【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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暑さにやられてる間にストックが無くなったので、感想返しするより先に書いてるぜ!

後もうちょっとで完結だから頑張るわ……!


暁の水平線に勝利を刻み込め!11

 

 

「セツニキってさ。コツコツ計画立案しても毎回イレギュラーに台無しにされてるよね」

 

 

 異界攻略三日目。ガイア連合が誇る占術師達の力により、絶対に()()()()()()と断言されている唯一の日。

 

 未だ異界の中で〝ダゴン〟を足止めしているシエラ婆に作戦の変更を伝えるのと合わせて、地脈に術式を仕込む為の船の中で、双子ニキ(兄)がポツリと呟いた。

 

 

「確かにそうですね。ガイア連合も当初の予定とは大幅に担っている役割が違いますし」

 

「やっぱり探究ネキもそう思う?」

 

「ええ。セツニキは常に最悪を想定してるから何とかなってますが、普通の人間だったら何度か〝詰み〟ましたよね?」

 

「マヨヒガとかヤバかったよねー」

 

「あーあれは確かに詰みそうだったね」

 

 

 術に深い見識のある修羅勢達が楽しそうに過去の話で盛り上がり始める。そんな空気に水を差すつもりは無いが、一言だけ言わせて欲しい。

 

 

「本来なら過激派(テロ組織)への対処も、核に対する備えも、個人じゃなくて国で対処する案件なんだが?」

 

 

 子飼いのスパイはたくさんバラ撒いていたし、政府の伝から情報も貰っていた。だが半終末に突入した時期に使える奴等は全て日本に回収してしまった。

 

 そのせいで海外からの情報は途切れがちだし、今回の様にメシア教への対処も後手に回ってしまう。半終末前なら子飼いに強襲させて止められたんだが。

 

 

「国で対処する案件……」

 

「根願寺に頼んでみる?たぶん止められないけど!」

 

「止められるならガイア連合は謎の強者ポジションのままでしたね。残念ながらそんな未来は無かったですけど!」

 

 

『『『それな!』』』

 

 

 一体どこでこんな糞みたいなルートに入ってしまったのやら。

 

 

「お、そろそろ異界が見えてきたよ」

 

「じゃ、昔ながらの方法で連絡取るか」

 

「え、普通にスマホで連絡取るんじゃないの?」

 

「戦闘中にスマホは取れんだろ」

 

 

 いや、取ろうと思えば取れるだろうが。ただ〝ダゴン〟の強さによってはシエラ婆が死ぬ可能性がある。たかが伝達でそんな危険は犯せん。

 

 船の甲板に出て、わざわざ持ち込んだ大型の弓を構える。矢の先には式神を括り付けてあるので、これで通話する予定だ。それに目敏く気付いた術スレの黒札が口を挟む。

 

 

「前時代的ィ!」

 

「まぁ、援護射撃も出来るから理には適ってるんだろうけども」

 

「甘いな。お前らは矢文を舐めてるぜ」

 

「その心は?」

 

「光の速さで射抜けば光回線は超えられるだろう?」

 

「力技過ぎるッッッ!!」

 

「まぁ、今の俺だとそこまでの力は無いんだが」

 

 

 引き絞った弦を離し、すでに補充されていた悪魔の間を通して異界へ撃ち込む。矢を通して手応えなんて分からないので、大人しく霊符をばら撒いて式神と【念話】を繋いだ。

 

 

『シエラ婆。今、大丈夫か?』

 

『む?セツニキか?何か事件でもあったかえ?』

 

『実は──』

 

 

 簡単に現状を説明すると、返ってきたのは呆れ声だった。

 

 

『セツニキが作戦立てると毎度イレギュラーに邪魔されるのう』

 

『それ他の俺らにも言われたわ』

 

『そうじゃろうなぁ。何と言うか、そういう星の下に生まれたとしか言えん』

 

『誠に遺憾なんだが?』

 

 

 とはいえ、たぶんこの世界で一番勇者に計画を邪魔される魔王の気持ちが良く分かる人間は俺だと思う。

 

 

『カッカッカ。そのお陰で我らは楽しい日々よ。ところでワシはこのまま足止めで良いのかえ?』

 

『占術に寄ると、今日は0%、明日は10%、明後日に30%、明々後日に80%の確率で降ってくるらしいんだ。それに合わせて〝ダゴン〟を起点に悪魔を全部纏めてレイド戦にするつもりだから、それまでの間は頼む』

 

『了解じゃ。ではまたの〜』

 

 

 自信に満ち溢れた返事と共に【念話】を切られる。変わらねぇな。シエラ婆も。

 

 

「それじゃ私達も地脈弄りに行きますか。雑魚は蛮ニキ任せで良いんですよね?」

 

「おう。領域で纏めて毒沼に沈めてもらうつもりだ」

 

「容赦無いですねぇ」

 

 

 納得と呆れ混じりの探究ネキに肩を竦める。修羅勢だけなら取れる手段は無数にあるのだ。ここは建物やら気にしなくて良いし。

 

 

 

 

 蛮ニキが無限湧きする悪魔達を虐殺している間に〝仕込み〟は終わった。基本は多神連合や難民を押し込める為にショタオジ主導で作成した人工島を踏襲する予定だ。

 

 海底火山に干渉して噴火させ、新たな日本の領土を生み出す。これが平時なら大問題だったろうが、何処の国も半終末に突入した時点で、悲しいかな、そんな()()()()を気にする余裕なんて無い。まぁ、そもそも結界で隠すつもりだし、衛星じゃ捕捉出来ないんだが。

