【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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動き出すガイア連合5

 

 

 袋に入った鳩の羽根を霊符に仕舞い、第十鍛練場に戻ると、そこには誰も居なかった。

 

 まぁ、当然だな。連絡入れてないし。

 

 取り敢えずスマホから掲示板に書き込み、別の作業を行いながら、俺らが集まるのを待つ事にする。

 

 

「【ハマオン】のスキルカード、ハマオンストーンまでは確定で良いとして……破魔系の中位素材か」

 

 

 山梨異界で例えるなら中層の素材。その中で破魔属性が強いのは──アヌビスとユニコーンか?パワーも対象だが、素材が無い。

 

 ユニコーンはどちらかと言うと〝癒し〟の属性が強いので、ここはアヌビスの〝審判〟から破魔を抜く。そして合体。出来た。

 

 

「うーん……」

 

「どったの?」

 

「【ハマダイン】を作ったんだが、こっからバリオンに行けそうに無くてな。何が悪いのか皆目検討も付かん」

 

「んー……俺の〝眼〟から見ても()()されちゃってるね」

 

「だよな?」

 

 

 最大まで容量を使ってるというか、追加で何か出来る要素が無い。これ、破魔属性の白紙のカード(ブランクカード)作りからやらなきゃ駄目か?出来るか知らんが。

 

 

「俺もバリオン撃てるけど、あれって感覚的には世界を限定的に改変してる感じなんだよね。だから術式に落とし込むなら〝神〟の属性辺りが必須なんじゃないかなぁ」

 

「〝神〟か。手段確立の為にやるならサクヤの〝火〟か、イワナガの〝大地〟からやるべきだったかね?」

 

「かもしれないね。二柱もセツニキのお願いなら何だかんだ聞いてくれるだろうし」

 

「んー……取り敢えずここまでにするか。俺らも戻ってくるし」

 

「あ、片付け手伝うよ」

 

「さんきゅ」

 

 

 一旦実験終了という事で双子ニキ(兄)と片付けを行う。

 

 

「鳩の羽根は手に入った?」

 

「おう。この通りな」

 

 

 袋詰めにされている羽根を邪魔にならない場所に展開する。素材の質?はそれなりなので、高位天使は狙えない。その代わり量だけはあるので、遊ぶだけなら余裕だろう。

 

 

「おー。これだけあれば色々出来そうだね」

 

「出来れば無くなる前に手法確立までは持っていきたいな。じゃないと今日の成果が【ハマダイン(スキルカード)】だけになる」

 

「完成しても閲覧制限掛かりそう」

 

「悪魔を作る訳だからなぁ」

 

 

 ショタオジが素人に認めなさそうではある。

 

 

「あ、そういやあの魔眼の情報、何処から引っ張ってきたの?明らかに一族の秘匿情報混じってたんだけど?」

 

「すでにメシア教に滅ぼされた一族の奴だから間違いじゃないぞ。情報源は──まぁ、岩手の後始末の報酬だな」

 

「あー……俺の権限じゃざっくりとした説明しか閲覧出来ないやつかー」

 

「知りたいか?」

 

「んにゃ。セツニキ報告で閲覧制限アリは見ない方が良いって修羅勢の総意だから止めとく」

 

「ちっ。賢い奴め」

 

 

 あの何もかも間に合わず、後始末だけ任されたやるせなさをお前らも味わうべきなのに。

 

 

「たっだいま~確保してきたよ~」

 

「分霊四体湧いたからその素材はセツニキにやるよ!」

 

「それでマブいチャンネーしくよろ!」

 

「何時の時代の言語──って言いたいけど、こっちだとそこまで古く無い事に驚く」

 

「これが転生者ギャップって奴なんや……!」

 

 

 ガヤガヤ会話しながら素材採取組が戻ってきた。次々に解放される霊符からは様々な天使の素材(フォルマ)が。

 

 

「……いや、多くないか?この短時間で取れる量じゃないだろ」

 

