【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
「ちなみにオモチャ縛りを抜くと、どんな仕事があります?」
「修羅勢用の回復薬の量産や武具の作成、整備だな。求められる質は高いが〝モノ〟になるまで支援するし、必要数揃えられる様になったら空いた時間で何をやっても良い。もちろん星祭の素材は好き勝手使えるぞ?俺らの興味を引けば、パトロンにもなってくれるだろうし」
「……求められる最低ラインは何処です?」
「三十だ」
実は後期合流組の生産廃人を大量に拾ったので、レベル三十から五十帯で使える薬品は過剰配給気味だったりする。
レベル五十以降で使える薬品や装備を作れるのは一部の初期組だけだし、三桁前後だと片手にも満たない。
たぶん山梨第一組を混ぜて、漸く二十人行くか行かないぐらいだろう。作ってるのはほぼ伝説の武具だから当然っちゃ当然なんだが。
「厳しいなぁ。主力組なら作れるけど、他は普通の黒札だし」
「それにそっちの製造班を引き抜きまくる訳にも行かないんだよな。地方へばら蒔く霊薬が無くなるし」
「少佐ニキ*1を始めとする量産スキル持ちのお陰で何とかなってる様なもんだからね……
「金なら幾らでも作れるんだけどな。素材集めだって出来るし。ただ、本人のやる気の無さは俺にはどうしようも出来ん」
悪魔と戦うのが怖いから製造班に流れるってなら手厚くサポート出来るが、難しいからやりたくない!とか、製造系スキル持ちに負けて心を折れてる奴はどうしようも出来ない。
嫁を遠征させて生活してる事について文句言うのは御門違いだしな。
「うがー!俺ソリッドヴィジョン*2作りたいだけなのに!何か真面目に考えなきゃいけない事が多過ぎる!」
「どこの部も纏められる奴に伸し掛かる責任は大きいよなぁ。これもメシア教って奴のせいなんだ」
「おのれメシア教めっ!許さんぞ!根絶やしにしてやる!!」
ちなみにスケベ部はミナミィネキのカリスマで保っている。荒らしたら高位霊能者がTS雌落ちぐらいは普通にやってくるからな。性癖の殴り合いは別スレに誘導だし、そこまで問題は起きていない。
「さて、そろそろ良いか。落ち着きたまえ^^」
「凄く落ち着いた^^」
「俺はエースのイ寺だった。ソボロ月光の使い手だ」
「アンコックでした。扇風機です。レゾリューションはもっと早くに欲しかった……!」
ガシッ!と握手を交わす。良い感じにエンジンが掛かってきたな。お互いにリューサンじゃないのは笑うが。
「過去の同士──もしかしたらパーティ組んだ事のある奴の可能性を含めて本気で考えるぜ。ちょっと時間貰うぞ」
「了解です。こっちはホビー部所属のスキル纏めておきますわ」
低レベル帯で便利な霊装で玩具関係。出来ればソリッドヴィジョンに繋がるヤツで、理想は半永久的に求められる消耗品か。
(んー……ちょっと早いが、この〝技術〟を表に出すか?)
