【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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今回の章は書いてて個人的には楽しかったんだけど、商業紙だったら担当に書き直せって言われると思う。

盛り上がりは一切ないぜ!(笑)


悪魔感染(デビルハザード) 玖

 

 

 入館と同時にセリス達と別れ、ギンと二人で館を進む。

 

 愛宕ネキ達と最初に入った部屋に入り、すぐに出ると、視界一杯に脈打つ内臓色が見える糞みたいな異界に辿り着いた。

 

 

「暫くは警戒だけ頼むわ。戦闘は全部俺がやる」

 

「わん!」

 

 

 霊力をレベル四十程度に抑えているとはいえ、俺達の本来のレベルは八十前後。戦闘で苦戦する事は無いだろう。

 

 だが異界の主を脅し過ぎるのも不味い。それが原因で逃げられたら最悪だ。……まぁ、ムラサキ達の三点結界を破れるとは思えないが。

 

 懐から取り出したベレッタを構え、ゆっくりと異界を歩く。敵が俺を恐れる今回の様な依頼だと、銃という物は凄く便利だ。

 

 何せ引き金を引く速度さえ気を付ければ、使用する弾のランクを市販の物に変えるだけで調整せずとも手加減が出来る。──そう、こんな風に。

 

 

「わん!」

 

 

 ギンが吠えたのと同時に引き金を引く。人間が努力すれば可能なギリギリの速度(ライン)を攻めてる訳だが、命中率が必中で〝穴抜き〟すら余裕なのは見逃せ。修羅勢の身体能力はそういうもんだ。

 

 

「んー……何か普通の悪魔も出てくる様になったな」

 

 

 レベルとしてはそこまで高くない。が、融合体じゃなくなったのが少し気になる。

 

 

「わふぅ?」

 

「……いや、目的は変わらない。このまま深部目指すぞ」

 

「わん!」

 

 

 一度見せた地図を完全に覚えたギンに案内されながら先を目指す。当主様のお陰で見破れたギミックから逆算すると、完全ランダムな繋がりの館の中を同じ内装の部屋を選んで進む形となる。

 

 異界の奥に行きたいなら異界→異界化してる部屋→異界、館の奥に行きたいなら館→普通の部屋→館だな。

 

 注意点としては館から異界、異界から館を選ぶとリセットされるという事か。なのでひたすら館の中を走り回る事になる。

 

 暫く繰り返していると、ランダム転移の行き先が急激に増えた。見覚えの無い景色が多くなり、ついでに融合体や悪魔の数も見覚えの無い奴等に変わる。とはいえワンマガジンで一体仕留められるので、弾薬費を考えなければまだまだ雑魚に過ぎない。

 

 

「これで第二段階か。ギミックは覚えてるな?」

 

「わん!」

 

「流石だな。それじゃ任せた」

 

 

 二段階目のギミックは記憶力勝負だ。似たような感想しか抱けない脈動する異界を()()()()()()()()()()()()事無く進めばOKだ。

 

 【直感】持ちの当主様が居なかったら法則を見抜けなかったな。最悪、敵が逃げる事を覚悟してギミックを破壊したかも知れん。

 

 ギンに導かれるまま進んでいると、脈動する景色から明らかに浮いている書斎に出た。先に進もうとするギンを一度呼び止め、本棚を漁っていく。

 

 

「ドイツ語の医学書。素人が好きそうなオカルト本。植物図鑑に──おっと」

 

 

 大口を空けて噛み付いてきた()()()を叩き落とし、足で踏みつける。

 

 

 タイトルは──『 היפוך ספר חיים ומוות 』*1か。

 

 

「胡散臭ぇ……」

 

「わふぅ」

 

「だよなぁ。ま、取り敢えず()()に入るわ。見張り宜しく」

 

「わん!」

 

 

 霊符を適当にばら蒔いて結界を張り、さらに石の櫓を作り出す。さらに魔導書から()()()()()を抜き出す作業に入る。

 

 基本的に魔導書という物は石板であれ羊皮紙であれ、一般人でも読める〝文字〟に意味は無い。許可無く読もうとした人間に対する罠である事が多く、一生懸命解読したところで間違った〝知識〟を得られるだけだ。

 

 もちろん例外もある。というかクトゥルフ系統は基本的に一般人でも()()()()()()

 

 その結果、霊的防御が出来ない一般人は精神や魂を汚染され、異形に変わる訳だが。

 

 抜き出した〝知識〟が空中で形を成していく。形状は黄土色の石板。書かれてる文字は──シュメール語*2

 

 

「……ワロス」

 

「わふ?」

 

「最初の石板に書かれてる文字がな?

 

始まりは死。終わりは生。我が知識を望む者よ、死をその身に宿せ。

 

なんだよ。つまり死ねって事らしい」

 

「わふぅ……」

 

 

 呆れた声を上げるギンの頭を軽く撫でる。

 

 最初の〝ページ〟から糞みたいな仕様なのがマジで魔導書(グリモア)だな。ま、()()()でぶち破るが。

 

 呪符を適当にばら蒔いて術を発動。発動する術式は〝誤認〟〝生死逆転〟の二つ。効果としては死んでる様に認識させる感じだ。

 

 禍々しい黒のMAGが術式から漏れだし、石板を覆い隠す。MAGが消える頃には()()()の石板が現れていた。

 

 

「んー……ゴミだな」

 

「わふ?」

 

「魔導書の製作者がそもそも間違ってるタイプのゴミだ。生命の形が〝不変な物〟として定義されてるんだよ。人は不完全な生き物なのにな」

 

