【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

270 / 322
終末へのカウントダウン14

 

 

 金属と金属が擦れ合う音を響かせながら、奪われた物を全て取り戻すという確固たる意思の元、鋼鉄の〝狼〟が大地を駆ける。

 

 白騎士と正々堂々正面から撃ち合い、殴り合い、圧倒していく姿は正にアメリカ。

 

 日本に勝利した大国のあるべき姿に相応しい。

 

 

「馬鹿な──この我が……押されているだとッ!?」

 

「──────ッ!!」

 

 

 矢継ぎ早に放たれる矢を精密な射撃で全て打ち落とす。動きが止まればレールガンを放ち、容赦なく追撃。

 

 ファンタジーとSFの混じった武装を次々と切り替え、ホワイトライダーを圧倒していく。

 

 ビームライフルやムーンライトソードの様なSF武器からアメフト型グレネードランチャーや爆発性シャボン泡投射機まで。

 

 ファンタジーとSFとネタ武器を即座に把握、最適解をひたすら選んでいく〝合理性〟はアメリカらしくもあり、らしくも無い。

 

 ここらへんは日本と混ざった影響だな。

 

 

「……さて、今の内に取り戻させて貰うかね」

 

 

 白騎士の相手は〝狼〟に任せ、海を駆けて軍艦を沈めていく。奪い取ったMAG()は即座に〝狼〟へ送り、鋼鉄の身体に宿る〝熱〟を燃え上がらせる。

 

 粗方片付け終えたら次は空だ。俺一人ではホワイトライダーとの【支配(天秤)】の奪い合いは厳しかったが、目の前の驚異を無視出来ない以上は【支配】に集中出来ない白騎士に負ける訳が無い。

 

 

 そして──これこそがドレイン系俺達の()()()

 

 

 敵がどれだけ強大であろうとも敵の力を自身の力に変え、最終的に上回り、勝者となれる〝力〟だ。……これを乗り越えて殺してくるグラ爺を筆頭とした修羅勢は本当に何なんだ。

 

 

「ッ──!小癪な真似をッ!」

 

「おっと、気付いたか。だが遅かったな」

 

「何を────チッ!」

 

 

 ガクン!と無理矢理【支配】していた白馬が足を折り、その拍子に空へ投げ出される白騎士。

 

 そこへ容赦なく〝狼〟が一斉射撃を叩き込み、俺は白馬に【存在吸収】を差し込む。

 

 

「この、こそ泥共がぁぁぁぁぁッッ!!返せッ!!それは我の奴隷だッ!!」

 

 

 自身を巻き込む形で放たれた【マハラギバリオン】の炎が周囲を焼き尽くす。感情の発露と言った形で放たれたその火力は凄まじく、下手な近代兵器よりも間違いなく上だろう。

 

 とはいえ〝狼〟を傷付けるには至らない。何故ならアメリカだからだ。

 

 

「一つ、授業をしてやろう」

 

 

 感情のまま放たれる矢を二人で迎撃し、時折反撃を混ぜ込みながら語る。

 

 

「〝勝利〟を条件とする権能やスキル、術式ってのはシビアでな?──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 代表的なのは【勝利の雄叫び】か。このスキルは効果だけ見れば最強のスキルっぽいが、発動の判定は鬼の様に厳しく、ゲームで例えるなら理論上の最高成績でクリアしない限り、その強大な効果を十全に発揮しない。

 

 死闘を制する、では駄目だ。辛勝も駄目。楽勝ですら許されず、完勝して初めて効果を発揮する。

 

 異界討伐を目的とした戦闘なら悪魔一匹程度では勝利判定すら発生しない。異界内の半分を無傷で倒しても駄目。

 

 異界の主を倒して初めて勝利判定が行われ、成果に応じてスキルが発動する。だが修羅勢ですら格下相手じゃないと完全に効果を発揮しないし、それどころか下位スキルの【勝利の息吹】すら劣化発動が精々だ。

 

 

「分かるか?世界はお前を()()()()()認め始めてるんだ。だから【支配】を取り戻せず、それどころか奪われる〝弱者〟として扱われている」

 

「そんな訳があるかッ!!我はホワイトライダー!主に勝利の上の勝利を認められた唯一の存在だ!」

 

「……ふむ。そうか」

 

 

 それなら仕方がない。身体に叩き込む(分からせる)としよう。

 

 

「へい!マイケルッ!ゲームしようぜ!」

 

 

 白騎士の猛攻を捌きながら、意識して明るい声で叫ぶ。どうやら統合された〝狼〟はノリの方も陽気らしく、即座に明るい声が返ってきた。

 

 

──HAHAHA!ジョニー。どんなゲームをするんだい?

 

 

「アメリカ人なら大好きなアメフトさ☆ルールは簡単。あの悪魔(ボール)を地面にタッチダウンするだけ!」

 

 

──oh!子供でも理解出来る簡単なゲームだね☆

 

 

「注意点は背中を着けないと駄目だゾ☆──()()は背中から倒れるもんだからな」

 

 

──それは君の教えかい?

