【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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終末へのカウントダウン9

 

 

 結界を張って過激派の拠点を儀式場ごとC4で吹き飛ばし、さらに呪符をばら蒔いて〝焦熱地獄〟を再現。これで証拠隠滅は完了。その足で新潟支部へ向かう。

 

 

「ほい、田舎ニキ。お土産だ」

 

「銃器が一杯!?日本は何時からこんな物騒に!?」

 

「何もかもメシアが悪い」

 

 

 見事なリアクションを披露してくれた田舎ニキには悪いが、詳しい詳細は伏せる。銃器はその賄賂みたいなもんだ。

 

 

「終末対策はどうだ?」

 

「取り敢えずペルソナ使いは確保したぜ!今はスライムニキが纏めた育成マニュアルを読み込んでるところだよ。現地民だし、戦力化はまだまだ先だけど!」

 

「羨ましい。星祭には自由に使えるペルソナユーザーが居ないんだよな」

 

 

 禊はペルソナユーザーだが、星祭の当主代理であり簡単に動かして良い戦力じゃない。後継者を産むまでは戦場に出す事すら止められる立場だ。

 

 まぁ、山梨でペルソナ案件起きたら探究ネキやハム子ネキが動いてくれると思うが。

 

 

「その代わり高位霊能者一杯居るじゃん。一人ぐらい新潟に住んでくれても良いんだよ?」

 

「いや、無理だろ。新潟には高位霊能者のレベル維持出来る環境が無い。修羅勢(俺ら)が定住したら代わりに田舎ニキのレベルが下がるぞ?」

 

「あー……それがあったね」

 

 

 忘れがちだが俺らのレベルは〝一生モノ〟では無く、維持するにはそれなりの頻度で同レベル以上の悪魔と殺り合う必要がある。

 

 受け継いできた知識を失った名家は仕方ないが、支部長クラスも時々この事を忘れるんだよな。

 

 俺らが山梨から出ない事にもちゃんとした理由があるのだ。尤も、遠征しまくるから気にしてない奴も多いが。

 

 

「さて。渡すもん渡したし、そろそろ行くわ」

 

「もう?ゆっくりして行っても良いんだよ?」

 

「終末来る前に大掃除しておかないと行けないんだよ。ま、次来る時はゆっくりさせて貰うさ」

 

「その時は新潟支部を上げて歓迎するぜ!」

 

「おう。楽しみにしてる」

 

 

 土地全体に〝厄〟が流れ込んで来てるし、終末前後で滅びかけそうな雰囲気が漂ってる気がしないでも無い。……まぁ、田舎ニキなら大丈夫だろう。

 

 新潟から一度【転移】で星祭の旅館に戻る。そこで入手した資料を解析、別の拠点を割り出す。

 

 それと平行して終末時の深層防衛の為の物資を手配し、俺らに指示を飛ばして下層最奥の防衛拠点に持って向かわせておく。ついでに予備の武具の手配を山梨製造班に発注する為の書類を整える。

 

 

「やる事が……やる事が多い……!」

 

「事務仕事が得意な黒札は修羅勢になんてならないものね」

 

「後期合流組で溢れてるらしいけどな。今の山梨」

 

 

 星祭に来れる霊格では無いので、もちろん手伝いを頼めないが。

 

 

「そうなの?」

 

「おう。アメリカで活躍してた奴や未だにオカルトを信じない奴も含めて阿鼻叫喚らしいぞ。ちひろネキがこの前の飲み会で愚痴ってた」

 

「前者はともかく、後者はガイア連合に所属する意味あるのかしら……?」

 

「転生者支援組織では無く、互助組織って事を理解してないんじゃないか?」

 

「……成る程。無償の支援を受けられると思っていた訳ね」

 

 

 セリスと息抜きの会話しながらも手は止めず、過激派の動きと儀式場を絞っていく。

 

 皮肉な事に汗水垂らして働いていると、失いそうな〝人間性〟って奴を取り戻せるんだよな。

 

 神様なら腕を振るだけで終わらせられる作業を、手と足と頭を使って必死に行っているのだ。そら〝人間〟に近付いて行くか。

 

