【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
書いてる途中にカス子ネキが現れて追記。
さらに名無しのレイ様からメッセージが来て追記。
人魚ネキと幼女ネキの話を追記。
最後に星杖ニキの話を入れたら短編ぐらいの長さに(笑)
脳缶ニキやカズフサニキ達までは流石にカバー出来んかった……。
「うっへぇ。セツニキの結界無かったら今頃酷い事になってたよ。絶対」
眼の前で
「凄いなっ!金華山沖とは違って普通の海はこんな事になってるのか……!」
「オラ、ワクワクすっぞ!」
そんな田舎ニキとは対象的に、楽しそうな雰囲気が漂っているのは幼女ネキとカス子ネキ*1だ。
二人の性格上、物怖じするとは思っていなかったが……流石は高位霊能者と言うべきかね。
そんな仲間達の三者三様な姿を眺めつつ、俺達がこんな場所に来る事になった始まりの日へと意識を飛ばした。
◇
「日頃お世話になってる嫁達に何かお礼したいんだけど、何が良いと思います?」
背筋を伸ばし、正座のまま真剣な声色でそう言ったのは田舎ニキだ。
何で俺に?という考えが一瞬だけ脳裏を過ったが、若い奴の問いに答えるのも年長者の役目。少しだけ考える時間を貰い、灰色の脳味噌を動かす。
「終末前なら花とブランド品のセットが赤点回避の安牌だったんだけどな。
「御洒落は周りにも余裕が無いと、何の意味も無いですしね」
俺は着飾ってくれる嫁を見るのは好きですが。と照れながら語る田舎ニキは幸せそうだ。
田舎ニキの言う通り、今を生きるのに必死な人間ばかりの世の中だと、幾ら御洒落をしても羨望の視線は集まらない。
むしろこの時代になってもブランド品に拘る頭の
かと言って現実的な物を送るのも駄目だ。
「……いや、これはアリか?」
閃いたのは、終末前では絶対に夫婦間の〝贈り物〟の選択肢に入らなかった筈の物。というか、結婚記念日や初デートの記念日に渡されたら容赦無く殴られたと思う。
だが、今の世界情勢ならアリだ。
何せ俺達は日本人。いい加減、恋しくなってくる頃合いだろう。
「セツニキ?」
「田舎ニキ、三日ぐらい時間作れるか?」
「今は特に問題も起きてない*2から平気だけど……」
「なら遊びに行こうぜ」
疑問符を浮かべる田舎ニキを尻目にオオマチを召喚。宮城支部に飛び、後の事を考えてレン子ネキに話を通しておく。
ついでに丁度宮城支部を訪れていた幼女ネキも誘い、そのまま金華山沖へ。
「何も聞かずに着いて来てしまったが、何をやるんだ?」
「田舎ニキの嫁達の為にプレゼント確保だ」
「ほう。それは大事だな!」
「相談した俺も未だ何やるか知らないけどねッ!」
「すぐに分かるさ」
自分にあった方法で海上を走り、【気配察知】に引っ掛かった場所で足を止める。
「まだ獲物が掛かるまで時間があるし、幼女ネキに少し授業をしてやろう」
「センセー!俺は除け者ですか!」
「田舎ニキにとっちゃ既知の情報だろうしなぁ」
終末後に海に出る奴の少なさよ。
「ま、そういう訳だから今回は待機な」
「あいよー」
瞳をキラキラさせながら聞く体勢で待っている幼女ネキの方へ視線を向ける。
「終末前と後では悪魔が現れる様になった以外にも様々な問題が現在進行系で発生している。それこそ一日語り尽くしても足りないぐらいな。とはいえ今回はそこまで深く話すつもりは無い」
知り合いの範囲内ならまだしも、世界全体で
「今回話すのは、俺達が立ってるこの場所の変化についてだ」
「──〝海〟か。見た感じ、そこまで変化は無いと思うが?」
