【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
過剰なまでのMAGを注ぎ込まれた魔法陣が
ノアの方舟の神話には幾つかの流れがある。『創世記』と『エノク書』では流れが違うが、大体グリゴリが男に武器で争う事を教え、女に化粧や衣類で着飾り、男に媚を売る事を教えた事が原因として扱われている。
その後にネフィリムが生まれ、人類が食料危機に陥り、主に嘆願。四大天使がその願いを聞き届け、世界を見た時に堕落している事を知る。
そこから主が世界の堕落を知り、人間を作った事に後悔しながら『大洪水』で洗い流す事を決め、唯一共に歩んだとされるノアの一族にだけ舟を作る様に命じる訳だ。
これが『ノアの方舟』の大体の流れとなる。
『四つの魔法陣から四大天使が降りてくるん?』
『いや、それだと中央の魔法陣の意味は?』
『メガテンの歴代ラスボスの中に一人、四大天使の合体悪魔で、しかもこの世界でも大陸で暴れてる奴が居るだろ?』
『あー……〝メルカバー〟か』
仮想モニターの先で、警戒する俺らが深い溜め息を吐き出す。まぁ、本来なら四大天使か、メルカバーが現れたんだろうな。
きっと俺らを見て、堕落しているから主の代わりに処分するとか言うだろう。────普通ならな。
「【イカサマのダイス】」
コロコロと十面ダイスが甲板の上を転がり、止まる。出た目は──もちろん10だ。つまり、熱烈歓迎だ。
「……ちょっと待て。お主、この賽の目にどんな細工を施した?」
「全面10に決まってんだろ。グラサイなんだから」
『『『ちょっ!?それやっていいのっ!?』』』
「良いに決まってる。俺に干渉した方が悪いしな」
〝運〟という物は、目に見えない。だが確かに存在する。それを味方にする──なんて考えは三流。一流なら支配するもんだ。尤も、その代償も大きいが。所謂
熱烈歓迎の効果がすぐに現れた。本来なら
「しゅのかわりになんじらを──なんだこのすがたは!?」
──繊細な悪魔合体を狂わせる等、造作も無い。
光輝く魔法陣から現れたのは、レベル百五十相当のスライム。名付けるなら〝メルカバー・スライム〟とでも呼ぶべきかね。
メルカバーとしての意識とスライムの体にズレがある様で、その動きは緩慢を通り越して停滞に近い。その隙を逃さず、指示を飛ばす。
「よーし、新潟組。経験値稼ぎの時間だゾ☆」
『えっ、良いの?』
「こんな糞みたいな異界攻略に付き合わせたしな。それにこの後の事を考えると、無駄な時間を使わせるだけの補填が必要なんだわ」
『あー……これから大洪水で拘束されるのか。了解、有り難く貰うね』
新潟艦から無数のロボが出撃する。さらに艦隊も砲撃開始。それに反撃しようとメルカバーも動こうとするが、蛮ニキを始めとする状態異常持ちがBINDハメよろしく完封する。
「今まで見てきた中で一番哀れな倒され方じゃの」
「大陸の〝正規品〟と違って悪魔合体なんかで呼ぶから駄目なんだよ。術式を使う以上、知識さえあれば干渉出来るんだから」
〝悪魔合体〟はガイア連合でも行える人間が少ない高等技能だ。場を整え、知識を蓄え、力を磨いて漸く可能となる職人芸だ。それを敵対する第三者が居る場所で行おうとするから、この程度の干渉でこんな事になる。
「〝メタトロン〟は大丈夫なのかえ?」
「あれはグリゴリにネフィリムを処理する様に伝えるのが役割だからな。ネフィリムの処理を終えた以上、この場に現れる事は無いだろう。それに──ほら」
空へ人差し指を向ける。すると、そのタイミングで丁度良く雨が降り始めた。
「斥候組が抜いた情報と俺の【解析】で手に入れた情報から推測すると、〝大洪水〟の発生タイミングはメルカバーと連動してる。十中八九、この異界のラストアタックだろう」
「ふむ。ではその対処をせねばならんか」
「その為の〝女王艦隊〟だぜ」
生き残れるのはノアの一族と被りの許されない動物の番だけ。それ以外が死ぬまで〝大洪水〟は止まらない。