 資料をある程度の所まで【解析】し終えたら、今度は関西支部に飛ぶ。そこからさらに西へ進んで鳥取県へ。

 

 『鳥取大砂漠地獄』自体はすでにガイア連合が何度か討伐済みだ。大異界故にすでに現世に定着してしまって居るので、完全消滅は諦められている。

 

 費用対効果が合わないのだ。ついでに言えば、土地が不毛過ぎる。

 

 

「ムラサキ達は異界の入り口を隔離。セリスとレティの二人は鳥取県(県内)の過激派拠点を襲撃。俺はギンと共に儀式を止めてくる」

 

 

『『『了解』』』「わんッ!」

 

 

 久々にギンへ騎乗して『鳥取大砂漠地獄』を駆け抜ける。

 

 俺らが南鳥島で〝ノアの方舟〟の対処をしている内に年一回の定期討伐が行われていた様で、出てくる悪魔は余り強くない。ギンが吹き飛ばすだけでMAGへと還っていくぐらいだ。

 

 しかし、ここの厄介さは悪魔では無く()()。その糞さは未だに健在の様で、無駄に体力を奪っていく。

 

 

「霊力が戻ってるなら外から吹き飛ばしたんだけどな」

 

「わふ?」

 

「お前らは出力こそ足りてるが、任せるには精密さが足りてない。この異界とMAGの相性が良いし、どんな反応を引き起こすか分からん。流石にこの時期に危ない橋は渡れねぇよ」

 

「わふぅ……」

 

 

 『鳥取大砂漠地獄』の属性は〝地獄〟〝飢餓〟〝砂漠〟〝極寒〟がメインとなっており、分かりやすく言えば八大地獄と八寒地獄に飢餓道を混ぜた異界だ。

 

 焼ける程に熱い気温に反して呼吸をすれば凍える程に寒く、空気中の水分が氷結した微少な氷の破片が喉や肺を傷付ける。

 

 現れる悪魔は火炎、氷擊系をメインに序盤なら餓鬼、深部なら悪鬼羅刹を始めとする地獄の存在が出現し、時々思い出したかの様に砂漠の蠍やサボテンも襲ってきたりもする。

 

 対悪魔戦だけで話をするなら、霊能者の対応力が問われる異界だ。──尤も、この異界の一番糞な部分はそこじゃないが。

 

 この『鳥取大砂漠地獄』の一番糞な部分は、手に入る物が()()()()という一言に尽きる。

 

 〝飢餓〟属性のせいで入手出来るMAGは少なく、悪魔達のMAG凝固(ドロップ確率)も絞られている。運良く落としたとしてもドロップ品の品質は最低で固定され、ロクなアイテムを作れない。

 

 土地を解放したとしても場所が場所だけに農地としてすら使えず、正直言えば、根願寺から押し付けられた負債物件とすら言える場所だ。

 

 

「……だからこそ選ばれたんだろうけどな」

 

「わふ?」

 

「『ブラックライダー』は〝飢饉〟を司る終末の四騎士なんだ。どれだけ完璧な状態で保管していても、容赦無く腐らせる権能があるんだよ」

 

 

 厄介な事にその権能の対象は土や水にまで及ぶ。完全に存在しないなら耐えられるが、目の前で水や食料が腐っていく過程をまじまじと見せられて苦しまない人間は居ない。

 

 飲まず食わずで畑を耕したとしても、収穫直前で枯らせる悪意も持っている。悪魔らしいと言えば悪魔らしいが、人間に〝絶望〟を与えると言う意味では四騎士の中でも最悪だ。

 

 だから──絶対に召喚は阻止する。呼ばれたとしても確実に殺す。その為なら多少の()()()は仕方がないと割り切る。

 

 

「────見えた」

 

 

 遠目でも目立つ白い集団。聖職者の衣装(ダルマティカ)を汚す愚か者達。前世の()()が存命だったら、間違いなく自身の手で処分していた背信者ども。

 

 

「ギン。()()には構うなよ」

 

「わんっ!」

 

「良い子だ。それじゃ──行くぞッ!」

 

 

