【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
オリュンポス要素は何処へ消えたのやら。気が付けば煌びやかな宮殿の壁には藤壺が張り付き、生臭い香りが通路を覆っている。
出てくる悪魔もポセイドンの劣化分霊や小型リヴァイアサンの様な悪魔からゾンビと魚人を混ぜた様な奴に変わり、人間から進化途中のカエル人間等、クトゥルフ要素が濃くなって来た。
「触手プレイチャンスキタコレ!って叫べてた頃が懐かしい」
「爛れるか、溶かされるか、取り込まれるものね」
「何と言うか殺意のベクトルが違いますよね」
みっちり藤壺が張り付いている扉を蹴り破り、小部屋の中に入る。中には助けを求めるインスマス顔の人間が居たので、遠距離から【魂吸】を投げ付ける。爆発した。
「深層に助けを求める様な人間が居る訳無いのに、毎度コイツラは同情を引こうとするよな」
「所詮は瘴気の塊に過ぎない、自称悪魔だもの」
「先程のアーサーや切り裂き魔の様に分霊化すると厄介ですけどね」
「神話や逸話から霊装を持ってくるのは止めて欲しいわ」
ムラサキが疲れた様に溜め息を吐き出す。気持ちは良く分かる。凄く分かる。
分霊化──というより、分霊を
何かしらの厄介なギミックや展開する領域が面倒というのもあるが、単純に存在が〝重い〟のだ。お陰で権能化したスキルでも普通に弾かれる弾かれる。
「ッ──!【カバーリング】ッ!!」
スキルを発動したセリスが瞬間移動に近い速度でレティの背後へ回り込み、飛んできた珊瑚の矢を防ぐ。
俺達の面子が基本的に術者よりのせいか、知らぬ間にセリスは盾役として育っていた。式神遠征でここまで育つんだから、ショタオジも覚醒して山梨異界に入れてくれば文句も無くなるよなぁ。
「セッツァーは前をお願いッ!速攻で片付けるわよッ!」
「「「「「了解」」」」」
嫁達が背後で戦闘を開始。俺も前方から向かってくる敵陣に飛び込み、取り敢えず【
さらに【
「即死は──無し、か」
即死効果とは何だったのか。最後に発動したの、たぶん下層で天使共の耐性を無理矢理ぶち抜いたのが最後だぞ。もはや【ハマ】じゃなくて【コウハ】だろ、これ。
【魂吸】を剣状に固めて射出。狙うは足。痛みによる足止めは不可能だが、物理的に地面に縫い付ければ動きは止まる。
そこへ鎌状にした【魂吸】を振るって首を刎ね、確実にトドメを刺していく。
「追加六!そっちはどう!?」
「追加十二。こっちは任せておけ」
増援に対して【
「〝陰陽結界〟」
「ホウ……気付イタカ」
雑魚の間を射抜く様に飛んできた槍を結界で防ぐ。射出地点に目を向ければ、灰色のカエル人間が居た。
「〝深きもの〟か。深海で大人しくしていれば良いものを」
「マァ、ソウ言ウナ。ダゴン様ガ目覚メルマデ暇ナノダ」
放たれる霊圧的に〝自称〟では無く〝正規品〟な気がする。狙いは──嫁達か。
インスマスに登場する魚介類はなんで異種姦が好きなんだろうな。
「一応、勧告シテオコウ。女ヲ譲レバ見逃シテヤルゾ?」
「一応、勧告してやるよ。大人しく死ぬなら苦しまずに殺してやるぞ?」
お互いの体から放たれる殺気がぶつかり合い、領域を歪ませる。ここから先は言葉では無く、力で語る時間だ。
「【深海の一撃*1】」
「【権能破壊】」
水で作られた刃を【魂吸】で作られた剣で迎撃。お互いに万能型の様で、ステータスに押し切られる事は無さそうだ。
二擊目、三擊目と続く連擊を弾き、蹴りを叩き込む。うーん、浅い。しかもぬるってしてるせいで打擊は効かんな。
「ヤルナ、人間」
「お前は想定より弱いぞ?魚人」
「ホザケッ!」
水弾で牽制して逃げ場を潰し、螺旋を描く水槍でトドメ。深層の〝正規品〟故に下層を狩り場にしている俺達では視認する事すら困難な速度だろうが、残念ながら俺達も深層を狩り場としている人間だ。欠伸が出る──とは言えないが、単純に受け流す程度なら余裕で出来る。
「ま、芸が無いから手を変えるけどな」
「何ヲ言ッテ──」
「【キャスリング】」
視界が瞬時に入れ替わり、俺の目の前には雑魚の群れが。取り敢えず【魂吸】を振るい、命を刈り取る。
背後では、セリス達があの〝深きもの〟と戦闘を開始した頃だろう。
