【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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ここ三日ぐらい体調悪くてストックごっそり減ってしまった……。

感想に返信遅れてごめんよう


暁の地平線
暁の水平線に勝利を刻み込め!


 

 

 護衛艦かしまに乗り、真っ暗な太平洋を進む。隠形によって隠されたロボ部の軍艦を引き連れ、海を割いて進む姿は前世の記憶を刺激するな。残念ながら俺が大陸から帰った時に乗艦した〝鳳翔〟は居ないが。

 

 まぁ、大戦を駆け抜けた艦だ。ゆっくり眠れるなら、そっちの方が良いだろう。

 

 

「目標地点まで残り──」

 

「すでに悪魔が目撃されているエリアだ。各艦、報告を密に──」

 

 

 緊張した面持ちの自衛官達の報告をBGMに、今回の作戦の為に集まってくれた戦力の一覧表(データ)を眺める。

 

 

「思った以上に集まったな。術スレはともかく、俺達がこんなに出張るとは思わなかった」

 

「終末目前だし、少しでも強くなりたいんじゃない?」

 

「最低限の安全は確保したが、危険な事には変わりないんだがな」

 

「修羅勢が居るというだけで安心感があるのでしょう。私達は基本的に山梨だし、この人数が出てくる事も無いしね」

 

 

 隣で資料を眺めながらセリスと会話していると、今回の作戦の自衛隊側の責任者が俺の前に来て敬礼する。

 

 

「ご歓談中失礼します!目標地点まで残り1マイルとなりました!」

 

「了解。術式展開後、戦闘員は〝愛宕〟に乗艦してくれ。他は巻き込まれ無い様に後方で待機」

 

「ハッ!」

 

 

 一度だけ敬礼した後、部下へ指示を出す為に動き出す指揮官を見送り、甲板を目指して移動する。重い扉を開けると、そこには岩手支部の面々が勢揃いしていた。

 

 

「準備出来ているわ」

 

「じゃ、始めるか」

 

 

 リハーサルはすで終えている。術スレの総力を上げて完成させた〝新生・女王艦隊〟は、すでに愛宕ネキ達の艤装に突っ込んである。

 

 

 後は──実戦でテストするだけだ。

 

 

 海上に飛び降り、派手に水柱を巻き上げた愛宕ネキがかしまから距離を取る。それに続く様に艦娘嫁達が飛び降り、それぞれ配置に着いた。

 

 

「行きます」

 

 

 愛宕ネキを中心に淡い光を放つ霊力が広がって行く。それに付き従う様に複雑な術式が展開されて行き、暗い海上を昼間の様に照らす。

 

 完全に術式へ霊力が供給された事を確認した愛宕ネキがこちらをちらりと見たので、頷いて許可を出す。

 

 

「さぁ!日本を守る為に水底から目覚めなさい──!」

 

 

 愛宕、とそう呟いた瞬間、愛宕ネキの足元が爆発し、天へと水柱が立ち昇った。

 

 重力に負け、降り注ぐ海水。それが徐々に凍っていき、愛宕ネキを包む様に軍艦を形作って行く。

 

 時間にして五分程度だろうか。

 

 あんぐりと口を開けている自衛隊員の目の前で、氷の軍艦が着色されて行き──大日本帝國海軍所属の重巡洋艦〝愛宕〟が現れる。

 

 それに続く様に他の艦娘達も術式の展開を終え、一瞬で連合艦隊は完成する。この〝力〟が前世にあったらなぁ。

 

 

「成功だな。それじゃ準備できた奴から乗り込め」

 

 

『『『わぁい^^』』』

 

 

 大人しく梯子を登る者、悪魔を使って飛び乗る者。降ろされたクレーンに乗り込むのは自衛隊のデモニカ部隊か。お行儀が良い事で。

 

 かしまの艦長と共に手元のファイルを元に人数を数えて行き、漏れが無い事を確認したら、セリスを引き連れて俺達も〝愛宕〟に乗り移る。

 

 

「作戦終了時刻は現時点では不明。たぶん【転移】で帰るからお前らはこのまま帰還してくれ。海域に留まりたい気持ちは分かるが、巻き込まない自信は無い」

 

「……了解。不甲斐無いものですね」

 

 

 何も出来ない事を自嘲する様に呟く艦長に対して、昔ならともかく今の俺から掛ける言葉は無い。

 

 その代わりという訳では無いが、セリスが一度だけ鼻を鳴らした後、侮蔑する様に口を開いた。

 

 

「貴方はこの国の軍人なのでしょう?それならこの国を守る以外の思考は捨てなさいな。貴方が考えるべきは私達の命などでは無く、やがて迫りくる危機に対して何が出来るかよ」

 

「手厳しいですな」

 

「当然でしょう?部下の前で感情を出して良いのは素人だけよ。じゃないと部下が迷うじゃない」

 

 

 言いたいことは全て言ったらしく、セリスが艦内へ移動する。一度も振り向か無いその姿は、いっそ清々しいまでに〝軍人〟だった。

 

 

「悪いな」

 

「いえ。彼女の言は正しい。上に立つ者は迷いを見せてはならない。私も上官に口が酸っぱくなるまで言われましたよ」

 

「俺もだ」

 

 

 死ねと命じる側が迷いを見せてはならない。辛く、苦しき時でも余裕を見せなければならない。

 

 上に立つ者が迷えば、部下は何を道しるべに戦い続ければ良い?兵士が勝利を信じられなければ、決して勝利のニ文字は得られない。

 

 誰もが敗戦する事を理解していた時、それでも上官が勝利を信じて戦えと命じていたのは、教えに忠実だったからだ。決して戦況の見えない阿呆だった訳じゃない。……敗者が何を叫んでも負け犬の遠吠えか。

