【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
なのでようじょネキは三十に届いたばかりの筈?
「【マヒひっかき】!!」
「【受け流し】」
振り下ろされる爪に添う様に剣を当て、力を逸らす。
「この距離なら──【雄叫び*1】!」
「狙いは良いが──甘い。〝消音結界〟」
「────ッ!」
目の前に居る〝鵺〟を囲むように結界を展開、音を奪う。
「音を使ったスキルは術者なら簡単に消せるんだなこれが」
「悪魔しか相手にして来なかった経験不足か……!【マハジオンガ】!」
「【雷撃ブロック】」
放たれた雷撃を霊符で防ぎ、距離を取る。鵺の方も一旦距離を取ったのでお互いの間にはそれなりの距離が出来た。
「術の強度は最低。それこそ権能の入り口に立った雷撃使いなら破れる程度だぞ」
「だが今の私には突破は出来ない」
「山梨の異界はレベル上げには便利だが、それ故に多くの俺達は得意分野が通る悪魔しか獲物にしない。それじゃ権能に必要な〝モノ〟が育たない。支部の中で大人しく生きていくならそんな力は必要無いが──それだけじゃ我慢出来ないんだろ?」
「宮城支部に恩返しがしたい。無力な自分を許せない。助けて貰った命に意味を持たせたい。やりたい事は一杯あって、だからこそ強くなりたい」
鵺の姿からキングフロストの姿に変わっていく。修羅勢から見れば、欠伸が出る程に遅い変化。だが同レベルだった時の俺らと比べれば、格が違う速度。
「ヒーホー!【氷結ガードキル】【ブフダイン】だホー!」
「【マカラカーン】」
放たれた吹雪を雑に反射。それが狙いだった様で、知らぬ間に
「【ブレイブサッパー】!」
「【物理ブロック】」
「セツニキー!幼女相手に大人気ないぞー!」
「手加減してやれー!」
外野で観戦中の俺らから野次が飛ぶ。見た目幼女だからな、俺らの好感度が高いのだ。
とはいえ鍛練を付けて欲しいと請われた以上、次の成長に繋がる様に指導するのが年寄りの役目。
「さて、幼女ネキ。三つの中から一つ選んでくれ」
「余裕ッ!だッ!なッ!」
「これでも修羅勢だからな」
スキルは悪手と見て、通常攻撃をメインに使い始めた幼女ネキと拳を交える。中々様になっているし、筋は良いが──如何せん実戦で使われていない体術って感じだ。
デビルシフターだし、変身した姿で戦う事が多いのかねぇ。
「優しいコース、ちょっと厳しいコース、とても厳しいコースの三つだ。どれが──」
「とても厳しいコースッ!!」
「了解」
即断即決で修羅の道を選ぶ辺り、中々良い根性だ。それに答えてやるのも先達の勤め。
「じゃ、まずは俺達が余り体験しない様なスキルから行こうか。──【
「うぐっ──!」
周囲に発生した光の縄が即座に幼女ネキを拘束。簀巻きにする。
「セツニキッ!イエスロリータノータッチの精神はッ!?」
「残念ながら犬に食わせた。──ほら、追撃だ」
「ぐぅ──!!」
幼女ネキが緊縛状態となった事で【緊縛追撃】に【状態異常追撃】が発動。周囲を漂っていた光球から棘が伸び、幼女ネキを貫く。
ここで一旦【ディアムリタ】で状態異常ごと回復。即座に起き上がり、距離を取る動きは見事。
「自分の弱さが嫌になるなッ!ここまで力量差があるとは……!」
「俺らは創設期から鍛練してるんだ。そんなすぐ追い抜かれたら泣いちゃうぞ」
「今はまだ……だけど絶対に追い抜く!ついでに一矢報いる!!」
「おう、その意気だ」
手を変え品を変え、幼女ネキがデビルシフトを切り替えながら果敢に攻め続ける。
それを弾き、受け流し、避け、叩き潰しつつ時々回復を入れて対処していく。
戦いの中でこの成長──まさに主人公だな。俺らには無い羨ましい才能ではあり、可哀想になる呪いだ。
「次はこちらから行くぞ?──【ムド】」
「今更その程度──ちょ、それは狡いだろうッ!!」
「普通のムドじゃ鍛練にならんだろう?」
低速、高速、追尾、ランダム軌道。弾幕と呼んでも差し支えの無い量をばら蒔く。
「こうなったら……!」
「一発逆転は戦いの中で狙わない!【
「くそっ!」
大技の気配に合わせて割り込みで封技を叩き込み、スキル発動を妨害。大技に頼ったペナルティとして【
「レベル三十以降は耐性を抜かれるなんてザラだぞ。全ての攻撃に危機感を持て」
「これが……!修羅勢の領域かッ……!」
未だに瞳に宿る闘志に揺らぎは無い。だが幼女の肉体は精神に着いていく事が出来ておらず、こちらを攻める速度が先程より格段に落ちている。……ここらで切り上げかね。
「そろそろ終いとするか。全力で来いッ!」
「……了解ッ!!」
あの構えは──かめはめ波か。仕組みとしてはMAGを放出するだけの単純な技だろう。利点は〝色〟を染めないので無属性という事。欠点は出すまでに時間が掛かる事。
腰の辺りに構えた両手にMAGが集まり始める。それに合わせ、額に二本の指を当てた。ノリと勢いで新技が出るのは良くある事だ。
「か~め~は~め~波ッ!」
「
幼女ネキのかめはめ波と俺の魔貫光殺砲がぶつかり合い、大爆発を引き起こす。その土煙に紛れ、幼女ネキが高速で距離を詰める。
幼女ネキの体力的に次が最後の一撃か。さて……何が来るかな?
