【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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大体

ショタオジクラス レベル200↑

ライドウ レベル90

全盛期ヤタガラス&葛葉 レベル50

日本の霊能組織 レベル30~40

ぐらいがトップなイメージで書いてます。

理由は大僧正ですね。あれのレベルが丁度30~40なので、こんなもんかなと


良いことを教えてやろう

 

 すたり、と天井から地面に着地する。視界の中にも、外にも、百を優に越える天使がこちらに視線を向けている。その全てが俺を敵対視している訳では無いが、やはり上司には逆らえないらしく、パワーの命令を即座に移せる様に警戒した様子で待機していた。

 

 

「すでにこの地を逃げ去ったのだと思っていたのですがね。まだワタクシの前に立つ勇気がありましたか」

 

「上司は大変だな。そういう風に言わないと、全く無関係の場所に突撃して仲間を無駄に殺した事がバレるもんな」

 

 

 ピクリ、と目元が動く。ただ霊格の上昇が余裕を与えているのか、先程までとは違い、即座に怒りを見せない。

 

 

「彼らはワタクシ。だから殺してなどいませんよ?」

 

「個は個、全は個の集まり。個は全にはならないし、全は全にはならない。お前にはわからないだろうがな」

 

「貴様……まさか……!?」

 

 

 自分が〝何なのか〟を理解されている事に気付き、驚くパワーに告げる。前世が何の悪魔だったのかを。

 

 

「〝レギオン〟だろ、お前。だから【同化】した奴等を罪の意識を感じずに殺していないなんて言えるんだよ」

 

 

 レギオンとは『マルコによる福音書』におけるゲラサの国の話の中に登場する〝悪霊〟の名前だ。

 

 簡単に説明すると、墓場に住む男が大量の悪霊に憑依されて奇行を繰り返し、それをイエスが祓おうとするが、憑依していたレギオンは地獄に行きたくないから豚に憑依させてとイエスに頼み、イエスは望み通りに豚に憑依させる。

 

 その後、悪霊に憑依されて狂った豚が飛び降り自殺を決め、家畜を失った村人がイエスを村から追い出すといった話だ。

 

 その後にレギオンに対してこの話を後世まで話す様に言ったりしてるのだが、それ以上は聖書を読んでくれ。俺も本職じゃないので詳しく知らん。

 

 今、大事なのは、レギオンが()()()()()()()()()イエスと対峙した、という事だ。

 

 つまり、その文に縛られるレギオンは個を持っていない。こうして会話をしていても、一対一の会話では無く、一対全の会話になっている、という訳だ。

 

 

「……驚きました。まさか見破られるとは」

 

「迂闊に喋り過ぎで、無様を晒し過ぎなんだよ、お前は。簡単に挑発に乗って狂乱して、他のパワーには無い権能を見せ過ぎだ。だから見破られる」

 

 

 簡単に、とは言わない。実際【目星】のダイスロールに成功しただけの様なもんだ。──失敗しても問題は無かったが。

 

 

 「私の正体に辿り着いた貴方を素直に称賛しましょう。ですが迂闊ですね。私の正体を見破ったなら、貴方は一目散に逃げるべきだった」

 

 

 片手を上げるパワーに合わせて回りの天使達の霊力が高まる。

 

 

「確かに私はレギオン。だが同時にパワーでもある。故に彼らは私の部下なんですよ」

 

「じゃ、俺も良いことを教えてやるよ──一対多の基本は乱戦だぜ?」

 

 

 パンッ!と手を叩くと同時に呪符を式神化してばら撒き、【誘惑(マリンカリン)】【混乱(プリンパ)】【睡眠(ドルミナー)】を発動する。決して【煩悩即菩提*1】では無い。イイネ?

