【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
この小説は色々独自設定ありますが基本的に本家様に全力で取り組んで辿り着くがコンセプトなので、大富豪ニキやナナシがどれだけ頑張っても本家様以上にはなりません。
つまり手を抜けば終末に辿り着けないし、ショタオジ(分身)の過労死は止められないという。
あ、今更ですが感想は全部読んでます。にやにやしながら次話書くモチベになってるので、お気軽に書いてくれても良いんじゃよ?
当主様と別れた後、禊から一通りの進歩を聞き、サクヤが知らぬ間に支配していた本殿の酒造を視察に行ったりした翌日。俺は一月に一回は出てくるという約束で、再び鍛練用異界に戻っていた。
「流石は当主様お手製の式神。強いな」
一階とはいえ
その痛反木綿*1な見た目に反して、敵に巻き付いて【
【瞑想】を少し改変して周囲の霊力を
この場合の血肉とは様々な物を指しており、相手の財産を自分の物にする*2でも良いのだが、相手が悪魔の場合、倒せるなら倒して散らした方が早い。
問題なのは霊格が高い=吸収力も高いという図式になるので、気軽なパワーレベリングは出来ないという事だ。本来ならこの距離で悪魔を散らした場合、式神へ悪魔の血肉と言える霊力は流れず、全て俺が吸ってしまう。
その為に周囲の霊力の吸収力を上げる【瞑想】を悪用して吸収しない様にする必要がある訳だ。これ自体も隠形の鍛錬になるので、俺にも利益があるし。
「っと、ゴールだな。お前らはここを周回しろ。ドロップは適当に巫女にでも渡しておけ」
ひらひらとオマケの様な紙紐の手を振る式神に見送られ、二層へ向かう。ここからは集団戦を学ぶためのエリアになる為、共用エリアとなる。つまり──
「花鳥さん!風月さん!雪さん達のフォロー!雪月さん花月さんは回復に回ってください!」
『『『はいっ!』』』
戦闘中の巫女達を見掛ける事が多々ある。そんな彼女らの奮戦を眺めながら、危ない所にこっそりとダートを投げ付け、ついでに回復が追い付いていない式神に【ディア】の霊符を飛ばす。
その後は隠形を駆使して通り過ぎ、襲い掛かってくる雑多な悪魔を適当に葬り、次の階層を目指す。
流石に一回りレベルが低いという事もあり、罠も含めて手応えが無い。俺も強くなりすぎたな!等と思っていると、すぐに伸びた鼻を折りに来る存在が居る。──そう、当主の式神だ。
毎回毎回種類が違うらしいのだが、前回はオンギョウキが来てた。全力で足止めして速攻で三階に逃げたのだが──
「見付けたにゃ〜ん♪」
「三十六計逃げるしかねぇ!」
「【
ぐおおおお!視線が、心が惹かれるぅぅぅ!
ギャグの様で
「待って〜☆」
「だったらその爪仕舞えや!」
霊符をばら撒き、地面を槍の形に隆起させて足止め。その隆起した岩槍を
「くそっ!こうなったら──」
「遅いにゃ~ん?」
ザシュ!と三枚に卸される俺。だがそのまま印を結ぶ。
「甲賀忍法!【微塵隠れの術*3】!」
「にゃ──!?」
ランダム転移によって無理矢理逃げ出し、即座に隠形陣を張って治療を開始。マジで死ぬところだった!
色々出ていた内臓が【ディアラマ】の霊符によって新たに再生され、バラバラにされた下半身も少しづつ生え始める。戦うだけなら幾らでも出来るが、流石にネコマタの【誘惑】に抵抗するのは疲れた。今日はここまでだな。
そう思い、懐から【
「マジかよ……あのタイミングでパクれるのかよ」
「まだまだ甘いにゃ~ん♪」
慌てて再生途中の下半身を地面に叩きつけて飛ぶが、即座に叩き落とされ、上に乗られた。
「おねーさんが童貞奪っちゃおうかな~?」
「ハッ」
「……あんまり調子に乗るなよ?お前なんて──に゛ゃ!?」
空から天罰の様に降り注いだ雷に打たれ、目を回すネコマタ。悪行罰示式神は文字通り悪霊を調伏して使役する式神術なので、術者の命令に逆らおうとすると設定した罰が下る。──丁度、こんな風に。
「このナナシ!虎の威を借りる事に何の抵抗も無い!」
「ちょっ!?やめるにゃ!そこ違っ……!」
「ほら、ここがエエんか?ええんか?よし見付けたっ!【脱出】発動!」
「テメーぜってー許さにゃーからにゃー!」
負け猫の遠吠えを聞きつつ神社に帰還。取り敢えず下半身を何とか外側だけ再生し、そのままサクヤのお陰で霊力豊富になった温泉へ。
正直、ふざけたノリで誤魔化したが普通に重傷だ。
というか星霊神社の連中は死ななきゃ何をしても良いと絶対に思ってる。ニンゲン、ソンナニツヨクナイ。
