【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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続きを書いてる時に色んな悪魔の神話を調べるんですが、サイトによって書かれてる事が違い過ぎてどれをソイツの能力にしようか何時も迷う。

ついでにキリスト教の神話もヤバい。どれが正解か作者には分からないので、皆さんも鵜呑みにしない様にご注意ください。


君の為に捧げる鎮魂歌

 

 クダ。〝管使い〟と呼ばれる行者に使役された憑依系の妖で、クダギツネとも呼ばれ、師から弟子へと引き継ぐ事も多い使役術の一つだ。クダに憑依された者は飲食を余りしなくなる代わりに生味噌を食べる様になるらしい。

 

 憑依系の妖というその性質上、一族が滅んだ時や自身の限界を越える量までクダギツネが増えて食い殺されたりすると、悪霊化して周囲に被害をもたらしてしまう。

 

 今回の場合はそれにプラスして長い間仕えた一族が滅んだ事による悲しみもありそうだが。

 

 そんな事を考えながら、クダを含むスダマやスライム、餓鬼やゾンビを焼き切る。レベル的に考えれば花月でも余裕で〝討滅〟出来る程度の異界だ。今更、俺が苦労する程度でも無い。

 

 だから──異界の最奥には三十分もしない内に着いた。

 

 

「許さぬ……!許さぬぞ……!我が豊穣の加護を受けておきながら!一族の庇護下で安寧を享受していた者達が!自身の神仏を守る為に我らを売り払った全てが!」

 

 

 黒く染まった毛並みから怒気を放つクダギツネ。──いや、すでに低位の稲荷神になっているだろう狐の妖が吼える。

 

 

「メシア教なぞに一族を売り払った奴等全てが憎い!憎い!にくいニクイ憎い憎い憎い憎い!」

 

 

 ゴウッ!という轟音と共に飛んできた【マハラギオン】クラスの権能の火炎を避ける。現実とゲームの齟齬なのか【ブフ】系では無い事に違和感を感じるな。たぶん野干(やかん)上がりのクダギツネだったのか、もしくは野干上がりの稲荷神なのか。

 

 祭神として野良狐を祀る話は良くあるし、後者が正解か。

 

 

「くそっ!何故当たらん!我には一族の復讐をする力すら無いのか!?くそっ!くそっ!くそっ!!」

 

 

 もはや狙いすら定まらず、ただ権能の火炎を俺が一秒前に居た場所に撒き散らすだけの稲荷神。それを哀れと思う事はしない。それは侮辱だからだ。

 

 

「何故だ!何故だ!何故だ!〝畏れ〟が足りぬのか!?ならば人里の人間共を食らえば良いのか!?そうすれば目障りな貴様を──」

 

「止めておけよ。お前は■■■の一族の〝尾狐様〟だろう?」

 

「──何故、その呼び方を……?」

 

 

 ピタリ、と止まった稲荷神の声には困惑が混じる。ここからはメガテン世界らしく【交渉】の時間だな。

 

 

「まず始めに言っておく。俺は〝流れ人〟だ。こことは違う世界で一生を過ごし、この世界に生を受けた」

 

 

 すでに滅んだ一族の事を知る四歳児という異常を分かりやすく伝える為に〝転生者〟である事をバラす。

 

 

「この世界に生まれる筈だった■■という奴と大学で同期でな?そのお陰でお前の事は聞いていた。……名前に聞き覚えはあるか?」

 

「……一族の次期当主が子供に付けようとしていた名だ。奴は私の事が見える程の霊力は無かったが、嫁の惚気と共に散々聞かされていたんだ。忘れる訳が無い」

 

 

 過去に想いを馳せる稲荷神をただ静かに待つ。長生きすると、過去の思い出は大切な物だから。

 

 

「済まぬな。待たせた。続きを話せ」

 

「転んで怪我をした時、父親や母親、一族の者達に良く言われていたらしい。怪我を綺麗に洗って消毒して、カットバンを貼っておけば〝尾狐様〟が治してくれるってな」

 

