【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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果たして運命に愛されていたのは誰だったのか?

 

 

「お前ら、予定変更だ。コイツを殺す訳には行かなくなった」

 

 

 浄化の霊符を投げ付け、身体を綺麗に。さらに隠蔽工作*1。そして取り出したスマホでショタオジと連絡を取る。幸いな事にすぐに繋がった。

 

 

『もしもし?』

 

『俺だ。ショタオジ、今の世界に俺ら並の霊器を持つ奴が自然に現れる事って有り得るか?』

 

『突然どうしたの?』

 

『良いから答えてくれ。返答次第では面倒な事になりそうなんだわ』

 

 

 声色から真剣な話題だと把握したのか、ショタオジの声にも真剣味が交じる。

 

 

『あるか無いかで言えば、普通にあり得るよ。ただ、確率としては宝くじより低いかも』

 

『やっぱりか』

 

 

 面倒な事になったな。これ、どうするかね。

 

 

『それで?何が起きたの?』

 

『黒札を襲った闇召喚士が黒札の可能性が高い』

 

『oh...』

 

 

 そんな反応になるよな。

 

 

『取り敢えず山梨第二の鍛錬場に運ぶから転生者判定(ジャッジ)宜しく。俺は岩手の方で処理する』

 

『了解。俺もちひろネキに伝えてから向うね』

 

『頼むわ』

 

 

 通話を切り、次は愛宕ネキだ。こちらもすぐに出てくれた。

 

 

『お電話有難う御座います。こちらガイア連合岩手支部です。面倒な案件の場合、通話を切るボタンを押してください』

 

『おいコラコノヤロー。その牛乳(うしちち)をさらに育乳すんぞ』

 

『残念ながら必要ありません〜まだ成長中ですぅ〜。タンクが大きくて肩凝ってますぅ〜』

 

 

 その情報はすでに知っている。高雄ネキからブラがキツくなったから愛宕と色違いの下着を買ったってLILIN来たし。

 

 

『それで?用件は何なの?』

 

『俺が今受けてる闇召喚士追跡の依頼あるだろ?あれ、犯人死亡で解決にしておいてくれ』

 

『んん?その程度なら私に連絡する必要あったかしら?』

 

『あの依頼の犯人な?黒札の可能性があんだよ』

 

『oh...』

 

 

 そういう反応になるよな。

 

 

『一応、これから山梨第二で判定してくる予定だ。違うなら俺が責任を持って処分するが、黒札だった場合、被害者側に説明を頼むかも知れん』

 

『分かったわ。こちらは補填の用意をしながらアナタからの報告を待ちます。それにしても凄いところを引いたわね』

 

『俺以外だったら殺して終わったんだけどな。変に欲張ったせいで気付いちまった』

 

『貴方が不運なのか、あちらが幸運なのか。悩むところね?』

 

『霊視ニキを引けなかった時点であっちも不運だろ』

 

 

 もし最初に会った黒札が霊視ニキならその才能の高さをすぐに見抜いただろう。そうすればスケベ部で開発された様々な()()で遊ばれる事も無かっただろうし。

 

 

『ま、そういう訳だから頼むわ』

 

『了解しました。進展あったら連絡お願いね』

 

 

 愛宕ネキとの通話を切り、スマホを懐へ仕舞う。続いて取り出したのは契約書を仕舞っている霊符だ。

 

 

「じゃ、お前ら全員これにサイン宜しく。断るなら暴力から始まる交渉術で交渉開始な?」

 

「選択肢無いじゃないっスか」

 

「それな」

 

 

 呆れながら俺達が巻物型の契約書にサインしていく。ちなみに内容はこの件に関する情報漏洩の禁止。違反を破った時に罰則を与えるのでは無く、違反行為を()()()()様になるだけだ。

 

 つまり、喋ろうとしても声が出なくなるし、書こうとしたら腕が止まる。俺のレベルを越えれば無理矢理行けるが……まぁ、基本的には無理だろう。

 

 最後にサインした先輩から巻物を受け取り、巻いて霊符に仕舞う。これは岩手支部行きだ。

 

 

「答えられる範囲で良いのですが、一つだけ質問宜しいでしょうか?」

 

「良いぞ。先輩には知る権利がある」

 

「彼女は黒札なのですか?」

 

「今は()()闇召喚士だ。黒札だと俺は確信してるがな」

 

