【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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これが神様に頼むチートだった時代の人間です。


原作持ち故の苦悩、人魚ネキの功績

 

 

 宴会場を出て、表向きは本殿となっている拝殿の方にある屋敷の大広間へ向かう。本殿に招き入れないのはアーチャーニキ達が一団であり、レベル三十に届いてない人間と式神が多かったからだ。

 

 

「夜分遅くに悪いな」

 

「気にすんな。今日は遊んでただけだしな」

 

 

 挨拶もそこそこに星祭の巫女達が飲み物を配り退室する。それを見計らってアーチャーニキが話を切り出した。

 

 

「ボブミヤニキからセツニキが『UBW』を使ったと聞いてな?()()としては居ても立っても居られなかったんだ」

 

「成る程ね。確かに()()()なら食い付くか」

 

 

 この世界はメガテン世界であり、Fateの世界じゃない。だが俺達の多くが〝原作持ち〟に期待するのは、まず間違いなく原作再現だ。

 

 魔王ネキの様に見た目だけ似せられるなら問題無い。男鹿ニキや蛮ニキの様に再現が楽な部類もまだマシだ。

 

 だがアーチャーニキ達の様に〝原作〟が有名だと、どうしても()()を求める声が多くなる。

 

 

──例えそれが、俺ですら最近完成した術式(Unlimited Blade Works)でも。

 

 

 ちなみにボブミヤニキは海外で傭兵していた俺達だ。

 

 海外まで伸ばしていたアンテナにたまたま引っ掛かり、そのまま何食わぬ顔で支援を続け、メシア教に攻め滅ぼされた難民達の護衛役として正規の方法(ルート)で雇ってガイア連合に取り込んだ(ネタバラシ)

 

 見た目はエミヤ・オルタそっくりなのだが、実は原作の彼とは違い、ボブミヤニキは原作の事件と容姿が前後していた。

 

 ネタバレになるので簡単に説明するが、本来の彼は()()()となる道を選んだ末にボブミヤとなる訳だが、この世界(メガテン世界)の彼は今の容姿になるまで傭兵としてメシア教と戦い続けた末に宗教団体との事件に出会(でくわ)したのだ。

 

 原作の彼との大きな違いは宗教団体の教祖()()()()で、一人では無くガイア連合(俺とカヲルニキ)が居た事だな。

 

 

 信者に親しい人が居た?その人に助けたい子供が居る?──宜しい。信者も含めて助けてみせよう

 

 

 黒札ならこれが出来るガイア連合を舐めるなよ。

 

 

「用件は何となく想像付いたが、俺に何を望む?」

 

「ここに三百万用意した」

 

 

 机の上に置かれたのは、アーチャーニキやシキガミ達、そのマスター達が必死に貯めたであろうマッカの山。

 

 

「これで我々に『UBW』を伝授して欲しい」

 

「術式は黒札なら無料(タダ)で見れるぞ?」

 

「恥ずかしながら私も含めて術関係は切り捨てた人間ばかりでな。正直言って理解出来んのだよ」

 

「ノーネーム──いや、今はセツニキか。俺もそれなりに術式を学んでいるが、それでもアンタの構築した術式を理解出来ん。その俺以下の素人ばかりなんだ。言いたい事は分かるだろ?」

 

 

 ボブミヤニキが面倒そうに口を挟んだが、その奥には()()()の願いを叶えたいという〝色〟が見え隠れしている。……この三百万マッカの内、幾らがお前の金なんだろうな。

 

 溜め息を軽く吐き出し、天井を見上げながら灰色の脳細胞を働かせる。ショタオジも言った様に術式を学ぶには時間が居る。最短で修得を目指したとしても、かなり厳しい。

 

 

「セツニキ。代金が足りないなら我々には死ぬ気で稼ぐ覚悟がある。何とか出来んか?」

 

「残念ながら無銘ニキ、金の問題じゃ無いんだわ」

 

「では、何が問題なのだ?」

 

「────霊格」

 

 

 その一言で納得すると共にアーチャーニキ達が渋い顔をする。

 

 俺が使ったUBWに使う霊力は、最低でもレベル五十は無いとキツイ。魔型なら四十から行けるが、近接型なら六十は必要だ。もちろん、術式に対する勉強時間を除いて。

 

 必要霊力を下げる方法もあるにはあるが、こっちはショタオジの許可が居る。下手すれば霊器が歪むからだ。

 

 そこらへんの説明を分かりやすく噛み砕いて説明すると、問題を理解したアーチャーニキ達の顔が苦い物を食べた様な表情()に変わる。

 

 

「この中だとボブミヤニキと無銘ニキの二人ならどうにか出来るが、()()()()()()使()()()()()()()()()()()()?」

 

「……気付いていたか」

 

「本当に使いたいならもっと早くショタオジか、俺か、術スレに頼ってるだろうしな」

 

 

 ボブミヤニキを除いて、創設期から一緒にやって来た仲間なのだ。アーチャーニキとエミヤニキ*1は製造班と食堂を掛け持ちしてるからレベルこそ低いが、それでも三十を越えている。

 

 

「それで?何で今更頼ってきた?」

 