 【突撃】するギンの背から飛び降り、脳天目掛けてダーツを投擲。運良く外れた奴等にはカードを投げつけ、首を跳ねていく。

 

 

「くそっ!!ガイア連合の〝銀髪鬼〟か!」

 

「何故ここがバレたのだッ!?過激派(同志)にも秘匿していたのだぞ!?」

 

「今はそんな事を言ってる場合では無いッ!!儀式完了までもうすぐなのだ!!噛み付いてでも止めろッ!!」

 

 

 ばら蒔かれる銃弾の合間を縫うように進む。姿勢は低く、蛇の様に砂丘を這う様に駆ける。下に向かせた銃口から放たれた銃弾は、俺の後ろの大地を抉り、砂塵を舞い上げる。

 

 〝生け贄〟を気にする場面では無い。だが無駄に殺させる意味も無い。

 

 天使と過激派を纏めて鎌状にした【存在吸収(レベルドレイン)】で薙ぎ払う。MAGを固めた武器故に柄すら〝刃〟となっている大鎌は、容赦無く過激派を二つに切り裂いた。

 

 

「後少しなのだ……!なのにッ……!」

 

「残念だったな」

 

 

 鎌を大地にめり込ませ、そのまま力任せに切り上げる。土地ごと抉り取る様に振るわれた大鎌が魔法陣を切り裂き、行き場を失ったMAGが盛大に爆発。周囲一帯を吹き飛ばす。

 

 

「……ぺっ。風呂入りたいわ」

 

「わふぅ……」

 

 

 盛大に被った砂埃を軽く払い、周囲へと視線を向ける。そこには人を呪い殺せそうな視線を向ける過激派(生き残り)の姿があった。

 

 

「貴様ッ……!何故、我ら()の邪魔をする!?これは貴様ら敵対者(異教徒)に対する最後の(慈悲)なのだぞ!!」

 

「知らん」

 

 

 鎌を振るい、首を刎ねる。爆発に巻き込まれて呻いてる天使と過激派も、一人一人確実にトドメを刺していく。

 

 数分もすれば、何時も通りの『鳥取大砂漠地獄』に元通り。後は──()()()の時間か。

 

 

「……ホントに糞だな。過激派は」

 

 

 檻の中に入れられていたのは、()()()()()()させられたアメリカ人と思われる百を越える人数の女性と、たぶん大陸から浚ってきたと思われる老若男女混合の無数の人間。

 

 どちらも死ぬ寸前まで()()ており、その手足は骨に皮が張り付いてる。だからこそ未だに大きく肥大化している乳房の違和感が凄い訳だが。

 

 

「カウボーイもこんな事の為に頑張ってた訳じゃ無いのにな。過激派はフロンティア・スピリット(アメリカの魂)を侮辱し過ぎだろ」

 

 

 カウボーイは19世紀後半、メキシコやテキサスなどを中心に大陸南部から、西部、中西部にかけての原野で野生化していた牛を駆り集め、それを市場である東部やゴールドラッシュに沸く西部に届けた畜産労働者の事を指す言葉だ。

 

 元々の意味は〝牛泥棒〟だったらしいが、今は関係無い。詳しく知りたい奴はパソコンでも使って調べてくれ。終末後もwikiが残ってるか知らんが。

 

 現在とは違って冷凍技術や輸送技術が未熟な時代だ。そんな時代に大陸横断鉄道の中継地である中西部や北部の町へ馬と幌馬車を連ね、何週間もかけて輸送すれば、最初は肥えていた()も痩せ細り、中継地に着く頃には餓死寸前の硬い肉となっている。

 

 今回は()()を人間でやった訳だ。わざわざ()()に見立てる為に肉体改造まで施して。

 

 大陸の人間に関しては特に言う事は無い。大陸では1979年から2014年にかけて〝一人っ子政策〟なんて物を行っていたから()()()()()()()も多く、素材にする人間なんて幾らでも手に入る。

 

 ついでに言えば、大陸は半終末に加えてメシア教との激戦区となっているので餓えた人間の回収は余裕だろう。

 

 秋雨ニキからの定時連絡によれば、石を投げれば餓死した死体に当たるぐらい酷い様だしな。

 

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