 

 

「余り気にするなよ。ガイア連合は素人ばかりだし、国防意識の無い集団だ。使い潰して未来の為の戦力を温存出来たとでも思えば良い」

 

「未だ半信半疑ですが、私達と黒札の皆様には竹槍と最新兵器程の差があるのでは無いのですか?」

 

「メンテ無しで十年、二十年先まで最新兵器が故障無く動くと思うか?もちろん再生産は出来ないぞ」

 

「……成る程。いずれ竹槍だけになるのですね」

 

「今から努力すれば鉄製の槍ぐらいにはなるだろ。俺らに頼りっきりになるなら竹槍で戦う事になるだろうがな」

 

 

 言いたいことは言ったので、足を動かして〝愛宕〟に乗り込む。船内は未だに氷──では無く、着色されて鉄の船だ。尤も、何処か違和感を感じる鉄色だが。

 

 

「遅かったわね」

 

「責任者と話してた」

 

 

 〝愛宕〟の艦橋に入ると、すでに大半の席が埋まっていた。艦長席に座っている愛宕ネキと言葉を交わし、俺の()()の席に座る。

 

 

「術式って凄いわね。ここまでの事が出来るとは思わなかったわ」

 

「この術式に関しては俺らの悪ノリに加えてショタオジの手が入ってるからな。流石に術スレだけじゃもう少し劣化したぞ」

 

「劣化ねぇ……()の数が半分とかそんな感じ?」

 

「術スレの中堅が組み上げたらそんぐらいだな。ついでに術式強度の関係で蓄積出来るMAGも減ると思う」

 

「厳しいわね。〝核〟となる術者へのペナルティに加えてでしょ?」

 

「当然。ある意味で霊装みたいなもんだからな、コレ」

 

 

 〝真・女王艦隊〟は錬金術や水上航行等の複数の術式を好きなだけ突っ込み、そこから添削していって何とか大規模術式まで落とし込んだ頭の悪い消耗を複数人で負担する事を前提とした術式だ。

 

 仕組みとしてはそこまで難しい事はしていない。まず〝核〟となる人間が術式を発動する。

 

 この船の場合は愛宕ネキだな。彼女の持つ保有霊力の半分を支払い、船体を構成。術式に設定しておいた術式発動中は支払った霊力が回復しないという代償を背負う代わりに、自然回復する霊力を全て船体の維持に回す事で、それ以上の消費を避けている。

 

 戦闘中の不確定な消費よりも、確定している代償を選んだ形だ。これによって術者は戦闘中に被弾箇所の補修に意識を割く必要がなくなり、操縦だけに集中出来る仕組みとなっている。

 

 流石に素人にそこまでの無茶振りは出来ないしな。

 

 続いて支払った霊力、術式の精度に応じて自動生成される〝席〟の話に移る。

 

 確定で作られる席は二席だ。これ以下の量の霊力しか支払えないなら〝安全弁(リミッター)〟が発動し、そもそも術式が発動しない様になっている。

 

 生成される席の役割は多岐に渡るが、基本的に座った人間によって船の性能が変わる、ソシャゲで言えばパーティー編成の様な物だと思って間違いない。

 

 例えば〝レーダー〟の席なら、斥候系の俺らを置いておけば良い。そうすれば【デビルサーチ】や【アナライズ】の性能が上がる。

 

 船を守るなら〝装甲〟の席に置く人間が大切だな。弱点属性も引き継ぐので、〝核〟となった人間との相性も大切だが。

 

 〝武装〟の席は少し特殊で〝主砲〟〝副砲〟〝魚雷〟〝広角砲〟等、種類だけなら他の席を遥かに越える種類がある。とは言っても限度はあるので、駆逐艦に大和砲は乗せられないし、大和型に魚雷を積む意味も余り無い。

 

 ここらへんはミリオタな俺達が拘ったので、種類だけは無駄に細かく設定されている。概念的にも都合は良かったが、ハッキリ言えば面倒だった。

 

 後は〝燃料〟〝機関部〟の席か。前者は武装や装甲の修復に使う燃料タンクの役割を担う席となっており、後者は生成した船の速度に影響する。

 

 ロボ部の浪漫船も良いが、オカルト船は性能を簡単に上げられるのが利点だな。欠点はもちろん高位霊能者が居なければ、漁船どころかアヒル船程度まで性能が落ちる事だろう。

 

 レベル十の霊能者がこの術式を使うこと自体、自殺行為な気もするが。

 

 

レベル五十()で重巡洋艦だし、大和クラスを持ってくるには最低八十は必要そうね」

 

「いや、オカルト船は見た目あんまり関係無いぞ?」

 

「え、そうなの?」

 

 

 意外そうな顔で聞き返す愛宕ネキに対して、霊力で分かりやすい様に図を描く。

 

 

「オカルト船の見た目は好き勝手弄れるからな。レベル二十程度の大和型とか作れるし、レベル百オーバーの護衛艦も作れるぞ。今回は〝真・女王艦隊〟をスキルカード化して愛宕ネキの艤装に突っ込んだから、縁や名前に引っ張られて〝愛宕〟の姿になっただけだ」

 

「だから扶桑の船が〝戦艦扶桑〟になったのね」

 

「おう。ついでに言えば、名前に引っ張られる事を利用して()()()()も作れる訳だ。」

 

 

 自衛隊がコツコツ改造したデモニカの改良を術式で再現した(パクった)事により、他の軍艦と戦術リンクが可能となった艦橋のモニター*1に映る一隻の船。

 

 ガンダムSEED好きなら一発で分かるであろうそれは、誰がどう見てもアークエンジェル(足付き)だった。

*1
全て霊力で構成されている上に通信も霊力。なので見た目以外はファンタジー。

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