「……我々は前世で何度も失望された経験があるからな。俺達の無茶振りにイラつく事はあっても、軽く受け流せた。受け流せるだけの〝経験〟があった。だが()()にそれを求める程、俺達は落ちぶれちゃ居ないんだよ」

 

「先日、他県で暴れた過激派を制圧した時にな?居たんだよ。()()()()()()()()()()()()がな」

 

「記憶はかなり薄れているが、俺も〝前世〟は俺達と変わらんかったからな。一目見て気付いたぜ」

 

「……成る程。()()()()()()が居たのか」

 

「ああ。それも()()()()()()()()の、正義の味方に憧れる眩しい少年がな」

 

 

 思わずこの世界の糞っぷりに天井を仰ぐ。俺達に不要な期待をするなと言っても、完全に消す事は不可能だろう。

 

 そして子供というモノは、間違いなくそれを鋭敏に感じ取ってしまう。

 

 

「アーチャー連盟だからかと言うべきかね。シキガミも、そのマスター達も、快く資金集めに協力してくれたよ」

 

「そら、お前らはガイア連合でも屈指の善人集団だからな。そうなる流れも当然だと思うわ」

 

 

 ガイア連合に多数居るアーチャーニキやエミヤニキ、同じ容姿を持つシキガミアーチャー達は、殆ど無償で多くの黒札達を手助けしてきた。そんな彼らが一言助けてと言えば、喜んで動く人間も多いだろう。

 

 

……やれやれ。こりゃ本格的にやらないと駄目だな。

 

 

「まず始めに言っておくか。この金は受け取らん。エミヤシロウ──いや、シロウニキの為に使ってやれ」

 

「良いのか?」

 

「生憎だが金に困ってないんだ。お前らから金を取ったら俺の名声が地に墜ちるしな」

 

「いや、正当な依頼で報酬無しは不味いだろ。流石に俺達も理解するんじゃないか?」

 

「俺は人間がそこまで賢い存在だと思ってない。間違いなく騒ぐぞ」

 

 

 三百万という額は、嫉妬するには十分な額だ。まず間違いなく声の大きい奴等が騒ぐだろう。

 

 

「セツニキはそれで良いのか?」

 

「ああ。その代わりに俺が問題に取り組む間、連盟には山梨の異界に潜って欲しい」

 

「流石にセツニキの代わりは無理だぞ?」

 

「安心しろ。流石にそこまで求めちゃ居ない。霊格が高ければ高い程、使える札が増えるんだ。色々頑張ってみるが、それでも三十未満はキツイと思ってくれ」

 

「分かった。連盟の方にも事情を伝えてみる」

 

「頼んだ」

 

 

 夜も遅いので細かい打ち合わせは後日に回し、一旦解散。入り口で別れ、一人星空が照す石畳を歩く。

 

 原作持ちは霊才が元ネタに寄る事が多く、俺の様に全く違う道へ進む奴は稀だ。必然的に原作再現を俺達に望まれるのは、原作持ち故の苦労だと言える。

 

 自身の霊才に悩まなくて済む利点と比べると、果たしてこのデメリットは釣り合ってるのやら。

 

 

「……ま、頑張りますかね」

 

 

 黒札で、覚醒者で、義理堅く、ガイア連合の役に立って来た奴等なんだ。

 

 俺は覚醒者には優しいと評判のセツニキだからな。断る理由は何一つとして存在しない。

 

 頭の中で使えそうな術式をピックアップしていると、突然目の前にヒーロー着地を決める馬鹿()が降ってきた。

 

 わざわざヒーロー衣装を身に纏ってる辺り、流石俺達だと感心せざるを得ない。

 

 

「お困りの様だな!」

 

「話は聞かせて貰った!」

 

「我々術スレの住民にはセツニキを手伝う用意がある!」

 

「それは助かるが……降って来過ぎだろ」

 

 

 軽く数えてみたが、三十人以上居るぞ。

 

 

「セツニキに質問するなら星祭に通える様になるべきだと思ってね。術研が音頭とって頑張ったぜ!」

 

「まぁ、術で遊んでたら到達しただけなんだけどね!」

 

 

『『『それな!』』』

 

 

「さよけ」

 

 

 本当に馬鹿ばかりだ。金銭的な物は何一つ手に入らないボランティアみたいな物なのに。……いや、これも連盟の人徳って奴か。

 

 

「明日からが本番だ。完成するまで逃げられると思うなよ?」

 

 

『『『ういっす!』』』

 

 

 行きと違い、数の増えた俺達を連れて旅館に戻る。まずは──寝床の手配だな。

 

 

 

 

*1
実はこの場に来ている以外にもアーチャーニキとエミヤニキは居るし、シキガミを合わせたら凄まじい数になるのは秘密。独自設定。






────体はニコ動で出来ている。


────血潮は2chで、心は厨二病。


────幾度の面接を受けて全敗。


────ただの一度も働いた事は無く、


────ただの一度も金を稼いだ事は無い。


────彼の者は常に独り、PCの前でイキる。


────故にその生涯に意味は無く、


────その体はきっと、ニートで出来ていた。



このネタ、今の子達に通じないんだろうな(笑)
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