【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
「多神連合に撤退勧告しておく?」
「危なくなったら自分の判断で逃げるだろ」
そこまでしてやる義理も無い。ぶっちゃけ、魂を持ち逃げしようとする潜在的な敵だしな。
「それじゃギミック看破するまでは耐久戦しますか──」
「グリゴリに高濃度MAG反応!クラス──バリオン!?」
どれだけふざけた存在でも、敵が高位堕天使である事に変わりは無い。【強制妊娠】とか言う名の警戒するしか無いスキルに意識を割いてる都合上、どうしても発生してしまう〝隙〟を堕天使は容赦なく突いてきた。
「良いねぇ〜♪こんな高位霊能者に囲まれたら、オジサンの息子も興奮しちまうよッ!──ウッ!……ふぅ」
「くっそッ!存在自体が汚ねぇ!」
触手から放たれた【ハマバリオン】が広範囲に飛び散り、世界を汚す。心做しかイカ臭く、粘着質なMAGなせいで、俺達の回避も普段より大きい。
「おいおい。逃げるなんて酷いじゃないか」
「ちっ!存在自体が汚い割にやけに手慣れてやがるッ!」
「当然だろ?俺は
腰を振って触手を動かしながら右手の人差し指を俺らに向け、魔法を放つ。放たれたのは──【真理の雷*1】か。
「【切り払い】!──【モータルジハード】!」
「無駄だッ!今の俺は
両手を後頭部に回し、無駄に肉体を見せびらかしながら俺らのスキルをその身で受ける。だが本人の宣言通り、身体には一切傷つかなかった。
「
「あいよ!」
弟の方が甲板から飛び降り、一番近くの天使にボウガンを撃ち込む。俺程度では普通に撃ち込んだ様に見えるその攻撃は、確かにガラスを割る音と共に敵のギミックを砕いた。
そこへグラ爺が即座に仕留めに向かう。振るわれたハルバードに真っ二つに割られ、地に落ちる堕天使。しかし即座にMAGが纏わりついて切断面を接合、再び動き始めた。
「どうだ!?」
「〝無敵〟は割れる!けど意味が無い!〝再生〟は地脈の方だ!」
「一応、報告じゃ。手応えが八十にしては柔らかすぎる。たぶん堕天使自体の役割は召喚陣じゃろう」
「くっそウゼェな……!」
地脈のギミックも割ろうと思えば割れる。双子ニキ(弟)はそれが許されるレベルの斥候型だ。
だがその代償は間違いなく大きい。
その結果、終末案件がもう一つ増えても可笑しくない。
「セツニキッ!【貫通】でギミック無視は割に合わない!手応え的にダメージ減衰八割!」
「逆に言えば、正規の方法でギミック解除すればたぶん雑魚だ!」
「足留め頑張るけど孕ませ怖いから早くお願いね!」
他の俺らから上がる情報を元に【解析】を進める。【アナライズ】と【解析】の違いは、敵の霊格の有無でレジストが発生するかしないかだ。
【アナライズ】は即時効果の代わりに誤情報や隠蔽される事が多く、【解析】は時間は掛かるが確実に情報を抜ける。
様々な手段を用いて相手を調べていけば、その分解析速度も上がるので、基本的に併用する事がお薦めなんだが……そもそも【アナライズ】が通らない敵と殺り合わない黒札には劣化アナライズとして認識されていたりする。
使ってる俺自身、レイドや力押し出来ないギミックの時にしか使わんしな。【アナライズ】で十分だし。
そんな事を考えている内に、斥候型の一人が周囲に聞こえる様に叫んだ。
「────よっし!一部抜けた!セツニキッ!コイツらネフィリム召喚装置だ!【強制妊娠】後にネフィリムに転生!それを殺せば再生出来ない!」
「…………本当に糞だな」
ガイア連合と相性が悪すぎる。一般黒札なら絶対にギミックを割れないし、そもそも異界攻略に生け贄なんて連れてこない。
この嫌らしさは本当に悪魔らしい。
「どーするの?幾ら命知らずの俺達でも、孕ませは嫌がると思うけど」
「悪魔で代用も駄目っぽいしなぁ」
「ま、こんな事もあろうかとって奴だな」
護衛のセリスを連れて艦橋から甲板に出た後、ムラサキ達を【念話】で呼び出す。これからやる事は、ガイア連合の中でも賛否が綺麗に分かれる行為だ。
