【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
「バッカじゃねぇのッ!?」
最悪だ。考えうる中で一番最悪な事をやりやがったッ!
「偶然出来た
ギンに案内されて辿り着いた未探索エリアの一室。館の地下にありながら、座標をズラされているこの場所には多数の変異した
──それだけならどれ程良かった事だろうか。
争った形跡のある室内に残された資料によると、人と悪魔を融合させる研究は、元々は別の過激派の計画の
その計画の名は──〝黙示録の四騎士〟
戦争と闘争と飢餓と疫病によって世界を1/4づつ滅ぼす存在だ。
メシア教の教義が終末を早め、救世主を降臨させようとしているのは分かっている。だから研究自体はされていると予想していた。
だが現在のGPの関係で出てこないと確信していたし、残された資料にもそれが理由で断念したと書かれていた。
「わふぅ?」
「そこで諦めれば良いものをコイツらは
救世主を人工的に作ろうとしている過激派も居た。〝救世主〟という霊的属性を持つ悪魔の
ソイツらが考えた頭の可笑しい理論が
「わう?」
「悪魔本体を呼ぶにはGPが足りない。たった一度だけ権能を行使させる事すらな。
「わふぅ!?」
「ギンもそう思うよな!有り得んだろコイツら!」
馬鹿じゃないの!?と叫んだギンに同意する様に叫んだ俺は悪くない。敵地の中だから危険?知るかッッ!!
もはや特級呪物と化した研究資料を高速で読み込んでいくが、次々に出てくる糞みたいな事実。
メシア教の上層部が幾ら戦争を望もうとも、その兵となる信徒の大多数は一般人だ。故に普通ならそこまで長く闘争する事は出来ない。
それを解決する為にメシア教が行った事は単純だ。
第一の騎士の侵略戦争を司る矢、第二の騎士の平和を奪う剣、第三の騎士の霊地を破壊する飢餓、第四の騎士が司る疫病。
その象徴を無理矢理召喚しやがったのだ。
〝矢〟が撃ち込まれれば、多くの信徒はそこを攻め滅ぼす事しか考えられない。
〝剣〟を持たせれば、善悪や命の大切さを忘れ、洗脳する必要すら無く闘争の快楽に溺れるだろう。
〝飢餓〟を象徴するのは神話的に〝
〝疫病〟に至っては語るまでも無い。神話や伝説の時代なら〝呪い〟の可能性の方が高かったが、今の時代なら間違いなく病原菌だろう。
「ギン。ちょっと外に伝言頼むわ。下手すりゃここら一帯ショタオジに焼いて貰わなきゃ駄目かも知れん」
「わん!」
「悪いな」
「わふ!」
「そう言ってくれると助かる」
コピー霊符の原料として大量に確保してるコピー用紙へ片っ端から研究資料を写していく。中には未だ俺が読んでない物をあるが、今はコピーを優先する。
というか医療班に早く渡さないと不味過ぎる。メシア教のカス共、解毒薬を作れてないのに運用してやがる。
お前ら、自殺禁止の教義はどうした。どう考えても自殺だろコレ。
「……よし、書き終わった。じゃ、頼むわ」
「わん!」
資料と手紙を霊符に仕舞い、ギンの腰に付けているポーチへ収納。最後に軽くギンの頭を撫でてやり、異界の外へ向けて送り出した。
「…………取り敢えず煙草吸うか。何も考えたくねえ」
煙草に火を着け、天井に向かって煙を吐き出す。酒と煙草がなけりゃこんな糞みたいな資料は読みたくねぇよ、マジで。
◇
読み込めば読み込む程、
いや、メシア教徒の数を考えれば何も可笑しく無いのか。
悪魔化ウイルスは度重なる命を軽視した実験と、偶然によって生まれている事は間違いない。
製作者は〝表〟でも〝裏〟でも無名な一般教徒。頭に羽根を入れられているのか狂信者である事は間違いないが、とてもじゃないが〝天才〟の様な圧倒的な才覚を持ってるとは思えない。【幸運】持ちな気がするけどな。
「……いや、これ逆なのか?」
天才達を集めて結果を出せなかったから【幸運】持ちを世界中から集めてごり押した。
望む結果を引き寄せ易くなる【幸運】は、予知系スキルと並んで理不尽の塊だ。最低限の知識さえあれば、望む結果を出すだけならどうにでもなるだろう。作った後の事は知らん。
「過激派が黙示録の四騎士を現世に呼ぶために目を付けたのがデビルシフターの仕組み。その為の悪魔化ウイルスを製作。だが
ここからへんは資料に書かれている事だ。そこでメシア教は二派に別れた。
主流となったのは四騎士の権能を
デビルシフターで現界させる方向を目指していたこちら側はサブプランに降格。納得の行ってない一部過激派が日本に流れ、研究を継続。
後の流れは知っての通り。俺が戦ってきた奴等はその犠牲者だったって訳だ。
「
人間牧場で黒札並の
「資料によると、レギオンシフター化の成功率は二割程度か」
その中で廃人にならない可能性は三割程度。その成功作の大半も過激派に対して敵視を剥き出しにするから殺処分されている。
だがその死体からレギオンシフターに変えられる悪魔化ウイルスを新しく作り出せるとなると、楽観視は出来ないな。
懐の煙草を取り出し、口に咥えて火を着ける。煙を吐き出しながら考えるのは、これからの動きについて。
「悪魔化ウイルスの回収は絶対。幸いな事に融合体全てから作れる訳じゃないのが救いか」
指向性を持たせる前の悪魔化ウイルスはガチャだった。何の悪魔に変化するのか製作者達も不明だった。
この時の成功率は五割。闇召喚士や名家が望みそうな確率だ。海外も含めて〝裏〟で出回ってる気がしないでもないが、レギオン以外の悪魔は高位天使を呼ぶ触媒にはならないので無視だ。
資料によると男がTSしたり、女がふたなり化したり、スケベ部が欲しがりそうな性能をしているが。
「レギオンシフターの成功率の低さは多重人格が原因となっており、投薬や洗脳によって人格を無理矢理統合させると、生成出来る
これでは四騎士の素体にならない。その為に過激派が取った行動はレギオンシフターとして霊力生成装置にした後、メシア系天使で主人格を塗り
良くある二重人格ヒロインの中に居た三人目が実は本物みたいな展開を人工的にやった訳だ。糞過ぎる。
「館の主が狙われた理由は実験用に持ち込んだ素体が不足し出したから、か」
まぁ、死を迎えた生物を
ちなみに結果は失敗だ。確かに
それがあの中途半端な融合体の正体となる。
「……こんなもんか」
粗方の資料は全て頭に叩き込んだ。想定される最悪は黙示録の四騎士。分霊とかいう糞システムのせいで、全騎士百体居ても不思議じゃないのが何とも言えん。
「岩手じゃなかったら見捨ててたぞ」
ベレッタからマガジンを抜き出し、
「さて、そんじゃボス戦と行きますかね」
願わくば、闇召喚士と共倒れしてます様に。
◇