「う゛ぁ~し゛みるぅぅぅ~」
星霊神社や星祭神社周辺の鎮守の杜に生えた霊草や霊樹、咲き誇る万年桜の薬効が、富士の御神体直々に湧かせた温泉に染み出ている。
治療施設としてだけ見れば、ここは下手すれば星霊神社並みの効果があるかも知れない。
そのお陰でまた明日、異界に挑めるのだが……
(正直言えば、手詰まりを感じてるんだよな)
異界自体に、では無い。あの
でもな、アンタのオンギョウキ、体感レベル三桁なんだが?ネコマタも同じぐらい強い気がするし、そんなのと当たったらそもそも生き残れるのライドウぐらいなんですわ。
(仲間のカテゴリに入った時点で死んで欲しくないんだろうな。他の転生者ならともかく俺如きはビジネスライクで良いだろうに)
俺は自分のやりたい様に生きてきた。だから、他人がやりたい様に生きる事を否定するつもりは無い。メシア教だろうがガイア教だろうがやりたい様に生きれば良い。俺の邪魔をするなら叩き潰すが。
「背負えるだけの強さがあるのがアイツの欠点だな。普通は抱えきれない荷物は捨てるもんだろ」
他人の命と自分の命を天秤に掛けて、両取り出来てしまう強さ。いや、霊力があったにも関わらず死んだ辺り〝奇跡の子〟として他人の命を取ったのかも知れない。
馬鹿な奴だ、と思うが、同時に俺の頭の上に尻を乗っけるならそれぐらいが丁度良い。
これでも
「取り敢えず装備や霊符の見直しだな。殺れるかどうかは別として、せめて余裕を持って抜けられるぐらいじゃないとハクスラ出来ねぇし」
たった一パーセントの向上の為に試行錯誤するのは得意だ。何せ前世で散々やったからな、ハクスラ系は。
◇
星霊神社の図書室は何故か世界中の秘術が納められている不思議な場所だ。たぶん当主が何処からか取ってきた知識を写本してるのだと思うが、詳しくは知らないし、深く知るつもりも無い。
話して良い内容なら何時か語るだろうし、駄目なら知る方が危険、という事もあるのがこの業界。俺程度でも脳味噌から知識を絞り出して紙に移す術式を知ってるし、似たような系統の術は知ってるだけでも十を余裕で越える。
そんなモブの命の軽いメガテン世界で、藪をつついて蛇を出したら自業自得という訳だ。
「ん?ここに来るなんて珍しいね?」
机の上で自身の知識を写本していた分身が俺に気付いて声を掛けてきた。見るだけで危険、書くだけで危険な本もあるので、机の上には視線を向けない。
「お前の式神にボコボコにやられてな?力を求めてここに来た」
「それだけ霊格が高ければ終末後も普通に暮らせると思うけど、まだ力が欲しいんだ?」
「俺は我が儘だからな。自分より強い奴が居ることが許せないし、強い奴に挑むために考えるのが好きなんだわ」
呼び方はゲームによって様々だが、デッキや装備、ジョブやビルド、取得スキルの組み合わせを考えるのは楽しい。
予想外の組み合わせで相手の意表を突いた時の驚きの表情が嫌いなゲーマーは居ないだろう。負けるならキメた相手を称賛するぐらい凄いコンボで負けたいだろう。
その為にコツコツ準備するのは苦にならないし、その為に多くの情報源を見るのも好きだ。そんな人間だからこそ、負けたままでは終われない。
「難儀な性格してるね?まぁ、奥の禁書庫以外なら好きに見ちゃって。とはいえ君の役に立つ知識があるかは微妙だけど」
「それならそれで別の方法を探すだけだ。取り敢えずは雑多に知らない情報を仕入れて、適当に組み合わせてみるさ」
「有用な術が出来たら高く買うよ?」
「言ったな?破産させてやるぜ」
「期待してる」
分身と別れ、図書室の奥へ進む。もはや図書館と呼べる広さだが、整理整頓はしっかりとされており、刺さってるタグを見るだけでもワクワクするのは本好きだからか。
漫画やアニメの様に俺を呼ぶ声は聞こえないので、適当に一冊抜いてその場で読み始める。
入門編とも言える北欧や欧州のメジャーな術式から南米のマイナー術、興味深い邪教の色欲系術式まで幅広く用意されている図書室は、祖先の知識頼りだった俺には全てが輝いて見える。
これですら禁書では無いのだから、禁書庫にあるのは『無名祭祀書』や『ネクロノミコン』と言ったろくでもない本なんだろうな。
日が暮れても明かりを出して読み耽け、朝日が昇っても読み耽けてを繰り返して三日。
いい加減、腹が減ったので星祭神社に戻り、異界に突入。適当な悪魔を【丸かじり】して風呂へ。
そして再び図書室に戻ると──
