【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
基本的にそういう時は深層に潜って居るか、星祭で遊んでいるのだが……今日はたまたま会ったホビー部の俺達に呼び出されたので、山梨製造班に向かう事に。
「岩手の知り合いからセツニキと一緒に開発してるって聞いてさ。俺達も負けちゃいかんとダメ元で頼んでみたんだよね」
まさか普通に来てくれるとは思わなかったよ、とは製造班の談。
「覚醒者で、お遊びが混じってるとは言え霊装を作っていて、さらに素材集めで山梨異界に入ってくれてる以上、時間がある時なら可能な限り手伝うぞ?」
「その話は班長*1から聞いてたけどさぁ。てっきり真面目な部署オンリーかと」
真面目ねぇ……。
「俺、今サキュバス姿のフラワーロック作ってるんだが?」
「ポールダンスするエロ人形とか未来に生き過ぎじゃない?」
そう褒めるな。流石の俺も照れるぜ。
「何と言うかセツニキって想像以上に俗物だよね。良い意味でも悪い意味でもさ」
「意外かも知れんが、スイッチのオンオフは深層だと必須だぞ?」
「そうなの?」
「何もかも疑って無いと即座に死ぬが、それを地上でもやると今度は精神的に死ぬ。そこらへんの切り替えが上手く無いと毎日は潜れん」
だから俺も含めて星祭の連中は、地上だとネタキャラになりやすいんだが。
「何ていうか修羅勢って呼ばれてるぐらいだからさ、戦ってれば生きていける生態だと思ってた」
「それは真修羅勢だな。復讐の為だったり、戦闘狂だったり。理由は様々だが生息地:異界の奴らだ」
ちなみにグラ爺は微妙なラインを行ったり来たりしている。真修羅に迫るぐらい戦いに飢えているムーブを決めたかと思えば、星祭の畑を耕してのんびり異世界生活してる時もある。
最近だと晴彦ニキに教わって鍛冶もやり始めたし、秋雨ニキとセットで表現に困る筆頭だ。
「俺らはアレだ。同じぼっちでも、ネット上には友達が居たタイプのぼっちだ」
「あー……学校には友達居ないけど、オフ会に参加すれば友達とたくさん話すタイプ」
「そうそう。ま、今世で初リア友を得た奴も多いんだが」
「噂でしか知らないけど、結構な頻度でゲーム大会開いてるらしいね」
「今月はスマブラで遊んだ後、探求ネキと異界構築してリアルスマブラやったぜ」
プププランドに十八人は多すぎた。能力は三十に制限、キャラ性能は完全ランダム、始まるまで自分の能力すら分からない状態で始まり、割り当てられたキャラを即座に把握して戦う感じだ。
グラ爺(プリン)vsジャンヌネキ(マリオ)の勝負は笑った。最終的に双子ニキ(弟)がPKサンダーを叩き込んで総取りしたが。
残念ながら俺と探求ネキは不参加だ。修羅勢の能力制限と異界管理が辛くてなぁ……遊んでる暇が無かった。
「楽しそうだなぁ……俺もレベル三十目指そうかな。後五レベル必要だけど」
「良いと思うぞ?常識さえ持ってるなら基本的に問題無いし、常識的な範囲内なら高位素材を使いまくれるから技量も上がる。利点は多いと思う」
「ショタオジチェックだっけ。あれで落ちる人も多いらしいんだけど、そんな厳しいの?」
「迷惑系動画配信者か口が軽くなきゃ問題無いんだけどな……ほら、俺達って現地民見下しがちだろ?たぶんそこが引っ掛かってるんだよ」
星祭には禊やブロントさん、ボブミヤニキの仲間達の様な高位現地民もちょくちょくやってくる。流石に本殿の中に入れるのは少数だが、拝殿で仲間待ちする奴も多く、そこで問題を起こす様な人間は弾かれる。
というか、神社で揉め事を起こすなや。神前だぞ、一応。
「成る程ねぇ。──っと。このまま雑談でも良いけど、そろそろ本題に入らないとか。セツニキの時間を貰ってる訳だし」
「それは構わないが、俺も半終末のせいで忙しいからなぁ。次に何時来れるか確約は出来ん」
「だよね。──それじゃ意見ください」
真面目な表情に切り替え、資料を広げる黒札に合わせ、俺も思考を切り替える。
「俺達ホビー部は主に前世のカードゲームとか昭和のオモチャとかそっち方面を開発してるんだけど、最近はロボ部に押され気味でね。終末が間近に迫ってるってのもあって、売り上げがガクッって落ちちゃってさ。何か意見が欲しいです!」
「真面目な霊装を作るのは駄目なのか?」
「そっちは製造班としてやってるから飽きてる感じかな?今はショタオジから許可が降りなくて出来ないけど、カードゲーム使って悪魔召喚してバトル!とか、アクセルシンクロ!とかやりたいんだ」
