【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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あんこまとめ読んでるとやってみたくて仕方がないぞ!

作者はどんだけ巧く行ってもアッサリキャラを殺したり、安易に救済要れない人が好きです。

死亡後の救済ダイスは一回だけで良い。


悪魔感染(デビルハザード) 漆

 

 

 術者や名家が術式を秘匿する事にはちゃんとした意味がある。スキルで戦う──才能で()()()黒札には関係無いが、術式を使って戦う事の多い現地民にとって、術式の情報は文字通り〝生命線〟と言って良い代物なのだ。

 

 例えば、鬼手一族が使う術式。現在の主流は俺が流した磐長式をベースに、各名家の残り香を混ぜ合わせた様な術式だが、磐長一族の当主だった俺を敵に回した場合、実は一族の〝色〟が残る術式なら()()()()()()()事が可能だ。

 

 術式の源流──所謂〝宗家〟と呼ばれる存在は、それ程までに強く、そして分家には無い〝積み重ね〟がある。

 

 俺が使う術式の大半は磐長一族の独自規格と俺自身の〝色〟を出しているが、それでも浅間式の宗家が相手だと大半の術式は乗っ取られる。

 

 まぁ、木花咲耶姫を抑えた以上、そもそも敵対する必要は無いが。

 

 さて、何故今更になってこんな話を説明をしたのか?その答えは、俺の隣で腕を動かし続けている思業式神にある。

 

 恐山式(ショタオジ流)の式神とは違い、一族が使う式神には例え擬人式神であっても魂が宿る事は無い。

 

 式神と名乗ってこそいるが、実際はMAGで作った身体に目的に沿ったプログラムを入れてるだけなのだ。

 

 だが、それ故に生まれる使()()()もある。

 

 

 人間では確実に廃人化する程の情報量に対して、的確に対処出来る程のハイエンドPC並の()()()()を与える事が可能なのだ。

 

 

 俺が張った結界内で磐長式の飛行蟲を呼び、鬼手一族がそれと同調。それを当主のみに伝えられた管理術式を使って思業式神と繋げると、何という事でしょう。

 

 

鬼手一族が必死に探索している館内の情報が、全て思業式神の書き込む紙へ出力されているではありませんか!

 

 

 これが宗家の恐ろしさ。本来なら分家が何を企もうとも、宗家に対して隠しごとは出来ず、全てが筒抜けになるのだ。

 

 だから下克上に成功した分家は間違いなくメシア教徒の犬であり、宗家の生き残りにとってはメシア教以上に憎い存在になっているのだろう。闇召喚士狩りがサクサク進む訳だぜ。

 

 

「流す霊力にムラがあるな。慣れるまでは速度を犠牲にしてでも、均一にする事を意識した方が将来的に伸びるぞ」

 

「はいっ!」

 

 

 結界内で必死に式神の維持を頑張っている鬼手一族に助言しつつ、地図が完成するまでの間の暇潰しとして一人一人見て回る。

 

 意外に思うかも知れないが、術式の指導で見るべきポイントはそんなに多くない。

 

 霊符に刻まれた術式の正確性、術式と霊符に使用した素材の相性、霊力を流す時の均一性、霊力を流す速度。

 

 大体この四つさえしっかりしていれば、術式は発動する。

 

 コピー霊符の使用難易度が高いのは、霊符と術式の相性が劣悪になりやすく、さらに術式には歪みが現れ、紙質の悪さから均一に霊力が流れない事が原因だ。慣れで何とかなるレベルだが。

 

 ちなみに霊格が影響するのは霊力を流す速度だ。低すぎると術式に霊力を行き渡らせる前に霊力切れ(MP切れ)になるが、別に複数人で流す事も可能なので、理論上、術式が発動できないという事態にはならない。

 

 まぁ、複数人で霊力を流す事の難しさを考えれば、あくまでも理論上は、になってしまうけどな!