 

 霊視によって〝視〟える魂の器は、観測者の認識しやすい様に見えるという大前提に気付いていない。

 

 この魔導書を書いた奴は〝聖杯(グレイル)〟に見えていたらしいが、俺は〝ハートの器〟に見えるし、秋雨ニキは確か水晶玉だ。双子ニキ(兄)なんて蝋燭だぞ。

 

 最初の〝ページ(石板)〟を読んだだけで読む気力も失せた。が、今回の事件の根幹に関わりそうなので仕方なく読み進める。

 

 ギミックは山梨の図書館以下。メソポタミア神話の知識さえあれば難なく解ける程度。

 

 解読難易度はEランクってところか。総合評価は☆☆です。製作者の主観が色濃く出ているせいで、知識がある人間なら間違い探しを楽しめるでしょう。……時間の無駄だったな。

 

 解読した石板(ページ)を集め、重ね合わせていく。すると、一冊の〝本〟に変わった。

 

 

「じゃ、行くか」

 

「わん!」

 

 

 霊符に魔導書を仕舞い、再びギンの先導で異界を進む。間違った知識を元に間違った実験を行い、何故か()()()()()()()()可能性が出てきたな。

 

 こういう場合、絶対にロクな事になってないんだよなぁ……。

 

 

 

 

 ギンの後ろをとことこ着いていき、現れる悪魔や融合体に銃弾を撃ち込むだけの作業をしていると、今度は異界に飲まれた資料室の様な場所に着いた。

 

 不思議な事に粘液で汚れていない棚の資料を抜き出し、適当に椅子を作って読み込む。

 

 

「…………すごくかえりたい」

 

「わふ?」

 

「この館の主は元々メシア教とは無関係だったらしいぞ」

 

 

 ざっくりと読んだ資料の内容を纏め、推測込みで語ると、次のようになる。

 

 まず始めに語るべきは、この館の()()()()()()であるドイツ人の青年の事だろう。

 

 日本の医学発展の為にドイツから招かれた彼は、表向き日本の為に働きながらも、その裏ではドイツのスパイとして活動しつつ、それと並行しながら非合法の研究を行っていた。

 

 

 目的は──難病に侵された想い人の治療方法の確立。

 

 

 祖国では出来ない人体実験を行う為、わざわざこんな人気の無い場所に館を立てたのだ。

 

 それから暫くは結果の出ない日々が続き、想い人の体調は日に日に悪くなる一方。

 

 何一つとして成果を得られぬまま、時代は第二次世界大戦まで進む。

 

 戦時中というのは倫理観の欠ける行いが正当化され易い。彼は祈るような気持ちで〝国主導の人体実験(それ)〟に賭け、日本から祖国へ帰国した。結果は──努力の甲斐も虚しく、想い人を看取る事に。

 

 ここから彼は医者である事を辞め、魔導師の道を進み出す。死者蘇生を求めたのだ。

 

 

「日本へ帰ってきた青年は一人魔術の探求に走る訳だが、魔導師として優秀だったみたいでな?魂の形が作者の主観的な物だと独学で気付く領域までは行ってるんだ。そのせいで()()()()みたいだが」

 

「わふ?」

 

「まだ気付かないか?ヒントは戦後で霊能者だ」

 

「……わん?」

 

「そう。メシア教の根切りだな」

 

 

 どれだけの才能があったのか知らんが、少なくともメシア教が強襲するだけの価値があったらしい。

 

 しかも単純に屋敷を奪うだけでは飽き足らず、頭に羽根(オクスリ)をキメてまで青年を利用していたのは間違いない。

 

 資料の随所に書き込まれた神に対する罵詈雑言は、途中から人が変わった様に四文字を讃える言葉に変わってるしな。どう考えても洗脳されてるだろ。

 

 

「ちなみにメシア教に取り込まれた彼の一番最初の仕事は、想い人の死体と悪魔の融合実験らしいぞ。過激派は容赦無くて凄いよな」

 

「がるるるるる!」

 

「落ち着けって。今更苛立っても何も変えられないぞ」

 

「くーん……」

 

 

 忘れがちだがギンもメシア教の被害者だ。つまり、メシア教排斥派に所属している。あいつら第二次世界大戦(昔の戦争)より被害者出してるんじゃないか?世界中で暗躍してるし。

 

 そこから先は特に特筆すべき点は無い。精々〝ぼく〟の故郷が実験の舞台に選ばれ、レギオンのデビルシフターが脱走した程度だ。

 

 

「最終記録日はかなり前か。良く地脈の暴走や実験体が溢れ出さなかったな」

 

「わふぅ?」

 

「今更急いでも誤差な気がする。もちろん早いほうが良いだろうが」

 

「わん!」

 

「おう。後半戦も頑張ろうぜ」

 

 

 資料を本棚ごと霊符に仕舞い(パクり)、先導するギンの後ろを歩いて行く。館の主、メシア教、闇召喚士。どいつもこいつも日本で好き勝手し過ぎだろ。葛葉やヤタガラス(取り締まり役)の大切さが良く分かるぜ。

 

 

 

 

*1
生死逆転の書。

*2
メソポタミア文明で使われていた文字。




ちゃんと理由あるんだけど、飽きたでブックマーク外されても仕方無いって気持ちで投稿してるぜ!

マヨヒガ抜けた作者はもう何も怖くない!(一番評価下がった&お気持ちが多かった)
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