【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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暁の水平線に勝利を刻み込め!10

 

 

「セツニキ?」

 

「………………全部面倒になったなぁ」

 

 

 ショタオジと出会い、今日に至るまで。俺は頑張ったと思うんだ。

 

 黒札を集める為にネットの普及を頑張ったり、組織の資金集めの為に奔走したり、終末対策としてショタオジをフリーにする為に俺らを鍛えたり、終末後を想定して磐長の秘術をばら蒔いたり。

 

 メシア教の糞みたいな実験の後始末したり、後始末したり、後始末したり、後始末したり、後始末したり。

 

 頑張ったと思うんだよな、俺。

 

 煙草を取り出し、火を着ける。火薬満載の軍艦は原則的に火気厳禁は当然で、煙草なんて持っての他だ。

 

 

 でも知らねぇ。俺がルールだ。

 

 

「これはちょっと不味いわねぇ。セツニキが軽くキレてるわん」

 

「ここが星祭(俺ら)の船で良かったね。他の黒札やゲストだったら下手すれば死んでたよ」

 

「それなー」

 

 

 周囲で堂々と喋る俺らの話をBGMに、レベリングの引率役の思考から()()()としての思考に切り替える。

 

 

「英語、学んで損したの初めてだわ。出来れば聞きとう無かった」

 

「悪魔言語ついでに【言語学】が生えるぐらいにはスパルタで仕込まれたからなー」

 

「古参の殆どはマルチリンガル*1だからなー」

 

「海外の書物を原文で読む必要もあるからねー」

 

 

 考えるべきは、過激派の行動に対してどう動くのか、だな。〝友人〟が洗脳されている可能性もあるが、情報が情報だけに警戒しておくに越したことは無い。

 

 

「取り敢ずセツニキが考えてる間に俺らは本来の仕事でもしておく?頭脳労働は苦手だし」

 

「だなぁ。所詮、俺らはセツニキ達上層部の駒よ」

 

「命令には従順!ムカついたら反乱するけどな!」

 

 

『『『それな!』』』

 

 

「使いやすいような使いにくいような微妙なライン」

 

高位霊能者(三桁)の人間が使いやすい方が問題じゃな~い?」

 

「それもそうか」

 

 

 俺らを狙って核が降ってくるとして──迎撃は余裕か。修羅勢も揃ってるし、新潟のロボ部も居る。最悪、死んだとしてもクロネキの【サマリカーム】で対処出来る範囲だろう。

 

 放射能汚染に関しても問題無い。【フレイ】系統を鍛練するついでに除染術式は作ってある。というか、オカルト的に対処するなら毒の範疇だ。

 

 【ポズムディ】やディスポイズンの効能を放射能汚染に特化させるだけで済む。

 

 

「うっは。あれ何処の所属だよ。あれディスアストラナガン*2だよね?」

 

「ディスアストラナガンのディス・レヴは仕組み的に負の無限力を輪廻転生させて、その時に発生した正のエネルギーを動力として機関を動かす機体だからね。メガテンとの相性はバッチリですよ」

 

「詳しいな。もしかしてロボ部?」

 

「いや、ホビー部の模型愛好会*3所属だよ。詳しい理由は初めて買ったロボゲーがα*4だから」

 

「納得。俺はジージェネだったなぁ」

 

「初代AC」

 

「ヒーロー戦記はロボゲーに入る?」

 

「微妙……」

 

「駄目か~」

 

 

 オカルト方面から考えると、厄介としか言いようが無い。過激派のここ最近の動きから考えて、間違いなく脳ミソ入り大天使降臨プログラム付きだろう。

 

 問題なのは、ここが属性的に〝クトゥルフ〟だと言う事だ。大天使とクトゥルフの悪魔合体が擬似的に発生した場合、出てくる悪魔の予想が付かない。

 

 下手すりゃ四文字か旧支配者クラスが出てくるか?──いや、ショタオジの占術では()()終末は来ない。って事は、まだ対処出来る範囲の筈──だ。

 

 

「全門砲……撃てっ──ッ!!」

 

「ひゅー♪流石は双子ニキだな!」

 

「火炎、氷結、衝撃、大地、雷撃、水擊の六属性ビーム!」

 

「万能属性じゃなくて全属性なのはバグだよねぇ」

 

「そのせいで吸収されたり、反射されてるけどねぇ」

 

「他の艦から通信入ってるけど、どうする?」

 

