【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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この話から半終末大体前期~中期ぐらいになります。

コナンの人の投稿術凄くね……?作者は風呂入るとポカポカして寝落ちしちゃうんだけど(笑)


半終末
教科書には半終末と書かれそうな時期の話


 

 

「…………………………」

 

「…………………………」

 

 

『『『………………』』』

 

 

 星祭の大宴会場に横たわる死体。いや、俺も含めて生きてはいる。が、死んでいる。

 

 嫁の膝で眠る者。抱き着いて眠っている者。俺の様に座布団を枕に寝ている者も見れば、グラ爺の様に壁を背(もた)れにして寝てる者も居る。

 

 総じて言えるのは、この世界は糞って事だ。山梨の修羅も含めて全滅だぞ?俺らの霊格は三桁近いのに。

 

 こうなった原因は多数ある。切っ掛けが何かと問われれば、たぶんアメリカにクトゥルーが出現した事だろう。

 

 〝アイツ〟の暗躍により、世界有数の大国が荒れた。それは容易く世界恐慌を引き起こし、世界規模で負の感情が増幅された。

 

 幸いな事に日本はショタオジの尽力でどうにかなった。穏健派の連中も、まぁ、役に立ってくれた。

 

 そこまでは良い。俺らも所詮は対岸の火事として受け入れ、普通に暮らせていたのだから。

 

 流れが変わったのは、霊視ニキがハワイに滞在中の邦人救出へ向かった辺りか。あの辺りで俺らも忙しくなり始め、遊んでる余裕が無くなってきた。

 

 ハワイ以外からも送られてきた黒札からのヘルプコール。ショタオジに依頼されて救出に向かう毎日。

 

 それでもまだ狩人ニキ*1が持ち帰った試作改良型悪魔召喚プログラムでポケモンバトルならぬ悪魔バトルで遊ぶ余裕があったし、アーチャーニキ達の鍛練を見る余裕はまだあった。

 

 何とか『UBW』を独力で発動出来るまで鍛える事が出来たしな。

 

 ついでに言えば、デモニカtypeランスロット(黒鎧)もほぼ完成したので、今では一部の黒札に開放してスキル習得の手助けを行っている。

 

 さらにはガチャの景品準備の為に修羅勢と交渉したし、粗品の製作も頑張った。お陰様でガチャは開始一分で種切れしたが。

 

 

 話が逸れた。

 

 

 完全に可笑しくなったのは──

 

 

 去年のクリスマスだろう。

 

 

 何をトチ狂ったのか、メシア教はガキの脳味噌入りの核を全世界にぶっ放し、世界に終末を(もたら)した。

 

 俺はその〝予言〟を教えられた時点で岩手支部で待機、何時ミサイルが飛んできても良いように備えていた。

 

 そのお陰で多神連合と日本神と自衛隊が撃ち漏らしたミサイルを多連装対空ミサイル*2で迎撃出来たんだが……ハッキリ言おう。この時点で過労死寸前だった。

 

 それでも疲労に蝕まれた身体を動かし、海外支部へ送る為の物資を掻き集め、霊装を作成して、海を()()()各支部へ輸送。

 

 ムラサキ達の【転移(トラポート)】は海外では使えない*3という事情もあり、力技で輸送するしか無かったのだ。

 

 ここまで言えば分かるだろう。ショタオジが安心して海外輸送を任せられる信頼出来る黒札。

 

 

 そう──修羅勢(俺達)だな。

 

 

 下層終盤と深層組は海外支部への輸送に駆り出され、下層中盤以下は俺らが抜けた代わりに異界で泊まり込み(ブートキャンプ)

 

 連絡が着かない真修羅達を除いて、一人の例外も無く駆り出された。

 

 特に星祭の俺達は団体行動が出来るという事もあり、様々な場所に居た黒札達へ支援物資を配給しながら東南アジアを経由して中東を駆け抜け、欧州方面に辿り着いた後に直ぐ様アメリカでひと暴れするという、考えた奴の頭が狂ってるとしか言えないふざけたルートを走り抜けた。

 

 つまり、人類を脅かす終末の四騎士やら大淫婦やら奈落(アバドン)やら()()()使()と交戦し、迎撃した。

 

 その結果が現状の死屍累々となる。さもありなん。

 

 

「…………正直、何体か()()()()()べきだったかね」

 

「儂らは輸送がメインじゃったからの……深追いする訳にも行かんかったろうに」

 

「むしろ天使(羽虫)の方がうざかったよね」

 