足元の海水を軽く足で突きながら、幼女ネキが不思議そうに首を捻る。それに答えたのは田舎ニキだ。
「ここは世界三大漁場の一つって事もあって、ガイア連合の手が入ってるからね。
「……これでも?」
「うん、これでも」
台風直撃しました、と言っても過言じゃない荒れ模様だもんな。幼女ネキの気持ちは良く分かるぜ。
「終末後の海は大まかに三つに分けられらんだ。一つ目がここの様な、ガイア連合に比較的友好的な神が支配している場所」
特徴としては未だ終末前の光景を維持している事か。ものっそい荒れているが。
「二つ目は
「海だった?」
「山だったり森だったりを司る悪魔に奪われると〝海〟の色が消され、別の色に塗り替えられるんだ。そういう場所は大抵元魚介類が居る事が多い」
〝天空〟に塗り替えられた〝海〟の異界には空を泳ぐ魚が居たりするし、〝墓場〟なら骨の魚が泳いだりもする。
海外だと比較的目にする光景だが、異界だし、こんな事もあるよね、で纏めて凪ぎ払う黒札が多く、発見報告は意外に少ない。
討伐後に元の〝海〟に戻り、濡れ鼠になる奴が現れるのも特徴と言えば特徴か。
「もしかして私がアメリカで暴れた時も、そういう異界が存在していた可能性があったり?」
「無くはない。とはいえ俺らだとあんまり、な?」
「本来なら〝海〟に関係する怪異とかに警戒する必要があるけど、下層や深層でも無ければ力押しでどうにかなるからね」
「そこらへんは終末前に努力した高位霊能者特権って奴だ」
今更五十程度の悪魔に遅れを取る様な奴はこの場に居ないし。
「最後の一つがどの悪魔にも支配されて居らず、変わりに多種多様なMAGが流れ込んで混沌としてる場所だ。危険度で言えば、ここが一番ヤバい。何しろクトゥルフとポセイドンの分霊が戦争してたり、そこに大天使が出張してたりするからな」
「補足しておくと外洋は大抵こうなってるよ。日本海側だとあんまり意識しないで良いけど、太平洋側ならちょっと進むだけでそうなってる事が多いから、気を付けた方が良いかな?」
「そんなに酷いのか?」
「酷いというか出現する悪魔が弱い事を除けば、ほぼ深層と言って良いレベルでコロコロ地相が変わるんだわ」
「山梨と星祭の修羅勢が合同調査した時の映像が山梨支部にあるんだけど、まぁ地獄地獄。普通の高位霊能者ならアッサリ死ぬと思うよ。俺は相性良い方だけど、それでもソロじゃ行く気しないもん」
「田舎ニキでもそういう感想になるのか……」
一応、海外支部支援用に僅かな航路だけは維持しているが、そこから少しでも外れた船は基本的に沈んでいる。それぐらい支配者の居ない海は危険な領域なんだよな。
「────っと、良い感じに釣れたな。田舎ニキ、頼んだ」
「あいよー」
軽い返事とは裏腹に田舎ニキの体から湧き出る蒼白いMAGは本人の霊格も相まって、高位霊能者である俺らの体表にすら霜を纏わせる。
ガイア連合の中でも頂点に近い【氷結】使いの名は伊達じゃない。星祭だとジャンヌネキぐらいだろう、これクラスの【氷結】持ちは。
「準備完了。幼女ネキ、動かないでね。ちょっと危ないからさ」
「分かった」
幼女ネキの返事と同時に田舎ニキの足元に魔法陣が広がる。そこへ直ぐ様【氷結】のMAGが注ぎ込まれ──大規模術式が起動状態に変わる。
「──【真・女王艦隊】」
足元の海が隆起し、軍艦を凍った海水で形作っていく。それは俺らを喰らおうと集まって来ていた原生生物が悪魔と化したフード種を含む、多種多様な悪魔を巻き込み、平等に命を凍らせる。