そして、止まった後には神話通り漂流期間が発生するだろう。面倒な、とも思うが、俺らにとっては一瞬になる。
「先に通達しておくぞ。メルカバー撃破後、新潟艦含めて〝女王艦隊〟を再構成。その後、内部の人間及び式神を〝
『あー……だからレベル五十が足切りラインだったんだ』
『一般黒札を連れてきてたら生き残る人間枠を求めてギャーギャー五月蝿そうだしなぁ』
『嫌じゃ嫌じゃ!某がそのポジションに入るんじゃ!!』
「結構長い期間一人きりで漂う羽目になるが良いか?」
『あ、それなら良いっス。大人しく眠りまーす』
予想通りの回答過ぎる。
『蘇生失敗は大丈夫?今更疑ってないけど、クロネキ知らない俺らも居るからさ』
「何が起こるか分からないから絶対とは言えないが、〝女王艦隊〟はデモニカの技術を組み込んでるからな。魂と肉体の保護はショタオジの技術力がそのまんま反映されてるぞ」
『それで無理ならそもそも生き残る事が不可能な奴かー』
『レベルが上がる程に分かるショタオジの凄さよ』
仮想モニターを通じて修羅勢と新潟組が駄弁り始めたので、断りを入れてから一足先に通話から抜ける。
「双子ニキ。今のうちに船を動かしてくれ」
「あいよ」
オカルト艦らしい挙動で船が
その間にも降り続けていた雨は小雨から豪雨に変わり、海が荒れ始める。探究ネキが区切っているお陰で水位の上昇は結界内だけで収まっているが、もし結界が無かったら世界は〝大洪水〟で洗い流されただろう。
『──結界を地脈を利用した自動維持に切り替えました。ついでに〝時間加速〟も入れたので、たぶんセツニキの想定より漂流期間は短くなると思います』
「流石はガイア連合が誇る天才だな。俺は時間関係の素質が無さ過ぎて、このレベルの加速は無理だわ」
『適材適所でしょう。私も素質的に〝理〟に干渉して吸収なんて無理ですし』
「あれはドレイン系の才能だからなぁ」
ちなみに俺一人では無理だ。あれはシエラ婆の特化適正なきゃ精々強力な【概念吸収】止まりだろう。それでも十分強力なんだが、ギミックの
「セツニキ。アタシの準備は出来たわん」
「了解。それじゃメルカバー撃破したら──って、丁度終わったか。そんじゃ始めるぞ」
〝女王艦隊〟の術者を双子ニキからクロネキに変更。ついでに船に〝方舟〟の属性を追加する。
これはメシア教では無く、ブロントさん経由でローマ法王から教えて貰った術式だ。つまり、キリスト教系列の〝方舟〟となる。
メシア教系列との違いは、天使に乗船権利が無い事。お前らは主の怒りに触れて一緒に浄化されろ(マジトーン)
大量の海水を巻き上げ、新潟艦を内部に捕らえる程に大きな一つの船として再構成。本来なら〝キュビト〟とかいう名のヤーポン法の親戚みたいな単位を使う必要があるが、そこは予め現代換算に直しておいた。っぱ、メートル法は最高だぜ!
「それじゃ全員乗船してくれ。船内に居ないと命の保証は無いからな」
『『『あっても死ぬんですけどね!!』』』
「その文句は糞ギミックに言ってくれ。俺のせいじゃないしな」
『何と言うか、本当に世界の終わりが近いって実感するよね。異界の難易度が可笑しすぎる』
『だよなぁ。もう高難易度異界に入りたくねぇもん』
『ぶっちゃけ新潟勢だけでこの異界に来てたら全滅してたよな。神話の知識は学んでるけど対処法がねぇ!』
『それなー。田舎ニキなら学べば〝女王艦隊〟出来そうだけど【冷凍保存】の方は無理だろうし』
「いや、支部を自分の私財で回してる田舎ニキにこれ以上の負担を掛けるのは止めてやれよ。終末来る前に過労死するぞ?」
『大丈夫。俺らロボ部も過労死してるから』
それは大丈夫じゃない労働環境だと思う。
『──点呼終わり!新潟組は全員収容完了!』
『山梨&星祭の修羅連合も点呼終了!全員居るよ!』
「じゃ、術式起動するぞ。生き返れたらまた会おう」
『『『死亡フラグっぽいんだが!?』』』
俺もそう思う。
◇