 

 

「くっ!猪口才な!」

 

 

 魅了による同士討ち、混乱による権能の乱射、頭から倒れ込み、寝息を立てている天使達。

 

 そんな天使の群れに飛び込み、隠形を発動。

 

 

「何処だ!何処に消えた!?えぇい邪魔だ!」

 

 

 もはや【ハマオン】以上【ハマバリオン】以下の光を撒き散らしながら周囲を見渡すパワーの視線から外れる様に動き、騒音に合わせて術を発動、光に紛れて色々と仕込む。とはいえボーナスタイムはここまでだった。

 

 

「こうなったら──」

 

「ぱ、パワー様!?何を──ひっ」

 

「光栄に思いなさい!私と一つになる栄誉を!」

 

「や、やめ──」

 

 

 パワーの身体から四方八方に手が伸びる。まるで地獄に引き摺り込まんとする様に天使達を掴み、自らの身体に取り込んで行く。──後は出たとこ勝負だな。

 

 

「ふぅ……全く。私の邪魔ばかりするとは困った──」

 

 

 偉そうに溜め息を吐いたパワーの首をトランプで切り落とす。が、やはり即座に再生する。

 

 

「おやおや?隠れんぼは終わりですか?」

 

「見付けられない子にずっと鬼をさせるのは、日本ではイジメって言うんだぜ?」

 

「減らず口をっ!」

 

 

 言葉と共に飛んできた【ムドオン改】とでも呼ぶべき光を避け、回避ついでに呪符を放つ。しかし、もはや俺の呪符ではダメージにすらならない様で、軽くパワーに張り付いただけだった。……攻撃系はもう通らないと見た方が良いな。

 

 

「随分と非力になりましたねぇ?いえ、私が強くなり過ぎましたか?」

 

「まぁ、確かに霊格は上がったな。でも頭は余計に駄目になったな」

 

「負け惜しみですか?」

 

「事実だよ」

 

 

 言い放ったと同時に()()()()()()()呪符から黒い帯が伸びる。それらはパワーに巻き付いていき、即席のミイラ天使を作り上げる。

 

 浅間式捕縛術の一つで、効果は見ての通り【緊縛(シバブー)】だ。ついでに【(ジュ)】と【(ポイズマ)】を染み込ませるのだが……期待はしていない。

 

 今の内に札をばら撒き、後々の仕込みを進める。稼げた時間は三秒だった。

 

 

「この……糞ガキガァァァァ!!」

 

「おいおい化けの皮が剥がれてるぜ?ちょいと冷静なったらどうだ?」

 

「……コロス」

 

 

 知らぬ間に持っていた槍から放たれる【白龍撃】。レギオンの名は伊達では無い様で、この技を先程使ったパワーと遜色無い技の冴えだ。とはいえこの程度ではな。

 

 

「浅間式は柔術もあるんだぜ?」

 

「────!?」

 

 

 突きの勢いを利用して熔岩に投げ飛ばす。前世には霊力が無かったんだ。当然、霊力が必要な術より己の身体だけで継承出来る体術や武術の方に力を入れていた。

 

 可愛い孫が俺を見て鬼滅隊みたい!と喜んだので型は再現出来るぞ!エフェクトは付かないし、呼吸は無理だが。

 

 そんな事を考えていると、足元に微震を感じた。取り敢えず足元に起爆符を束で置き、天井に張り付く。もちろん──

 

 

「シネェェ──グァァァァ!?」

 

 

 熔岩と共に飛び出ようとしたパワーをダイナマイト博士とは違う理論で起こした爆発により地面に押し返した。

 

 

「クハハハハ!俺を笑い死にさせる気か!?」

 

 

 笑いながらも仕込みを進める。手持ちの霊符の数も頼り無く、そろそろ覚悟を決める必要がありそうだ。

 

 足元から感じる微震から想像するに、パワーは熔岩の中を泳ぎ回りながら俺の隙を探っているのだろう。とはいえ待ってやる義理は無い。貼り付けた呪符を目印に手持ちの霊符を全て放つ。効果は──【重力(グライ)】だ。

 

 

「おいおい俺はハムスターより孤独が嫌いなか弱い生物なんだぜ?構ってくれよ〜」

 

 

「貴様……何処までワタクシをコケにすれば──」

 

 

 重力を引き千切り、無理矢理飛び出たのに無駄口を叩くパワーに残りのトランプを叩き込む。そして再生している内に残りの呪符全てを使って【呪怨刀】を生成。これで準備完了。

 

 

「いい加減、死んでくれると助かるんだが?」

 

 

 溜め息と共にそう告げると、何を勘違いしたのかパワーが口の端を吊り上げた。

 

 

「おやおや?もしや疲れましたか?ですが残念ですねぇ。ワタクシにはまだまだ余裕がありますよ?」

 

「ま、だろうな」

 

 

 少なくとも残機と呼ぶべき命の数は()()()()()軽く百を超えている。今までの分を合わせれば、千を超えていても可笑しく無い。

 

 

「それでもお前をここから出す訳には行かねーんだよなぁ。どんだけの被害が出るか分かったもんじゃねぇし」

 

「安心してください。ワタクシがワタクシとして迎え入れるのはメシア教の方だけですから」

 

 

……ほーん?

