【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
「人間の欲望の大きさ的には間違ってないし、正しいんだけどなぁ」
「幾らなんでも
図書館探検隊が定期的に上げている悪魔調査報告書には、時々物凄い小ネタが紛れ込んでいる時がある。
例えば、フェニックスを始めとする属性吸収持ちに火炎属性を叩き込み続けると、どうなるか。
答えは──基本的に
基本的にと付いたのは、時々上位種に進化する悪魔も居るからだ。とはいえその報告数は片手で数えられる程度であり、その僅かな成功例も、元々高位悪魔だった存在が何らかの理由で凋落していた、と言った事例が多いので、頭に〝基本的に〟と付いた訳だ。
さて、本題だ。
目の前に居るミミックは人の〝強欲〟から生まれた悪魔であり、その性質上、基本的に財宝とセットで生まれてくる。
所持スキルは様々で、殺意の塊の様なスキル構成だったり、ドラクエの影響が諸に出ている【
大切なのは人の欲望により、抱え込む財宝の量が変わるというその一点のみだ。
「過去最大クラスじゃない?少なくとも俺は見た事無いんだけど」
「俺も無いな。──流石に3mは大き過ぎだろ」
見た目は金と宝石で彩られた、七色のクリスタルが光を放つ豪華な宝箱。UR確定でも可笑しくない派手さなのだが……如何せん大きすぎる。
悲しい事にサイズ以外は普通の宝箱と変わらず、【気配察知】にも【罠探知】にも引っ掛からない。
たぶん人類の欲望が大き過ぎる上に、それを受け止められるだけの瘴気を配給出来る深層故のバグ個体なんだろうが……凄く仕事の出来る真面目な社員のスーツに穴が空いていて、尻丸出しだったみたいな悲しさがある。
やる気が空回りしている訳では無く、真面目に仕事をこなしたのにハプニングで笑い者にされた人間みたいと言うか。
「どうする?強さもドロップも期待出来ると思うけど、ここで殺っちゃう?」
「ポセイドン狩る余裕残るかねぇ。サイズ=MAG保有量だぞ。ミミック系列って」
「ワンチャン開幕フルブッパで行けない?」
「たぶん看破系スキル使ったら強制戦闘だし、反射無い事を祈るお祈りゲーになるな」
「ミミック系列って【物理耐性】系デフォだよね?」
「うむ。レベル一桁の異界でも付いてるぞ」
「はい俺死んだ~」
ガックリと項垂れる京四郎ニキ。ちなみに俺の場合はワンパン出来る火力が無いので問題外だ。
「耐性抜く事に集中すると相対的に火力が落ちるし、こりゃ厳しい」
「近接型か射撃型かでも変わるしなぁ。大振りだと対応間に合わんだろ」
「それなー。でも見逃すには惜しいんじゃー」
「深層ミミックの素材はここでも通用する【カードハント】や【
人の欲望を集めた悪魔は伊達では無く、ドロップ素材から抜けるスキルや作れる装備には【幸運】系統付きがたくさんある。
「……良し、決めた!さらばポセイドン!俺はミミックに全力を出すぜ!」
「了解。じゃ、レティ。バフ宜しく」
「畏まりました」
【ラスタキャンディ】を最大まで重ね掛けし、さらに【ハイリジェネレート】を【広域化】のスキル込みで発動。
それを確認した後、霊符をばら蒔いて【パーマネンス】の術式を発動して永続化する。
「ギンとアイは背後の警戒。ムラサキはレティの護衛、オオマチとセリスは序盤様子見な」
「どんぐりとお絹*2は前衛二人の援護よろしくぅ!俺の介護はセツニキに任せるぜ!」
『『『了解』』』「わんっ!」「あいよ」
さて、どうなるかね。
◇
霊符から取り出した〝
「まずは先手必殺────いや、ちょっと待てい!」
「ムラサキッ!【次元壁】展開!」
「了解しましたッ!」
ガコンッ!という音と共に箱が割れ、収納されていた武装が展開されていく。パッと見た印象を分かりやすく説明すると、ミミックの中からガンダムヘヴィアームズ改の武装が出てきたと言えば、大体の黒札には伝わると思う。
ガトリングが高速で回転し始め、桁違いな量の弾薬をばら蒔き始める。素人でも気付けるぐらい過剰なまでに【貫通】が付与されている弾丸はどう考えても結界や盾で防げるレベルでは無く、即座にムラサキに〝切り札〟を切る様に指示、弾丸が届く直前に目の前の
「シッ!」
カラカラとガトリングが空転する音を聞いた瞬間、京四郎ニキが廊下を蹴り、即座に駆け抜けてミミックを一閃。