ちなみにその為に悪魔召喚士試験を突破したらしい。黒札の熱意って凄いよな。
「つまり、終末後に全力出すから金を稼げる〝オモチャ〟を作りたいと」
「うん。見も蓋もなく言うとね」
「ふーむ……あ、ここ煙草吸っても平気か?」
「【浄化結界】張るから良いよ~」
慣れた手付きで結界を構築してくれたので、そのまま煙草に火を着けて携帯灰皿を取り出す。
金を稼げる手段が欲しいという訳では無く、終末後のメインに繋がる金稼ぎがしたいって事か。また難題な。
「やっぱり厳しい?」
「金を稼ぐだけなら余裕なんだよな。何処かに頼もうと思ってたからホビー部に任せても良いし」
「ん?それの何が問題なの?」
「終末後に繋がる技術の向上には向かないんだわ。売れるけどつまらない商品、って言えば分かるか?」
「あー……成る程。製造班としての仕事の延長になっちゃうのか」
「技術としてはかなり磨けるんだが……下手すりゃホビー部がオモチャを作る時間が無くなる気がする」
「ちなみに何を任せたいか聞いても?」
「テリーのワンダーランドの魔物のエサ*2系統だ。悪魔を使役する奴は増えたが、その世話に苦労してる奴も多いから売れると思うんだわ。マッカやMAGや宝石は日常生活で渡すには高額だし」
「あ~……俺らならまだしも、地方民にとっては痛い出費になっちゃうのか。確かに売れそうだね」
「ポジションとしてはペットフードだな。霊的素材から作れば、普通の食材を人間に回せるから終末後のシェルター防衛も少しはマシになるだろ」
一番の目的は危険な悪魔をシェルターから離せるって事だが。戦闘中に一瞬でも隙が出来る程に魅力的なら尚良し。
「契約で縛られるとはいえ、友好的な付き合いをしていかなきゃ行けないもんねぇ。……でもこれさ、
「だから言っただろ?金にはなるが、技術向上には繋がらんって」
「デスヨネー。……これは料理部に投げておくかぁ」
テキパキと記入した紙を嫁と思われる女性に渡す俺達。その暇な時間に室内を見渡していると──
「ちょいとスマホ弄るわ」
「どうぞー。こっちも色々指示飛ばすから反応鈍くなるかも」
「了解」
取り敢えずLILINを開き、知り合いにメッセージを飛ばす。
賭博師:今、時間あるかー?
超天才:はいはーい。どうしたのー?
賭博師:ホビー部が金になって技術向上も狙えるオモチャを作りたいらしいんだが、G3用装備の仕事、幾つかホビー部に回せないか?
超天才:うーん……シノさんとしては終末に向けてG3系列の量産しなきゃ行けないから助かるけど、この支部の設立目的にちょっと厳しいかなー
賭博師:ああ……そういやそんな建前あったな
超天才:あっくんの占術的に今の状況が最善っぽいからごめんねー
賭博師:いや、無理言って悪かった。別の方法を考えるわ
超天才:頑張ってー
んー……良い方法だと思ったんだがな。ガイアメモリの生産してるし。
「あ、終わりました?」
「こっちは駄目だった。霊山支部のG3関係の仕事が出来れば楽だったんだが」
「あー……リアルライダーが居る支部でしたっけ」
「バッタじゃないけどな」
吸い終えた煙草を灰皿に叩き込み、揉み消す。携帯灰皿の寿命がマッハで死ぬからやらない方がいいんだが、個人的には地面に捨てて足を踏み消すよりはマシだと思ってる。百均で大量買いした奴だし。
「こっちも金を稼ぐ手段は終末後に繋がる方が良いって意見が大半でしたね」
「ホビー部な訳だしなぁ」
淹れてくれた珈琲で喉を潤しながら、灰色の脳細胞を動かす。
狙う購買層はレベル十から三十の間。ガイア連合の黒札で最も人数の居るレベル帯だ。
それに合わせて一から三十までの現地民向けの商品もあると良いが、こちらはデモニカ着用が前提となるので、霊装の類は武器ぐらいだろう。
さて……何があるかな。
「やっぱり厳しいですかね?」
「一応、完成後の量産や改良をホビー部に任せようと思ってる商品はあるんだよ。技術向上も狙えるし、霊装としても悪くない」
「何か問題があるんです?」
「COMP使わない悪魔召喚関連なんだよな。たぶん、終末後じゃないとショタオジの許可が降りないと思う」
「あー……俺達と同じ感じですか」
ちなみにハード面は星祭のドラえもんと名高いブーストニキ*3に頼んである。ソフト面は星祭のさすおに枠を自称する俺──では無く、術研だ。
完成すれば、それなりに役に立つ物が出来ると思う。