【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
高位覚醒者と言えど休養は大切だ。ここ最近、慌ただしく動いていたという事もあり、嫁達と話し合って休暇を取る事に。
ほぼニートな俺とセリスはともかく、レティは医療班、ムラサキ達東方三人組は運送課、禊は星祭の責任者なので、こうして平日の昼間から自室に揃ってる姿は珍しく、違和感が凄い。
「最後に集まったのは何時だったかしら?」
「一応、地球一周する直前に禊も含めて全員集まったけれど……」
「あれはノーカンじゃない?ロクに会話も出来ないままいきなり旅立つ羽目になったし」
「メシア教があんな事をしなければな。今頃、御主人様と旅行の一つや二つ行けたと思うと、本当に余計な事をしてくれた……!」
苛立ちから空間を歪ませる程の殺気をバラ撒くアイを見て、セリスが呆れた様に肩を叩く。
「貴女、今まで何を見てきたのよ。メシア教に期待し過ぎよ」
「私もセリスと同じ意見ね。個人で見れば好ましい方も多いけれど、組織として見たら付き合うのは御免だわ」
「ムラサキは国内の過激派討伐の為に良く駆り出されたもんねぇ。アイは主に負傷者の輸送だったし、アタシは補給物資の運搬だったから、見える物が違うのも仕方無いんじゃない?」
「むぅ……」
セリスとムラサキはそもそも期待していない立場か。オオマチは中立──と言うよりはどうでも良くて、アイはそこまで馬鹿じゃないだろうと期待していた。見事に裏切られたみたいだが。
「レティと禊はどうなのだ?やはりセリスよりの意見か?」
「んー……アイの気持ちも分かるんですが、メシア教は期待を見事に下回りますからね。最近では主様の手を煩わせる事をしなければ、気にしない様にしています」
「私の意見は星祭神社としての意見になりますが、穏健派を名乗る過激派と、真面目に頑張っている穏健派は意見を一本に絞って欲しいですね。矛盾に対応するのが面倒で面倒で……」
「例えば?」
「穏健派から支援要請が入ったので物資の手配をすると、ほぼ確実に穏健派を名乗る過激派が支援物資をこちらに寄越せと横槍を入るんですよ。確認の為に当主様の分身にお伺いを立てる手間が入りますし、無視したら抗議されます。正直、組織内の意見を纏めてから要請して欲しいです」
「あー……アタシが物資を行ったり来たりさせてるのってそういう事なんだね」
「ですね。その件に関しては申し訳無く思っております」
頭を下げる禊に対し、オオマチは快活な笑みを浮かべ、逆に慰める様に言葉を紡ぐ。
「どう考えても禊に責任は無いっしょ、これ。というか輸送課って、もしかしなくても本当の仕事量はもっと少なかったりする?」
「少なくとも、運んだ後に別の場所にまた運ぶって事は無くなりそうね。私達にとっては大した手間じゃないけど、もう少し楽になる筈よ」
「ナナシ、その辺の調整って無理なの?」
「んー……厳しいな。一つの纏まった組織じゃないからなぁ。ガイア連合」
黒札だけの互助組織だった頃ならどうにでも出来た。極論を言ってしまえば、嫌なら辞めれば良いし、キレても良かったからな。
ただ霊能組織を傘下に率いれた辺りから厳しくなり始め、メシア教穏健派と協定を結んだ辺りから引くに引けなくなった。
嫌だから辞めたら何万人も死にます!と脅されてる状況と言えば分かりやすいか。
だから善人の多いガイア連合の黒札達は愚痴を言いながらも嫌々任務を遂行し、それに甘えて多神連合やメシア教が好き勝手我儘を言ってるのが現状となる。
傘下に迎え入れた霊能組織も有能な人材は根切りにされているしな。
「──ってのが、今のガイア連合の実態だな。お前らも気付いてると思うが、修羅勢の嫁や修羅木綿の大半が輸送課に回されてるのはそういう
「そういえば、最近は
「修羅木綿に絡んで軽く捻られた札持ちも居たわね」
セリスのその言葉に少しだけ想像を膨らませる。絵面としては笑えるが、修羅木綿って
「……霊格が高過ぎて気付けなかったのかねぇ?」
「私達は分類で言えば〝大悪魔〟らしいからな。周囲の被害を考えれば、霊力を漏らさぬのは当然なのだが……」
「その人の寿命は短そうね。人型の私達ならともかく、妖然とした姿の一反木綿を舐めるのは危険だわ」
ムラサキが呆れた様に溜め息を吐き出し、御茶で喉を潤す。その横でオオマチが饅頭を紙から取り出していると、横から口を近付けたセリスがかっ拐った。
「別に良いけどさぁ。何というかアンタ、見た目と中身の解離が激し過ぎない?」
「…………ごくん。私は〝偽物〟だもの。大女優として活躍してるセリスさんには勝てないわ」
「ん?セリスも本物が現れたのか?」
初めて知ったんだが。
「そういえばナナシには伝えてなかったわね。地獄湯で資産家相手にオペラ歌手や演劇やってる〝私〟が居るのよ。性格も原作の私に近いから、あちらが〝本物〟って事にしたわ」
「へぇ。何かと地獄湯には緣があるな」
ちなみに俺の〝本物〟さんはディーラーとして有名になっていた。【幸運】搭載型らしく、偽物の俺より真面目にセッツァーをやってるな、と感心したもんだ。
暫く雑談をしていると、俺のスマホがメッセージの着信を知らせるメロディを奏でた。すぐにロックを解除して、中身を確認する。
「よっし!今から風呂行くぞ。個室風呂の予約が取れた」
せっかくの休日だから狙っていたが、まさか取れるとはな。これも日頃の行いが良いからかね?
