仕事の後の一本は格別だ。何度か煙を肺に取り込んで満足したら、スマホを操作して岩手県警に連絡。

 

 これも本来なら一度支部に連絡を取り、新設した岩手県警のオカルト部門に連絡を頼む形となる。

 

 俺が直通の連絡先を知っているのは、相手が〝黒札〟だから。というか飲み仲間だし。

 

 

『もしもし?俺!俺だよ!』

 

『愛宕ネキの婿か?』

 

『その返しは想定してなかったな』

 

『簡易契約の準備はしておいたぞ』

 

 

 容赦なさ過ぎる。ふざけていたらそのままゴールインかよ。

 

 

『カルト宗教の一つを落とした。場所は──』

 

『了解。被害者の記憶操作や医療班の手配は居るか?』

 

『傷は俺が癒した。記憶操作も俺がやるわ。後、被害者を覚醒させたから鬼手一族で研修させる。手配よろしく』

 

『おう。取り敢えずオカルト班*1を派遣するわ。血液は残ってるか?』

 

『残しておいたぞ』

 

『じゃ、被疑者死亡のまま書類送検だな』

 

『頼む。俺は次の依頼に行くぜ』

 

『おう。岩手県の為に汗水垂らして働いてくれや』

 

 

 通話を切り、スマホを仕舞う。ついでに煙草を携帯灰皿に入れて火を揉み消す。これやると携帯灰皿の寿命がマッハで減るんだよな。俺は気にしたこと無いが。

 

 

 

 

 被害者達の辛い記憶を記録*2に変え、わざわざ引き取りに来てくれた扶桑ネキに任せる。

 

 俺達はそのまま次の依頼である闇召喚士の追跡に移る。移動は支部の社用車──では無く、俺達が共同で購入したハイエースだ。

 

 

「すでに県外に逃げたって事は無いんスか?」

 

「無いぞ。というかすでに式神を付けてるんだわ」

 

 

 世界の何処に居ようが捕捉するぜ。

 

 

「それじゃ後は捕縛するだけって事ですか?」

 

「いや、それだと授業にならんだろ。──ここに向かってくれ」

 

 

 運転中の奴を除く俺達が俺のスマホを覗き込む。

 

 

「あれ?ここって──最近出来た〝黒札〟の店ッスよね?」

 

「被害者の店だ。式神が迎撃したから本人に怪我は無いが、流石に襲われて参ってるみたいでな?治療ついでに探索の為の〝素〟を回収しに行く」

 

「……残留MAGからの探知ですか。どうやらここからが私の仕事みたいですね」

 

「賢い奴は話が早くて助かるな」

 

 

 疑問符を浮かべる俺達を放置したまま目的の店へ。隠れ家の様な小さな喫茶店だ。駐車場は無かったので、少し離れた場所にあるコインパーキングに止める。そこから徒歩で移動だ。

 

 からんからんと入店のベルを鳴らしながら扉を潜ると、式神が出迎えてくれた。

 

 

「悪いねー?今日は店を──ってセツニキさんか。待ってたよ」

 

 

 出迎えてくれたのは、酒と煙草が似合いそうなボブヘアの式神。胸は爆よりの巨だ。良い趣味してるぜ!

 

 

「こっちは見学の〝黒札〟で、こっちが本命の〝札持ち〟。ちょっと店を汚すが勘弁な」

 

「アタシの旦那を襲ったカス共を始末してくれるなら安い代償さね」

 

「さよけ。じゃ、お前ら──特に術者は先輩から話をちゃんと聞いておけ。俺は治療に行ってくる」

 

 

『『『了解』』』

 

 

 式神に案内されるまま店の奥へと進んでいると、少しして部屋の前で式神が立ち止まった。

 

 

「アンタ、御客さんだよ。扉、開けてくんない?」

 

 

 鍵が閉まっているのか、ドアノブがガチャガチャと音を鳴らすだけで扉は開かない。

 

 

「何時からだ?」

 

「襲われてから二日。いざとなったらぶち破るけど、今はまだどうしようってとこなのよ」

 

「成る程ね。……ちょっと煙草吹かすぞ」

 

 

 懐から煙草を取り出して火を着ける。今回はニコチンの補充では無く、召還の為に使う。

 

 体内に取り込んだ煙を一滴にも満たない量のMAGで染め上げ、軽く煙をを吐き出す。現れたのはレベル二十の煙々羅。美女型で爆乳なのは趣味だ。

 

 

「鍵よろしく」

 

 

 こくりと頷き、僅かな隙間から忍び込んだ煙々羅がカチャリと鍵を開けてくれた。

 

 

「悪魔召喚士ってのはホントに何でもアリだね」

 

「だから闇召喚士なんて迷惑な存在が居るんだろ」

 

 

 軽く会話しつつ報酬のMAGを煙々羅に渡して送還。改めてドアノブを回すと、今度は抵抗無く扉が開いた。

 

 室内は綺麗に整頓されており、特に興味を引く物は無い。ベッドの上には丸まって寝ているであろう布団の膨らみが。

 

