【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
鍛練ばかりでは味気ない。というか俺がレン子ネキに怒られる。なので鍛練は程々の所で切り上げさせて温泉に投げ込み、何時もの大宴会場へ向かう。
飲み物や食べ物は適当に用意した。嫌いな物があれば勝手に避けるだろうという判断だ。お菓子も俺らが適当に投げ込んでいる〝お菓子箱〟から適当に取り出すだろう。
「星祭は良くも悪くも雑だな。まさか
「甘いな。その程度ならレベル五だ」
幼女ネキがお菓子箱から取り出したのは、まさかのおっぱいアイスだ。実はこのお菓子箱、冷凍保存にも対応している。
元は確か農業部や畜産部の作ったオカルト食材の管理を楽にする為の保管箱だったか。必要な術式をありったけ詰め込んだ関係で大型化し、置場所に困ったので引き取った代物だ。
研究自体は継続して進められ、つい最近探求ネキ主導の元、グルメケース*1が完成したとか何とか。
「これでレベル五か……」
「こんなのがあるぐらいだからな」
ガサゴソお菓子箱を漁り、取り出したのは──アイスクリームケーキ*2。
「何でそんな物が……」
「ノリで作ったのは良いが、こんな量要らねぇ!って奴が雑に突っ込まれるからな。
説明しながらアイスケーキをお菓子箱に戻し、代わりにガンプラ(ラムネ付き)を取り出す。
幼女ネキの呆れた視線を受けつつ指をパチンッ!と鳴らすと、ニッパーやスプレー缶を始めとする本格プラモ製作キットが【転移】で届けられた。
「まぁ、俺は作らないんだけどな」
「作らないのかッ!?」
驚く幼女ネキを余所にラムネだけ貰い、キットごとそこら辺に居る俺らに任せる。元々オタクが多いという事もあり、俺が作るより巧いのだ。
「じ、自由過ぎる……!」
「この程度で驚いてちゃ星祭では生きていけないぞ?何せ高位霊能者が集まってるだけあって何でも出来るからな」
ジオラマの樹が深層産ユグドラシルだったり、水が黄泉の水だったり、屍が本物*3だったり、凝り性のオタクと実力が融合した結果、恐ろしい産物が生まれる事は稀に良くあるのだ。
説明しつつお菓子箱を漁っていると、面白い手応えがあった。これは中々の大物だな。
「セツニキ、何引いた?」
幼女ネキの回りで普通のお菓子を広げていた俺らが目敏く気付いた。仕方ないのでニヤリと笑い──引っ張り出す。
「レガーロアモ*4だ」
『『『ちょ、誰だそれ入れた奴ッ!!』』』
「お菓子系の霊装か……!盲点だった!」
「お、俺が最初に思い付いたから(震え声)」
「嘘乙」
「これワンチャンロリポップキャンディ入ってんだろ」
「ぷそのマジカルロリポップかも知れん」
「お菓子武器か……これは探さねば無作法というもの」
「【アナライズ】したら普通に優秀で笑う」
ワラワラお菓子箱に集まる俺らを唖然とした表情で見守る幼女ネキ。せっかくのイベントなので軽く肩を叩き、顎でお菓子箱を指す。
「む。私も参加して良いのか?」
「ショタオジから資格を貰った以上、幼女ネキも俺らの一員だからな。断る理由がねぇよ」
「……そうか。では行ってくる!」
楽しそうにお菓子箱を覗き込みに行く幼女ネキを見送り、レガーロアモを
「土産にやるよ。後で幼女ネキに渡してやってくれ」
「良いんですか?」
「お菓子箱に突っ込んであった以上、新人支援の一環だろうからな」
望みの物があれば望みの〝お菓子〟を。何でも良いやの精神で手を入れれば、ランダムに〝何か〟を取り出せる。それがお菓子箱の仕組みだ。
そんな仕組みの箱に突っ込まれていた以上、所有権を主張するつもりは無く、誰かの役に立てば良い程度のノリだろう。
「うわ……普通に優秀……」
「腐っても修羅勢の霊装だからな。五十ぐらいまでは現役だろ」
ネタにこそ全力。それがガイア連合だ。
遠目に眺めていると、出るわ出るわ前世で見掛けたお菓子系装備の山。
ミホノブルボンのコスチュームが出た辺りからさらに魔境と化したな。もはや何でもアリだ。
「見てくれセツニキッ!こんなのがあったぞッ!!」
「おー……いや、待った。何だソレ」
遠目から見ると、幼女ネキがロボットの人形を掲げてる様にしか見えないんだが。
「スパロボに登場するグルンガストだな!しかも食べられるぞ!!」
ガブリ!と頭から食い千切り、モグモグ口を動かす姿は小型の怪獣だ。俺はそうでも無かったが、肉体に精神が引っ張られてるのかね?