「称賛だと思う?」

 

「100%文句かな?」

 

「それじゃ無視で」

 

「りょ」

 

「それで良いのか通信士」

 

「かぁー!俺は一介の通信士だからなぁ!艦長には逆らえないんだよなぁ!つれーわ!」

 

「一発だけなら誤射されても文句言えんなぁ」

 

「そんな事言うと──飛んできたわねぇ」

 

 

 地脈の属性は大体〝LAW〟〝DARK〟〝クトゥルフ〟〝海〟の四つ。色的に出てくるのはクトゥルフ系統の可能性が高い。

 

 大天使側が現れるとしたらノアの方舟系統か?グリゴリからシェムハザ、バラキエル、ラミエル。その子供のネフィリムも有り得るし、クトゥルフと混ざりあった事を伝承の〝人間の女と交わった〟と見立てられれば、四大天使側が飛んで来ても可笑しくない。

 

 

「まるでババ抜きで引く札が全部JOKERみたいな状況だな。ロクな未来が見えねぇ」

 

 

 吸いきった煙草を携帯灰皿に突っ込み、二本目に火を着ける。使いたくない頭を動かすと、煙草の本数が増える増える。

 

 横で待機しているセリスが何か言いたそうな視線を向けてくるが許してくれ。俺は疲れてるんだ。

 

 

「逆に考えれば良くない?」

 

「逆?」

 

「小物が全部纏まって、大型一匹になるって考えれば、過激派のちょっかいもそう悪いもんじゃないと思うよ?俺らがちょっと暴れれば良いだけだし」

 

「…………ふむ」

 

 

 そう考えるなら悪い状況でも……無いのか?

 

 修羅勢なら【狂気耐性】はある。海中に湧く細かい悪魔も纏まってくれるなら、ハルトニキ達の説得は難しくない。むしろそっちの方を推奨するだろう。問題なのは……

 

 

「他の黒札達はどう動くと思う?」

 

「今回の異界攻略の足切りラインは三十だし、命知らずは無茶してすでにリタイアしてるでしょ?善良な人が多いし、普通に受け入れてくれると思うよ?」

 

「セツニキは未だに『マヨヒガ』の時の印象が強いんじゃないかな。あの時の俺達は控えめに言っても糞だったし」

 

「ギミック軽視が酷かったよねぇ。脳死で何とかなるならセツニキが片付けてるっていうのに」

 

 

『『『それな!』』』

 

 

 マヨヒガの記憶か。確かに二度と俺達の指揮なんてしねぇと思うぐらいには面倒だったな。

 

 

「ん、司令部から全艦に帰還命令来たわ。どーする?艦長」

 

「帰還で。手柄を焦る必要も無いし、明日以降の会議する必要あるしね。時間は多い方が良いでしょ」

 

「りょーかい。ついでにハルトニキに帰還後のアポ入れておくわ」

 

「頼むわ」

 

 

 今夜は寝れそうにないな。忙しくなりそうだ。

 

 

 

 

「────って事で、明日からの作戦を変更したい」

 

「…………核が降ってくるってマジ?」

 

「マジ」

 

 

 オフモードのハルトニキが唖然とした表情で問い返してきたので、真面目な顔して頷いてやる。

 

 

「いや、まぁガイア連合として大きく動いてるし、その可能性を考えなかったと言えば嘘になるけどさー」

 

「そうなのか?」

 

「僕もハルトニキも今回の異界攻略を過激派がそこまで重要視するとは考えて無かったんだよね。アメリカへの補給路とはいえ大陸に集中すると思ってたし、別にここ以外にも地脈はあるし」

 

 

 俺の疑問に答えてくれたのはヤンニキだ。俺としてもその考え方に間違いは無いと思うが……原因はたぶん、

 

 

「狩人ニキだろうな」

 

「狩人ニキ?友人を助ける為にアメリカへ単身で渡米して活躍してるあの人?」

 

「そう。過激派を俺らの想像以上の速度で潰してるんだろう。そのせいで黒札自体に危機感を抱いて──」

 

「纏まってるこの機会に叩こうと考えたって理由か」

 

 

 ハルトニキにコクりと頷く。正直言えば、俺の悪名や星祭の影響もありそうだが。いや、新潟支部も派手にやったんだったか?