「あー異界に潜る直前にショタオジの分身と会ってさ。日本の地脈汚染処理のついでに無限天使異界作って貰ったんよ」

 

「金成振り回したくて仕方なかった!我慢した俺らを褒めるべき!」

 

「私達がマッカに困ってなくて良かったね!感謝しろ!」

 

「金成の製作者の名前言ってみろや」

 

 

『『『ゴメンナサイ!!』』』

 

 

 ったく。調子の良い奴等め。

 

 

「そんじゃそろそろ始めるか~」

 

「ある程度の素材貰って、俺らは別の鍛練場かねぇ」

 

第十鍛練場(ここ)は術系で固めた方が良いしな~」

 

「じゃ、そういう訳でまたな!」

 

 

 近接系俺達が去っていくのを見送り、俺達術者も製作を始める。

 

 まずは白スライムを作り、そこへ鳩の羽根から抜き出した〝女神〟の因子を投入。……うん。

 

 

「さっきまでの苦労はなんだったんだろうな……!」

 

「ホントにねぇ……!」

 

 

 目の前に立つ、何処か機械的な全裸の女天使。余計な()が付いてないその姿は、先程まで望んでいた姿そのものだ。

 

 

「巨乳にしてもオッケーみたいだね。鳩スゲェ」

 

「聖霊の化身は伊達じゃないねー」

 

「こうなったら逆に堕天させたくなるな」

 

「じゃ、やってみよう」

 

 

 そういう事になった。

 

 手始めに淫魔の素材から因子を取り出して投入。金髪が微妙に(くす)み、ついでに背中の翼も輝きを失ったが……未だ天使と呼べるの姿のまま、その場に立っていた。

 

 

「鳩スゲェ!」

 

「あーでも攻撃能力全ロストしてるね。【ハマ】すら消えたわ」

 

「〝平和〟の属性が強いんだろうねぇ。俺らの目的を考えると、一概にデメリットとは言えないけど」

 

「だな。まぁ、使い道としてはエロ兼医療従事者辺りになるか?」

 

「ジェネリックレティちゃん!」

 

「初期の頃の俺らとショタオジ並に性能差凄そう」

 

「レティちゃん何だかんだセツニキと同等だしねぇ」

 

 

 深層に行ける様になったお陰で、俺も嫁達もやっとレベル九十の大台に乗った。最近は週六で潜ってるので、今年中には三桁まで行ける気もしてる。

 

 とはいえ俺は岩手で色々やったり、術者として開発等も行っているので、他の星祭の奴等よりレベルの上がりは遅い。

 

 真修羅化してるグラ爺は九十四、それに付き添ってるシエラ婆は九十三と、表記上だと俺との差はかなり詰まっているが……あくまでも()()()なので、一つ違うだけでも桁が違うというのが正直な俺の感想だ。

 

 

「そういやセツニキさ、終末来たら本霊狩りするの?」

 

「いや、たぶんしない。絡まれたら全力で奪いに行くつもりだが、嫁の本霊は日本神だからな。下手に手を出すと面倒なんだよ」

 

「あー……日本の管理者になっちゃうのか。確かにそれは面倒だね」

 

「イワナガ様もサクヤ様も何時も忙しそうだもんねぇ」

 

「メシア教に多くの日本神が封印されてなきゃ旅行とかに連れ出せるんだが……まぁ、現状だと無理だ。下手すりゃ地脈が暴走する」

 

 

 現在、日本全体の地脈管理はショタオジがやっており、残る細々とした問題をガイア連合所属の神達が対処している(頑張っている)お陰で何とか保っている状態だ。

 

 一人でも抜けたら纏めて倒れる可能性がある以上、イワナガやサクヤを休ませる訳にはいかない。

 

 

「お、ついに堕天した」

 

「鳩一に対して十か。キャパ的にも有り難いな」

 

「性癖詰め込んでも大丈夫そうな量だもんね」

 

 

 取り敢えず【強制契約】でガイア連合対悪魔用契約テンプレ(基本契約)を投げ込み、天使を霊符に仕舞う。この娘は後で悪魔しょうかんに出荷だ。

 