 

 

「キリスト教徒は違うのか?仲間外れは良くないぞ?」

 

「当たり前でしょう。彼らは敬虔深きイエス様の信徒ですよ?ワタクシが導く迷い子達です」

 

「おいおいおいおい。お前まさか──」

 

「隙有り、ですよ」

 

 

 驚いた拍子を突かれ、放たれた光によって俺の片腕が空を舞う。即座に流れ出る霊力を止めたいところだが、すでに霊符は無い。溜め息と共に距離を取り、無理矢理破き脱いだ上着で腕を隠す。

 

 

「やるな。今のは良い一撃だった」

 

「ワタクシとしてはその身体を二つに分けるつもりだったんですがね?まぁ、良いでしょう。それはこの後にやるとします」

 

「出来ると良いな」

 

 

 互いにここから先は、言葉は不要。そう宣言するかの如く武器を構える。──先手はパワーだった。

 

 

「キェェェェェエァァ!!」

 

 

 猿叫(えんきょう)の様な叫びと共に放たれる槍の連続突き。【乱れ突き】の様な【暴れまくり】の様な武術家と素人を同時に相手にしている気分になる槍術を避け、受け流し、息の合間を縫って一閃。だがパワーも〝死に慣れた〟のか、再生途中に無理矢理振り返り、俺へ手に持つ槍を振り下ろす。

 

 

「せめて人間的な動きをしろや」

 

「余裕で避けておいて言いますね!?」

 

 

 余裕、余裕か。そんなものはすでに無い。でも、意地でもそれは表に出さない。男の子だからな!

 

 

「次はこちらから行くぞ」

 

「やって見せ──」

 

 

 瞬きの合間に撫で斬りにする。無拍子は剣術家の基本だぜ。

 

 

「貴方はどれだけ引き出しがあるのですか!?」

 

「軽く一世紀分はあるんじゃないか?知らんが」

 

 

 剣と槍を合わせ、少しでも離れれば飛んでくる権能の光を潜り込んで切り込み、僅かな隙を見付けては【呪怨刀】を振るう。

 

 子供の体格差を利用して潜り込み、熔岩を蹴り上げて目隠しの奥から突き殺し、壁を走りながら、飛びながら、四方八方、全方位から強襲する。──それでも、こうなるのは必然だった。

 

 

「ちっ……これで終わりか」

 

「素直に称賛しますよ。万に届くワタクシを千も殺したのは貴方が初めてです」

 

 

 俺の胸を貫いた槍。もはや腕は動かず、手から呪怨刀は離れ、目は霞み、瞼も重い。

 

 

「それじゃ……死ぬ前に……良いことを教えやるよ」

 

「聞きましょう」

 

「日本人はな──()()()()()()()()

 

「なっ──!?」

 

 

 俺の胸に空いた穴から染み込む様に広がる黒。それは直ぐ様パワーの槍を伝って身体に巻き付き、それを目印に周囲から熔岩が包むように動く。

 

 さらに洞窟を作る火成岩が崩れ、檻の様に()()()()()()()()()()()()()

 

 

()はここまでだが、お前もここまでだ。百年か千年か知らんが、岩の中で眠るが良い」

 

「舐めるな!この程度の拘束など────!?」

 

 

 俺ごと吹き飛ばそうと四方に権能の光をバラ撒くが、その全ては無意味と化す。穴の空いた箇所に熔岩が埋める様に流れ込み、砕けた岩がすぐに収束を再開する。

 

「無駄だ。この封印術の要は〝岩石〟。言い換えれば、この浅間山自体がお前を封印する為の要なんだよ」

 

「このワタクシが──この()がぁぁぁ!!」

 

 

 その叫びを最後に、俺は目を閉じた。

 

*1
敵全体に混乱、魅了、睡眠を付加する。大僧正専用技




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