【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
三体合体には様々なルールがある。とはいえ現実となったこの世界でそのルールを正しく理解している奴は、ショタオジの様な存在か悪魔召喚士としての才能が振り切れてる奴が本能で理解しているぐらいだろう。
論文でも詳細は不明と書かれていたので、俺らとしても、まずは実験するしか無い。幸いな事に天使の素材は潤沢なので、無駄遣いしても問題無いしな。
「まずは【ハマ】のスキルカードでも作るか」
「これって俺らが込めて良いん?それとも術式で〝色〟を消す感じ?」
「どっちも作りゃ良いんじゃね?素材余ってるし」
「いや、下位素材は少ないぞ。俺らの素材って基本的に中層以降だし」
「あ、うち【錬金術】の権能持ちだから中層素材使えば下位素材作れるよ」
『『『何で修羅勢やってんのっ!?』』』
俺らが驚くのも無理は無い。【錬金術】と言えば、科学とオカルトを繋ぐスキルとして名高く、引く手数多な人気スキルだ。
素材のバラツキを整えたり、今回の様に上位素材を下位素材に変換、逆に下位素材を上位素材に変換する事も可能な製造班垂涎のスキルと言えば、その価値が良く分かるだろう。
「いや〜元々才能あったらしいんだけど、うちって厳しい修行で覚醒したからさ。気付いた時には中層入りしてたんだよね。で、そのままズルズルと深層入りですよ」
「生まれ持った才能と性格が合わなくて製造班に居る奴は知ってるが、まさか製造系の才能があるのに修羅勢になってる奴が居るとはな」
「この場合、気が付かなかったネキが鈍感なのか、それとも努力だけで深層に辿り着ける事実に驚くべきなのか悩むね」
「オンゲ知識で語ると、スキラゲの為の素材集めでカンストした勢っぽくね?」
「あー、上げきった後に暴落して涙目になるヤツな」
「ポイント交換で上位装備出すのは辞めろぉぉぉ!」
「生産スキルって死ぬ時はマジで一瞬だからな」
ワイワイ駄弁りながら
合計で五十枚ぐらい出来たら一旦作成を止め、カード合成に移る。
「スキルカードが最高レベルになる様に同属性の素材を選択。導線は相性の良い物を使用する事。今回は天使の髪だな。後は霊力流して完成らしい」
「ショタオジが占術で設置場所決めたらしいけど、俺らもやる?」
「自信あるか?ちなみに俺は一割だ」
「俺二割」
「才能を感じられません!」
「俺、明日の天気限定で五割あるよ」
「うちも百円拾えるレベルのぷちハッピーなら四割ある」
…………ふむ。
「風水学と三割超え二人の合せ技でやるか」
『『『うぇ〜い』』』
そんな訳でサクサク準備を終え、いざ実戦!出来た。
「こちらが予め用意しておいた【ハマダイン】のカードになります」
「ハマオン飛んでダインになってるぅぅぅ!!」
「何と言うか面白みが何もなかったね」
「普通に出来ちゃったもんねぇ」
「セツニキなんでソレ用意してたん?」
「失敗した時にすり替えておいたのさ!ってやるつもりだったんだが、思った以上にアッサリ出来てなぁ」
「使い所さんがいくえふみょうになったかー」
「一瞬何のことか分からんかった。行方不明か」
「うむ」
何の面白みも無く普通に完成した『ハマオンのカード』に霊視を発動。……成る程。
「このカード使って昇華合体繰り返すと、もしかしたら天使を作れるかも知れん」
「マジ?」
「〝天使〟の属性が強過ぎるんだわ。たぶん『ハマダイン』に昇華するならゴミ取りしないと無理だぞ」
水の中に砕いた海苔が紛れ込んでるイメージと言えば伝わるか。これを取り除かないまま昇華すると、凝固した〝天使〟の概念が形を持ってしまう。
使う素材によってはヴァーチャーぐらいまで作れる気がする。流石に固有名持ちは無理だろうが。
「取り敢えず白紙のカードにゴミ移して行くかー。人工的に天使が作れるなら金成オンライン出来るし」
「式神のスキル入れ替えで鍛えた腕が唸るぜ!」
「何だかんだ魔型や万能型の俺らは資格取ったよね」
「うちもそうだけど、あれ
「あーそういう感じなんだ」
駄弁りながらカードから〝
「んー……これだけじゃ足りないな」
「まぁ、一枚だしねぇ」
「じゃ、他のもハマオンに変えますか」
俺らと協力して先程と同じ場所に素材を置き、連続で昇華合体を繰り返す。双子ニキを筆頭に魔型が集まってると楽で良いな。
これが脳筋御用達の第一鍛練場だったら酷い事になっていた。あそこは
ちなみに
第二から第四は主に私闘*1で使われ、第六から第九は環境を弄って戦える*2。
星祭の人数も増えて来たので第十一以降も拡張済み*3ではあるが、こちらは基本的に予約制となっており、乱入禁止の〝ギミック〟付きだ。
「良し、完成。それじゃ
『『『うぇ~い』』』
手分けしてカードから不純物を抜いていく。一部の黒札には断末魔が聞こえるらしいが、残念ながら俺らの中にそんな繊細な奴は居ない。というか断末魔を上げさせた経験が多過ぎて気付かない可能性の方が高い。
