【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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この後はレベリングツアー(だったもの)の掲示板回やって、半終末最後の日常回を何個か書いて、最終章に行きます。


まぁ、一文字も書けてないんだけどね!!

途中の体調不良が痛かった……!


最悪を越えた先で

 

 

『君は何故、それほどの力を持ちながら■になろうとしないんだい?』

 

 

 優しく、そして厳格な声が聞こえる。全ての父あるいは母。そう敬いそうになる声だ。

 

 姿は見えない。否、見えてはいるのだろう。ただ、俺が認識出来ない程に大きいだけだ。

 

 そんな高位の存在に対し、右手の中指を立てて答えを返す。

 

 

「そんなの決まってんだろ。俺が()()だからだ」

 

『破門と言う言葉が生まれた()()。ありとあらゆる宗教組織で頂点に近い立ち位置に辿り着いておきながら、最終的に神を否定し、教えを否定した()()()()()()()()()。成る程、君は確かに〝始まり〟の一人なのだろうね。だけど、君は君のその力を人々の為に使おうとは思わないのかい?』

 

「人々の為に使うから俺は〝人間〟なんだよ。それを理解せず、全を生かす為に一を殺す■に誘うからお前らは駄目なんだ」

 

『例え世界が終わるとしても?』

 

「それで終わるなら努力が足りねぇだけだろ。俺が、俺の中の原点が。信仰の末に悟ったのは、人は自らが救わなければ、決して救われないという事だけだ。だからこそ俺は祈るのを止め、魚の取り方を教えたんだよ」

 

『人は君の様に強くはないよ?』

 

「ならば死ね。滅べ。来るかどうかも分からない救いを待ち続ければ良い。俺はその間にやる気のある奴等へ生きる術を教えるだけだ」

 

 

『………………』

 

「………………」

 

 

 音は無く(無音)光は無く(無明)匂いも無く(無臭)立っているかも分からない(無触)。もちろん、舌の感覚すら奪われている(無味)

 

 

────これを地獄と言うなら生温い。

 

 

 前世の〝儂〟が。今世の〝僕〟が。味わってきた地獄に比べれば、たかが()()()()()()()()()()

 

 例え那由多の果てまで五感を奪われていようとも、その経験が〝俺〟を生かす。──否。

 

 

 死ぬことを許さない

 

 

『…………君の境地に辿り着きたいと願った者は大勢居るのにね。世界は残酷だよ。本当に』

 

「この程度を〝悟り〟と言うなら人生経験が浅過ぎるな。辿り着けない奴が悪い」

 

『君ならそう言うのだろうね。そして、世界で初めて〝自助努力〟という言葉を作り上げた君にはその〝権利〟がある』

 

「知らねぇな。そんな過去の偉人(悪魔)の話なんざ興味もねぇ。ついでに言えば不快だぞ。お前の理想(願い)を俺に押し付けるなよ。救われたいなら、救いたいなら。自分で救えや──■■」

 

 

 俺は星祭名無であり、セッツァー・ギャッビアーニだ。それ以上でもそれ以下でも無い。

 

 

『…………そうだね。僕は初めからそうするべきだった。有難う人の子よ。君のお陰でやるべき事が見えた。──否。誰かにそう言って欲しかったのかも知れない』

 

「さよけ。用事が済んだならさっさと現世に帰してくれや。お前と違って俺は忙しいんだ」

 

『ああ。──またいつか。輪廻の先で会おう。──■■よ』

 

 

 急激に襲ってくる睡魔に身を任せ、ゆっくりと目を閉じる。次に開く時にはあの糞みたいな世界なのだろう。

 

 願わくば、汝に救いがあらんことを──

 

 

 

 

「…………知らない天井だって言いたかったのに嫁の顔しか見えない不具合」

 

 

 目を開けた先には、何処か泣きそうなセリスの無表情が。軽く周囲を探って見るがムラサキ達の気配は無い。部屋に居るのはセリスだけか。

 

 

「心配かけさせておいて第一声がそれ?」

 

