【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
「試験艤装A、B、C全てで〝水上航行〟の発動を確認!」
「術式正常稼働を確認!補助率95%で安定!」
「よしよしっ!良い感じだな
「今日中に航行データは取れそうだな
『『『せめて統一しろッ!!』』』
ブーストニキの【空間拡張】にショタオジの【異界生成】を解析、術式に落とし込めて東京ドーム程の広さに拡張した温水プール。
そこへ磐長式の〝仮想海域〟*1を展開した実験場を見目麗しい三人が楽しそうに
その姿を製造班と共に眺めていると、PCに表示されるデータを見て班長がポツリと呟いた。
「やっぱスキルと違って術式は融通が効かんな」
「まぁ、スキルは
「適正値を術式に組み込むと専用術式になって量産出来ないし、これ以上は厳しいぞ?」
「分かってますよ。ただ職業柄ですかね?〝世界の理〟はやはり凄いな、と思うんですよ」
「まぁ、〝
愛宕ネキ達は身長も、体重も、胸の大きさも、尻の大きさも全てが違う。
学校だと多変数化は処理速度としても演算規模としても干渉強度としても評価されない項目ですからね。俺としてはそこの評価が一番大事だと思うんだが。
「術式のスキル化なんてショタオジぐらいしか出来ないのでは?」
「いや、術研が【圧縮睡眠】の術式作って確かスキル化された筈だ。広がった理由が理由なんで、開発者は自慢出来る訳無いって嘆いていたが」
「……うちらも使ってますが、本格的に広まったのはメシアとの戦争のせいですもんね」
ずっと研究したいけど頭が働かない!短期睡眠の回復力を上げれば良いのでは!?それだ!!
そんなノリで楽しそうに作られた術式だったのに、今じゃ兵士を二十
全世界に広がり過ぎて、戦場で一週間生きていれば簡単に覚える程度の難易度だそうだ。糞が。
「あの、セツニキさん。俺らの研究してるあの艤装も……戦争に使われるんですか?」
「輸送を戦争に含めるなら〝イエス〟だぞ」
終末後はターミナルで輸送出来るらしいが、それまでの間にガイア連合からの輸送無しは流石にキツイ──というより無理だ。
一応、黒札では無く穏健派に補給物資を預けて各地のシェルターに送り届けているらしいのだが、穏健派の大多数は素人ばかりで戦死者の数が少しづつ増えて来てしまっている。
その中で最も多くの死因となっている航海中の護衛戦力を
その結果、占術によって
無理矢理押し付けられた予算を使って研究、開発するのは構わないんだけどな。せめて愛宕ネキ達の艤装の改造が終わってからにして欲しかった。
「呉支部や山梨じゃ駄目だったんですか?確か艦娘
「
「……だから
「他の支部じゃ
こればかりは同じ黒札なら気持ちが分かってしまう為、ショタオジですら止めようが無い。穏健派も過激派も違いが分からんし。
「元々は岩手製造班渾身のスケベ装備だったんですけどねぇ」
「蒼き鋼のアルペジオ*2のメンタルモデルを艤装型デモニカの装着者に置き換え、船にダメージが入ると艦これらしく衣装が脱げていく機能まで作ったのになぁ」
「船へのダメージを装着者のデモニカを犠牲に無効化!命に関わるダメージは逆に船に流せる!痛みはもちろん快楽に変換!……マジで自信作だったんすよ。半終末になる前から〝
「俺なんて
『『『はぁ……』』』
ほぼ同時に溜め息を吐き出し、お互いを慰める。釣られて周りに居る製造班も心の奥底に眠る〝ストレス〟を吐き出した。
穏健派の為に量産予定の艤装は、何の楽しみも無い、ただ海の上を走り、輸送船を護送する為だけの機能に極振りした物となる。
その為だけに岩手製造班と共にコツコツ組み立てて来たスケベ霊装に手を入れ、穏健派の為に作り直してるのだ。そりゃ溜め息ぐらい出る。
「研究に使った資金も山梨支部が全額負担してくれるのは有り難いんですけどね。組織の金で試験データも手に入りますし」
「セツニキさんの負担を考えると、これが一番〝マシ〟な選択なのは確かだよ。でも納得出来るかは……」
