【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
悪趣味なヒュドラと正規品のヒュドラは纏めて圧縮した。約五十人の修羅木綿達が放つ【サイコキネシス】は壮観だったな。
続いて現れたケリュネイアの魔鹿を模した悪魔は、体毛に嘆きの表情が浮かび上がってる以外に特筆すべき点は無く、
次の試練だったエリュマントス山のイノシシは雪原を駆け回り、ひたすら追い回して
だから迷わずヒュドラの毒矢を乱れ撃って全滅させたぜ。マレアー岬まで追い立てるなんて面倒な事はしない。
アウゲイアスの家畜小屋の掃除も少しだけ面倒だった。悪臭もそうだが、そもそも川が無い。
神話再現の為に領域を展開するのも馬鹿らしく、
そして──ステュムパーリデスの沼地の怪鳥退治。
「既視感を感じる糞だな」
「物理──いえ、射撃強制ですか」
ムラサキと二人で空から降り注ぐ羽根の銃弾を避けながら、降りる気配を全く感じられない糞鳥共を見上げる。
「【空間】系は駄目なんだよね?魔法届く?」
「無理だな。距離的な問題では無く──」
指をピストルの形に変え、指先にMAGを込める。すると糞鳥共は即座に反応。纏まって雲の中に身を隠した。
「魔法の兆候を見せるだけで逃げやがる」
「物理──も駄目かぁ。後半に使いたいし」
「あの程度に切るにゃ勿体無いよなぁ」
さて、どうするかね。
「ヒュドラの毒矢は毒沼ごと回収したので幾らでも作れますが、青銅のガラガラは流石に有りませんね」
「即席ででっち上げても良いんだが……」
「二度目あるかねぇ?生きて帰れたら神主様が対処するだろうし」
「だよな」
〝運命に愛される奴〟全てを救うなんて馬鹿な事はしないが、本拠地のお膝元でこれだけ大規模な干渉をされて何もしないショタオジでは無い。
ここが魔界なら仕方ないだろうが、一応ここは深層──
それをここまで好き勝手されたら、どれだけ忙しくても対処に回るだろう。
「んー……何つーかカヲルニキはスゲェな。こんな面倒な事を毎度やってんのか」
「単純な殴り合いは好きですけど、皆様は頭脳労働嫌いですもんね」
「ギミックを解くのは好きだぞ?嫌いなのは、その為の手段を制限される事の方だ」
神話通りに討伐する事は物語の
それが深層に居る奴らの総意だと思う。
避けるのも面倒になってきたので、降り注ぐ羽根を結界で防いでいると、待機所となってる結界から一人の俺らがやって来た。
「セツニキ、人数必要そうなら手伝うよ~?」
「んー頼むわ。物理は使わずに〝ねばねばネット*1〟辺りで叩き落としてくれ。そうすりゃヒュドラの毒矢でトドメ刺せるから」
「了解。一旦戻るね~」
緩い雰囲気のまま待機所に戻ると、すぐにワラワラと俺らが出てきた。アイツらの為に足場となる結界を展開。維持に集中する。
「運命がなんぼのもんじゃーい!」
「山梨にも星祭にもそんなもんでビビる奴は居ねーぜ!」
「熱くなるのは良いが、アイテム以外は使うなよ~。セツニキ達の予想通りなら詰むからな」
『『『うぇ~い』』』
結界を駆け上がり、次々とアイテムを投げ付けていく俺ら。人数によるごり押しの効果は絶大で、ネットに引っ掛かった怪鳥が次々と落ちてくる。
「動けんからお前らに任せるわ」
コクリ、と二人が頷き、ヒュドラの毒を塗った矢を
何故か手に持って差し込むと反射されるので、たぶん道具を使って射撃する事が〝射撃属性〟に必要な概念なのだろう。
十分程で全ての怪鳥を始末する事に成功、それに伴って一仕事終えた俺達が待機所へ帰っていく。
残る試練はクレタ島の牡牛捕獲、ディオメデスの人食い馬退治、ヒッポリュテの帯強奪、ゲリュオン退治、黄金の林檎入手、ケルベロスの捕獲の六つ。