まぁ、何を言われようともやるんだが。
「ムラサキ、アイ、オオマチ。【マーキング】しておいた生贄を連れてこい」
「私達は構いませんが、宜しいので?」
「
「…………分かりました。行くわよ、アイ、オオマチ」
ムラサキ達が【転移】で飛ぶのを見送り、一足先に仕込みに入る。やる事は至って簡単、ムラサキ達が【転移】で飛ばす為の〝印〟を戦場に置くだけで良い。
遠距離転移故に精度はお察しだが、最悪この戦場に送り込めさえすれば良いのだ。大切なのは触手チンポを挿し込まれて孕む肉盾だけであり、ソイツの傷病や感情は二の次。
強いて言うなら──メシア教はメシア教同士で愛し合ってくれ、と言った所か。
セリスと二人で戦場に霊符をバラ撒く。一部のネームド堕天使以外は自我が薄い様で、最も近い人間を襲う程度の機能しか無い様に見える。
あくまでも遠目から観察した結果でしか無いが……たぶんそこまで予想は外れてないだろう。イレギュラーは何時だって起こり得るから、警戒するに越した事は無いがな。
こちらの準備が終わった頃、タイミング良くムラサキから【念話】が飛んできた。ならば躊躇う必要は無い。
「お前らッ!これから呼び寄せる肉盾を巧く使え!無駄に殺したら代わりに孕んで貰うぞッ!!」
『『『今まで聞いた中で最低の脅し文句だよ!!』』』
俺達の文句をBGMに霊符を起動。光輝く魔法陣の光が収まる頃には──
「な、なんだ!?何が起こった!?」
「さぁ、貴方も主の御威光に平伏しなさ──ここは……?」
「くっ──!?【転移】だと!?まだ日本にこれ程の術者が居たのか!?」
──一般信徒から司教まで。様々な地位のメシア教徒が混乱した様子で立っていた。
その数、神話通り二百人。老若男女も人種もバラバラだが、ネフィリムを産むだけなら十分だろう。
「…………!成る程ね!」
「これ程、犠牲にするのに、躊躇しない生け贄は居ないなッ!!」
修羅勢らしい容赦の無さで、次々と過激派を盾に使い始める俺ら。その容赦の無さは積み重なった過激派へのヘイトなのだが、もちろんアイツらはそれを認めない。
「貴様ら……ガイア連合か!?主の愛を理解しない愚か者共がっ!」
「丁度良い!内通者の話では〝殺戮者〟も弱っているッ!ここで仕留めるぞ!」
「天使様!我々に力をッ!!」
敵味方を巻き込む大乱戦。立場上、甲板の上から戦場を眺めている俺からすれば、何で過激派があれだけ元気なのかが分からん。どう考えても背後に居るのは堕天使だし、お前らの敵だろうに。
「アイツら気になる事を言ってたね。セツニキが弱ってるって情報、何処から漏れたんだろう?」
「あー……俺が流した」
「えっ?なんでわざわざそんな事を?」
「いや、過激派に〝草〟を潜り込ませる為の手土産として丁度良かったんだよ。被害も俺と星祭で収まるし」
「危険だとは思わなかったの?」
「アイツらの居場所や作戦が分からない事の方が危なくないか?」
「否定できねー……」
備え付けの機銃を使い、甲板から適当に銃弾をばら蒔く俺らと会話していると──事態が動いた。
「んほぉぉぉぉぉ!?」
貫かれたのだ。過激派の一人が、背後から触手チンポに。
「あれはもうオムツを外せないな」
「あんなに太くて固いものを突き刺さればねぇ」
ちなみに貫かれたのは五十過ぎの
だがそんなふざけた光景とは裏腹に、その後に起こった出来事は〝クトゥルフ〟らしい、情け容赦無いグロさを兼ね備えた物だった。
まず始めに起こったのは、貫かれた人間の肥大化だ。皮の下を全て溶かして液状にした様な、正常な人間には決して有り得ない形にゴム風船の様に膨らんだのだ。
その後すぐに堕天使が
────即座に決断を下し、指示を出す。
「グラ爺ッ!」
「応ッ!」
「同胞の再誕を邪魔させはせんッ!!」
グラ爺の槍をシェムハザが防ぐ。追撃の剣も別の堕天使がカバーに入り、見事に妨害する。
「くっそッ!こっちも手一杯だっつーのに!」
「無敵がうぜぇッ!!」
他の修羅勢も見事に足止めされている。こりゃ無理か。