【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
半終末から……?
「いやー、負けた負けた」
日が沈み、月が顔を出した頃。破壊しまくった鍛練場を奇麗に片付けた後、今日の模擬戦相手達と温泉に浸かる。
やはり戦いの後の風呂は格別だな!今日は良い夢が見れそうだぜ!
「漸くセツニキとの勝率が四割乗ったぜ!」
「これからは増える一方だろうな。流石に準備無しで槍ニキの相手はキツい」
最近の修羅勢との模擬戦では霊格差が無くなった事に加え、成長タイプと鍛練場が勝率に関係する事が多くなっていた。
よーいどん!で始める第五鍛練場だと近接型が有利。第六以降の地形を使える場所では魔型が有利となっており、誰が最強か?という質問に対する答えは、ショタオジを除くと誰も持っていないのが現状となっている。
第六以降ではグラ爺すら勝率が三割を割っていると言えば、準備した魔型の強さが良く分かるだろう。
ちなみに第一鍛練場は完全に運だ。初期配置次第ではグラ爺やカヲルニキクラスでも普通に落ちる。
俺やシエラ婆、地脈ニキの様な万能型なら僅かに勝率が高い傾向にあるが、ハッキリ言って誤差だ。俺ら程度の生存能力の高さじゃ意味が無いとも言う。誠一郎ニキクラスだと話は変わるが。
「良く言うぜ。安定してヘラクレスニキ*1に勝てるの、今の修羅勢だとセツニキと秋雨ニキと蛮ニキぐらいだろ」
「俺ら万能型は手数の多さが無いと、そもそも近接型にも魔型にも勝てないからな。そら十二回
「ヘラクレスニキは権能に頼ってないからのう」
隣で湯に浸かっていたグラ爺が、温泉の魔力に取り込まれた緩い声で俺の気持ちを代弁する。
「武芸者の完成形と言うべきかねぇ。どんな距離でも武器を変えて戦える近接型の強さがヤバ過ぎる」
「【魔晶変化】のせいで武器の形なんてあってないようなもんだしなぁ」
「私としてはセツニキだけには言われたくないがね」
話に入ってきたのは、体格の良い大柄な男。──話題の中心に居たヘラクレスニキだ。
「お、ヘラクレスニキか。お疲れさん。どうだったよ?」
周りの人間に頭を下げながらこちらへ向かってくるへラクレスニキに槍ニキが声を掛ける。その問い掛けに苦笑いを浮かべながらヘラクレスニキが口を開いた。
「蛮ニキと男鹿ニキの二人にやられたよ。あの二人が何故俺達の最強論に上がらないのか、未だに分からない」
「あ〜……蛮ニキは毒だし、男鹿ニキは全体的に勝率が低いからなぁ」
ちなみに男鹿ニキは勝率こそ低いが、内容で見ると物凄く
蛮ニキは修羅勢にも多くいる、霊能の根幹が英雄系の俺達に特効が取れる毒を主武器として使っているので、どうしても評価が低くなっている形だな。
普通に考えれば、ヒドラの毒を使っただけで、ヘラクレスニキを殺せる訳が無いと分かる筈なんだが。
「蛮ニキには毒抜きで四回殺され、その後に八回毒で殺されたし、男鹿ニキには何時ものルール*2で負けてしまった。星祭は三老以外の
「外から見ると、分かりやすく強いグラ爺、俺達に人気なシエラ婆、強さより組織人としての色が濃いセツニキみたいな扱いで、他は小判鮫みたいな扱いにになってるのがウケるよな」
「全くだ。
「俺らとしては存分に舐めて貰って構わないんだがな。別にそれで俺らの実力が落ちる訳でも無いし」
「大人だねぇ」
「爺婆にとっちゃ、お前らみたいな若人の壁になれれば十分よ。──簡単に越えさせるつもりは無いがな」
「そうじゃのう。簡単に越えられる壁では成長を望めないしのう」
グラ爺と二人でニヤリと笑う。俺とグラ爺の勝率は五分。お互い男の意地で無理矢理白星を奪い合ってる感じだ。
未だショタオジに勝てないこの身だが、正しい実力は知っていて欲しい奴に伝わってるんだ。
「かぁ──!良いねぇ!二人の関係!」
