【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
メガテンのガブリエルと言えば、右手に剣、左手に花、黄金の鎧を着た緑肌の天使として描かれる事が多く、ついでに言えば氷結系のスキル持ちとしても有名だ。
だが目の前に居るガブリエルは違う。
学生帽に良く似た黒い帽子。高校生の様な白い制服。極めつけは緑色の髪に六枚の純白の翼。何処かで見たことのある容姿に首を捻っていると、俺らが声高に紹介してくれた。
「どうよ!このモンストのガブリエルの出来はッ!」
「パスドラのガブリエルも居るぞ!」
声のした方へ視線を向けると、そこには金糸の刺繍の入った黒い外套姿の水色髪の優男が。こちらは青の様な六枚羽根だ。二匹が着てる衣装はコスプレ部の奴か。いつの間に買いに行ったんだコイツら。
「中々良い出来でしょ?レベル的には
「何でそんなん作ったんだよ」
「さっき堕天実験したじゃん?だからセツニキの居ない間に逆の実験しておこうって話になってね?」
「何処まで天使としての存在を高められるかってやってたら、大天使に繋がりそうになってさ。慌てて〝型〟を押し付けたんよ」
「成る程な。そこの獣耳娘もガブリエルなのか?」
「ブルアカのセイアだね。あくまでも考察でガブリエルなんじゃないか~って言われてた娘だよ」
「そんなんで問題なかったのか?」
「
「お、おう……」
悪魔のいい加減さについてそろそろ諦めの境地に入っているが、それでも考察程度でも通る酷さに驚きを隠せない。……いや、逆にガイア連合の与える影響が強いせいかも知れんな。前世のゲーム関連は基本的に俺達が布教してるもんだし。
「それで、セツニキはどのガブリエルにするん?」
「俺もガブリエル作るのは確定なのかよ」
「そりゃここまで来たらね?」
「はぁ……わーったよ。お前らに真のガブリエルを見せてやらぁ」
まずは山積みになってる天使の素材から〝天使〟の情報を抜き、白スライムを作る。続いて鳩の羽根を三枚と、昔、古本屋で購入してきた
「セツニキ?手が止まってるよ?」
「いや、作ろうとしたガブリエルを権天使程度の強さで作るのは勿体無いと思ってな?」
「ちなみに何を作ろうとしていたか聞いても?」
「グラブルのリミガブ*1だ」
「あー……確かに勿体無いね」
さて、どうするか。幸いな事にまだ幾らでも修正が効く範囲だし、今からでも見た目は変えられる。
とはいえガブリエルの名を冠するキャラがパッと思い付かないんだよな。
「んー……キャラデザ募集」
「シャドバ」「クリプトラクト」
「ロストディケイド」「オセロニア」
「ティターンズの旗の元に」
「ノルンズファンタジー」「アルケランド」
「ポコダン」「サモンズボード」
「待った。大半知らねぇんだが?あと何か変なの混じってないか?」
「き、気のせいじゃないかな」
「ティターンズの旗の元にで検索したらイケオジが出てきたんだが?」
「これにしようぜ!」
「いや〝鳩〟の女神因子どうすんのよ」
「それもそっか」
「ノルンズファンタジーとか初めて聞いたわ」
「クリプトラクトは途中で辞めちゃったなぁ」
前世でプレイした経験のあるアプリの話で盛り上がる俺らを尻目に、上げられたタイトルをスマホで検索していく。
「ロストディケイドのガブリエルは良いな。秘書にしたい」
『『『分かる』』』
「権天使としてならイケオジは有りだ。ガブリエルとしては駄目だろうが」
「じゃ、自作するかな。そろそろMS作る俺達も居そうだし」
「ロボ部に期待してるわー」
「船の方に予算持っていかれて困ってたから支援してやれば良いんじゃないか?完成品が早めに回ってくる様になると思うぞ」
「お。それなら後で申請してくるかな~」
会話しつつ【ディア】【ディアラマ】【リカーム】【パトラ】のスキルカードをサクサク作り上げ、ついでに大量に購入しておいたブフストーンから【ブフ】のスキルカードを作成。そして投入。
突っ込んだスキルカードに引っ張られ、移ろい始めた白スライムに対してMAG操作で介入し、望む姿に変えていく。完全にMAGの動きが安定したら完成だ──
「あっ」
「あっ?」
「原作を忠実に再現したら【房中術】入れるキャパが無くなった」
「ワロス」
何処か無機質なガブリエル*2を前に使い道を考える。