「試験の名目で岩手の看板娘を半裸にする絶好の機会だったからな。無念だ」
『『『聞こえて
下の仮想海を走る美女達に怒られたので、仕方無くデータ観測に戻る。
「そういや今までの艦娘式神に搭載されてた【水上走行】と【水上航行】って何が違うんです?」
「言葉遊びじゃね──って言いたいけど、素人が見ても術式が大型化してるよな」
「あーこれ、普通の艦娘式神なら使わん術式が組み込まれてるっぽいぞ」
「お、分かるのか?」
「ぼんやりだけどなー。最近、岩手一族の〝教科書〟使って勉強してんだ。セツニキさんや探求ネキさん見てたら製造班の方が学ぶ利点あるっぽいし」
ふむ。説明しようと思ったが、向上心ある俺達が居るなら任せて良いな。
「それで?説明の続きはよっ!」
「あ、俺がやるの?」
「セツニキさん聞く体勢になってるし」
「お前達は俺が育てた!」
後方腕組師匠面は老人キャラの特権だ。この為にガキ共の面倒を見ていると言っても過言じゃない。
「な、何も言い返せねぇ……!」
「事実だしね。……こほん。あくまでも俺の初心者的な意見な?」
そう前置きしつつも観測データを纏める手は止めず、画面を注視したまま違いを口にする。
「【水上歩行】は忍者の水蜘蛛。【水上走行】はアニメ版やアーケード版の艦娘の移動みたいな感じで、【水上航行】は
「長い!三行で!」
「【水上航行】は、戦艦で、ドリフト出来る!」
『『『マジでッ!?』』』
ガバッ!と驚いた顔を向けてきたので、力強く頷いてやる。
「オカルト船限定だけど可能だぞ。船がメンタルモデル役と同期して動かせる大型艤装になると言えば分かるか?」
「あー……だから術式が大型化してるのね」
「成る程なぁ。そりゃ〝氷の船〟なんて術式を作る訳だ」
「普通の船じゃ駄目なんです?」
「可能なんだが、船体が折れるぞ」
『『『あー……』』』
オカルト船なら物理学を無視出来るが、普通の艦船だと物理学の影響下にあるからな。
駆逐艦島風の速度*4でドリフトしたら船体は逝くだろう。ついでに中の乗員も。
そんな事を考えると、航行テスト終了のアラームが鳴った。ここからが本番だ。
手元にあるマイクのスイッチを入れ、館内スピーカーから指示を飛ばす。
「愛宕ネキ、高雄ネキ、扶桑ネキ。ここから海を
『この程度の試験で何で私達に話が振られたのか不思議だったけど……そういう事ね』
『あの、セツニキさん。終末後はターミナルが稼働するのでは?』
「人間が作ったもんが壊れない訳無いだろ。俺らの時代は大丈夫だろうが、子孫達の事を考えれば残して置くに越したことは無いからな」
『成る程。了解しました。──こちらは何時でも大丈夫です』
扶桑ネキが二人と視線を交え、確認を取った後にゴーサインを出した。それに合わせて〝仮想海域〟を荒らす為に追加術式を起動する。
術式名──〝
ギリシャ支部*5に補給物資を運んだ時にパクってきた術式だ。
室内にも関わらず、少しづつ強風が吹き荒れる。それは容易く〝仮想海域〟を巻き上げ、竜巻を引き起こし、高波が愛宕ネキ達を襲う。
『ちょ、これ洒落になってないわよッ!?』
「だから高位霊能者のお前達に頼ったんだよ。さっきまでの試験なら製造班の覚醒者を使えば良いしな」
『それならセツニキで良いじゃない!』
「艤装は艦これとアルペジオの〝概念〟利用してるせいで男子不可なんだ。済まんな」
『そ、それなら星祭の女性でも──きゃあぁぁぁ!!』
『高雄!──扶桑ッ!高雄のヘルプへッ!私は波と風を止めるわッ!』
『ハイッ!』
嵐で体勢を崩し、そこへ襲ってきた高波に飲まれた高雄ネキ。二人は即座に救助の為に動き出す。
『ゴホッ……助かったぁ。ありがとう。二人とも』
『セツニキが居る以上、命の危険は無いと思うけど油断しないで。終末後の海を想定してるならもっと酷くなるわ!』
『『りょ、了解ッ!!』』
即座に二人を纏め上げ、スキルを利用しながら荒れる海を耐える愛宕ネキ。お陰で荒天*6のデータが凄い勢いで溜まっていく。
「……良い女だよな。愛宕ネキ」
「
「残念だ」
本当に残念だ。
◇