「何日眠ってた?」

 

「〝大洪水〟が終わり、クロネキが【サマリカーム】を使ってから一週間経ってるわ」

 

「随分寝てたな」

 

「他人事の様に言うのね」

 

「予想外だが、俺が目覚めなくても問題無い様に仕込んでおいたからな。現に問題は起きてないだろう?」

 

「ええ。後始末も、報酬の分配も。貴方の指示通りに幹部が動いて全て終わらせたわ」

 

 

 懐かしき星祭の自室の香りを嗅ぎながらスマホを弄り、関係者にLILINでメッセを送る。

 

 送る内容はこうだ。

 

 

『今起きた。今から行くの面倒だから今日は不参加で宜しく』

 

『それ友達未満の奴に誘われた飲み会の断り文句ぅぅぅ!』

 

 

 凄まじい勢いで着信音が鳴ってるが、画面上部に表示される返信が大体同じ文なのが笑う。後、誰一人として心配してないのも笑う。

 

 五月蝿いのでミュートに設定を変えて机の上に置く。何時もなら寝起きデイリーなんだが……一週間もログインしなくなると、やる気が失せるんだよなぁ。

 

 

「む。寝てる間に攻略後の打ち上げ終わっちまったのか」

 

「貴方以外は〝大洪水〟が終わった後に起きたしね。待たせるのもあれだったから開いて貰ったわ」

 

「他人の金で飲む酒がぁぁぁ!!」

 

「貴方はお金に困ってないじゃない」

 

「組織の金で飲む酒は美味いんだぞ。接待される側だと自尊心を満たしてくれるからな!」

 

 

 当主時代は良く政治家の金で飲んだもんだ。代わりに票を集めるのが面倒だったが。まぁ、地方の神社なんて大抵地元の纏め役を担うから、集めるのにそこまで苦労しないけどな。

 

 軽くラジオ体操を始めて身体を確かめる。クロネキが蘇生担当だった以上、不具合なんてある訳は無いが、それはそれ、これはこれ。自身の動きを確かめない奴は修羅には成れないのだ。僅かなミスで死ぬ世界だし。

 

 

「────うっし、問題無し。俺が寝てる間に何かあったか?」

 

「ガイア連合としては特に無いわね。日本という国で見れば、何処かしらで問題は起きているわ。世界視点なら阿鼻叫喚ね」

 

「つまり何時も通りか」

 

「ええ」

 

 

 寝てる間に終末が来たなら死ぬまでネタに出来たんだけどな。残念ながら笑いの神様は俺には憑いてないらしい。

 

 

「そういえば俺の装備はどうした?」

 

「私が代わりに修理を頼みに行ったわ。戻って来てすぐ出したし、もう終わってるみたいだから後で受け取りに行く予定よ」

 

「了解。頼むわ」

 

 

 取り敢えずPCを起動して寝てる間の情報収集に勤しむ。今日も世界は騒がしい。未だ呑気な日本は素晴らしいを通り越して大丈夫かと心配になるが……まぁ、ショタオジが居るからどうにでもなるか(慢心)

 

 

「ところで今夜から徹夜になると思うけど体力は平気かしら?無理と言われても搾り取るけど」

 

「なんだ寂しかったのか?」

 

「ええ。目を覚まさない事に恐怖を覚える程に寂しかったわ」

 

 

 椅子に座ってパソコンを動かす俺を優しく包み込む様にセリスが背後から抱き締める。

 

 気分はクワガタの鋏に捕まった虫だ。逃げられる気が全くしない。

 

 

「一週間は寝かさないわ。ムラサキ達もそう言ってるしね」

 

「全員纏めて一日で沈めてやるよ」

 

 

 長い夜になりそうだぜ。

 

 

 

 

 宣言通り禊を含む嫁達にKO勝ちを納め、一人旅館の外へ出る。今回は激戦だった。何度打ち倒してもゾンビの様に復活して来た時は敗北を覚悟したぜ。

 

 

 とはいえ勝ちは勝ち。

 

 