 時折震えてるところを見るに、未だに恐怖は拭えてないのであろう。まぁ、俺達では稀に良くある事だ。

 

 

「どうする?旦那を身体で癒すってんなら席を外すが?」

 

「……魅力的だけど、先に治療を頼みたい」

 

「了解」

 

 

 適当に抜き出した霊符を布団に投げ付け、そのまま魂を穢す〝淀み〟を払う。

 

 

 

「うっ……?」

 

「アンタッ!良かったッ!やっと反応してくれたッ!」

 

 

 泣きそうな声で主に近寄る式神を見送り、一人静かに部屋を出る。防音結界はセツニキからのプレゼントだ。二日分を是非楽しんでくれたまえ。

 

 来た道を一人で戻ると、そこでは先輩が神道系の穢れ集めの術式を行使している姿があった。

 

 話し掛けて注意を削ぐのアレなので、見守っている俺達の方へ近寄る。

 

 

「どうだ?何か学べたか?」

 

「本物は凄いッスねぇ……としか言えないッス」

 

「まぁ、現地民としては破格の才能だしなぁ」

 

 

 霊格だけで判断するなら十五辺りで止まる雑魚だろう。だが所持している術式の利便性を考えると、レベル二十ぐらいの俺達では相手にならないな。

 

 

「ゴミが多過ぎて切り捨てたくなる気持ちも分かるんだけどな。こういう存在を拾い上げていかないと、岩手の防衛が厳しくなるから頭の片隅にでも留めておけ」

 

「了解ッス。……というか鬼手一族が居る岩手でも偏見の目が未だにありますし、他県はヤバイんじゃ?」

 

「支部長もピンキリだからなぁ。〝黒札〟のやる気次第でたぶん終末後の暮らしに格差が生まれるぞ」

 

「うへ……」

 

「俺達はどれくらいになれそうです?」

 

「んー……中堅ちょい上ぐらいだ」

 

「おおう……リアルな数字」

 

「強力な〝黒札〟や現地民の居る支部には勝てんが、居ない支部には絶対に負けないって妙なラインに居るんだよ」

 

 

 愛宕ネキや岩手俺達も頑張っているし、生活水準は今と変わらないぐらいは行けるだろう。

 

 ただ、凶悪な悪魔対策がショタオジの防衛用式神頼りになる気がしないでも無い。

 

 

「もうちょい山梨に近ければな……」

 

「それはたぶん何処の支部も思ってるだろうね」

 

「デスヨネー。俺達もショタオジ欲しいッス」

 

「いや、セツニキさんが定住すれば行けるんでは?」

 

 

『『『それだっ!』』』

 

 

「大破壊が来た時にショタオジが動けなかったらジ・エンドってね?になるぞ?」

 

 

『『『おうふ……』』』

 

 

 俺らの終末対策は何時だってそれだ。食料や文明の確保に奔走する奴等に投資こそしているが、それメインで動くことは無い。……霊格が高くなりすぎて気軽に動けないってのもあるが。

 

 暫く俺達と雑談していると、先輩を中心に霊的な動きがあった。床に描いた術式の墨がうぞうぞと動き始め、胡座をかいた先輩の前に置かれている壺に向かい出したのだ。

 

 

「……ふぅ。お待たせしました。残留MAGの回収完了です」

 

「お疲れ様。じゃ、行くか」

 

 

 拍手一回で室内の汚れを全て消し飛ばす。これで掃除は完了。店を出て車に乗り込む途中に防音結界を外す。これで来客が来ても気付けるだろう。盛り上がってなければ、だが。

 

 

「家主に挨拶しなくて良いんスか?」

 

 

 車を走らせた辺りで俺達が尋ねてきたので、嫌そうな顔を見せつつ答えてやる。

 

 

「傷心明けの主を式神が慰めてるからな。邪魔するのも悪いだろ」

 

 

『『『リア充爆発しろ!!』』』

 

 

 俺達の心の底から漏れでた魂の叫びには共感しか無い。自分だけの式神が居ようが、他人の幸せを妬むのが俺達だ。

 

 というか、仕事中にイチャイチャされると普通にムカつく。

 

 

「えっと……?」

 

「気にすんな。極一部を除いて〝黒札〟は他人の幸せを素直に祝福出来ないんだ」

 

「はぁ……」

 

 

 流した方が良いのか……?と言った様子で首を傾げる先輩を乗せ、俺達を乗せた車は走り出した。

 

 

 

*1
岩手県警内のオカルトに理解のある者達の総称。非認可組織。鬼手一族と繋がりがある人間や自身が鬼手一族の者、そして〝黒札〟で構成されている。主にオカルト犯罪の事後処理担当。

*2
自身の経験した事を映画の中の人物が味わった様に弄った。イメージとしては自分をモデルにした無許可ハードプレイを見せられた感じ?




この章を書いてて思ったのが、モブ黒札の性格を作っておくべきだったって事ですね。

今回限りの合いの手役だから影が薄くても問題ないけど、かき分けろって言われてたら理由つけて退場させてたぜ!
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