【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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完結後だから出来る話パート2

↓の話については他にも色々あるのですが、本数百冊が出せるぐらいの内容なのでこんな事があったのかー程度で済ませてくださいな。

気になったらこの文を読んでる機器で調べると楽しいですよ。

チューリップバブルと良い、人間は成長しねぇな感が凄い。


えっ?

 

 

「オレサマ オマエ マルカジリ!」

 

「それどちらかと言うとオレサマのセリフー!」

 

 

 当主様の結界により、レベル制限で劣化したオルトロスの最後の言葉。流石にこのレベルまで来ると、悪魔も喋る喋る。しかも手足が吹っ飛ぼうがモツ抜きをされようが痛みを無視して動き続けるので、油断するとマジで死にかける。

 

 そんな俺用に調整された異界は、出現する悪魔的にレベル二十五から三十前後の奴が多い。たぶん今の俺のレベルはそれぐらいなのだろう。

 

 苦労こそするが、油断しなければ何とかなるレベル。

 

 そのギリギリの異界を作れる辺り半端じゃねぇな。

 

 

「それにしっかり罠も有りやがるし」

 

 

 明らかに罠です!と主張している巨大なスイッチボタン。実はその上が唯一の安全地帯で、その周り全部がピタゴラスイッチの起動罠となっている。

 

 かと思えば普通に罠のスイッチな事もあり、ずっと霊視状態じゃないとオチオチ戦うことすら出来ない。

 

 その内、禊達にも霊視を教えないとなぁ等と考えていると、

 

 

「クァーッ!」

 

 

目の前に湧いたバイヴ・カハが【九十九針】を吐き出しつつ【羽ばたき】で衝撃波を飛ばしてきた。

 

 飛んできた針は霊力を込めたトランプを操って防ぎ、追撃の衝撃波は結界で防ぎ、霊符をダートに変えて投擲。胴体を貫き、光となる。ドロップは無し。ちっ、湿気てるな。

 

 ちなみにこの異界、一階はレベル一から五の戦いの基本を学べる異界となっている。

 

 二階はレベル十から始まり、奥に行くほど上がっていって最終的には二十になる集団対集団を学べる異界。

 

 三階層以降は異界の基本を学べる階層になっているが、当主様の悪ノリや聞きかじりのゲーム知識が散らばってるお陰でかなりカオスなエリアになっている。

 

 俺としては楽しめているが、このノリで転生者達を放り込んだら死者がやばそうだ。

 

 

「取り敢えず一旦帰るか──って【脱出(トラエスト)】の霊符切らしてる」

 

 

 オンゲあるあるの脱出アイテムを忘れ、徒歩での帰還となった。星祭神社に帰れたのは八時間後だった。

 

 

 

 

 本殿に大量の霊符を置き、そのまま解除。霊格はそのまま素材の強さに繋がるので、目の前の山の様な素材はレベル二十五前後。ちらほら見える金色はマッカだ。自分で集めるのは面倒なので、思業式神を呼び出して仕分けする様に指示を出す。その後は都辺りが持っていくだろう。

 

 

「いや、鬼か。幾ら僕の分身とはいえこの量は無理だよ?」

 

「お、久しぶり。最後に合ったのは二ヶ月ぐらい前だったか?」

 

 

 食事は【エナジードレイン】&【丸かじり】で済ませ、身体は神道式の霊符で何とかした。〝穢れ〟を落とす事に特化している神道式は、身体を清潔に保つのに便利過ぎる。

 

 

「すでに三ヶ月経ってるよ。生きてたのは異界の様子を見てた分身からの報告でわかってたけど、式神作らせておいて来ないのは酷くない?」

 

「いやー最初は錆び落としのつもりだったんだけどな?やってる内にハムハムする事が目的になってなぁ……」

 

 

 これもネトゲあるあるな気がする。ドロップにノーマル、レア、激レア、ユニークがある上に付与効果(オプション)がランダムと来れば、誰だってハムハムするだろ。まぁ、何が付与されてるのかわからないから付与の強弱だけしか把握してないが。