「私も少し羨ましい」
「ヘラクレスニキはともかく、槍ニキにはドモンニキ*3が居るだろ」
「最近は探求ネキと遊ぶ事が多くてなぁ。やり合う機会が減ってんだよ」
「あー……だからこっちに来たのか」
「おうっ!毎日楽しいぜ!移籍を考える程度にはな!」
心底楽しい様子の笑みを浮かべる槍ニキ。隣でヘラクレスニキも頷いている。
「ま、住みたくなったら何時でも俺か禊か嫁達に声を掛けてくれ。部屋は余ってるしな」
「んーどれくらいなんだ?」
「一月これくらいだな」
「修羅勢なら安いつーか、深層組なら悪魔のドロップ一体分で年単位なのか」
「物納も可能だぞ?というか深層の素材は余り表に出せないから可能になったが正しいんだが」
「そんなにマッカ集めて何してるんだ?所属してる人数的にかなりの額だろ?」
「食料備蓄したり、イワナガに貢いで施設の維持頼んだり、探求ネキに依頼して色々やったりしてるが……」
「してるが?」
「説明するのが面倒なぐらい迂遠な方法で、ガイア連合に投資してるぞ。個人、組織関係無くな」
組織の予算は年度ごとに使用用途が決まっており、それ以外に使われる事はまず無い。
それ故に予算決めの時は色んな部署が揉めに揉め、社内戦争となる訳だ。
だが現実には天災や災害によって緊急時の予算が必要となる場合がある。そんな時の財源が〝内部保留金*4〟だ。
ここからが会社の面白いところで、内部保留金を維持する為に銀行から金を借りる経営者も居れば、内部保留金で支払い、外部からの干渉をはね除ける経営者も居る。
一概にこれが正解!という答えが存在していないので、この場ではこれ以上語らない。国益に関係する研究してる会社やインフラ系だと税金が投入されたりするしな。
話を戻そう。
そんな訳で、基本的にいきなり使える予算という物は存在しない。だが、ガイア連合にはそれが存在している。
──そう、
星祭にある旅館は土地ごと結界によって隠された
つまり、国が関知していない金脈を保持しているに等しい。
その有り余る資金を元手に名家や富豪俺達を使って円に変え、手に入れた円を分散してガイア連合傘下の銀行に預け、そこから必要な部署に追加予算という名の投資を行い、割り振っている。
だから緊急でジュネスを○○県に建てて!とか支部作って!とか言われても、無茶言うな!では無く、おっけー!と緩い返答で行えるという訳だ。
まぁ、ショタオジチェックを乗り越えられれば、だが。
「星祭がガイア連合の隠し財布なのはここに来るときに教わったが、未だにそのままだったとは驚いた」
「俺達が新しく合流したり、問題起こす度にな……億単位で金が飛んでいくんだよ……見捨てれば良いのにショタオジとしてはそれを助けたい訳で……」
「あー……」
「各地の支部長はまだ良いんだ。支部長やるだけあって才覚あるし、黒字の所も多いからな」
呉の支部長とか凄いよな。全くガイア連合の負担になってねぇ。
「問題なのは今回合流した
「成る程。それで星祭の資金を使う事になるのか」
「ガイア連合が巨大な企業連合なのも痛いんだよな。下手に連合の財政を揺るがすと、世界恐慌に繋がりかねん。下手すりゃそれで負の感情が世界的に高まって、即終末に繋がっても可笑しくないんだわ」
特に集合無意識が関係するペルソナ組が地獄を見る事になる。あそこは露骨に群衆が牙を向く場所だからなぁ。
「……一つ、思ったのだが」
俺の話を黙って聞いていたヘラクレスニキがポツリと呟いた。
「なんだ?」
「何でセツニキはグラ爺相手に勝率五割を維持出来るのだ?ただ戦ってれば良い私達とは条件が違い過ぎるだろう?」
「なんだ、そんな事か」
んなもんは太古の昔から決まっている。
「俺が男だからだよ」
◇
一度時間作って読み直すしかないかなぁ。
毎日更新止めるか、読み直すかの二択なのが辛い。