「普通に美味しい」
「そら良かったな」
「でも何か負けた気がする」
「まぁ、見た目は完全に玩具だったからなぁ」
色合いや質感までお菓子で再現した努力は、正に暇をもて余した神々の遊びだろう。たぶん他のシリーズもある気がする。
言葉とは裏腹に味を気に入ったのか、最後までかぶり付き、見事完食。その後すぐに
「満足!」
「おう。それじゃそろそろゲームでもするか」
「こんな大人数でゲームするのは初めてだ」
「だったらTRPGより魔改造64辺りかね。ほら、あっちの区画だ」
『『『うぇるかーむ!』』』
俺らが思い思いのポーズを決めて幼女ネキを誘う。現世だと事案待ったなしの光景だ。
「セツニキは行かんのか?」
「俺は後ろで酒と煙草を味わってるわ」
「むぅ、そうか。では行ってくる」
トテトテ俺らの方に向かう幼女ネキを見送り、場所を喫煙区画に移す。煙草に火を着けてぼんやり眺めて向こうを眺めてみれば、楽しそうに俺らと遊ぶ幼女ネキの姿があった。
「……レン子ニキに自慢だな」
動画を見て悔しがると良い!
◇
「お世話になりました」
「気にすんな。俺らも楽しかったみたいだしな」
僅か数日の滞在だったが、精力的に動き、貪欲に学ぶ姿勢は俺らにとって好ましく、その成果を示す様に幼女ネキの小さな両手には俺らから渡された御土産がたくさんあった。
「今度はセツニキ達が宮城に来てくれ。歓迎するぞ!」
「牛タン!」「仙台牛!」「芋煮!」「笹かま!」
「食べ物ばっかだな」
国内は比較的安定してるとはいえ、異界が開きやすくなっている状況で観光しろってのも無理な話だが。
「まぁ、来てくれたら用意するさ。お金はあるからな!」
『『『よっ!太っ腹ッ!』』』
ムフー!とドヤ顔を披露する幼女ネキをよいしょする俺ら。ハッキリ言って犯罪臭しかしない。ガイア連合では良くある事だが。
「おっと、そろそろ行かねば。それでは今度こそさようならだ」
「おう。またな」
ムラサキが二人に触れて【
見送り側でこんな感想が思い浮かぶのだから、今頃幼女ネキの方はもっと微妙な
「愉快な子だったね。幼女ネキ」
「俺らみたいな生態してるよね」
「まさかあのナリで
「リハクじゃないの?」
「いや、嫁見れば生やしてるんだろうなって思ったし」
「あー確かに」
さも当然の様に会話する俺らを見て、拙者、ガイア連合の〝業〟を見た。話が通じる事に違和感を覚えない事に恐怖を覚える。
「そういやセツニキ。この後は何かするん?」
「深層潜る予定だ。珍しく嫁達も午後からフリーだしな」
「お、便乗して良い?というか仲間と一緒じゃなきゃ生き残れる気がしない!」
「おう。暇な奴らで行こうぜ」
深層は下層とは比べ物にならない程に一戦一戦が重く、消耗が激しい。
ソロも出来なくは無いが、安全面を考えると、わざわざやる意味も無い。……真修羅達は良くもまぁあんな
俺ですら全力で【
「準備出来たら深層の探索拠点で良い?」
「おう」
「あ、俺ちょっと薬品補充したい」
「私もちょっと量が不安だわ」
「それなら十五時集合にするか。二時間もあれば十分だろ」
「了解」「ういお~」「いえっさ~」
何時まで経っても返事が揃わないな。別に良いんだが。
◇
自室に戻り、深層の素材で作り直した装備に身を包む。袖や増設したポーチに霊符や呪符入れ、懐には何時ものカードケースを仕舞う。
続いて星祭の護符、身代わりの護符、帰還符*5を確認。
この三つはいざという時の保険なので、必ず確認する様に俺らには言い含めている。とはいえ人間である以上、完全に防ぐ事は不可能。だから現地でもう一回確認する予定だ。
携帯食、水も確保。各種霊薬も準備完了。使う余裕すら無く、割られる事も多いが、あると無いとでは滞在出来る時間が変わる。
余るようだったら先に潜ってる奴に配れば良いだけなので、出来るだけ多めに持っていく。
「ナナシ。こちらは準備完了よ」
「じゃ、行くか」
異界に繋がる〝門〟を潜り抜け、ショタオジの分身が陣取る拠点に到着。すでに待っていた俺らと忘れ物チェックを行い、所持品を改めて確かめる。
装備は現状の最高峰。嫁も全員連れて来ている。さらには人数を揃えて万が一に備えているが──正直、これでも事故る可能性は大いにある。
常識も、非常識も、何もかもが無意味。力こそが正義であり、自らの
それが──深層だ。
◇