 

 ちなみにこれは海中の悪魔対策でもある。海中が厄介なら無くせば良いじゃない!という至極当然の考えをベースにした修羅勢らしい力技を振るう訳だ。

 

 その際に発生する責任は全てメシア教に押し付ける。アイツらが核なんて撃ち込まなきゃ問題無かったしな。

 

 懸念は空にばら蒔かれる火山灰と、新たに追加される〝火山〟の属性か。ただでさえ読みきれない合体後の悪魔がどうなるのか、さらに読めなくなるが……仕方無し。こちらが望むメリットを得る以上、望まないデメリットを背負うのが〝戦い〟という物だ。

 

 

「実際、対処法は用意してあるんですか?別にぶっつけ本番でも構わないですけど」

 

 

 明日以降に備えるという理由もあり、早めに帰還した南鳥島に何故かあったメイド喫茶へ探究ネキと二人で突撃。

 

 雑談をメインにここ最近の近況を話しつつ珈琲を味わっていると、話題は流れ流れて明日の作戦になった。

 

 

「俺の煙々羅(所持悪魔)は便利でな?〝煙〟なら全て吸収して自分を構成する肉体に出来るんだよ。今回はそれで解決するつもりだ」

 

「今のセツニキのMAGで足ります?というか反乱されません?」

 

「反乱するならこの機会に処分だな。俺が生きてる内は良いが、少し強くなりすぎた」

 

 

 煙々羅に思うところは無い。賢いし、現状は勝ち組に居るので裏切る事も無いだろう。だがそれとは別として、いざという時の〝覚悟〟と〝備え〟は必要だ。それが悪魔を使役する悪魔召喚士(デビルサマナー)になる為に必要な事でもある。

 

 COMPも便利なんだけどな。煙草一つで召喚出来る煙々羅や霊符で呼べる式神とは違い、いちいち操作するのが面倒だ。

 

 契約を交わすのも召喚士では無くCOMPなので、破壊されたら縛りも解けるし。

 

 現状だとCOMPユーザーのフリしてCOMPを狙わせるぐらいしか使い道が無い。それが修羅勢所属の悪魔召喚士(デビルサマナー)の見解となる。

 

 

「今どれくらいなんです?」

 

「九十九でカンストした。ここから先へ行くには本霊の霊格が足りん感じだな」

 

「ほうほう。本霊核は奪わないので?セツニキなら余裕でしょう」

 

「煙々羅にも聞いてみたが興味無いらしいぞ?というか、下界を満喫出来ないから出世したくないそうだ」

 

「何という日本人思考」

 

 

 責任を負いたくないという気持ちは良く分かる。社長になるよりも、そこそこの地位で有給消化出来る地位の方が人生を楽しめる。

 

 酒も女も知らず、仕事に追われる日々なんて御免なのは悪魔も変わらないらしい。

 

 

「ムラサキ達も三桁に乗ってから俺の霊格維持分以外は本霊に献上してるし、俺の体調が戻るまで終末までの最後の休暇のつもりだった──んだけどなぁ」

 

「レベリングツアーから一転、過激派のちょっかいによって高難易度異界攻略に早変わり!……セツニキは持ってますねぇ」

 

「ちょっと叩いて時間稼ぎの予定がどうしてこうなった」

 

 

 今回は異界攻略出来れば良いな、程度だった筈だ。だからこそゲストや黒札達のレベリングのつもりで連れてきていたし、最初から修羅勢を投入しなかった。

 

 それが気付けば放置したら過激派擁護派の大天使か、高位クトゥルフとか言う悪夢の生まれる地となり、最低でも呼び出された物の処理まで山梨に戻る事は不可能となった。というか、放置したら間違いなく終末案件になるだろう。

 

 

「まぁ、私も他人事では無いですし、力を貸しますから。頑張りましょう?」

 

「そういや蓬莱島*1もこの近くだったか」

 

「ええ。なのでクトゥルフに汚染されるのは困るんですよ。現状だと対天使に特化させて地脈浄化してますし」

 

「龍脈ニキ*2の力を借りるのは?」

 

「龍脈ニキは山梨から出せないでしょう。ショタオジが死にます」

 

「……俺らがショタオジの抱えていた仕事の幾つか代わりに請け負ってるのに、何で未だに過労死するんだろうな」

 

「請け負って空いた時間に別の仕事が詰め込まれてますからねぇ」

 

 

 同じタイミングで少し冷めた珈琲で喉を潤し、一息つく。昔と比べると、珈琲豆の質は下がってしまった。日本以外は悪魔が闊歩する半終末だから仕方ないとはいえ残念だ。

 

 

「まぁ、Xデーまでの辛抱なのでは?本人もゲームの為に頑張ってますし」

 

「未来予知の権能なんて無いが、アイツは終末後も過労死する気がしてるぞ」

 

「奇遇ですね。私もです」

 

 

 ターミナルの追加設置を求める声は間違いなく上がる。それが終わったとしても、空いた時間に誰かの式神()作りに追われそうなんだよな。

 

 誰かの式神を作り続ける余生にならないと良いが。

 

 

 

 

*1
緋咲虚徹様によると、南鳥島よりさらに東にあるらしい。

*2
ねこinu様作 なろう系俺達 より。山梨の地脈と中層の管理人らしい。

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