【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
予定は未定、良い言葉です。
だらだらした翌日。嫁達が各自の職場へ出勤、セリスも俺の霊格を落とさない為に異界へ悪魔狩りに向かい、意図せず式神遠征組と同じムーヴを決める事になった。
未だ体調が良いとは言えないが、部屋でだらだらしているのも飽きた。そんな訳で枕代わりに使っていたギンを連れて部屋を出る。
獣型の式神の多くは体のサイズを弄るスキルを持っており、ギンもその例に漏れず、今は小型犬のサイズだ。
奇しくも出会った時と同じ姿か。先に輪廻の輪に還ったご主人も鼻が高いだろうな。悪魔を殺した数を考えれば、たぶん世界的に見ても上位だし。
「わふー?」
「何でも無いぞ~」
立ち止まった俺を不思議そうな顔で見詰めてきたので、頭を乱暴に撫でてやる。嬉しそうに転がる姿はまさに飼い犬そのもの。
これでも俺と同じ三桁に乗った存在なんだけどな。
コイツ、元々は一般家庭の愛玩犬だぞ。神様に頭を下げさせる一般通過わんちゃんとか世界を探してもギンしか居ないだろ。
ちなみにギンの凄いところはまだまだある。
実はショタオジに持ち込まれた案件の一つに、世界中の犬系悪魔との交渉があった。
エジプトからはアヌビス、北欧神話からはフェンリルやスコル&ハティ。他にも大小様々な神話から話があり、ギンに加護を与えたいという申し込みがあったのだ。
対価として提示された条件はガイア連合にとって有益であり、ショタオジにどうする?と聞かれた俺は、そのまま横に居たギンに伝えたんだが……結果だけを言えば、ギンは世界中の犬系悪魔の高位分霊となった。
契約内容は然程酷い物では無い。死後の魂の権利はギンにあり、防諜の関係で加護を与えた犬系悪魔はギンの得た情報を何一つとして得られない。
代わりにギンが稼いだMAGの五割を分割して献上する感じだ。それでも俺より少し遅いぐらいで三桁に乗ったのだから、どれだけ悪魔を殺してるか想像が付くと思う。
まぁ、大量の加護を貰った所で使わないんだけどな。力速型に小手先の技は要らん。火力でごり押した方が強いし。
「わふぅ」
満足した様なので、撫でるのを辞めて旅館を進む。目的地は鍛練場。フィールドを好き勝手弄れる試運転用の鍛練場を借り、設定を草原に変えて中に入る。
「じゃ、満足するまで行ってこい。俺は木陰で休んでる」
「わんっ!」
元の姿に戻り、全力で走り出したギンの姿はすぐに見えなくなった。〝室内散歩〟というには青々と生い茂る草木の匂いが凄い。疑似太陽の暖かな日差しも心地好い。
宣言通り木陰に寝転がり、うとうと微睡む。前世では服の汚れを気にして出来なかった行為も、浄化さえあれば心配御無用。やっぱり
〝繋がり〟から送られてくるギンの楽しそうな感情に身を任せ、軽く目を閉じる。
三桁になっても、ギンは未だに出会った時のままだ。今でも全力で駆け回るのは楽しいらしい。
例え俺らと遜色の無い知能を持とうが、本能に負けるその気持ちは良く分かる。
俺らも超越者になって尚、色欲を押さえられないからな。
木漏れ日の暖かさに身を任せ、夢と現実を行き来していると、瞼を貫いていた木漏れ日を遮られた。
何事かと片目を開いて見れば、そこには俺らの姿が。
「起こしてごめんね。俺も散歩部屋を立てようとしたんだけど、すでに立ってたから合流しちゃった」
「別に挨拶抜きでも良かったのに。管理システムには〝散歩部屋〟で申請通したしな」
「いや、セツニキは色々実験してたりするからさ。邪魔になる様なら自分で立てようかとね?」
「あー……」
そういや何時もはこの間にも本を読んだり、術式弄ったりしてたな。
「日頃の行いが悪かったな、すまん」
「いやいや、セツニキが謝る事じゃないよ。それで、ヤマトを散歩させて平気?」
「おう。好きにしてくれ」
「ありがと。そんじゃ行ってこい!」
「Vow!」
黒く凛々しい犬神が格好いい発音で鳴き、草原を楽しそうに駆ける。それを眺めながらスマホを弄り、部屋の紹介文を変更。
散歩ついでに昼寝中。ご自由にどうぞ。
これで大丈夫だろう。たぶん。後は知らん。
「良し、俺はまた寝るぜ」
「お休み。早く良くなると良いね」