 

 

「いや、俺がヒヨコだった頃の教官の教えだ」

 

 

 新人だった頃、練兵の一環でやったランニングの時。倒れるまで走らされた後に教官に言われた言葉は今でも覚えている。

 

 

 『前に倒れる奴は優秀な兵士になれる。何故なら勝ちを諦めず、這ってでも前に進む〝意志が〟ある。背中から倒れた奴は糞みたいな兵士にしかならん。敗北を認め、諦める奴にしかなれない。戦場とはそういう場所だ』

 

 

──良い教官だったみたいだね。

 

 

「当時は殺してやるとしか思ってなかったけどな」

 

 

 吐くまで走らされた恨みは今でも忘れてない。

 

 

「ま、思出話はここまでだ。まずは俺から行くぜ」

 

 

 一歩、二歩、四歩、八歩。加速術式で踏み込みを増加させながら即座に距離を詰め、馬の両足を切り裂いた後に白騎士はカカト落としを叩き込む。

 

 地面を数度跳ねた後、背中で地面を抉りながら滑っていく姿は、とてもじゃないが()()()()()()()を与えられた悪魔には見えない。当然、ペナルティが追加される。

 

 

「ぐっ────ッ!貴様ぁぁぁ!」

 

「これで一点。次はお前の番だ」

 

 

 その言葉に即座に反応した〝狼〟が、両足を再生して反撃に移ろうとした白騎士の両足をレールガンで吹き飛ばし、そのまま両手を組んで大地へ叩き落とす。

 

 腐ってもロボはロボ。その鋼鉄の肉体は見た目通りの重さがあるらしく、大地にクレーターを作るだけに止まらず、派手に粉塵を巻き上げた。

 

 

「お互いにまずは一点」

 

 

──出来れば、長いゲームになってくれると嬉しいね。

 

 

「その心は?」

 

 

──星条旗を汚した存在に優しい死は不要だろう?

 

 

「確かに。──っつー訳で、精々足掻いてくれや」

 

 

 剣を肩に乗せ、ポンポンと叩いていると、感情に殺意しか感じない白騎士が()()を放つ。

 

 

「……す。……ろす。殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!」

 

 

 怒りによって言語を失った白騎士が暴れ馬の様に突撃を繰り返し、乱雑に矢をばら蒔く。

 

 

「まずは手。次は足。皮を剥ぎ、腸を抜き取り、骨を砕き、生きたままその心臓を喰らうッ!!我が〝勝利〟を汚した貴様らは絶対に許さんッッ!!楽に死ねると思うなよ──人間共ッッ!!」

 

「それはこっちの台詞だぜ。なぁ、ジョニー?」

 

 

──そうだな。お前は……お前だけは楽に死なせん。

 

 

 白騎士の放つ【アギバリオン】を装甲で受け止め、〝狼〟がお返しにと言わんばかりにガトリングから弾を吐き出す。

 

 その銃弾の雨を馬の両足に喰らい、再び空に投げ出された白騎士へ飛んで地面に叩き込むと、〝世界〟が見ているのか目に見えて白騎士のMAGが減った。

 

 殺し方はどうやらこれが〝正解〟らしい。

 

 

「……結局、与えられた勝利なんてそんなもんか」

 

 

──その心は?

 

 

「死ぬまで敗北を与え続けりゃ良い。つまり──アメフト続行だ」

 

 

──分かりやすくてイイネ!

 

 

 そこから先はただの蹂躙劇だった。倒れる度に力を失っていく『ホワイトライダー』と、奪われた物を取り戻していく『メタルウルフ(アメリカ)

 

 地面に背中をつける度に【支配】が矮小な物へと変化していき、最終的に神から与えられた〝勝利〟の権能すら発動しなくなった〝白騎士〟と、奪われたモノを取り戻してアメリカを証明するかの様に暴れまわる〝狼〟が戦場で争っていた。

 

 

「何故だッ!何故この私が貴様らの様な矮小な存在に敗北するッ!?」

 

「そんなの決まってんだろ」

 

 

──ああ。決まってる。

 

 

『『アメリカは【支配】した程度で折れる程、弱い国じゃねぇんだよ』』

 

 

 むしろ【支配】からの脱却から始まった国がアメリカだ。ハッキリ言えば、相性が悪かったというだけの話。

 

 気が付けば、もはや『パワー』程度の霊力しか残っていない白騎士に告げる。

 

 

「年貢の納めどきだ。安心しろ、痛みすら感じない内に送ってやるから」

 

「……認めよう。勝者は貴様らだ。……だが────!」

 

 

 最後の悪足掻きとして蒸気船を掴み、自らの存在を削って東京湾へ向けて投げ付ける。

 

 

「後に続く同胞の為にも割らせて貰うッ!!」

 

 

 凄まじい速度で飛んでいく蒸気船。それを見送り──再び白騎士へ視線を戻す。

 

 

「残念だったな。〝タイタニック〟は目的地に辿り着けないんだ」

 

 

 見えない巨人の手に掴まれた様に速度を失い、海に沈む蒸気船。それに対する反応は無かった。

 

 すでにホワイトライダーのMAGは限界まで枯渇し、()()()()となっているのだから。

 

 

「……一度言ってみたかったんだよな。俺は許そう。だが〝(コイツ)〟は許すかな?」

 

 

 全ての搭載武装を器用に動かし、〝狼〟がスライムに狙いを定める。答えは言うまでもない。それがホワイトライダーと呼ばれた大悪魔(分霊)の最後だった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。