【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
終末へのカウントダウン
「──────あいよ。こっちでも調べてみる。それじゃあな」
通話を切り、懐にスマホを仕舞い、冷めた珈琲で喉を潤す。酸味の強くなった珈琲はハッキリ言って不味いが、これが社畜の味だと言われると、成る程、納得するしか無い。
「田舎ニキはなんて?」
「最近、ガイア連合の支部や派出所の無い場所で
「……新潟ってちょっと前にも大事件起きてなかったかしら?*1また問題が起きたの?」
「新潟は山梨の〝厄〟も引き受けてるから仕方ない面もあるが、今回は全国規模で起こってるらしい。北は十勝から南は呉まで、ガイア連合の全ての支部から報告が上がってる」
送られてきた第二次情報をコピーした資料を机の上に投げ、対面に座っているセリスに滑らす。
「資料によると始まりは海外だったみたいだな。メシア教の動きと連動する様に大陸を横断して、最近だと佐賀県にまで被害報告がある。規模も最初は一人二人の不審死から始まり、少しずつ大きくなり始め、今では街一つ犠牲になる事も珍しくない」
「メシア教が原因って事?」
「どうだろうな?厄介な事に普通の悪魔事件っぽいのも報告書に上がってるせいで、どれが〝本命〟なのか精査しないと全く分からん」
「それは厄介ね。資料整理は何時するの?」
「伝を使って国内の名家に事件が起きた該当地区に向かって貰ってる。資料整理はその後だ」
その間にも支部長達から情報が回ってくるだろうし、やるなら纏めてやった方が楽だ。
「って事は、今日は大人しくしてるのね」
「お前らが異界に行くのを見送ったら製造室に籠る予定だ。ブーストニキとショタオジと作った〝オモチャ〟を完成させたいしな」
「無茶をしないなら良いわ。貴方は目を放すとすぐに何かしらの事件に巻き込まれるもの」
「流石にこの時期に無茶はしねぇよ。前回だって別に望んでいた訳じゃ無いからな?」
「貴方だけならともかく、修羅勢が動くと〝運命〟の干渉が酷すぎるわ。前回みたいな終末案件が起きるって相当よ?」
「霊格が高くなると
俺個人だと物語が終わった後始末をやらされる事が多い印象だ。星祭として動き始めると、途端に深層や南鳥島の様な事件とかち合うが。
「左目の〝魔眼〟の事件も大概じゃない?」
「あれは完全に手遅れだったろ」
もう少し早ければ何とか出来たかも知れないし、出来なかったかも知れない。俺が目覚めた時もそうだったが、基本的に手遅れな事が多いんだよな。
レギオンにしろ同じ転生者にしろ、もはや殺す事が
「……まぁ、大人しくしているなら、これ以上私からは何も言わないわ。ただ、星祭から出るなら必ず私達の一人は連れて行きなさい」
「あいよ」
心配性──と言うには心配を掛け過ぎたので、大人しくセリスの忠言を受け入れ、安心させてやる。
(……どうせ破る事になるんだろうがな)
前回の〝大洪水〟で確信した。〝運命〟だけならまだしも、他の上位存在の〝悪意〟が混ざると人間には避けようがない。
【イカサマのダイス】は文字通り、俺の切り札だった。あの状況でメルカバーと殺り合う事になっていたら、まず間違いなく黒札に犠牲が出ていた。
だから切る以外の選択肢が無かった訳だが……それすらも〝運命〟やら〝宿命〟やら〝星の意思〟やらの狙いだった気がする。
「ナナシ?」
「何でも無い。それよりそろそろ時間だろ?」
「…………そうね。貴方の分まで頑張ってくるわ」
「おう。頼むわ」
何かを口にしようとして途中で止めたセリスと二人で部屋を出る。そのまま星祭神社の異界入り口へ向かい、合流したムラサキ達と共に〝門〟の中に消えるまで見送った後、再び旅館へトンボ返り。製造室へ向かう。
デモニカやアガシオンからの発展系もそうだが、基本的に悪魔召喚関連の技術は〝資格持ち〟しか閲覧出来ない様になっている。
今回の技術も間違いなくそこへ投げ込まれる事が確定しており、一般黒札がその詳細を
素材庫から幾つかの素材を拝借して製造室に入る。
今回は鍛造では無く鋳造で行う予定だ。これは量産品として増産する未来を見据えての事だが、同時にガイア連合に頼らない未来の為でもある。
ショタオジが
まずは引いた設計図通りに外装を作る。金属や樹脂を型に流してパーツ作り、バリ*2を取る作業だ。
レベルの高さによる器用さのごり押しで機械よりも正確に取っているが、たぶん一般人でも頑張れば稼働する程度には取れると思う。これ自体は大したモノでも無いしな。
続いてブーストニキがこのCOMP専用に引いてくれた設計図を元にCOMPの要となる電子機器を作り上げて組み込む。
後はガイア連合が開発した特殊金属の中で、最もMAGの伝達率の高い金属を霊的に糸状に加工し、術式とCOMPを繋げれば完成──と言いたいところだが、特殊金属は量産に向かないので却下。その代わりに銀を使う。
銀はオカルト的に悪魔特効を持ちやすい金属*3な上に、ちょっと霊的加工をすれば魔法銀にも聖銀にもなる便利な金属だ。
すぐには無理でも、終末後の人類なら対悪魔対策として魔法銀ぐらいは作れる様になるだろう。COMP部分もブーストニキが出来るだけ簡略化したので、設計図をばら蒔けば作れる様になると思う。たぶん。きっと。
「…………よし、完成」
作り上げた量産型の試作機を特製のケースに仕舞い、鍵を閉める。ついでに霊的にも施錠して俺以外には開けられない様にしておく。
「時間は──まだこんな時間か」
それなら仕方ないな。一人の男として──
ハイエンド品を望むがままにフルカスタムするしか無いな!
かぁ~!本当はやりたくなかったんだけどなー!時間が余ったから仕方ないな〜!
内心でそんな事を考えながら一度お片付け。さらには【浄化】の霊符をばら蒔いて霊的影響にもリセットを掛ける。
まずは外装に使う素材の厳選だ。COMPもブーストニキが黒札向けに引いたハイエンドモデルの設計図を使う。
素材は深層産で揃えるとして、出来れば悪魔召喚に尖らせた素材を使いたい。
もちろん製造方法も変える。鍛造より実は難しい鋳造*4では無く、人件費やら技術料を無視したオカルト鍛造で挑む。
機械如きが人間様を越えられると思うなよ。寸法公差ゼロを可能とするのが人間*5だぜ。
神話級の素材を次々と加工し、そのまま組み立てに入る。これ一個で幾ら使ってるんだと言われそうだが、市場に流せない素材を有効活用してるだけなので、文句があるなら扱えるレベルまで頑張って欲しい。
山梨も星祭も素材庫が埋まりそうなのだ。このレベルの素材は古参ぐらいしか使えないから中々減らないし。
「…………ふぅ。こんなもんか」
完成した時点で神器とか呼ばれそうなオーラを纏い始めた〝ハイエンド〟に封印処理を施し、神々しい光を放つケースに仕舞う。
エクスカリバーの鞘として有名なアヴァロンでは無いが、このケース自体も未来では伝説の武具と呼ばれそうだ。別に再生能力は無いし、使った素材以上の防御力も無いが。
「後は
通知を知らせる為に軽く振動したスマホを取り出してロックを解除。飛び込んできたのは、ここ最近ではもっとも嬉しい
「……とっとと片付けて向かうか」
修羅勢の一人としても、一人の戦士としても。パーティの
◇