「始めは【転移】要員だったのに良くあそこまで育ったもんだ。お陰で【火炎】属性持ちが居ない欠点を受け入れられる」
「────!?」
「あ、お前らには関係ないぞ。だから死んでくれ」
【霞駆け】から【ティタノマキア】に繋げ、【ベノンザッパー】で追撃。生き残りに【カタストロフ】を叩き込む。……良し、全員MAGに還ったな。後は〝深きもの〟だけか。
ムラサキ達修羅木綿は【転移】の為に生まれた式神だ。容姿こそ多種多様だが、根っ子の部分──式神に宿した分霊に大差は無い。
それが思わぬメリットを生んだ。それも、他の黒札には決して真似が出来ない大きなメリットだ。
ムラサキが出来る事はアイも出来るし、オオマチも出来る。グラ爺の橙だって可能なのだ。
練度の差こそ出るが、俺らの修羅木綿の誰かが出来る事は、他の修羅木綿達でも
人間は自身の内に眠る可能性を全て発揮する事は出来ない。それは時間的な都合であり、肉体が一つしか無い以上、仕方の無い事。
ムラサキ達はその大前提を〝人数〟で覆す。一人が覚えれば、それを〝同族〟で共有する。
本来なら上手く伝える事が難しい筈の〝コツ〟も、元々が同じなのだから問題無い。だって、他の修羅木綿は平行世界の自分に等しいのだから。
『っつー訳で、暇なヤツ【キャスリング】頼んだ』
『じゃ、アタシがやるよ』
先程はムラサキ、今度はオオマチ。もちろんアイも使える【キャスリング】は、位置を入れ替えるだけのシンプルなスキルだ。
その対象は人間どころか生物である必要すら無く、目印になる物なら何でも良い。──例えば
「犬ッコロガ誰ニ歯向カッテイル!!」
「グルルッ!!」
〝深きもの〟の水剣とギンの爪が鍔迫り合う。巨体を生かし、潰そうとするギンに対して〝深きもの〟は周囲に居る雑魚を差し向ける事で抵抗する。
そこへギンの足下に置かれていたトランプと入れ替わり、俺参上。
「【
「ナッ────!?」
俺の放った貫手が〝深きもの〟の胸を貫き、五指が〝分霊核〟を奪い取る。
「狼の狩りを甘く見たな」
「カ、返セ──」
貫かれた胸を抑え、空いてる手をこちらに伸ばす〝深きもの〟。その目の前で、見せ付ける様に核を砕く。
「貴様ァッ!!許サンッ!許サンゾッッ!!必ズ地ノ果マデ追イカケ、殺シテ────」
「五月蝿いわよ。大人しく死になさい」
背後からセリスが剣を振り下ろす。どうやらそれで限界を迎えた様で〝深きもの〟がMAGに還った。
「ふー……疲れた。深層の分霊はやっぱ糞だな」
「お疲れ様。六人掛かりでも苦労するわね」
「すぐに【
ムラサキが権能化した【聖域】に色々な効果や術式を追加してる間にドロップ品を拾う。
「【精神汚染】のデメリット付き水魔系素材か。せめて素材くらいは普通のを落として欲しいわ」
「このまま持ち帰ると星祭が酷い事になるものね」
「わふぅ……」
簡易浄化陣を張り、素材を
「────展開。……ふぅ。これで暫くは持つでしょう」
「お疲れ」
身体に付着していた血肉や精神を蝕んでいた〝穢れ〟が洗い流されていく感覚に身を任せ、横になったギンに体重を任せながらムラサキを労う。
ついでに携帯食料とスポドリを配り、少しだけ休憩。
「感覚的に半日は持つと思います。その前に城の方が先に落ちると思いますが」
「ギン〜今、何人ぐらい居るか分かるか〜?」
わしゃわしゃギンの毛並みを乱しながら尋ねると、喜びながらも【気配察知】の結果を報告してくれる。
「わんわんっ」
「四十八人か。中々集まってるな」
オリュンポスは別に大型レイドになる様な場所じゃないが、高レベル悪魔が密集してる異界でもあるので、現れたら比較的修羅勢が集まりやすい場所だったりする。
今回はクトゥルフに汚染されているが、本来ならポセイドン系統も素材的には当たりの部類だし、最低でも十三種の最上位素材が手に入るからな。そら集まるわ。
「大きな気配はすでに六体まで減ってますね。
「ハデスはなぁ……あれはクロネキとか一部の修羅勢以外は相性が悪過ぎる」
「領域内の【生死反転】に、それとは関係無くばら蒔かれる【ムドバリオン】と【ハマバリオン】。それだけでも厄介なのに【死霊の軍勢】のオマケ付きだものね」
「しかも、御丁寧に知人友人の【
ちなみに【幻惑】をレジストすると【