俺も素材に残る残留思念なんて気にした事は無いしな。
抜いた不純物をそのまま先程の白紙のカードへ注ぎ込む。十枚ぐらいから天使の〝属性〟を移した辺りで反応があった。
「一斉に作業を止めて距離取ったの笑う」
「せっかく綺麗にしたハマオンのカードにゴミを混ぜられたくないし……」
『『『それな!』』』
会話している内に白紙のカードが宙に浮かび、周囲のMAGを吸収し始め──眩い閃光を放つ。
『『『目がッ!目がァァァッ!』』』
「ムスカ大佐おつ!」
間違いなくネタで転げ回ってる俺らを無視してカードに視線を向けると、丁度MAGの再構成が終わった所だった。
『『『…………白いスライム?』』』
「へぇ、こうなるのか」
カードからベチャリと落下したのは、卑猥な真っ白いスライムだった。ちょっとだけ神々しい気もするが、第一印象は動く精液。取り敢えず【解析】するか。
「どう?セツニキ」
「んー……これは逆に面白い結果かも知れん」
「というと?」
「コイツは〝天使〟の属性だけで固まったMAGなんだよ。だから分類上は天使で間違いない」
「この見た目で?」
「その見た目で」
解析結果は精液スライムが天使属性百パーセントの純天使と呼ぶべき存在だと俺に教えてくれた。つまり、だ。
「これ、性能的には天使版ドリー・カドモン*4だぞ」
「って事は造魔?造天使?作れるの?」
「おう。好きな悪魔因子を組み込めば、君だけのオリジナル天使が作れると思う」
「そんなの……やるしか無いじゃない!」
『『『意義無しッ!』』』
「待て待て待て。コイツは取り敢えず没収するぞ」
『『『えー!』』』
「再現性があるか分かんねぇんだから一匹目は確保に決まってんだろ」
【強制契約】を撃ち込み、取り敢えず反逆の意思を削ぐ。……抵抗無いな。自我は無さそうだ。
契約を結ぶのに成功したので、そのまま封魔管に収納。これで良し。
「遊ぶ為には生成方法を確立する必要がある。後は分かるな?」
「じゃ、俺は素材から直接属性抜いて白紙カードに捩じ込んでみるわ」
「おーけー。俺はその間にハマオン量産してる」
「うちはどうしよ?」
「中層の素材を下位に変換頼める?たぶん数足らなくなりそう」
「了解」
手分けして作業に移る。流石にこの程度の作業なら慣れたもんで、分担したという事もあり、すぐに終わった。結果は──
「素材から直接捩じ込むとエンジェルになっちゃうね。鉄仮面だし、応答も機械的な奴だからメシアが呼ぶのとは少し違うけど」
「メシアのは〝メシア〟って属性でも強制付与されてんじゃね?」
「メシア教が無理矢理染めたLAWの地脈を使ってるだろうし、その線は有り得るね」
「後は集合無意識からの干渉辺りかな?」
「ペルソナ使い居ねぇから分からんの〜」
「探求ネキ辺り呼んでみる?」
「タルタロス忙しいから無理じゃないか?」
「残念!」
討論を交わす俺らの方に聞き耳を立てつつ、出現したエンジェルを解析する。こうなった理由は何となく分かるんだが──あぁ、予想通りだな。
「このエンジェル、不純物混じってんぞ」
「え、マジ?」
「〝破魔〟と──たぶん〝使徒〟だな。それのせいでドリー・カドモンにならなかったみたいだ。その証拠に──ほら」
素材から抜いた〝天使〟を白紙のカードに捩じ込むと、先程と同じ様に動く白スライムが出現する。
「うへー。俺の技量不足かー」
「いや、お前で無理って相当な難易度だぞ?」
「俺もやってみよ──出来たけど、簡単じゃないねコレ」
「流石は双子ニキと言うべき?」
「体感難易度どれくらい?」
「下層中盤のギミックぐらい?」
「そんなもんだろうな」
古参なら苦もなく出来るが、下層入り立ての新人には厳しい絶妙なラインだ。
「これって式神のスキル入れ替えした時も同じ様になってるって事だよね?もしかしてカス取りしないと才能の器を無駄に埋めちゃってたりするの?」
「いや、この程度なら魂に取り込まれるだけだからあんま関係無いぞ。つーか、今回の様に純度を求められる様な環境じゃなきゃ問題にならなかったんだよ」
「んー?」
分かりづらかったのか首を捻る俺らを見て、少しだけ思考を働かせ、少しだけ細かく説明する。
「例えば【農業】のスキルを入れていた式神からスキルを抜いて、代わりに【採掘】を入れるとする。本来ならスキルに従って正しくつるはしを振れる筈なんだが、【農業】の経験に引っ張られてクワの振り方に似るんだよ。身体は忘れても魂が覚えてるってのはこういう仕組みなんだわ」
「あー残留してたスキルの破片が魂の経験になる訳ね。納得した!」
「本来ならそれが〝個性〟になるんだが、今回はそれが悪さして天使化してしまった感じだな」
ちなみに日常生活でも魂は様々な経験を取り込んで成長していくので、完全に同じ存在にする事はほぼ不可能に近い。
どうしても同じ存在にしたいなら魂自体を改変するしか無いが……難易度は言うまでも無い。