この間グラ爺戦で使ったばかりの〝切り札〟だし、術スレも盛り上がるだろう。後は最近被害が多くなってるってちひろネキから報告が上がってきた初見異界に使える道具辺りか。
これに玩具の要素を混ぜ合わせるとすると──うん、行けるな。
「取り敢えず、二つ程思い付いた。そっちは?」
「これが公開してるスキルの一覧ですね。非公開のは流石に分かりませんが」
纏められた紙を受け取り、目を通す。……うん、行けるな。
「じゃ、サクサク作るぜ。ここでやっても大丈夫か?」
「部屋を吹き飛ばすもんでも無ければ大丈夫ですよ」
「了解。まずはこれな」
一枚の霊符を机の上に置く。
「この場面で出してきたって事は普通の霊符じゃないと思うんですが……なんです?これ」
「
「…………は?」
そら驚くわな。何せ、求めてる物が出てきたんだし。
「まずは大前提な。本来なら鏡やレンズやら使って立体的に見せるのが
「ええ。カードからどう出力するかがホビー部の頭を悩ませていた原因ですし」
「この霊符に刻まれている術式はギリシア語の〝holos*3〟と〝gram*4〟を
ちなみに霊符の材質自体は良くある物だが、
「…………拝見しても?」
「おう。好きなだけ見てくれ」
白い手袋を手に嵌め、恐る恐ると言った様子で霊符の【解析】に挑むホビー部の俺達。そんな彼を余所に次の試作品を作り始める。
用意する物は霊木。ぶっちゃければ何でも良い。それを頭、体、手二本、足二本作り、簡易的な人形を組み上げる。
その後、頭だけを一度MAGに変換。トート*5の素材から〝記録〟の概念を抜き、混ぜ合わせて再び頭を生成。
次に体を抜き出して術式を刻む。刻む術式は思業式神だ。本当はホログラムの術式を刻んだ方が楽なんだが……今は分かりやすさ優先だな。
「使われているインクに複雑な〝概念〟がある事は分かったんですが……すいません、そこまででした」
「まぁ、そんなもんだろ」
返却された霊符を左手に持ち、右手だけで新たな霊符を取り出して霊力を流す。燃え尽きた霊符から放たれた光が、ホログラフィーの霊符に仕込まれた〝術式〟を浮かび上がらせる。
「これは……術式の
浮かび上がったのは、三十六枚の魔法陣が組み合わさって出来た《円形》の術式。構想自体は昔から考えていたんだが、俺の術式構築力が足りなかったせいで使えなかった技術の一つだ。
「霊符一枚に描ける術式は一枚に付き
「その為に開発したのがこのホログラムの術式ですか」
その言葉に一度頷き、詳細を説明する。
「仕組みとしてはパソコンのフォルダとファイルの関係に近い。ホログラムの術式はフォルダ、描いた術式を〝インク〟に変えてファイルにしているだけだ」
「そんな事が出来るんですか!?」
「いや、お前も出来るだろ。
「……………………あ」
どうやら思い至らなかったらしい。固定概念ってのは本当に厄介だ。
スキルカードは素材やスキルから〝概念〟を抜き出し、記録媒体に封じ込める作業によって作られる。
スキルを使うだけでカード化する
だからこそUSBやら数珠やらの形に加工出来ているし、記録媒体の性能によって難易度や完成度が変わる。
エミヤ祭の時のスキルカードが良い例だな。俺の【単独行動】ならともかく、秋雨ニキの【八艘飛び】は深層素材でカードを作り、そこにスキルを封じ込めていた。
原価を考えると……箱買いしても黒字になるわな。
「盲点でした。〝概念〟を抜き出した後に物質化する技術はショタオジに教わっていたのに……」
「まぁ、描いた術式をMAG化した後、インクに再物質化なんて普通はやらんしな。俺もグラ爺相手じゃなきゃここまでやらんかったわ」
「想像もつかない世界ですね……」
「ちなみに光の方は【ハイ・アナライズ】【解析】【コウハ】【立体化*6】のスキルを術式化した物をホログラフィの術式で纏めた物だ。別に【コウハ】は要らないんだが、ホログラフィの世界的な認識的にレーザー光の〝概念〟があった方が便利でな。大して容量を食わないから組み込んでおいた」
「お陰で凄く分かりやすいです。名前とか付いてるんですか?」
「ホログラフィーの方は〝三次元術式〟で登録予定だ。浮かび上がらせる方は、そのまんま〝ホログラフィ〟とかになるんじゃないか?」
「了解です。この話を部下にしても?」
「おう。その霊符はプレゼントだ」
「有難う御座います。少し席を外しますね」
慎重に掴んだ霊符を丁寧に霊符用の桐箱の中に仕舞い、部屋を出ていく俺達を見送る。
「……ふむ」
帰ってくるまでの間、何をするか数秒だけ悩み──
「このエロフラワーロックの完成度でも高めるか」
──くねくね色っぽく踊るサキュバスに手を加え始めた。
◇