 

 

「目的と手段が入れ替わってるじゃん……」

 

「でも、お陰でそれなりの休暇過ごせただろ?」

 

「うん。予定外の事が無きゃゲーム出来そうなぐらいは休めたよ」

 

「ん?なんかあったのか?」

 

「四月に民営化される予定の日本電信電話公社がJUNETに意欲を示してるって記事が何処からか飛んで、そこから経済界と業界は大慌てらしいよ。国外からも多くの投資家が注目して、株式公開後の値段に予想が付かないってさ」

 

 

 禊からその情報が上がってからは当主様の方も万が一の為に金策していたらしい。……許せ、サスケ。

 

 

「俺の可愛いワンちゃん達はしっかり働いてるようで何より」

 

 

 これで国が保有するNTT株が早期に市場に出回る布石は張れたな。株式公開は二年後だった筈だが、少しは早まるか?

 

 

「俺は経済の事に疎いけど大丈夫なの?これで儲けるつもりだったんでしょ?」

 

「勘違いしちゃいけねぇよ。俺らの目的は山梨にネット環境を整える事であって、金儲けはその為の()()に過ぎないからな」

 

 

 日銀が円高不況を打開しようと公定歩合*1の引き下げを行い、多くの人間が低金利で融資を受け、それを土地や株に注ぎ込んだ結果、発生したのがバブルだ。

 

 そしてバブル崩壊後に銀行は貸し剥がし*2を行い、親会社が倒産。子会社や取引企業も倒産する『連鎖倒産』が発生する等、日本の経済はグチャグチャになってしまった訳だ。

 

 誰が悪いかと言えば、低金利融資を受け、設備投資や事業展開では無く、土地を転がした奴らとそれに踊らされた奴が悪いんだが……まぁ、前世の話だ。

 

 

「ぶっちゃけると俺以外の転生者達もネット普及に全力を注いでるんだよ。だからNTT株の単価が上がれば*3資金力勝負になる。国も金になると分かれば保有する株を放出するだろうし、完全な民営化は無理でも国の意向をある程度無視出来ないと、東京ならともかく山梨にネットを引くのはキツイからな。最悪、他の転生者達と手を組んで無理矢理やるさ」

 

 

 まぁ、東京近郊の資産家や各地の名家、通信事業や経済界に影響のある政治家とはすでに〝契約〟を結んでいるから国が保有するつもりでも吐き出して貰うんだが。

 

 

「……俺、この世界でデビルサマナーやってるけど、君は別世界の人間な気がするわ」

 

「俺なんて可愛いもんだぞ?社長やってる転生者達はこんな事を自分の金で何時もやってるんだからな」

 

 

 たくさんある〝汚い金〟を国に返して〝綺麗な金〟に変えている俺とは違い、彼らは自身の稼いだ金で正々堂々勝負している。俺と同じ扱いは流石に失礼過ぎる。

 

 

「そもそも株は金儲けの為にやるんじゃなくて、生活に余裕のある奴が好きな分野や国の未来の為に投資するもんだぞ?金儲けの為にやろうとするからギャンブルになるんだよ」

 

「俺らで言えば、暮らしに影響の無い範囲でオカルト関連に投資って事?」

 

「そうそう。ただその例えだと、俺は生活費切り詰めてギャンブルじゃないマジもんの錬金術やるけどな?」

 

「え?どうして?」

 

 

 スッと目の前の当主を指差す。

 

 

「どう考えても値上がりしかしない株が誰にも知られていません。全ツッパ余裕です」

 

 

 インサイダー取引かな?まぁ、転生者なんて全員インサイダー取引してる様なもんだが。

 

 

「なんか君がやけに俺の利益になる行動をしてる理由の一端がわかった気がするよ……」

 