 【房中術】を突っ込んでも堕天しなかったのは有り難い。お陰で容姿の方にキャパを使えるぜ。

 

 

「さて、それじゃ各自で実験、後で報告な」

 

「うぃ~っす……って、セツニキ何処行くん?」

 

「ちょっと思い付いた事があるから買い出しだ。すぐ戻るから先にやっててくれ」

 

「了解~」

 

 

 俺らと別れ、一人星霊神社へ向かう。目的地はロボ部の根城だ。

 

 

「おっす」

 

「お、セツニキだ。どうしたん?」

 

「ちょっと売って欲しいもんがあってな。機械鎧(オートメイル)って在庫あるか?」

 

「機械鎧?確か試作で幾つか作った奴があった気がするけど……何に使うん?」

 

「んー……ロボ部なら良いか。ちょっとした偶然から人工天使が作れそうでな?それに使いたいんだ」

 

「人工天使……また俺達が五月蝿そうな物を」

 

「でも天使な女の子は好きだろ」

 

「もちろんさ☆ブルアカとか前世でやってたし!」

 

 

 力強く断言しながら機械鎧の入っていると思われるケースを二つ机の上に置くロボ部の俺達。

 

 

「一応成人女性用の機械鎧だけど、長さとか気に入らんかったら調整するぜ~」

 

「注文しておいてなんだが何で成人女性用なんて作ったんだ?機械鎧欲しがるのってどちらかと言えば男だろ?」

 

「……KOS-MOSって良いよね」

 

「成る程。そりゃ作るわ」

 

 

 俺でも作る。間違いなく作る。

 

 

「値段はこれぐらいだけど、どうする?」

 

「マッカ一括で」

 

「毎度~というか一括とか御大尽過ぎる!」

 

「腐っても修羅勢だからな」

 

 

 出された書類にサインし、スーツケースを霊符に仕舞う。後は俺のサインの入った書類を事務課に提出すれば、俺の口座からロボ部に金の移動が行われる。

 

 完全ペーパーレスも技術的には余裕で可能なんだが、終末後にどれくらい機械が稼働するか不明なので、未だにガイア連合は書類から逃げられない。

 

 未来に知識を残すという点だけで考えると、複数の手段で保管しておく事は理に叶ってるんだが……面倒な物は面倒なんだよな。

 

 

「じゃ、俺は帰る。KOS-MOS出来たら連絡くれ。買い取りに来るから」

 

「開発予算が無いのぉぉぉ!お舟に持っていかれたしさぁ!」

 

「開発が予算の取り合いになるのは前世から変わらんな」

 

 

 企画書さえ提出してくれればパトロンになっても良いんだが、残念ながらロボ部──というか俺達の多くは自分の好きに作りたいので、パトロンを拒否する奴が多かったりする。

 

 気持ちも分かるので特に勧める事はせず、軽く別れの言葉を告げてロボ部の根城を出た。

 

 星霊神社と星祭神社を繋ぐ道の結界を点検しながら第十鍛練場を目指していると、第八鍛練場(ダイハチ)に繋がる扉が凄まじい勢いで吹き飛んだ。

 

 

「痛ッ──くそっ!やられた!ってセツニキじゃん」

 

「大体想像つくが、何やってんだ?」

 

「性癖戦争!六十人のバトルロワイヤルだぜ!」

 

「いや、天使の素材も鳩の素材もそれなりにあっただろ?何で争いになってんだよ」

 

「総取りにすれば高級仕様の嫁悪魔作れる事に気付いちゃったから仕方ないネ☆」

 

「はぁ……まあ、良いや。扉は直しておけよー」

 

「うーい」

 

 

 霊符からは工具を取り出して修復作業に入る俺らと別れ、第十鍛練場に繋がる扉を開く。するとそこには──

 

 

「お、セツニキおかえり〜」

 

「どうよこれ!」

 

 

 高らかと六枚翼を広げて胸を張る、何処かで見たことのある()()()()()が居た。

 

 

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