【氷結】適正が普通の俺では駆逐艦を十隻作るのがやっとの術式。だが【氷結】適正持ちが使うと、文字通り出力される結果の桁は変わる。分かりきっていた事だが……
「
「術式自体の相性も良いし、使い勝手も良いからね。かなり使い込んでるから練度には自信あるよ」
少し自慢げな田舎ニキに対して、満足するまで大和型を眺めていた幼女ネキが質問を投げ掛けた。
「む?かなり大規模な術式に見えるが、そんなに使い勝手が良いのか?」
「俺にとっては即席の船が作れて、質量兵器としても使えて、今回の様に
透度の高い氷の床を指差す田舎ニキの示す先には、レベル1未満のフード悪魔化した魚類の凍った姿が。
「田舎ニキの権能だと絶対零度で均一に獲物が凍るんだが、同時に【
「白魚を山梨支部に売れるぐらい鮮度維持には自信がありまぁぁぁぁす!!」
「数時間も経たずに悪くなる白魚を内陸部に売れるだと……!?」
大和型十隻分を纏めて
瞬間冷凍と平行して血抜き処理を行い、尚且つ凍傷にならないギリギリを狙って行える凄さは本職の方が分かるだろう。
「さて、そろそろ次に行くぞ」
量は十分取れたし、賄賂には十分だ。
「一旦、宮城支部に寄って船を解体、その後に移動して本命を狙いに行く。何か質問は?」
「俺は大丈夫。幼女ネキは?」
「私も大丈夫だ。あ、レン子ニキには私の方で連絡を入れておく」
「頼んだ。空に水路引くから田舎ニキは操舵宜しく」
「りょーかい」
空中に水路を引き、宮城支部を目指して大和型十隻が単縦陣で進む。普段なら飛行系悪魔がちょっかいを掛けてくるんだが……船首に座ってる幼女ネキの威圧により、むしろ悪魔が逃げている気がする。
やはり霊格。霊格こそ全てだ。
宮城支部で
目指すは恐山支部。途中、終末後に新たに生まれた邪魔な山脈を叩き切って渓谷を作ったり、沼地をその土砂で埋めたり、異界や悪魔の巣を纏めて処理していると、隣を走っている幼女ネキが自身の手を見詰めてポツリと呟いた。
「何というか高位霊能者って凄いな」
「レベルだけで言えば、そこらへんの神様を越えてる訳だしね。終末前はここまで大っぴらに能力振るえなかったし、幼女ネキが漸く実感が湧いたのも当然じゃないかな?」
「そんなものか」
「というか
「あー……それがあったね」
忘れがちだが終末前だと山崩しは全力でやって何とかなるレベルだ。大気中の霊力が薄すぎてMAGが飛散する速度が早いせいで、広範囲の魔法なんかは特に減衰幅が酷い。
それこそ俺らクラスでやっとの街一つ焼けるレベルだったしな。
そんな会話をしている内に恐山支部が見えてきた。取り敢えず霊視ニキにアポイントを取り、近くの宿で体を休めていると、タイミングが良かったのか直ぐ様若い?*3巫女が伝言を伝えにやって来た。そのまま案内に従い、霊視ニキの元へ向かう。
「直接会うのは久々だな」
「お互い元気そうで何よりだ」
軽く霊視ニキと近況を交わし、すぐに本題へと話を移す。
「ちょっと
「レン子ネキから話は聞いているが、またやるつもりなのか?あの時だって酷い事になっただろう?」
「あの時は参加した全員で釣り上げたからだ。一匹づつなら大した事にならんよ」
「だと良いがな」
呆れ顔の霊視ニキには悪いが、口がすでに釣り上げた後の料理に向かっている。だからこの段階で止めるという事は不可能だ。
「セツニキ、何やるつもりなん?
たまたま恐山支部に居たカス子ネキが興味津々と言った様子で話に入って来たので、視線を合わせ、ニヤリと笑いながら目的を告げる。
「ちょっと
そして場面は冒頭に戻る。
◇
ちなみに名無しのレイ様の話の前日譚です(笑)