 敗者の望みである終末が来るまで淫靡で退廃的な日常を過ごすという意見は却下し、勝ち取った自由を振り回す予定だ。

 

 そんなくだらない事を考えながら夜の散歩を満喫していると、気が付けば星祭神社に辿り着いていた。

 

 せっかくなので本殿の屋根に飛び上がり、胸ポケットから取り出した煙草に火を着けると、

 

 

「今日は月が綺麗ですね」

 

「今日は美女から誘われる日だな」

 

 

 下からイワナガがふわりと飛び上がってきた。

 

 

「体調はもう大丈夫なんですか?」

 

「元々怪我をしてた訳でも無いしな。見ての通り五体満足だよ」

 

「それは良かったです」

 

 

 煙草の煙を気にせず隣に座ったイワナガから、優しい香りが流れてくる。山に咲く花の様な、気が付かなければ無臭だと思いそうな、何処か哀愁漂う香りだ。

 

 

「まだ走り続けるつもりですか?もう貴方の望みは叶っているでしょう?」

 

「まぁな。でも、ここまで来たら最後まで走るつもりだ。それに中途半端な場所で立ち止まるのは好きじゃねぇ」

 

「…………その結果、終末を迎える前に死んでも?」

 

「その時はその時だ」

 

 

 今回の件はそれなりにヤバかった。たぶん放置していても終末には繋がなかっただろうが、その一歩手前にはなっていたと思う。

 

 ただ終末の〝トリガー〟が不明な時期から用意だけはしていたんだ。核の次くらいに対処しやすい終末案件だったしな。

 

 

 お互いに無言のまま、空に輝く月を見上げる。暗く、静かで、しかし暖かい夜に煙を吐き出して、そのまま吸殻を携帯灰皿に突っ込む。

 

 

 探究ネキの提出した報告書によると、あそこも終末案件の舞台となる可能性があるらしい。現実なのか、それともタルタロスなのかは不明。どちらにせよ俺は手出し出来ないだろう。

 

 くそみそニキも動いているし、田舎ニキの所もヤバイ。何処が本命なのか分からないぐらいに世界は危険に満ち溢れていて、虎視眈々と終末を引き起こそうと悪魔達が暗躍している。……うん。

 

 

「やっぱ糞だな。この世界」

 

「何を今更」

 

「せめて問題は一つにしてくれ。そしたら全力で対処出来るから」

 

 

 具体的に言えば、ショタオジを投げ込んで終わらせる。その間の山梨異界の間引きぐらいは余裕だし。

 

 

「悪魔にとって貴方達人間の足掻きは見ていて面白い見世物と同じですからね。貴殿方の足掻きを楽しむ為に問題を起こす悪魔が居ても不思議ではありません」

 

「知ってる。だからガイア連合山梨支部(俺ら)は苦労してるんだしな」

 

 

 立ち上がり、軽く身体を伸ばす。──よっし、切り替え完了。

 

 

「仮に俺が死んだとしても、お前自身に非が無ければ問題無い様にはしてある。だからって訳じゃないが──」

 

「言わなくて結構。私は安心してますし、貴方の実力を疑っていません。ただ貴方は私の信徒ですからね。心配だけはさせて貰います」

 

「……さよけ」

 

 

 好みの姿から放たれる善意の言葉は中々ヤバイな。思わずベッドに運びたくなる。

 

 とはいえ(推し)に手を出すのは信徒(ファン)失格なので我慢だ。余計な事を考える前に今日の所は大人しく自宅に帰るか。

 

 

「寝る。おやすみ」

 

「はい。おやすみなさい」

 

 

 屋根の上から飛び降り、旅館へと向かう。来た当初から変わらぬ森を抜け、そのまま旅館にある自室へと戻る。

 

 終末までのカウントダウンはそろそろだ。残り僅かな時間を悔いが残らぬ様に楽しまなきゃな。

 

 

 

 




一日四千文字を頑張って書いてるんだけど、原稿用紙十枚分らしい。

頑張ったなぁ、自分。
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