「待ってたにゃーん?」
全力で逃げ出す。が、もちろん捕まった。
「おめー良くもやってくれたにゃん。今夜は(八つ当たり的な意味で)寝かせないゾ☆」
「俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!」
「パクった霊符を見付けた後にも私の身体まさぐったよなぁ!?」
「そんな良い身体して色仕掛けした方が悪いだろ(真顔)」
「こんの……!」
拳を振り上げるが、当主様からの〝お仕置き〟を警戒して行動に移せないネコマタを見てニヤリ……とはしない。
代わりに使うのは、少し特殊な
「メソポタミア文明発祥の(勝手に改造した)古代魔術を受けな!」
「この匂い……マタタビ?はん、残念だったにゃ。私は悪魔にゃ。こんな匂い程度で──」
かくり、と膝を落とすネコマタ。俺も床に投げ出されたが、脱出は出来たので問題無い。
「くっくっく。ここがR18指定の世界じゃなくて良かったな。それじゃアバヨとっつぁ~ん!」
「にゃ……待てにゃ……!」
こちらに手を伸ばそうとしているネコマタを放置して星霊神社を脱出──する直前で女体化したオンギョウキに捕まり、そのまま当主の部屋へ連行された。
「で、何やったの?」
「
グッドサインしながらここ三日の成果を当主に答える。
「え、術式に【貫通】とか付与してぶち抜いた訳じゃなくて?」
「おう。俺程度の術者でも当主様に【ディア】の効果が出るからな。そっち方面から攻めた方がコストが安いし楽なんだよ」
「【調香魔術】は俺にもわかるし出来るけど、なんでたったの三日で新術開発してるの……?」
「いや、これの完成は俺だが、開発は俺じゃないんだな、実は」
「ん?どういう事?」
首を捻る当主様は悪いが、本当に大した話じゃない。
「初代の霊力のあった時代から俺の代まで、歴代当主達が習得を諦めた術も多いんだよ。霊力の無くなった後に術式を知ったとかもな」
「それは何となく理解出来るけど……」
「政治的な理由だったり、造船技術の未熟さだったり。理由は様々だが術式だけは手に入れた当主が何をやったかと言うと──」
「……まさか」
驚きと呆れ混じりの当主に向かって、告げる。
「
俺達一族は石長比売の強火ファンだ。それはどの歴代当主も変わらない。だが歴代当主達は千差万別で、最も石長比売に貢献した人間を一族が当主に選ぶ仕組み上、それぞれの個性が出る。
ひたすら金を稼いだ当主が居た。政治に長けた当主も居た。武術はもちろん薬師として長けた当主も居た。
そんな俺達当主が受け継ぐ知識は、恥から偉業までその
文字通り魂を次の当主に託してきたからこそ、俺達は日本という国の始まりから令和まで生き抜いて来れたのだ。
その継承された知識の中にはもちろん術式も多い。
そしてそれを受け継いだ当主は石長比売の為に使えないか試行錯誤し、それすらも次代に託してきた。
今回使った術は術式構想だけは完成していたモノに、ここで手に入れた知識で足りない部分を補完し、俺が完成させた術だ。
効果は見ての通り【耐性無視】だ。
欠点は効果の性質上、毒薬類では使えない事と、攻撃系には転用出来ない事の二つ。
その代わりに霊的な強さを無視して【耐性無視】出来るのだから、使い勝手は悪くない。
そこらへんの詳細を当主に教え、オンギョウキが点てたお茶を飲む。……うめぇな。
「呆れと戸惑いと称賛と感動が混じって生まれてから初めての感情が湧いてるわ」
「他にも色々あるけど俺の実力が足りなかったり、知識が不完全だったりで使えないのが大半だけどな」
「他にはどんなのがあるの?」
「北欧系と磐長式の組み合わせで燃える火の魔剣とかなら行けると思う。最初の霊符の〝色*4〟を変える手間はあるが、コピーで量産も行けるぜ」
「磐長一族、何でそれで天下取れなかったの?」
「一族でワイワイやってて国も他の神も気にしなかったからじゃねぇかな……」
あれだ。携帯電話がガラパゴス化した日本を一族でやっていた感じだ。貪欲に知識こそ求めていたが、国どころか外にすら流した記録が無い。そりゃ誰にも知られんわな。
「何というか本当に〝君〟の一族って感じだよね」
「〝俺〟の一族だからな」
生まれ変わったぐらいじゃ
実はこの話、書いてる途中のタイトルは『ハクスラは俺の時間を奪う』だったんですが、書いてるうちに何故か磐長一族の話になりました。フシギダネ?
他の作者さんはどう書いているのか知りませんが、自分は物語の始まりと終わり以外は決めてません(笑)