反射を警戒して【貫通擊】を乗せた連擊を叩き込むが、豪華絢爛なミミックの箱には傷一つ付かない。
「セツニキッ!コイツマジでヤバイかも!俺の【貫通擊】でも抜けねぇ!」
「マジかよ。それでも耐性と防御割ってんだぞ?」
「たぶんそれ無かったら耐性を抜けてない──うおっと!?」
箱から放たれたガトリングの如き【石化針】を大きく飛び退いて京四郎ニキが躱わす。その僅かな時間でミミックは弾薬の切れたガトリングを
その後すぐにガコンッ!という音を響かせ、箱の中からチェーンソーや丸ノコ、魔剣や聖槍の気配を感じる多種多様の武器を持つ武装腕を取り出した。
──【ミリオンスタッブ】
最初に飛んできたのは、突きの壁とも言うべき高速突き。
──【グングニル】
続いてvsグラ爺戦で良く見る槍の一擊が放たれ、
──【ゲイボルグ】
槍ニキが良く使う投槍が放たれた。
「なっめんなぁぁぁぁッ!!」
京四郎ニキが【朧一閃】を連打して攻撃を切り払う。防ぎきれそうに無い一撃は陰陽結界を多重掛けして防ぎ、それでも無理なら【ディアラハン】で回復する。
だが目の前の宝箱は
──【ティタノマキア】【金剛発破】【万物粉砕】
──【ジャベリンレイン】【ヤブサメショット】
破壊の本流と言うべき、高位スキルの数々。流石に防ぎ切るのは不可能なので、諦めて二枚目の〝切り札〟を切った。
「アイッ!【次元壁】ッ!」
「了解しましたッ!」
再び空間が歪み、中位異界でも破壊出来そうなスキル群を異次元に飛ばす。その隙を突いて京四郎ニキが【荒れ
──【モータルジハード】【カタストロフ】
「ッ────!?糞がッ!!」
放たれた一撃により相殺、再び距離を取った。
「真面目な話、そこらへんの分霊なんて目じゃないくらい強いんすけど」
「それな。人間の欲望で世界が滅ぼせそうだ」
こっちは〝切り札〟二枚を使わされ、その成果は雀の涙。相手は未だに損傷無く、下手すれば消耗も無い。
「取り敢えず、次は俺も動くわ。命大事にで宜しく」
「ういお」
【魂吸】──では無く【
「それ、久々に見たわ」
「漸く実戦投入出来るレベルに仕上がったばかりだぜ。……もうちょいお披露目は先の予定だったんだが」
「敵が強いから仕方ないね。抱え落ちしそうな強さだし」
「ホントにな」
レベルで言えば三桁真ん中に辺りかね。少なくとも前半の強さでは無い。
「〝切り札〟は残ってるか?」
「ヘラで切っちゃった。どんぐりがバフ系の一枚抱えてるけど、効果時間短いタイプなんだよね」
「俺はオオマチが一枚、セリスが防御系を一枚抱えてる。次の攻撃までは何とか防げるが、撤退する事を頭に入れておけよ」
「了解」
返事と共に京四郎ニキが突っ込む。それに続いて空いている左手でカードを投擲。僅かに与えていたダメージを回復された。
「マジかよ。コイツ【全吸収】だわ」
「ちょっとセツニキィ〜利敵行為は切腹じゃね〜?」
──【暴れまくり】
乱雑に振り回さられる武器群を潜り抜け、一撃だけ切り込む。手応えはあるが……1%削れたかどうかぐらいだな。
同じく切り込んだ京四郎ニキがT字路の左へ、俺は右へと離脱。そこへ放たれた【刹那五月雨撃ち】を剣で弾きつつ、新たに手に入れた情報を共有する。
「京四郎ニキ、真面目にヤバいぞ。投げたの〝
「え。【
「っぽい」
「それやったら戦争でしょぉぉぉ!!」
──【ティタノマキア】【万物粉砕】
「〝
京四郎ニキの叫びを意に介さず、淡々と高位スキルを放つミミック。【防御無視】や【クリティカル】等の無法スキルを積みまくってるのか、その威力は城だけに留まらず、異界を丸ごと揺らす様な一撃だった。
「まじかyo!俺、セツニキの
「しかもバフ抜き二連でだぜ?嫌になるわ」
〝金剛大結界〟は世界樹や生命の樹を始めとする高位植物系素材にイワナガ産のダイヤモンドを霊的に混ぜ、〝永遠〟等の石言葉を持つ鉱石をインクに使った最高級霊符でのみ張れる大型結界だ。
効果は説明するまでも無い。強度がほぼ最硬の陰陽結界を展開するだけだ。そこへ色々付与していくのが、この結界の正しい使い方となる。
今回即席で突っ込んだエンチャントは【物理反射】をメインに【防御力上昇】【センチネル】【ジャストガード】等の防御系マシマシだった。
それこそショタオジに【S.O.F】が【火炎属性】じゃなかったらニ発防げると言われたレベルの結界だったんだが……それが