【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
「おや。不意打ちしなくて良いのかい?」
静けさを取り戻したロンドンの街中に足音を響かせ、恐れる物は何も無いという態度で現れたのは──金髪碧眼の優男、では無く。
「まさかプーサー*1でもアルトリア顔*2でも無く──アーサーガンダム*3とはな」
「この姿も〝アーサー〟である事には変わりないからね。それに──
「…………チッ。厄介なもんぶら下げやがって」
SDガンダム外伝 円卓の騎士というゲームがある。基本的には良くあるRPGなのだが、SFCのゲームに多くある例に漏れず、また独自のシステムによって使える〝裏技〟が存在する。
その方法は至って簡単。オリジナル武器を作れる武器エディットのシステムを使い、
例えば最強の剣と入れるとする。すると攻撃+200 素攻撃+100%の剣が出来上がる。な?簡単だろ?
片手剣にするか両手剣にするかは個人の趣味になるが、両手剣にする意味は余り無く、ついでに言えば最初から二刀流する事が出来る為、裏技を知っているプレイヤーの大半は片手剣を作ると思う。
さて、本題だ。
俺の左目の【解析】の魔眼によると、目の前のアーサーの右手にはバーサル最強の剣が。左手には回復技最強の剣盾を握っている。
効果は面倒なので省くが、馬鹿みたいなドーピングが施されていると思えば良い。しかも【ディアラハン】のオマケ付きだ。流石に原作程の強さは無いだろうが……それでも強化されている事は間違いない。
「セッツァー……」
「ここで止めないと他の奴等が被害受けるだろうしな。ここで仕留めるしか無いだろう」
この一戦が終わったら撤退だ。たぶん余力は残らない。
「もう相談は良いのかい?」
「ああ。今日の昼飯の献立は決まった」
「余裕だね。その顔が歪むその瞬間が──」
「────────邪剣」
僅かに聞き取れた声。それはこの場においてとても頼もしく、同時に容赦ねぇなと苦笑いを浮かべるには十分だった。
「【
「何ィ─────!?」
凄まじい剣擊が大地を抉りながらアーサーを吹き飛ばす。それと同時に俺らも後退。そこへ近くの建物から何者かが飛び降りて来た。
「よう、セツニキ。悪いがアイツは貰うぜ?」
「こっちとしては助かるが……何かあったのか?」
「
「成る程な。じゃ、後は任せたぜ──
「おう。任せろ」
一応、装備で強さが嵩ましされている事を伝え、この場から全速力で撤退する。
霊視ニキだけなら助太刀をしようかと思ったが、山梨の修羅勢も一緒に居る以上、必要ないだろう。
敵が〝アーサー〟の概念を利用してるから
悪魔を狩りながらロンドンを駆け抜けていると、硝子の砕ける音と共に領域が割れた。一瞬だけ本来の迷宮の姿が現れたが、残念ながら直ぐ様塗り替えられる。
「大空に浮かぶ天空城か。オリュンポスの十二神辺りかね?」
「たぶん確定じゃないかな。──来るよッ!」
オオマチが注意を促すのと同時に〝避雷針〟の術式を最大規模で展開。〝三次元術式〟のお陰で枚数を重ねなくても弾ける様になったのは有難い。
昔だったら枚数を重ねるしか無かったからな。
天から降り注ぐ
「ゼウスが居る事は確定。残りの十二神は居るのかしら?」
「ギリシャなのか、ローマなのか。雷霆が飛んできた以上、英語では無いだけマシか」
「英語だと創星系のスキルが飛んでくるものね」
ゼウス、ユピテル、ジュピター。全部ゼウスを指す言葉だ。ヘファイストス、ウルカヌス、バルカンも全て同一人物を指す。
他にも色々居るが、オリュンポス十二神の厄介な所は、名前によって微妙に性能が変わる事にある。
例えばヘファイストスなら極めた鍛冶の装備の運用がメインになり、ドロップ品に期待が出来る。別に運が良くなくても聖剣や神剣と呼ばれる様な品がゴロゴロ落ちるのだ。もちろん、ドロップ品以上の武具を振り回してくるが。
バルカンなら近代兵器を乱射しながら特殊弾を満載した20㎜ガトリングで弾薬をばら蒔いてくる。
前者は〝鍛冶〟の概念が強く、後者は〝武器〟の概念が強い。どちらも〝製造者〟である事に変わりないが、そのほんの少しの違いで丸っきり正反対の動きをしてくるのだ。やりづらくてしょうがない。
「私達以外も突入するみたいだね。どうする?主様」
「何人向かってる?」
「二十に届かないぐらいかな?」
「微妙だな。オリュンポスのギミック抜けるか?」
深層では異界の中に異界が出来る事は良くある事だ。というか領域自体が異界の様な物なので、必然的に深層以外のギミック付き異界が生まれてしまう。