「馬鹿者……そんなの……治るのが当然では無いか……」

 

「本当にな。でも、アイツは大人になっても〝尾狐様〟の事を大切に思っていた。神社を継ぐ為に自らの進路を定めて、いずれ世界中の人間にその素晴らしさを教えてやると息巻いていたよ」

 

「そうか……そうか……!」

 

 

 この世界でアイツは生まれない。それはお互いにわかっている。それでも、声に混じる喜びと悲しみに無粋な言葉は要らない。

 

 

「そんなアンタが人里を襲ったら、俺はアイツの代わりにお前を〝討滅〟しなきゃいけない。だけど、我慢しろとも言わない。俺と共に来いよ〝尾狐様〟。奴等はいずれ滅ぶ。異界の主なら気付いていると思うが、竜脈の活性化はこれからどんどん酷くなる。それを遠目に眺めながら、祝杯をあげようぜ?」

 

「……それも良いかもしれんな。もはやこの地に私を祀る者はおらず、我が祟りを金に変える亡者のみ。奴等の利になるぐらいならば、遠く離れた地で滅び行く様を笑うのも悪くない」

 

「じゃ、これ*1にサインを宜しく」

 

「これで良いか?」

 

 

 自らの口で噛み切った腕の血を付け、契約書にポムっとサインする稲荷神。

 

 詳しく読み込まれる前に契約書を回収する。これをする事を当主に強いられてるんだ……!

 

 

「良し、契約書の有効化を確認した。どうする?霊符に閉まって運んでも良いが、自分で飛ぶか?」

 

「霊符で良い。この地を去るという決心を揺らがせたく無い」

 

「了解」

 

 

 式神等を収納する為の霊符に稲荷神様を入れる。ついでに周囲を守らせていたギンやムラサキ達も仕舞っていると、異界の崩壊が始まった。そこまで焦る必要も無いが、気持ち足早に歩いて異界を抜けると同時に、稲荷神の力で保っていた神社が完全に崩壊する。

 

 

「前世と今世は違う。頭では分かってるんだがな」

 

 

 崩壊した社の本殿跡地へと足を進め、床板を無理矢理剥がしていく。そこには確かに〝前世〟との繋がりが存在していた。

 

 

「貰ってくぜ■■。お前と俺との契約通りにな」

 

 

 お互いに何かあって、お互いの一族が御神体を蔑ろにした時、生き残った方が死んだ奴の魂を持っていく口約束(契約)。ここに残されているのは、一族が継承してきた〝魂〟と呼ぶべき物。

 

 それを白絹で包み、霊符に仕舞う。

 

 

「さて、帰るとしますか」

 

 

 秋田の名産と言えばあきたこまち。後は稲庭うどんやきりたんぽ、はたはたに横手焼きそば。十文字ラーメンや秋田かやき、あいがけ神代カレーだったか。

 

 日持ちしそうな土産は川口屋の金のバターもち、あきたロール、なまはげのおくりもの。もふどらやあんドーナツに漬物かあちゃん。

 

 今の時代にどれだけあるかは知らないが、【転移】の登録がてら探してみますかね。

 

 

 

 

 秋田名物を楽しみ、星祭に帰宅。社務所の居間に土産を出して自室へ向かうと、当主の分身が居た。

 

 

「や。待ってたよ」

 

「念話くれればこっちから向かったのに。取り敢えずこれ土産だ」

 

「お、きりたんぽ。有り難く貰っておくよ」

 

 

 軽く片手をあげて挨拶した当主にそのまま土産を渡し、控えていた巫女に御茶を頼む。

 

 そのまま当主が座ってる座卓の対面に座り、話を切り出す。

 

 

「で?何処までが仕込みだ?」

 

「筆頭巫女が君に頼るかは半々だったからそれ以外は全部かな?」

 

「まぁ、そうだろうな」

 