「つまり、黒札自身が黒札だと分からない場合もある?」

 

「ああ。黒札(俺達)はちょっと特殊なんだ」

 

 

 一旦そこで言葉を区切る。その僅かな時間でカバーストーリーを考え、そのまま口から放つ。

 

 

「黒札はメシア教に根切りにされる前の名家の直系なんだよ。メシア教から逃れる為に海外へ逃亡した家も居るし、市井に紛れた奴等も居る。大半は処理されたが、俺達の祖先は上手く次代へ霊才を繋ぎ続けた。俺を見れば分かるだろ?」

 

「確かに。セツニキさんは海外の血が入ってますもんね」

 

 

 俺の髪に視線を移した先輩が納得した様に頷く。

 

 

「パソコンの普及と共に潜伏していた奴等が集まり、生き残る為に手を取り合った互助組織がガイア連合だ。だから国防なんて興味無いし、名家として国を守る意志も薄い。そのせいで初期の頃は霊地を管理していた名家とぶつかる事が多かったのは知ってるだろ?」

 

「ええ。だからこそ疑問だったんですよ。突然メシア教から日本を守る為に現れた組織にしか思えませんでしたが、活動が何というか──」

 

「俗過ぎた?」

 

「ええ」

 

 

 即座に頷く先輩。まぁ、嫁とガチャの為に依頼を受けてる俺達ばっかりで、国防を真剣に考えてる奴は幹部を除いてほぼ居ないし当然だな。

 

 

「俺らの先祖が俺らに繋いだのは霊才だけなんだ。だから知識も無いし、秘伝の術式を受け継いでない奴が大半となる」

 

「では、セツニキさんの様な方は少数だと?」

 

「そうだな。連合の一割にも満たないぞ」

 

 

 最初から知識を持ってる奴は、だが。後天的に俺を越えてるバグ枠は一杯居るぜ。

 

 

「先輩にはこの場で教えておくが、自身が黒札と知らない奴も居るし、メシア教や他の霊能組織に利用されてる奴も多い。環境によっては闇召喚士となってる奴も居る。そうなる前にと捜索していた結果、俺らを頼る奴等が多くなり、全国に支部を作る羽目になったんだ」

 

「……成る程。私達や名家は〝オマケ〟なんですね」

 

「そう。だから依怙贔屓だ!とか叫ばれても当然だろ?って対応になる」

 

「有難う御座います。漸く愛宕支部長の判断に納得が出来ました」

 

「そりゃ良かった。先輩みたいな奴が離れるのは岩手支部にとってマイナスだからな」

 

 

 この件が片付いたら俺の推薦で先輩を〝金札〟にするかね?立場を弁える実力者は何千人居ても困らないし。

 

 先輩の疑問も解消出来たのでムラサキを呼び、山梨第二へ移送を頼む。流石に色々有りすぎたので宿を取り、今日の活動は終了。残る一つの依頼は翌日だ。

 

 

 

 

 翌日。俺達を乗せた車は岩手の西部にある雫石町へ。秋田県との県境に程近い、けれど人の気配が殆んど無い僻地にポツンと立つ館が依頼場所となる。

 

 

「……お前ら、撤退しろ。こりゃ無理だ」

 

 

 俺の霊視で確認した館から漏れでる瘴気は、山梨の中層奥とほぼ同等。つまりレベル四十から五十クラスだろう。

 

 

「えっと、俺には普通の館に見えるんスけど?」

 

「隠蔽術式が張られてる。あれが普通の館に見えるなら尚更危ないぞ」

 

「そんなにですか?」

 

「ああ。間違いなくお前らの手には余る」

 

 

 見た感じ術式のベースは一神教系の隔離術式だろう。だが中央アジアで良く使われている術式も見える。

 

 これ、あれだな。たぶんメシア教過激派の拠点を海外から来た流れの闇召喚士に乗っ取られたパターンだ。

 

 

「セツニキさんが居ても厳しいですか?」

 

「お前らを守りながら戦うのはな」

 

 

 全体魔法で纏めて吹き飛ぶ可能性もあるし、敵の霊格的に魂に傷が付く可能性もある。国家の存亡が掛かった戦いならともかく、こんなどうでも良い依頼で負うにはリスクが重すぎる。

 

 