ミナミィネキには売れない回復特化型か。医療班に売り付けるにも天使の姿なのがネックとなる。
天使の容姿を気にせず使役出来て、回復特化の性能が役に立つ奴か。……あぁ、一人、というかそんな一団が居たな。
「良し。今日からコイツは
「なしてキリスト?」
「ブロントさんの元ならコイツも活躍出来るだろ?」
「なるほろ。確かに役に立ちそうね」
他の黒札に売り付けても良いんだが、現状だと悪魔召喚士試験を受けてる奴が少な過ぎる。とてもじゃないが、居るかどうかも分からない買い手を探す気にはなれない。
その点においても、確実に必要としているブロントさんはポイントが高い。遊びで作った奴だから手放しても惜しくないし。
「どうせならもっと作っておく?治療用なら何匹居ても困らないしさ」
「それなら聖書から〝十戒〟抜いて入れておくと楽だったぞ。戦闘力という面では絶望的になるがな!」
「下手に力持たせてガイア連合の敵になられてもあれだし、問題無いっしょ」
「そもそも基本契約を破れる=ショタオジを越えるになるからなぁ」
「そんな簡単には越えられるなら俺らは苦労してねーんだわ!」
『『『それなッ!』』』
本当にな。九十の大台に乗っても、未だに手も足も出ねぇ──
「っと。量産と近接組への指導は任せた。俺はちょっくら電話と報告に行ってくるわ」
「了解。あ、全部権天使クラスで良い?」
「いや、エンジェル多めで頼む。幹部クラスは四十越えてるが、下は一桁らしい」
「おっけー」
「じゃ、頼むわ」
さて、早めに出てくれると良いが。
◇
願いが通じたのか、ブロントさんとはすぐに連絡が取れた。あちらも国内の過激派が海外に移っているのに合わせて国外に出ようかという話が出ており、渡りに船だった様だ。
「って訳で、これが人工天使の生成方法な。公開ランクは任せるぞ」
「暇潰しでこんなの作る辺り、星祭の面々も立派な超越者になってきたね」
苦笑いを浮かべながら資料の精査を始めたショタオジの判断を待ちながら、猫又の淹れてくれた御茶を飲む。
「美味い……だと……!?」
「当然にゃ」
「福岡の八女茶か。値段に相応しい甘味とまろやかさで有名だよな」
「何で分かるにゃ……」
「前世で取った杵柄って奴だ」
上流階級と付き合うには五感の全てを研ぎ澄ます必要がある。分かりやすく言えば、音楽、食事、体臭*3、劇だな。
それにプラスして教養から来るトークも大切なんだが、相手が年配の方なら素直に教えを乞う可愛さも必要だったりする。
つまり、すごくめんどくさい。
「俺も長生きしてたら覚えなきゃ駄目だったかもなー」
「初代が繁栄させて次代が潰すのは、この教育が上手く出来なかった事が多いからなぁ。組織の規模次第じゃそういう未来もあったと思うぞ」
「学校の勉強ももちろん大事だけどさ。それ以外にも必要とされるスキルが多すぎるよね。現代社会って」
「それを学べた徒弟制度は今じゃブラック扱いだからな。時代の流れとはいえ仕方ないさ」
「そんなもんか──良し、終わり」
渡した資料を机の上に置き、一拍空けてからショタオジが判断を下す。
「閲覧は悪魔召喚士の資格持ちのみ。作成はエンジェルレベルまでとする。何か質問ある?」
「すでに作った天使の扱いは?」
「星祭の面子が使うならご自由に。ミナミィネキ以外の黒札への譲渡は禁止するよ」
「了解」
スマホを操作して修羅板と星祭板にショタオジの結論を流す。術式スレにはショタオジの発言をそのままコピペで良いか。
「じゃ、帰るわ」
「あ、ちょっと待って」
「おん?」
上げ損なった腰を再び降ろし、再びショタオジと向き合う。
「これはまだ幹部勢にしか伝えてないんだけど、自衛隊が戦力として数えられる様になったら日本神解放作戦を共同で行うことに決まったんだ。いざという時は俺も動くつもりだから、その時は深層の抑えに回って欲しい」
「その情報、修羅板と星祭に流しても?」
「構わないよ」
許可が降りたのでそのまま掲示板に情報を流す。反応は上々。ショタオジの代役を務めるのは来る日の予行演習になるし、俺としても文句は無い。
「正式に日程が決まったらショタオジが直接書き込んでくれ。それまでは消耗品や食料の用意する様に指示出しておく」
「宜しくね~」
話が済んだ様なので今度こそ席を立つ。これから忙しくなるな。
◇