 

 なんてこった。過激派の怨みを買いまくってる奴等が集まってんじゃねぇか。そら核を撃ち込むわ。

 

 

「取り敢えず、現段階で確定してるのは明日から修羅勢以外は参戦不可。異界の対処は修羅勢だけで行うって事で良い?」

 

「おう。せっかく参加してくれてる奴等には悪いが、核に耐えられない奴は危険だしな」

 

「じゃ、黒札への説明と報酬の支払いみたいな細かい指示出しは僕がやっておくよ。二人は明日以降の詳細を詰めておいてね」

 

「了解。……って言っても、作戦なんて殆ど〝高度な柔軟性で臨機応変に対応〟になるぞ?」

 

「敵が不明だしね」

 

「それでも打ち合わせ無しにぶつかるよりマシさ」

 

「さよけ」

 

 

 雑事を引き受けてくれたヤンニキを見送り、長丁場に備えてインスタントコーヒーを二つ購入。ハルトニキの前に置いた後、自分の席でもう一つのコーヒーに口を付ける。

 

 

「現状だと何時飛んでくるのか不明。その結果、何が起こるかも不明。これで作戦を立てろって結構な無茶を言うね」

 

「前者の文句は過激派に言ってくれ。後者に関しては何とかする」

 

「出来るの?」

 

「核が何時飛んでくるか分からんのが痛いが、降ってくる事を前提として術式を海底に仕込み、地脈を弄るぐらいは出来るからな」

 

 

 大きな属性は弄れないが、細かい追加ぐらいはたぶん出来る。例えば──雑魚悪魔を()()()様に仕向けるぐらいなら可能だ。

 

 

「流石はガイア連合でも有数の術者と言うべきかな?」

 

「ショタオジが居たら焼いて終わるからなぁ。何も誇れねぇよ」

 

「それを言ったら終わりじゃない?俺も戦略をどれだけ考えても力押しで破られてるし」

 

 

 お互いにショタオジ戦を経験してる身なので、ショタオジの理不尽さは良く知っている。近接型だろうが軍略型だろうが一切合切気にしないその強さは、正直加減しろと言いたい。絶対ショタオジの根幹は四文字だろ。じゃないと、あの全方位に才能がある事に説明が付かねぇ。

 

 清い身体だしな。清い身体(童貞)だしな!

 

 

「話を戻そうか。敵の種類は不明で良いとして、霊格の予測は付いてるの?」

 

「異界のMAG貯蔵量的に百二十ぐらいだと思う。これに核によって追加される属性が加わって現界する形だな」

 

 

 百二十程度で収まったのは、百以降の成長に必要MAGが桁違いだからだ。星祭の連中を見れば分かると思うが、三桁以降は全く上がらねぇ。現状だと、百二十を越えているのは〝愛され勢〟と〝真修羅勢〟だけだ。

 

 

「百二十かー……俺達も修羅勢と呼ばれるレベルだけど、七十程度じゃ足手まといになりそうだね」

 

「戦場自体は俺らで作る予定だが、ハルトニキ達には後方から艦砲射撃を頼みたい。地脈の上に陣取られてるし、再生力は〝クトゥルフ(属性)〟のせいで凄そうだからな」

 

「大丈夫?たぶん誤射しまくるよ?」

 

「魔眼の一つに【必中の魔眼】があるから大丈夫だろ。むしろ問題なのは殺しきれるかの方が問題だ」

 

「三桁のクトゥルフか大天使だもんねぇ」

 

 

 ボスに回復や自動再生を持たせるのは止めろと、この世界に何度言えば分かるんだ……!

 

 現実となった世界で、天使が【ディアラハン】使えない方が不思議だがな!

 

 

「ただのレベリングツアーのつもりだったのになぁ。何でこんな事になったのやら」

 

 

 溜め息と共に愚痴を吐き出したハルトニキに対して、俺には掛ける言葉が何一つとして見付からなかった。

 

 

 

*1
3カ国語以上話せる人間はマルチリンガル(多言語)と呼ばれるらしい。

*2
スパロボに出てくる機体の一つ。必殺技はアイン・オフ・オウル。文字通り全ての世界から存在を抹消され、比喩ではなく虚空の彼方へと消え去ることになるらしい。平行世界すら許さないとか流石フラスコ世界。

*3
リアルでもお馴染みのプラモ等を制作する俺達の集まり。ホビー部の一派で、系統としてはカスタムロボと同じ。

*4
スーパーロボット大戦αの略。

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