「アイツラは蝗と共食いしてりゃ良いのに……」

 

 

 大宴会場に転がる死体達が、ピクリとも動かず怨嗟の声を上げる一匹見たら百匹湧き、百匹潰したら千匹現れる。

 

 そんな地獄の様な環境で、終末の四騎士やらと戦うのは糞面倒だった。二度とやりたくない。

 

 

「そういやセツニキさ〜……あんな〝切り札〟何時から持ってたん……?」

 

「公開した手札が多過ぎて、どれの事を言ってんのか分かんねぇよ」

 

「確かにセツニキは色々やってたねぇ……でも問い詰める気力もぬぇ……」

 

「同じく〜」「同上」「右に同じ」「左に同じ」「斜め八十二度に同じ」「何処の次元に居る奴の意見だよ……」

 

 

 もはやくだらない話すら盛り上がれない程の疲労度。少し動く度に鈍痛の走る肉体。装備も大半が破損したし、修理の依頼も必要だ。ついでに言えば、コツコツ貯めてた霊符や呪符の大半が吹っ飛んでる。……うん、このままだと不味いな。

 

 

「温泉入って雑用終わらせてくる。聞きたい〝手札(カード)〟が決まったら後で教えろ。暇だったら答えてやる」

 

 

『『『いてら〜……』』』

 

 

 

 今日は終日閉店だな、こりゃ。俺が悪魔ならチャンスと見て、即襲撃するぐらい何も出来んわ。

 

 

 

 

「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ……ふぃ」

 

 

 最後の力を振り絞って身体を洗い、温泉に浸かる。自然と出た声は俺の〝魂〟が発した叫び。オッサン臭いと言われようとも、止める事は出来ねぇ。

 

 もう何というか全てを許せる気がする。それぐらい今回の輸送任務は疲れた。

 

 

「やっぱ風呂は良いねぇ。リリンが生み出した文化の極みだぜ」

 

 

 カヲルニキの台詞(?)を勝手にパクって溶けていると、柵の向こう側にある女湯から声を掛けられた。

 

 

「おや。セツニキも風呂かの?」

 

「シエラ婆か。こっちは最後の力を振り絞って辿り着いたぜ。そっちは?」

 

「ワシも最後の一滴まで使い切ったわ」

 

 

 お互いに同じ状態か。まぁ、そうよな。

 

 

「しかし、人間とは存外しぶといもんじゃの。あんな世界になっても未だ生きておった事に驚いたわ」

 

「俺らを見れば分かるだろうに。人間はそう簡単に諦めないし、今の環境にも惰性で適応するさ」

 

 

 黒札達が〝半終末〟と名付けた現状は、一人の術者としてはとても興味深く、体調が万全なら直ぐにでも動きたいぐらい魅力的だった。

 

 そんな世界で必死に生きる人々は何と美しい事か。

 

 

「セツニキは相変わらず〝人間讃歌〟じゃのう。ワシはそこまで思えんかったわ」

 

「俺らの中で意見が割れんのはしゃーないさ。地獄の中で何を〝光〟とするかは人それぞれだ」

 

「ちなみにセツニキは何を基準に()()を拾って来たのかえ?」

 

「〝魂〟の輝きに決まってんだろ」

 

 

 左目に眠る〝魔眼の一族〟の知識は、俺の想像以上に()()()だった。それこそ本来の俺の〝眼〟と合わさり、ガイア連合発足時の霊視ニキに迫る程度には優秀だ。

 

 残念ながら今の霊視ニキは昔よりも遥か宇宙の彼方までぶっ飛んだが。

 

 神という名前が侮辱ワードにならない世界なら、二つ名は間違いなく神の瞳だった事は間違いない。

 

 〝一族の歴史〟(左目)を遥かに越えてるしな。

 

 

「ワシには分からんの。血を舐めれば其奴(そやつ)がどういう人間で、どういう才能が眠っているかぐらいなら分かるんじゃがの」

 

「それはぐらいって領域じゃねぇぞ」

 

「くかかかッ!隣の芝は青いのう!」

 

 

 一頻(ひとしき)り上機嫌に笑った後、シエラ婆の声に真剣味が増す。

 

 

「で、()()()から離れていた時、何をやっていた?」

 

「………………今はまだ語る()じゃない」

 

「ここにはワシしか居らんし、防諜は完璧じゃろ?それでも駄目か?」

 

「駄目だな。まぁ、心配せずともそんな大それた事じゃない。いざという時の為の()()()だしな」

 