 

 明らかに俺以外にはただの異界討伐になるであろう今回の占術結果は、どう考えても後の驚異に成り得ない。

 

 それが分かれば、当主の仕込みも読める。

 

 

「一応、後々問題になる可能性はあったんだよ?未来の君はちゃんと割り切ってたけど、それでも凝りとなる問題だったし」

 

「怨みを溜め込んで稲荷神が人を襲い、大きくなった俺らの組織が討伐依頼を受けて、俺の知らぬ内に討伐された結果、俺が離反するとかそっちに繋がる可能性があった感じか」

 

「転生者達にとっては経験値やマッカを稼げる〝敵〟でしか無いからね。酷い言葉を吐く奴も居るだろうし」

 

「俺も他人の事情を気にして討伐なんてしないしな。お互い様だが我慢出来なかった未来もわかる」

 

 

 年齢を重ねれば思い出は美化される。それが夢を語り合った親友との思い出なら尚更。耐えきれず、かと言って相手に非がある訳でも無く、俺が選ぶとしたら離反だろうな。

 

 

「正直、君が居ない未来だと俺達は終末が来るまで全員で金策に走らなきゃ駄目っぽくてね?色々な対策に支障が出るから抜けられる訳には行かないんだ」

 

「安心しろ。骨を折って貰ったし、少なくともお前がゲームで遊べるまでは付き合ってやるさ」

 

「本当に頼むよ?最悪の未来だと本体が過労死して世界が終わるんだ」

 

「……え、ヤバすぎだろその未来」

 

 

 終末じゃなくて転生者に殺されてないか?それ。

 

 

「君が居ないとインターネットの普及が遅れたり、色々金が必要な時期にバブル崩壊したり、終末後まで辿り着けても山梨以外は全滅したり、かなりの確率で悪くなるよ、本気(マジ)で」

 

 

 その眼はマジだった。嘘偽りなくマジだった。

 

 

「そこまで聞くと良い方が聞きたくなるな」

 

「分身が過労死する程度で済むよ!」

 

「糞じゃねぇか!」

 

 

 なんだそれ!?良くてそれなのか!?えっ、マジでそれなのか!?

 

 

「いや、考えてもみてよ?すでに世界の覇権を握ってるメシア教の目を潜り抜けながら終末後の為に動くんだよ?大半の転生者達は素人だし、覚醒してても紐付きだったり、メシア憎しだったりが多くて組織としての運営はそりゃ大変になるよ」

 

「それは分かるが……」

 

「でも、良い方に転がれば終末後でも山梨は安泰だからね。頑張れば報われるなら頑張るしか無いでしょ」

 

「……そうだな」

 

 

 俺らは俺らの目的の為に頑張るだけか。

 

 それから暫く雑談を交わし、夕食時に分身が立ち上がったのを見て、もう一つの用事を思い出す。

 

 

「忘れてた。これ、異界の主の入った霊符と契約書、それに親友の一族の秘伝書や霊装の入った霊符だ」

 

「君が持っていても良いんだよ?」

 

「宝の持ち腐れだしな。尾狐様もクダギツネとして動くつもりの様だし、遺品はあげて、要らないのは未来の転生者に使わせてあげてくれ」

 

「オッケー。秘伝書は図書室に、他はクダギツネと相談して使わせて貰う」

 

 

 受け取った分身が【転移】で即座に消えた。それを数秒だけ見送り、脱いだ狩衣を巫女達に任せ、着替えを持って風呂へ。

 

 今日はアイツと二人で静かに飲むかな。

*1
ショタオジ謹製の契約書。ショタオジが術者の安全を最大限に確保している為、普通なら契約する悪魔が居る筈の無い悪魔の契約書




こんな事もあるよねってお話。

〝尾狐様〟はこの後に俺達に貰われたかも知れないし、魔獣寮で後輩を指導してる可能性もある。

作者は行き当たりばったりなので続きは未定という。

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