 

 ある意味では磐長一族の〝宗家〟であるムラサキ達と手分けして巡回していると、意図的に回ってない場所がある事に気付いた。

 

 

「これが俺の新しい術式DA!」

 

「金属製の蜘蛛か。イイネ!」

 

「ベースは飛行蟲?」

 

「うん。だからコイツは──飛ぶぜ?」

 

 

『『『おお……!』』』

 

 

 式神では荷が重い、俺達が集まって何かやってるエリアだ。

 

 どう考えても遊んでるんだが、調査貢献度で言えば、ずば抜けた成果を出している辺り、黒札の才能は可笑しい。全く……

 

 

「俺のターンッ!お前らの式神を生贄に捧げ、モンスターを召喚ッ!*1

 

「なん……だと……!」

 

「突然の乱入に加えて制御奪うとか無法過ぎて草」

 

 

 黒札達が遊んでいた式神の術式を高速で組み換え、一つの存在に昇華する。

 

 

「お前らに社長の嫁を見せてやろうッ!来いッ!青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)!」

 

 

 胎児の様に蹲った状態から翼を広げ、天に吠える美しき白龍。その立ち振舞いは自らが王者であるという自負に満ち溢れ、少しも揺らぐ素振りを見せない。やはり美しいな、青眼の白龍(ブルーアイズ)は!

 

 ちなみに即席で作り上げたのでボイス機能はオフだ。咆哮しても空気を震わせる事は出来ず、残念ながらモーションだけだったりする。

 

 

「完成度が高い……!」

 

「というか制御乗っ取った上で良くこんな高速で書き換えられたね?」

 

「術式が完璧過ぎなんだよ。乗っ取りを警戒するなら効果が落ちないギリギリまで術式を崩すか、安全性を確保する為にコスト増大覚悟で防止用の術式を組み込んだ方が良いぞ」

 

「成る程。俺達もついに新米卒業って事か」

 

「守破離の〝破〟に来たみたいだね」

 

「〝離〟が遠すぎる!」

 

 

『『『それなッ!』』』

 

 

 俺からの助言を受けて楽しそうに術式を弄り出す俺達。異界にしっかり飛行蟲を放っている辺り、怒られないギリギリで遊ぶのが上手いな。流石は俺達と言うべきかね。

 

 ちなみに俺達の成長度はハッキリ言って〝異常〟だ。〝破〟に至るのが早すぎる。普通は人間社会に紛れる為に〝表〟の生活を維持する時間があるんだが、それすら捨てて術式一筋でもここまで上達しないぞ、普通。

 

 

「そういやセツニキ、今回は何か新しい術式公開するん?」

 

 

 俺の青眼の白龍を解析してる黒札の一人が、視線をこちらに向けぬまま尋ねてきた。目の前に術式(オモチャ)があると僅かな時間すら視線を外すの嫌だよな。凄く分かる。

 

 

「現状だとムラサキ達に三点結界を使わせるぐらいだな。奥の手を山梨以外で使うとGP上がるし」

 

「あー……俺達も最近は下位の霊符で依頼こなしてるし、セツニキなら当然か」

 

「【アギダイン】覚えた後に【アギ】なんて使うやつおりゅ?って思ってたけど普通に使うよね……」

 

「大気中の霊力が低いと全体魔法は効果が著しく落ちるし、起爆符ばら撒いた方が楽になるからなぁ」

 

「アイテムは効果落ちんし、それが正解だろう」

 

 

 ちなみにコスパ最強は探求ネキの火栗の木だ。一回で大体約2.5㎏取れて、そこからアギストーンを量産出来る。

 

 ヒヨコ術者にとっては資金稼ぎと鍛錬を両立出来るので、たぶん術スレに居る連中はショタオジの【アギ】習得霊符作りと並んでお世話になった奴も多いだろう。

 

 それ以上に恩恵を受けてるのは地方勢だが。どう考えても火栗の木って黒札よりも現地民向けなんだよな。それなりの霊地に植えておけば無限アイテム生成機みたいなもんだし。

 

 黒札達の監督を暫くしていると、鬼手一族から視線を感じた。どうやら聞きたいことがある様なので、一言断ってから黒札の元を去る。

 

