【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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United States of America

 

 

 ただ、そんな戦場に対して一つだけ言いたい事がある。

 

 正確には〝俺〟には無い。だが〝儂〟にとっては振るう刃に力が入る程度には苛つく状況らしい。

 

 

「なんつーか……ガッカリだぜ。ヴァーチャー(ヤンキー)共」

 

 

 過剰に吸収したMAGから再び魔剣を作り出し、好き勝手させる。すでに総数は五十を越えた。戦場を自由に飛び回り、敵を切り刻む姿は正に〝魔剣〟と呼ぶに相応しい蹂躙っぷりだ。

 

 

「お前らは大日本帝国軍(儂ら)に勝った国の軍人だろう?神に勝利を願ったかも知れない。だがオカルトなんて曖昧な物に頼らず、人の築き上げた科学()と意思によって()()に勝利した国の人間だろう?」

 

 

 ああ、駄目だ。一度言葉に出してしまえば、止まらない。止められない。

 

 第二次世界大戦の敗因を語る時、多くの人間はアメリカと日本の経済力の違いを上げる。それぐらい当時は今よりも格差があった。

 

 それは間違っちゃいない。だが、肝心な事を忘れている。

 

 

 金が幾らあろうと、兵士が戦わなければ勝てない。

 

 

 第二次世界大戦全体の総死者数は四千万から五千万。太平洋戦争だけに絞っても、日本は軍属が230万人、アメリカも30万人近い死者を出している。

 

 

 ()()()、では無い。()()だ。

 

 

 日本は宮城県丸々一つ。アメリカは秋田県秋田市の人口がそのまま当て嵌まる。それだけの人数が殺し合ったのだ。

 

 血と汗と火薬の匂いに支配され、憎悪と狂気が支配する戦場を制し、〝儂ら〟に勝利したのだ。そんな国の軍人が──

 

 

ジョージ・ワシントン(国父)の作り上げたアメリカという大国を守る剣であり、盾達が──」

 

 

 『アイオワ』から放たれた主砲を片手で止め、告げる。

 

 

 

星条旗(スターズ&ストライプ)に忠誠を誓った軍人が、神の力がなきゃ誰にも勝てない悪魔(雑魚)に負けてんじゃねぇよッッ!!」

 

 

 

 大地を踏み鳴らし、足場としていた陸地を爆破する。それと同時に破片を鋭利な刃に加工して周囲一帯にばら蒔く。

 

 

 破片に乗せた術式は──【浄化】

 

 

 良くて【支配】を緩め、悪ければ効果が全く無いだろう小さな力。

 

 

「無駄だッ!我が権能は貴様如きには打ち破れんッ!」

 

 

 俺の行動を即座に看破した白騎士が矢を放ちながら高らかに宣言する。

 

 勝利の上の勝利。主から認められた世界の四分の一を【支配】する力に敗北は無いと。自らに敗北は無いと。

 

 

「行けッ!我が奴隷達よッ!敵の首を我の前に捧げよッ!」

 

 

 その指示に従い、俺に銃口を向けるヴァーチャー。爆撃機や軍艦を含む、全包囲一斉掃射。

 

 

「これで終わりだ────〝銀髪鬼〟ッ!」

 

「────お前がな」

 

 

 四方八方から放たれる近代兵器の人一人殺すには過剰な火力。その攻撃に対して()()()()()()()()()()白騎士の馬が駆け抜ける。

 

 

「馬鹿なッ!?あの程度の術式で──」

 

「お前らメシア教徒はアメリカという国を舐めすぎている。あの国は平等、自由、幸福の追求という基本的人権に対する侵害、及び圧政に対して革命権を認めている国だぞ。お前ら如きが完全に【支配】出来る訳が無い。人類最強国家を舐めんのもいい加減にしろ」

 

 

 白騎士の首を刎ね飛ばし、ついでに()の魂を奪う。流石に全てを奪うまでは行かなかったが、六割は回収出来た。

 

 即座に大地──いや、海を含む()()()()()から鉱物を集め、炎で溶かす。再現するは──

 

 

〝人類の生誕〟

 

 

 人は自然より生まれ、海に還るという原初の自然崇拝。

 

 

「さぁ!銃を取れ!長きに渡り、世界の安寧に貢献した人類の守護者達よッ!今、この時が反撃の時だッ!!お前らこそが──」

 

 

 溶けた鉱物が混ざり合い、形を成して行く。それは──アメリカという国その物。

 

 鋼鉄の身体。人類の敵を殲滅するという意思の塊。

 

 その名は──

 

 

United States of America(アメリカ)だッッ!!」

 

 

 アメリカ大統領専用特殊機動重装甲『メタルウルフ』

 

 世界で一番〝アメリカ〟を体現している機体だ。

 

 

「……ざけるな」

 

 

 再生を終えた白騎士が禍々しい黒いMAGを纏い、甦る。二度と反逆しない様に徹底的に【支配】を強め、反逆した者の魂を見せしめの様に喰らっていく。

 

 

「ふざけるな……ふざけるなふざけるなッ!!貴様ら如きが──たかが人間がこの私の【支配】に抗うだとッ!?そんな事は認めんッ!!」

 

 

 神速の矢を即座にばら蒔き、メタルウルフの破壊を狙う。だが無傷だった。当然だ。何故ならあれは──アメリカなのだから。

 

 

「何故壊れないッ!?何故死なないッ!!我が【支配】に一度は負けながら何故抗える!?」

 

「んなの決まってんだろ。()()()はアメリカだからだ」

 

「ふざけるなッ!!」

 

 

 今度はこちらに神速の矢が飛んできた。だがそれを先読みしたメタルウルフが迎撃。戦場の牙(銃弾)の前に地に堕ちる。

 

 

「欧州なら出来た。だからアメリカでも出来る。……歴史から何も学ばない愚か者め。この日本を完膚無きまでに叩きのめした人類の頂点だぞ?()に勝った国だぞ?この程度、出来て当然だ」

 

 

 勝者には勝者の義務がある。敗者が敗北を受け入れる為に、強く、立ち続ける義務がある。

 

 

「さぁ、〝儂〟に魅せてみろヤンキー。アメリカという国の強さをな」

 

 

──魅せてやるよ黄色人種(イエローモンキー)。アメリカという国の偉大さをなッ!

 

 

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