「んだな。じゃ、お休み」
再び木漏れ日の暖かさに身を任せて目を閉じる。たまにはこんな日があっても良いな。
◇
人工的に作り出された異界故に日が沈むという事は無いし、心地好い風が止まる事も無い。
そんな人に優しい草原では現在──
「弧線のプロフェッサー!」
「ネバーギブアップ!」
「掟破りの【ラスタキャンディ】!」
『『『それは狡くない!?』』』
突発的なプリティーダービーが開催されていた。
「目が覚めたらウマ娘の世界に転生していた。これはトレーナーになるしかないな」
「残念だけどメガテン世界です。俺もウマ娘の世界に転生したかった……!」
「夢ぐらい見させてっ!アチキ、この部屋から出たくないっ!」
「陸軍はその意見に全面的に同意する!」
辺りを見回せば、犬娘達がドッグレースを繰り広げ、ウマ娘達がダービーを開催し、猫娘達が丸くなっていた。
う~ん、流石は俺ら。獣耳の種類も豊富だ。
「ちなみにセツニキは誰推しなん?」
「赤マル*2だな。フラッシュ*3とダスカ*4とラモーヌ*5とアルダン*6とアヤベさん*7とヒシアマ姉さん*8も好きだが」
「この巨乳好きめ……!」
「でも気持ちは分かるでしょ?」
「うん。俺の嫁、スパクリ*9だし」
所詮は俺達よ。現地民からは崇められようとも、本質はオタクでしか無い。何で俺らが世界の未来を背負ってるんすかねぇ……?
「そういやずっと気になってたんだけど、ギンちゃんって擬人化しないの?セツニキなら【変化S】ぐらい余裕でしょ?」
「あれ?お前ら見た事無かったっけ?」
『『『えっ!?出来んの!?』』』
「出来るぞ?──おーい、ギン」
「わふ?」
『『『うおわっ!?』』』
軽く呼び掛けると、瞬間移動と大差ない速度でギンが現れる。三桁は伊達じゃないのだ。
これがオカルト由来の早さで良かったな。物理学に基づいた速度たったら今頃ミンチが量産されていたぜ。
「コイツらがお前の人型を見たいらしいんだわ。変身して貰って良いか?」
「わふ!」
ポンっとギンが人型に変わる。その姿は、星祭では良く見掛ける姿だった。
「あれ……?これがギンちゃんの人型?」
「えっ。でもこれって……」
「イワナガ様じゃ……?」
俺らが困惑するのも無理は無い。表情が人懐っこく、犬耳や尻尾が生えている事を除けば、その姿は正に武蔵改二と変わらないのだから。
「〝人化の術〟の方で変化してるんだが、練習に付き合ってくれたのがイワナガでな?その関係でこの姿なんだわ」
「まなぶのたいへんだった!でもがんばったんだぞ!」
えへん!と豊満な胸を張るギンに解いて良いぞと許可を出すと、即座に元の犬の姿に戻る。
そのまま他の犬神に誘われ、走り去っていくのを見送ると、去った事を確認した俺らが口を開いた。
「何というか想像以上に幼くてびっくりしたんだけど?」
「可愛いだろ?自慢の愛犬だぜ。あ、先に言っておくが手は出してないぞ。俺にとってギンは愛犬であって雌犬じゃないからな」
「えー……勿体無い」
「俺はその気持ち分かるわ。俺も使役してる犬神やクダは性欲解消の対象じゃないもん」
ここらへんの意識の差は黒札ごとに異なるだろうな。俺にとってギンは家族だが、嫁じゃない。ペットでも無いが。
「喧嘩する前に言っておくが、犬神に性欲の目を向ける俺らが悪いって訳でも無いからな?前世の関係で人間不信な奴も居るし、今世の愛犬しか味方が居なかった俺らも居る。俺も禊やショタオジと出会わなかったらギンにそういう目を向けたかも知れん。他人の性癖に難癖付けるぐらいならスルーしろよ?」
「大丈夫。俺らもガイア連合に長い事居るからね。暗黙の了解ぐらい理解してるよ」
「さよけ」
今の体調じゃ止めるに止められないからな。言葉で止まってくれて何よりだ。
「しっかし、ちょっと探ると闇が吹き出すよねぇ」
「大半は獣耳萌え!だけど油断すると出てくるよね」
「個人的に連合の三割ぐらいは前世か今世で闇持ちな気がするわ。ミナミィネキが闇持ちじゃない事にびっくりだけど」
「恵まれた容姿!能力もハイエンド!なのにエロいお姉さん!同人誌となろうが合体して最強にしか見えない」
「それな」
ミナミィネキは本当に何なんだろうな。前世も今世もハイスペック過ぎて人生に飽きた上位種か何かか?