その中ではオリュンポスのギミックは単純な部類なのだが……頭数が居ないと簡単に詰む。そらもう笑えるぐらいに詰む。
「仕方ねぇか。俺らも行くぞ」
「「「「了解」」」」「わん!」
何を引くかねぇ。理想はアレスかヘルメス、最悪なのはデュオニュソスとヘファイストスか。
◇
豪華絢爛な宮殿をギリシャ神話系の悪魔を薙ぎ倒しながら突き進む。現れるのは、主に魚人や魚の怪異達。
ムラサキ達の【ハイ・アナライズ】で抜いた情報に寄ると、クトゥルフを始めとする他の神話の海系悪魔の名を関する悪魔ばかりだ。たぶん、この先の主の〝属性〟に引っ張られた瘴気なんだろうな。
「ポセイドンか。アトランティスだと嬉しいんだが」
「最悪はやっぱりルルイエかしら?」
「ディープワンやダゴンが混じってるからセリスが当たりな気がするけどねぇ。──あーもうっ!ウザいッ!」
オオマチが大鎌を振るい、インスマス顔の〝深きもの〟を凪ぎ払う。そこへアイが【召雷*5】を叩き込み、ギンが自慢の爪で切り裂く。
そこへムラサキが〝門〟を開いて一ヶ所に纏め、セリスが【マハブフバリオン】で凍らせる。
「こうも数が多いと消耗が激しいわねぇ」
「アレスと当たるよりはマシだろ。あっちは対軍になるし」
適当に呪符を投げつけて起爆。凍結していたという事もあり、一人残らずMAGに還す。ドロップ品は食べられるか怪しい魚肉や三叉矛、〝深海〟の色が濃い魔石だった。
元修羅木綿の東方三人組がドロップ品を一瞬で引き寄せ、霊符に仕舞う。戦闘能力は低いが、戦闘後にこそこそ拾う必要が無いのは助かる。
足を止めて拾っていたら天井から落ちてくるとか普通に有るしな。
「お、宝箱。流石は〝城〟だね」
「アイ、解除は行けそう?無理そうなら箱ごと仕舞うけど」
「少し待て。……うむ、この程度なら余裕だな。ムラサキ達は警戒を頼む」
袖から取り出した霊符を箱に張り付け、見破った
ちなみに宝箱が湧いた理由は単純だったりする。城=金持ちの住居という、人類が積み上げてきた概念──というか〝欲望〟の影響だ。
他にも海賊船や洞窟なんかは宝物がありそうなイメージがあるからか、宝箱が湧きやすい。
逆に古戦場跡なんかは妖刀や魔剣なんかが生えたりするし、地獄や天国なんかは貴重で特殊な霊草や鉱石が取れる。
共通するのは欲に溺れると死ぬという事か。触れただけで異界ごと爆破する罠とかも結構見掛けるしな。生きたまま不死者にしたりなんかも良く見掛ける。
「良し、解除完了。何が入っているかな──む?」
「どうした?」
「いえ、珍しい物が入っていたので反応に困まっただけです」
そう言って箱の中身を差し出したアイに手を伸ばし、箱の中身を受け取る。
「
「〝海〟の属性繋がりでダゴンかハイドラと繋がった気がするわ」
「その二つだとハイドラでしょうね。ギリシャ神話の神話生物ですし」
「最悪の連想ゲームだね。アタシら式神は神主様のお陰で【精神異常無効】だけど……主様達は大丈夫かい?」
「状態異常系は全員積んでると思う。が、いざという時はお前ら頼りになるだろうな」
五感では無く、第六感を経由してくる訳だ。こればっかりは気合いで抵抗するしか無く、俺らの探索が遅々として進まない原因の一つとなっている。
「そういえば、貴方が精神判定系の状態異常に負けた所を見たことが無いけど、何か理由があるの?」
「気合いだぞ、気合い。というか深層は気合いこそが全てだ」
嘘の様な本当の話で、確固たる芯さえあれば、半概念世界に近いここは例え心臓が抉り出され様が動けるし、戦える。
逆にメシア教徒みたいに誰かに頼る事を前提としている霊能者は即座に死ぬだろう。
実力云々以前の問題だ。異界自体が与えて来る死ねッ!という
もちろん、悪魔と戦えるだけの霊格も必要だが。
「何というか人間は凄いわね」
「同感だ。主様だけなら特異な存在として片付けられるが、星祭の皆様も普通に戦ってるしな」
「昔からの付き合いだけど、皆は本当にがんばり屋さんよねぇ」
「なんかムラサキ、お婆ちゃんっぽいよ?」
「失礼ね。というか私がお婆ちゃんなら貴女達全員同じよ?」
「生まれた時期的にセリスさん以外は大差無いですもんね」
「わんっ!」
この中だとギンが最年長になる不思議。何時もの行動的には末っ子なんだけどな。
「──っと。お喋りはここまでね。お代わりが来たわ」
セリスの言葉により、緩い空気が一瞬で引き締められる。背後はオオマチが警戒してるので任せるとして──俺もいい加減、働きますかね。
◇