【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
そりゃ作者もおっさんになるわけだよ……
あ、誤字修正何時もありがとうございます。それでは本編どうぞ!
ただ広さだけを求められたであろう巨大な倉庫。剥き出しのコンクリートが寒さを感じさせるその場所に立ち並ぶ石像の数々。
規則正しく並べられた木箱には様々な国──いや、メシア教が
「人体実験の素材をどういう風に国内へ持ち込んでるのかと思えば……アイツらは本当に人間なのか?悪魔より悪魔らしいぞ」
伝票に書かれた文字を読み解けば、そこには美術品という文字や教材の文字が並んでいる。
────つまり、だ。
「絵画に閉じ込めた奴や生きたまま石化させた人間を石像として国内に持ち込み、
確かに効率的だな。餌も要らない。排泄もしない。五月蝿くも無い。
必要な時に解凍する冷凍肉の様に、必要な時だけ
煙草を取り出して火を着ける。吐き出す煙と共に感情を制御する。戦場で覚えた【感情制御】は今世でも役に立つらしい。
「……魂はまだあるか。仮死状態みたいだが、まだ助けられるな」
霊符には──仕舞える。運搬の問題はこれで無くなった。このまま岩手支部に持ち込むと愛宕ネキが過労死しそうだし、暫くは手伝わないと駄目か。
「いや、頭を切り替えろ。まずはここの攻略だ。明日の事は明日の俺に任せる。今日の俺には関係無い」
元凶を断つ。全てはそれからだ。
何一つ残さず、空っぽになった倉庫を後にする。今度は反対側の通路の探索だ。
黙々と奇襲を警戒しながら十字路まで戻る。正直言えば、ここまで過剰に警戒する必要は無いだろう。【気配察知】に反応は無いし、俺の【警戒】を抜ける程の悪魔はこの程度の異界には現れないと思う。
それでも丁寧にクリアリングしていくのは、過激派を狩り尽くした闇召喚士の技量の高さを認めているからだ。正直、ここがFate世界ならハサンを疑ってたぜ。
「…………ついに来たか」
開いた扉から倒れ込んできたのは、過激派が望む完成体に近いであろう
「こんな事に使いたくなかったが……仕方ないか」
すまん、スケベ部の同胞達よ。俺はエロでは無くシリアスで
霊符から取り出したのは透視眼鏡──の
失敗理由は皮膚を通り抜けて内臓を確認出来てしまう程の【透視】レベルの高さで、完成品が出来るまでの間に医療班が大量に持っていったぐらいには
そんな眼鏡を装着した後、丁寧に霊力を流して起動する。
メガネのレンズ越しに見えた〝モノ〟は──
「愛宕ネキ達を連れて来なくて良かった。──本当に良かった」
──覚悟していても、吐き気と怒りを覚えるには十分な光景だった。
改造された跡の残る心臓。それ以外全ての内臓を取り除き、代わりに
パワーの維持にはそれぐらいの
「……どっちが傀儡なのかね」
天使共は信徒達を導いているつもりだろうが、俺の印象は違う。どう考えてもメシア教徒
確かに天使共は信徒達を【洗脳】して道具として扱っているだろう。それは否定しない。
だが侵略の為の〝兵器〟として利用されているのはどう考えても天使の方だ。
四文字を呼びたいなら信徒全てを生贄に捧げて呼べば良い。土地も、世界も、何もかもを利用して召喚すれば済むのだ。その考えが思いつかない時点で、メシア教はお互いがお互いを利用している。
そう考えると、この件には別の側面が見えてくる。
自分の身を守る剣や盾に時間制限が存在する事が許せない。だからその制限を外す。
だからこそ信仰を搾り取る為だけに人間を家畜の様に機械へ繋げる事が出来る。それを〝是〟と出来る組織が作り上げられている。
今回の件以上の事をやっていても不思議では無い。というか間違いなくやっているだろうな。
それでも、俺は心の何処かで、過激派にも人間としての倫理観があると思っていた。──否。
────
本日何本目か覚えていない煙草に火を着ける。煙を吐き出し、気持ちを落ち着けてから煙草の種火を使い、その熱量を増幅してばら蒔く。
そのまま融合体を火葬。完全に灰と化した事を見届けた後、来世では平穏に生きられる様に祈りを捧げ、部屋に忍び込んだ。
最初に視界に飛び込んできたのは
ぱっと見た感じ量が一番多いのは手と足だ。続いて頭部、身体と続く。身体が一番少ないのは、手と足が絡み合い、様々な場所に顔のパーツが付いた死体があるからだ。
「……無理だな」
本当ならすぐにでも火葬してやりたい。だがこの量の遺体を焼却すれば、この部屋に残る資料ごと全て燃える。
残念ながらここまでの事を仕出かされていると、優先順位は調査の方が高くなる。せめて研究過程の資料、またはウイルスに関するデータを回収出来ないと、最悪を想定して
苛つきながらも霊符をばら蒔き、思業式神と擬人式神を最大数召喚する。思業式神には遺体の片付けを任せ、擬人式神と部屋を漁る。
割られたカプセル型の生命維持装置。冷凍保存されている何かの肉。ラベルの貼られていない液体の入った瓶。
八つ当たりの被害にあった砕かれた石像。絵の中の人間がこちらへ手を伸ばす絵画。
視界に映る全てが醜悪で、俺の〝根源〟が先程から囁く様に人を滅ぼせと嘲笑う。
その全てを捻じ伏せ、淡々と資料を読み込み、回収する。幸いな事に血で汚れてこそ居るが、ウイルスに関する資料は回収出来た。──お陰で遺体を弔う事が出来る。
「さようなら」
バラ撒いた呪符に霊力を込め、部屋ごと吹き飛ばすつもりで術式を発動。
発動する術式は──【ラグナロク】
俺が編み上げたパチモンでは無い、カヲルニキの力を
苛烈な、しかし何処か優しい炎が全てを焼いていく。人が焼ける匂いは嫌にでも戦争の記憶を思い出す。最前線には正義も悪も無かった。祖国を守る意志すら無い。
敵も味方も生きたいというシンプルな願いの為に引き金を引いていた。
「どうせ殺す事になるなら、戦いたかったよ」
炎が鎮火したのを見届け、ただ無心で祈る。
何秒ぐらいそうしていただろうか。いや、何分だったかも知れない。
自分の心と折り合いをつけ、部屋を後にする。
────ありがとう。
何処か遠くの方からそんな声が聞こえた。
◇
気を取り直して探索を再開。とはいえそろそろ最奥に辿り着くので異界も終盤だ。
相変わらず悪魔は現れない。融合体も出ない。天使すら見掛けない。
どう考えても誘い込まれているが、今更帰る事は有り得ない。
岩手支部の為?────違う。
ガイア連合の為?────違う。
俺が胸を張ってこれからを生きる為だ。
ここまで来たら何かしらの決着を付けないと気が済まないのだ。異界の主が居るなら殺す。黒幕が居るなら殺す。大天使が万単位で居ても殺す。大悪魔が億単位居ようが殺す。
正直に言おう。もはや煙草で誤魔化せない程に俺はキレている。
進めば進む程、俺の神経を逆撫でする様な匂いが流れてくる。
辺りに散らばるメシア教徒の顔を踏み潰して脳髄を散らし、研究者の死体を蹴り飛ばして壁の染みに変える。
漏れ出る霊力が俺の感情に反応し、冷たく、熱く、鋭く、鈍らな〝刃〟を形成していく。
それすらも煩わしいと感じながら最後の扉を蹴り破る。
そこで──俺はさらなる