「これでぇ──ッ!!」
右手に集まるMAGが、高速で〝槍〟を幻視する程に研ぎ澄まされる。ロマサガ風に言うなら閃きとでも言うべきかね。
初打ちにしては良い【貫通擊】だ。ここは──大人しく食らっておくか。
幼女ネキが全身全霊を込めた【貫通擊】を放つ。それは容易く俺の耐性を抜き、見事にダメージを通す。
「良い一撃だ──っと、寝ちまったか」
倒れ込む幼女ネキを抱え、そのまま空を蹴って観客席へ。観戦していた幼女ネキの嫁に手渡し、浄化の霊符で汗を流す。
「たぶん幼女ネキは何処までなら大丈夫なのか、自分でも良く分かってないと思う。だから倒れるまで無理が出来る訳だが……昔ならともかく終末が近い今の世の中じゃ危険だ。大切なら止めてやれよ」
「言われなくても」
褐色巨乳の良い女*2に軽く睨まれるのは心に来る物がある。
主人第一の式神はみんなそんな感じだが。
「外野からだと俺らより才能ありそうな感じだったけど、実際どうだったー?」
「やれる事が多くて本人も戸惑ってる感じだな。良く言えば器用万能、悪く言えば確固たる〝芯〟が無い。うちに居るデビルシフターみたく変身切り替えながらコンボとかはまだ無理そうだし、絶対的な自信を置ける技が無いから一撃が軽い。本人もそれを理解してるから手探り感が強かった」
「あー……最初の頃は出来る事が少なくて、一つのスキルに頼るしか無かったもんね」
「そのせいで頼る〝癖〟を抜くのに苦労した記憶ががが」
「才能がある人はある人なりに苦労する訳かー」
「ただセンス自体は物凄く高いから何れ俺らを越えていくだろ」
MAG操作は中々なもんだし、慣れれば【貫通擊】も普通に撃てるだろう。権能に関しては──要鍛練って所かな。
「そういやデビルシフターって根幹に引っ張られやすいって言われてるけど、幼女ネキは大丈夫なん?」
「そこら辺は俺の口からは言いづらいんだが、一先ずは大丈夫だろう。一度
『『『あー……』』』
古参勢に取ってはよくある出来事になりつつある悲劇。ガイア連合から回される依頼によって、悪魔落ちしたデビルシフターを
後味の悪さは何時まで経っても変わらず、そうなる前に助けたい気持ちは変わらない。だが現実はそこまで優しくなく、助けられた人数はそこまで多くない。
「何というか幸せになって欲しいねぇ」
「デビルシフター自体が〝厄〟の塊みたいなもんだからなぁ。俺らみたいな戦闘系ならまだしも、戦いに向かない奴が持ってる事も多いし」
「普通の霊能者と違って精神力次第だからね。そこらへんはペルソナに似てるけど、迫害のされやすさが段違い過ぎる」
「黒札の中には危険だから処理した方が良いって意見もあるぐらいだからね」
何となく俺らの視線がすやすや寝息を立てている幼女ネキに向く。
「守らなきゃこの幼女!」
「本人も力を求めてるっぽいし、それなら力になれるぜ!」
「それじゃ起きた後の模擬戦の順番でも決めておくかー」
「いや、悪魔相手が多かったみたいだし、人間の戦い方を教えた方が良いんでね?」
「具体的には?」
「罠とか武器とかアイテムとか?」
「術者とか神話特効狙いも経験するべきじゃない?」
「鵺だもんなぁ。弓使いの恐ろしさを教えるべきか」
ワイワイ盛り上がる俺らから距離を取り、懐から取り出した煙草に火を着ける。吐き出した煙で遊びながら考える事は、幼女ネキのここ最近の動向だ。
盛り上がってるアイツらに悪いが、新潟のロボ部に機体の発注をしたっぽいし、たぶん幼女ネキのメインはロボットになるんだよな。
俺らはあくまでも人間サイズの戦い方しかしないし、果たして教えが何処まで役に立つのやら。
◇
【貫通擊】は伝授しないと!(修羅感)
何かようじょネキが幼い感じになったのは作者の技量不足ですね。反省。