「……皆さん、大人しく従いましょう。貴方達はわざわざ危険な場所に飛び込む必要はありませんしね」

 

「どうする?」

 

「従うしか無いッスね。セツニキさん、授業有り難う御座いました!俺達はこのまま先輩と一緒にマヨヒガデイリーでもやってきますよ」

 

「おう。最後まで面倒見れなくて悪いな。……先輩、こいつらの事を頼むわ。出来ればこれからも付き合ってやってくれ」

 

「任されました。私にもメリットありますし、大歓迎ですよ」

 

 

 来た道を先輩達が戻るのを見送り、スマホを起動。まず始めに岩手幹部のグループへLILINを送り、その後に嫁達のグループで暇してる奴を探す。

 

 即座に反応があったのはレティだけだった。

 

 取り敢えずなるべく早く合流する様に伝え、その間に結界を張る。

 

 人払い、認識阻害、霊力遮断は基本として、追加で一神教系の〝隔離〟と神道ではポピュラーな浄化まで組み合わせ、それを四神結界で纏めた自信作。下層でも通用する性能だから、館から悪魔が漏れる事は無いだろう。

 

 

「ん?」

 

 

 レティを待っていると、スマホに着信が。どうやら愛宕ネキと扶桑ネキが動くらしい。

 

 霊格的には少し厳しいが、あの二人ならまだフォロー出来るレベル。問題ないと返信して懐から煙草を取り出す。

 

 前世では服に付く煙草の臭いが嫌だから禁煙してと言われ、それなら別れようと言い切った俺だ。

 

 世界が崩壊する事を考えると、喫煙者に優しい世界になるのは少し嬉しかったりする。嫌煙家の黒札は激怒しそうだが。

 

 

 

 

「待たせたわね」

 

「今日は学ばせて貰いますね」

 

「おう。そのでっかい尻を持ってやるから糧にしてくれや」

 

 

 輸送課の【転移】で飛んできた二人を軽く手を上げながら観察。何故かレイテ決戦仕様の扶桑ネキと艤装まで完全装備の愛宕ネキ。装備的には山梨の中盤ぐらいか。

 

 その少し後ろにはこちらに軽く手を振るレティの姿が。実は装備的にはレティが一番高性能だったりする。見た目的には汎用キャラの僧侶♀の衣装のままだが、装備に付与された効果は下層最奥に通じる後半ダンジョンレベルだ。というかヒーラー系俺らと同等なんだよな。

 

 

「息を吸うようにセクハラするのね?」

 

「昭和のおっさんなんてこんなもんだ。それより感じてるか?」

 

「ええ。まさか私の管轄にこんな物があるとはね」

 

 

 忌々しそうに愛宕ネキが館を睨む。立地的に秋田支部の管轄でもある気もする。まぁ、依頼が岩手に来た以上、愛宕ネキの責任になってしまうんだが。

 

 

「レティは霊力抑えて援護を。大体四十ぐらいな」

 

「畏まりました」

 

「セツニキさんはどうするのですか?」

 

「俺も使う札の術式下げて援護するが──メインはこれだな」

 

 

 霊符から取り出したのは、いつぞやのヤクザから頂いた銃。ベレッタ92Fと名付けられたこのイタリア製の拳銃は、一九八五年からアメリカの法執行機関の正式採用銃であり、年代的にも生産量的にもメシア教が持ち込んでも可笑しくない拳銃となる。

 

 尤もこれだけでは火力不足も良い所なので、分解(バラ)してパーツを型取り、そのまま霊的素材で再加工(作り直)した違法品だ。普通の9x19mmパラベラム弾(9パラ)も持ち込んでるが、メインはガイア連合製の9x19mmガイア弾(9G)になるだろう。

 

 

「セツニキ。少しは法を遵守しない?」

 

「おう、お前らが背負ってるもんを隠してから言えや」

 

 

 俺の拳銃がマシなレベルの大砲を背負ってるお前らだけには言われたくない。

 

 

「これは式神だから圧倒的セーフよ!」

 

「実際、私達がレベル以上のステータスなのはこれのお陰ですからね」

 

「装備型式神はそこらへん便利よな。……さて、そんじゃ行きますかね」

 

『『『了解』』』

 

 

 大人しく死んでくれる悪魔だと助かるんだが。どうなることやら。

 

 

 

*1
暇潰しに行っていた快楽調教の記憶を消した。肉体は……

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