 

 効果を発揮するかは五分五分と言ったところか。たぶん、使う事になるだろうが。

 

 

「ふむ……まぁ、良い。セツニキが語らんなら語らぬ事に意味があるのじゃろ」

 

「まぁ、そうだな」

 

「けれど秘密を抱えたまま抱え落ちだけは勘弁してくれ」

 

「それもまた一興。もしかしたら次の世代が使うかも知れんしな」

 

「…………これだから超越者は。今の人類にその様な余裕があるとは思えんがの」

 

 

 呆れの声色が柵の向こう側から届いた後、温泉から上がる音が聞こえた。

 

 

「これ以上は逆上させそうじゃ。先に失礼するとしよう」

 

「おう。またな」

 

 

 一人となった温泉に浸かりながらゆっくり目を閉じる。

 

 

「人類に余裕が無い事なんて百も承知なんだよ」

 

 

 それでも次の世代の為に〝種〟を撒くのが大人の責任であり、義務だ。それを放棄する程、俺は大人を辞めちゃいない。

 

 

「…………ま、今は温泉を楽しむ時間だな」

 

 

 久々に全種類制覇しちまうかね。誰も居ないし。

 

 

 

 

 風呂上がりの珈琲牛乳を一気飲み。フルーツ牛乳も時々飲む。真の賢者は貪欲に、傲慢に、美味しい物は美味しいと言える人間を指すのだ。

 

 (うなじ)にタオルを引っ掛け、自室に戻ると、寝間着姿の禊が居た。

 

 

「もう起きて大丈夫なのか?」

 

「まだ少し身体は重いのですが……喉が渇きまして」

 

「さよけ」

 

 

 禊を優しく椅子に座らせ、冷蔵庫を漁ってスポドリを取り出す。それをコップに注ぎ、禊の前に置く。

 

 

「無理はするなよ。仕事の方も気にすんな。俺の思業式神を回してるから暫くは持つ筈だ」

 

「御迷惑をお掛けして本当に申し訳有りません」

 

「いや、誰がどう考えてもお前に非は無いだろ。こればっかりは鍛えられるもんでもないしな」

 

「……そうですか」

 

 

 忘れてる奴の方が多そうだが、禊はペルソナ使い(ユーザー)だ。当然、他のペルソナ使い達と同じくメシア教の〝核祭〟の影響を諸に食らい、先日までガイア連合の系列病院で入院していた。

 

 高位ペルソナ使いの禊ですらこうなったんだから、下手すりゃペルソナを失った奴も居るだろう。

 

 一度、確認の為にやる夫ニキと連絡するべきかねぇ。

 

 コップを空にして一息付いた禊の額に手を当て、熱を測る。まだ少しだけ熱があったので、冷蔵庫から冷却シートを取り出してペタリ。

 

 薬の類は残念ながら意味が無い。今の星祭の連中もそうだが、肉体や精神は健全なのに魂が疲労している状態なのだ。

 

 対処方法はとにかく寝る──というかリラックスして、心と身体を休めるしか無い。俺らが自然と大宴会場に集まったのは、あの場所が俺らにとって安らげる場所だからだろう。

 

 

「あの、ナナシ様」

 

「ん?」

 

「厚かましいお願いをしても宜しいでしょうか?」

 

「んー……取り敢えず移動だな」

 

 

 選ばれし男のみが使えるお姫様抱っこで禊を布団まで運び、時折不安そうに震える手を握ってやる。

 

 

「さて、厚かましいお願いを聞こうか」

 

「ズルいです……」

 

「年の功って奴だな。……寝るまで握っててやるから安心しな」

 

 

 掛け布団を首元まで動かし、頭を優しく撫でる。

 

 

「おやすみ。また明日」

 

「はい……おやすみなさい……」

 

 

 限界が近かったのか、すぐに寝息を立てる禊。そんな愛しい嫁を撫でつつ、明日の予定に思考を割いた。

 

 

 

 

*1
どくいも様SS&本編に登場する友人の為にアメリカへ単身で渡った猛者。修羅勢。

*2
忘れた頃に現れるおたけさん

*3
忘れている人も多そうだが、ムラサキ達は日本神の分霊がベースの転移の為、海外では使えない。短距離なら行ける。




四話ぐらいは他の三次様との顔繋ぎ回になります。

ここでフラグを立てないと終末後に使えないんだ……!

狙った訳じゃないけど、200話で半終末はキリがいいな!
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