霊能の根幹がサキュバスを始めとする色欲系の俺らを何人か見てきたが、どちらかと言うと性的な目で見られる事が苦痛で、地味めな変装してる奴の方が多かったんだが。
それからミナミィネキとの経験談(意味深)で盛り上がり、話の流れで話題は最新型の嫁式神の話に。
「ついに二重人格*10と全性癖対応型式神ボディ*11が完成したらしいよ」
「価格も凄いけどねー。二重人格は高級式神二体分、
「二重人格の方は俺ら側にも対応力を求められそうだな。どちらも同じ扱いしていると、いずれ一人に纏まりそうだ」
「あー確かに。上級者向けの高級式神になりそうだ」
「上級者向けの高級式神というパワーワード。言いたい事はわかるけども」
「それな」
ちなみにショタオジ抜きでも出来るらしい。もちろんエドニキを始めとする上位製造班以外は不可能に近いみたいだが。
「最初の頃は体毛再現すら難しかったのになぁ。俺らは一体何処まで行くのやら」
「ペーパークラフト時代から知ってると技術の進歩に驚くばかりですよ」
「ショタオジの美術2の一反木綿を忘れないでやってくれ。あれが原点だぞ」
「未だに上位製造班でも作れないヤツ!」
「素材的には大したモノ使ってないのにあの性能だからなぁ。セツニキでも無理なんだよね?」
「無理だな。あれってピコ単位で素材を使ってるから低ランク素材であの
ちなみに俺の一個上にはマイクロ単位で素材を扱える上位製造班が居る。
万能型は特化型に勝てないのだ。悲しいけど、これが現実なのよね。
「俺ら戦闘組には縁遠い話だわ」
「たぶん製造班も同じ感想だと思うぞ?だからオーダーメイド霊装作る時に聞き取り時間を多めに取ってるんだろうし」
「作るより望むモノを把握する方が難しいって知り合いに言われたのを思い出した」
「武器一つ取っても重心やグリップに使う素材、霊力の流れやすさや癖とか色々あるもんねぇ」
気が付けば、話題は嫁から最新の霊装へ。拘りは誰にでもある。熱くなりすぎない様にちょくちょく口を挟み、加熱する前に鎮めて行く。
力を封じられようとも、知識が劣化する訳では無い。
とはいえいざという時に止められる力が無いのだから、その〝いざ〟を起こさない為の努力はするべきだ。
やれやれ。俺も随分丸くなっちまったもんだぜ。昔はブイブイ言わせていたのにな!
◇
昨日の感想からAA雛森がAA愛染に助けられて、仕草や行動を真似ていった結果、AA愛染にTS変化して、AAメガネ無し愛染(本物)に『憧れは理解から一番遠い感情だよ(震え)』って言われる短編を思い付いたけど文字数が1000届かなくて公開出来ないという。
多分前前世はドッペルゲンガー。高級式神はもちろん藍染惣右介。
愛染(本物)愛染(ドッペルゲンガー)愛染(嫁式神)とか思い付いた時は一人で笑ったぜ!