敵が得ている【完全耐性】は爆発、念動、地変、核熱、水撃、射撃。漸く半分か。先が長い。
「疲労は大丈夫か?」
「まだ何とかなりますが、次辺りで集中力が切れるかも知れません」
「アタシはまだ平気かな?ムラサキと違って簡単な仕事しかしてないし」
「じゃ、次は【
「「了解」」
二人の返事と共に無数の首を生やした牛?の様なモノが現れた。感じる霊格はすでに深層クラス。油断は出来ないが──それでも
前衛に飛び込んでヘイトを確保。そのタイミングで二人が疾風属性の〝檻〟を生成。後は二人が【ガルダイン】を連打して気絶させれば終了だ。
「ここまでは良い感じですけど……」
「まぁ、あちらもやられっぱなしのまま終わらないだろう。……ムラサキは一度撤退、全員に再度ギミックを説明して出撃する様に伝えてくれ」
「畏まりました」
【転移】で消えたムラサキから視線を外し、次の試練を構築中の魔法陣に目を向ける。
「ディオメデスの人喰い馬ねぇ。まず最初に暗殺者が送り込まれて来るんだっけ?」
「ああ。それを返り討ちにして馬をパクると、今度は軍勢を率いてやって来る」
「で、それを討伐して戻ってみると、世話を任せた従者が馬に喰われていて、キレたヘラクレスがディオメデスの死体を馬に食わせて終了。……これ、たぶん〝完全再現〟で来るよね?」
「敵の霊格はすでに三桁。第八の試練は〝軍勢〟で蹂躙出来る唯一の機会だからな。俺なら狙うぞ」
「だよねぇ~」
第九の試練も盗人ムーブから部族を相手にする試練だが、軍と呼ぶほどの規模では無い。
だから安心──って訳ではないが、第八よりは難易度が低いと思う。敵のレベルはたぶん百二十だけどな!
◇
俺らと相談した結果、この試練で使う属性は【氷結】と【重力】の二つに決まった。
理由は凄く単純で、一つの属性だと火力が足りないからだ。
「ふっふっふ!私の独壇場がついに来たな!」
自慢のアイスソードを素振りするジャンヌネキと共に、俺らも霊符から氷の剣を取り出す。
「間違っても物理スキルを撃つなよ。真面目に詰むぞ」
「ここから後四十レベルは上がるもんね……」
「持ってて良かった氷の剣!」
「クロケル様々やでぇ!」
「……来るよ!全員警戒!」
斥候型の俺らが叫ぶと同時に、片腕がやけに肥大化した様々な海洋生物?の様な人型が襲ってくる。
「ここに来てコラジン*2かー!お前らルルイエで寝てるんじゃないん!?」
「おっきしますた!」
『『『殺して寝かし付けてやんよ!!』』』
流石に修羅勢総出だとやる事が無いな。スキルを封じられたぐらいで修羅勢が戦えない訳も無く、氷の剣片手に〝暗殺者〟をサクサク切り捨てている。
「今の内に回復するか」
「本番はこの次だからねぇ」
オオマチと二人で水分補給も兼ねて霊薬を飲みながら観戦。序盤の攻防──いや、蹂躙が終わり、現れた気持ちの悪い馬に【マハグラダイン】を重ね掛けして捕獲。
神話の警戒も兼ねて擬人式神に世話を任せ、頭を切り替える。
「…………これはエグいな」
「本気で殺しに来てるね」
俺らの一団から少し離れているからこそ、現状を正確に把握出来た。警告は間に合わない。ならば、次善の手を打つ方にシフトする。
「オオマチとムラサキは俺らの回収を優先。俺はセリスとの合流を優先する」
そう指示を出した瞬間──オリュンポスが塗り替えられ、世界が
動き慣れない海中と言う環境。それに加え【強制転移】で各地に散らされた俺ら。さらには縛りプレイでこの試練を越える必要もある。……うん。
「これ運命に〝愛された〟んじゃなくて、運命に
あれか、俺らみたいなモブが
もしそうなら声を大にして言いたい。
日本以外でやってくれ。