友達(ダチ)ってのも大きいが、そもそも終末が来る事が確定してる世界で唯一何とか出来そうな存在に投資しないとか馬鹿だろ」

 

「責任が重いなぁ……」

 

「俺は気楽だぞ?どうせ一度死んだ人生の延長戦だからな。前世じゃ裏技なしでプレイしてたゲームを裏技ありで再走してるようなもんだ」

 

 

 だからこそ自身の霊格が上がる楽しさにハマって、ついハムハムしちゃったんだが。

 

 

「ま、気楽に行こうぜー?失敗したら失敗したで何とかなるさ」

 

「軽いなぁ……」

 

 

 呆れる様に当主様が溜め息を吐き出すが、すぐに何かを思い出したかの様に顔を上げた。

 

 

「ここに来た用件をすっかり忘れてた。はい、お頼みの品です」

 

 

 手渡された丸まった巻物三つに霊力を込めると、すぐにヒラヒラと舞う白布になった。霊力を込めただけで悪行罰示式神(あくぎょうばっししきがみ)化とかすげーな。……それにしても。

 

 

「相変わらずの布っぷり。後で空間系が得意そうなキャラでも書いて痛反木綿にしてやるか」

 

「えっ?」

 

「えっ?」

 

「もしかして絵、書けるの……?」

 

「もしかして絵、書けないの……?」

 

 

 お互いに沈黙。……ここは俺から切り出すべきか。

 

 

「霊符に術式書いたり、金持ちの屋敷とかに絵画や諺に似せて結界術式書いたりする仕事あるだろ?その延長で少なくとも最低限の画力を鍛えなかったか?」

 

 

 俺も仕事自体はやった事無いが、そういう仕事があると祖先の日記に書いてあったので真面目に練習だけはしていた。ゴッホの贋作も書いたし、葛飾北斎の蛸と海女なら誰にも負けない自信がある。

 

 

「俺、前世は美術2だったし、現在進行形で異界の管理や霊地の管理してるし、霊符は霊力操作で焼き付けるから……」

 

「あー……」

 

 

 一般の陰陽師は霊力の通りが良い筆や墨を使い、様々な霊草で作った霊紙に術式を書く。俺も本来こっちなんだが、最初の一枚以外は性能が悪くなろうと数が用意出来るコピー品が多い。

 

 対して目の前の天才は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()霊符を作ってるらしい。

 

 いや、そんな所で神業披露されても困るんだが。

 

 

「俺も練習しようかな……」

 

「わざわざ小手先の隠蔽術を使わなくても隠蔽術式があるだろ」

 

「でも同業者が出来ることが出来ないと、何か負けた気がして悔しくない?」

 

「俺、魔法の式神化出来ないんだが?」

 

 

 S.O.Fの真似を何時かしてみたいと思うが、あれはもはや〝概念操作〟レベルの術だ。今の俺じゃ欠片も出来る気はしないし、そもそも悔しがる事を許されている実力差でも無い。

 

 

「別に絵が書けなくても良いだろ。そこまで完璧に成られたら祀るしか無くなるぞ?」

 

「それは嫌だなぁ」

 

「だったら他で代用出来る技能より、新しい技能の為に時間を使えって」

 

「う~い」

 

 

そんな会話をした数年後。美術2の一反木綿について同じ転生者達が色々言い始め、最終的に俺の嫁を作り始めるとはこの時の俺はまだ予想すらしていなかった。

*1
中央銀行が市中銀行に貸付けをおこなう際に適用する基準金利だった。現在は廃止されている

*2
簡単に言えば、相手の事情を考えずに資金の回収を行う事。分かりやすく言えば、知り合いに貸した金を知り合いの給料日前に回収する事。金が無い?そこにSwitchやPS5、ポケカや遊戯王があるじゃろ?

*3
実はバブルの恩恵もあって、現実だと史上最高値が付いたらしい




絶対、初期の一反木綿に落書きした絵心ある俺達は居たはず。ちなみに主人公は水墨画が基本です。
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