「良く取れたわね。倍率凄いのに」
「何ヵ月ぶりかしら?」
「アメリカにクトゥルーが出現したとき以来ですね。皆さんが阿鼻叫喚してる隙にこっそり予約申請したら通ったので」
ムラサキの問いに、ウキウキ風呂の準備をしながらレティが答えると、呆れた様子のアイが話に加わる。
「抜け目無いな。あの時は誰も彼も慌てていたのに」
「アタシ達も他人事じゃ無かったしねぇ。地方支部の支部長が緊急の追加物資を求めて来たから対応に追われていたし」
「医療班は何時も通りでしたからね。狙うなら今かな、と」
「そのお陰で
そう締め括ったセリスは準備を終えたらしく、浴衣と下着を詰め込んだ巾着袋を抱えている。俺の方も話している内に詰め込んだので問題無い。
他の奴等も──準備完了みたいだな。
「じゃ、行くか。足腰が立たなくなるまで愛してやんよ」
◇
「I'm Winner」
「六人相手で勝てないって可笑しくない……?」
唯一、意識を保っているセリスが呆れと恐れの混じった視線を向けてくる。他の五人は自室に敷いた布団でぐっすりだ。
「まぁ、磐長式房中術は回数を重ねれば重ねる程、相性が霊的に良くなるからな」
「それって……」
「うむ。お前らに勝ち目は最初から存在してない」
分かりやすく言えば、電気タイプの技しか持ってないフルアタピカチュウのセリス達に対して、地面持ちのガブリアスで可愛がってる。
悪あがきで時々削られるが、スパイスにしかならんわな。
「真面目な話をすると、ハニトラに対するカウンターなんだよ。お前らにはやってないが、触り方や刺激の与え方でエンドルフィン*2を過剰分泌、麻薬的な依存症を引き起こす〝技〟もあるぞ」
「待って。感情が追い付かないわ。それってつまりMAGを使わない〝技術〟って事?」
「おう。磐長一族は霊力を失ってから人間の〝解析〟に全振りしたからな。その過程で言葉と肉体への刺激を使い、人間を望む方向に〝弄る技術〟を編み出したって訳だ」
初代の頃にあった筈の霊力を求め、それを取り戻す為に研究を積み重ねる。それだけ聞くと、没落貴族の成れの果てに聞こえるから笑う。
たぶん、本来ならオカルトに傾倒した奴等に良くある結末を迎えたんだろうな。前世にもあったらしい霊能組織の大半はその様な末路を辿った筈だ。
だが歴代の当主も、それを支えた一族も優秀だった。戦後に俺が散財して没落させかけたが、結局、その時に助けた子供達と優秀な部下のお陰で返り咲いたが!(自慢)
「悪人に渡ったら地獄絵図になりそうな技術ね」
「人気No.1ホストや結婚詐欺師なんかは経験で出来るし、金以外で三股とか
目指せ傾国!をスローガンに頑張りました!って感じの製作過程は、一つの読み物としても面白かった。
標的としていた人物には効かず、その側近を落としてしまったせいで
「……何となく、だけど。磐長一族が生きていたら【洗脳】しなきゃ人を操れないメシア教を嘲笑ってる気がするわ」
「いや、その考えは間違いだぞ?」
「というと?」
「
その言葉に思うことがあるのか、セリスが自身を納得させられないまま言葉を口にする。
「穏健派が黒札に迷惑を掛けても悪びれずほざくのって、もしかしてそういう事?」
「
「……どうしよう。納得出来たせいで余計に理解が出来ないわ」
「宗教なんてそんなもんだ」
俺にとっては今更な事実を口にしながら、セリスを優しく布団へ運ぶ。
「情熱的ね」
「気絶してた連中も起きてるみたいだし、これからは──本日二度目の大人の時間だぜ」
◇