 次に何時来る事になるか分からんし、今の内に指導しておかないとな。

 

 

 

 

 気が付けば日は沈み、田舎特有の満点の星空が見える時間になっていた。前世では大好きだった月が照らす夜は、今世だと厄ネタ感の方が強い。満月の日の悪魔の強さは洒落にならんし。

 

 地図の出来は上々。ギミックも殆んど看破出来た。明日の朝には突入出来る状態になるだろう。

 

 

「というか良くこんな糞ギミック看破出来たな」

 

「鬼手一族の次期当主様のお陰ですね」

 

 

 振り向くと、そこには炊き出しの豚汁の器を持っている扶桑ネキの姿が。どうやら俺の分らしい。

 

 一言お礼を言って受け取り、そのまま口に運ぶ。……やっぱり汁物は量を作った方が美味いな。家庭用の量じゃこの味は出せん。

 

 それから黙々とおにぎり片手に豚汁を飲み干して今夜の食事は終了。鬼手一族達も交代で休憩を回させる。

 

 そこらへんの細々とした仕事を済ませたら、食事の前の話を再び扶桑ネキに振る。

 

 

「次期当主ってそんな優秀なのか?」

 

「霊格上限的には名家ですけど、所持してるスキルが優秀なんですよ」

 

「ほう」

 

「【直感】と【先導者】が当主として必要な判断を迷わせないと言いますか」

 

「【直感】はともかく【先導者】は初めて聞いたな」

 

 

 如何にも黒札には生えなさそうなスキル名だが。

 

 

「ショタオジさんに聞いた話によると、効果としては半分予知の領域らしいです。配下を良い未来へ自然に導く効果だと聞きました」

 

「……わお」

 

 

 何と羨ましいこって。岩手の主人公枠だったのか?

 

 

「鬼手一族の期待の星ですし、たぶん式神移植コースになると思います。その為に積み立てもしてますから」

 

「黒札ならともかく余り安く無いのに良く意見が纏まったな?」

 

「今はまだ黒札の庇護下で居られますが、やはり頼りっぱなしは怖いみたいですね。なので、多少の反対はありましたが私や他の黒札の権限で決めた感じです」

 

「良い判断だと思うぞ。俺もたぶん同じ判断を下したし」

 

 

 称賛の念と共にそう伝えると、扶桑ネキが安堵の溜め息を吐き出した。

 

 

「そう言って頂けて良かったです。前世はただのOLでしたし、未だに当主としての判断に自信が……」

 

「残念ながらその気持ちを理解出来ん。何せ当主決めレースに自ら参戦して勝ち取った側だからな」

 

「良くもまぁこんな地位に就こうと思いましたね?」

 

信仰()故にって奴だ」

 

 

 例え見えなくても、石長比売を信仰していたからこそ一族は令和まで生き抜けた。

 

 一族の歴史書を紐解けば、歴代当主や一族の〝想い〟を垣間見る事は幾らでも出来たので、自然と次代に繋ぐ覚悟は決まっていたんだよな。

 

 それが巡り巡って死後でも役に立つとは面白いもんだ。

 

 

「セッツァー。そろそろ寝ないと明日に障るわよ」

 

 

 人生の面白さに想いを馳せていると、寝床のテントを張り終えたセリスが俺を呼びに来た。そちらへ視線を向ければ、アイ達が手招きしている。

 

 

「おう。今行く。じゃ、扶桑ネキ。後は任せるわ」

 

「はい。見張りは我らにお任せください」

 

 

 扶桑ネキと別れ、セリスに案内されたテント内へ。浄化の霊符で身綺麗にしたら寝袋に潜り込む。残念ながら運動会は中止だ。ボス戦が終わったらのお楽しみだな。

 

 

 

 

*1
術式を紐解いて一度MAGに還し、それを利用しただけ。




スマホ投稿出来るならやってみたいんだけどなぁ……ハーメルンでもダイス振れれば良いのに。

一応作者側でダイスを振れば良いだけの話なんですが、熱烈歓迎を疑われるとイラッて来そう(笑)
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