【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
意味が伝わらない人は投稿時間を見てみよう!
「そういや幼女ネキ見て思い出したけど、幼女立て籠り事件*1の時にセツニキが手を出さなかったのは何で?」
「む。田舎ニキは反対だったのか?」
「いや、俺は見知らぬ誰かより知り合いの人魚ネキの方が大切だから賛成派だったよ?ただ、セツニキはショタオジ側の人間だから未覚醒の黒札の味方かな~って疑問がさ」
「そう言われると確かにセツニキのスタンス的には可笑しいのか」
三人が答えを求めて俺の方に視線を向けてきたので、釣り上げたクラーケンにダーツを投げながら答えを返す。
「心情的に元々人魚ネキの味方だったってのもあるが、それ以上にあのままだとヤバかったからな。そら見守る方に回るさ」
「ヤバかった?確かに人魚ネキがぶちギレる可能性あったけど、そんな危なかったの?」
飛び込んできた野太刀魚*2をそのまま冷凍保存し、保冷庫に投げ込んだ田舎ニキが作業しながら疑問を口にした。
「権能化に至ったスキルってのは言わば神の領域に踏み込んでる訳で、ほんの僅かにでも思えば実現しちまう速度があるんだよ」
余り実感は湧かないだろうが、と言葉を区切り、餌を付け替える。
「あー……人魚ネキが僅かにでも負の感情を抱いたまま【子守唄】を唄ったら、下手すれば一般黒札全員永眠する可能性があったのか。そら確かにセツニキも止められんよねぇ」
「人魚ネキが操作を誤るとは思えんが、人間のやる事に絶対は無いからな」
僅かでも考えた瞬間、結果として出力されてしまう権能は忘れた頃に事故を起こす。俺らも最初の頃は模擬戦で権能を乗せまくって事故ってたからな。
最終的に権能ありきで殺り合う様になったのは御愛嬌。自分も相手も強くなれば解決出来る程度の問題なのだ。一般黒札の為に歌っている人魚ネキには到底無理な話だが。
「というかショタオジも幹部勢も予想外だったのが、
正直、一回ぐらいは痛い目に合った方が今後の為になるという事で、事故を止める方向では無く、起きた後に対処する準備をしていたのは秘密だ。
人魚ネキの忍耐力が高かったお陰で不要になったけどな!
「権能化したスキルの恐ろしさを知らないから仕方ないとはいえ、ねぇ?」
「結果的にあのタイミングで幼女ネキが動いたのは正解だったって事か~」
「ふふん♪」
ドヤ顔で胸を張る幼女ネキに生暖かい視線を向けていると、田舎ニキの竿が大きくしなった。数分の格闘の末、釣り上げられたのは──
『『『人魚ネキ!人魚ネキじゃないか!!』』』
「ひ、人違いですぅ!」
──とてもメガテンらしい緑髪の薄いマーメイドだった。
「で、どーするんだ?一応、血肉は色々使えるが」
「た、食べられる……!?」
この程度の霊格じゃ大した効果は期待できないが、不老長寿の伝承からそれなりの霊薬は作れる。売ればそれなりのお小遣いにはなるだろう。
「んー……人魚ネキの話題が無かったらそれでも良かったんだけどね。流石にリリースするよ」
「デビオクに流さないのか?この容姿なら欲しがる俺達も多そうだが」
「あ、それがあったか」
そろそろと海に帰ろうとしていたマーメイドの下半身を凍らせ、田舎ニキがニヤリと笑って【デビルトーク】を試みる。
「何処へ行こうというのかね!」
「ムスカ大佐!ムスカ大佐じゃないか!」
「父さんは嘘つきじゃなかった!ラピュタは本当にあったんだ!」
「草」
幼女ネキと悪ノリしてる間にも交渉は進み、どうやらデビオク行きとなったらしいマーメイドが田舎ニキのCOMPに吸い込まれる。
こんな海で生きるよりはたぶん幸せになれるだろう。普通の悪魔召喚士の元へ向かったとしても、安定したMAGを手に入れられる訳だし。
「うーん……こんなものか。まぁ、コツコツ頑張るしか無いかなぁ」
「金貯めて何か買うつもりなのか?」
「まだ構想段階なんだけど東北新幹線を復活させようと思っててさ。その為に少しづつ資金集めてるんだよね」
まだまだ全然だけど、と言葉を区切り、再び海へ竿を垂らす田舎ニキ。
「本気でやるつもりなら東北全域を巻き込んで、連名で山梨に企画書を提出した方が良いんじゃないか?」
「俺もそれは考えたんだけどね?支部の位置によっちゃ恩恵が無い場所もあるから纏まらなさそうでさ」
「宮城支部なら私が話を通せるぞ?」
「恐山支部は任せろー」
カス子ネキと幼女ネキの二人がそう言った後、視線を俺へと向けて来た。まぁ、ここまで来たらそうなるわな。
「岩手支部には俺が話を通しておく。ついでに星祭の暇人共を動かして危険な悪魔の巣を予め潰しておいてやるよ」
「良いのん?そこまで報酬出せないよ?」
「見知らぬ黒札ならともかく、友人の為ならロハでも良いからな」
そもそも金銭で動かないのが修羅勢だ。金を稼ぐだけなら異界に潜れば済むし。
「んー……ここはお言葉に甘えようかな。なるべく早く企画書作り上げるよ」
「おう。頑張れよ」
そんな会話を交わした直後。
────ウウゥゥゥゥゥ────!!
辺り一帯に大音量で空襲警報の様な爆音が鳴り響いた。
「ちょっ!?これって【
「終末後の世界でこれはヤバくないっ!?」
「セツニキッ!私はどうすれば良い!?」
「幼女ネキは釣り上げに集中、他は臨戦態勢。釣り上げるまでひたすら【誘引】と【広域挑発】込みで引き寄せが続くからスタミナ配分に気をつけろよ」
『『『了解!』』』
指示を飛ばしながらトランプを取り出し、指に挟む。中層以降に設置される【警報】は周囲一帯の悪魔を呼び寄せる罠の一つだ。基本的に警戒していれば踏む事は無いのだが……残念ながら
クロマグロが掛かった時点で強制発動だ。殺意の高さよ。
コポコポと水面が泡立ち、その数秒後に無数の水魔が漁船に無理矢理乗り込もうと飛び出してきた。それを蹴り落とし、トランプを投げ付け、漁船と幼女ネキを守りながら戦っていると、遠くの方から【ハマダイン】が飛んできた。
「ちょっとぉ〜!?怪鳥に紛れて
「だから賄賂が必要だったんだよなぁ」
「まさかこれ北海道と本州から飛んできてるの!?」
「おう。これが大間のクロマグロ──いや、
『『『糞ギミックぅぅぅ!!』』』
ワチャワチャ叫びながら各自で対処を開始。とは言っても、この場に居るのはレベル三桁の修羅達だ。
「田舎ニキ!足場よろしく!」
「あいよーっ!」
カス子ネキが人形を動かしながら叫べば、即座に田舎ニキが答える様に海面を凍らせて足場を作る。そこへ飛び込み──【レベルドレイン】を鎌型に形成して振り回す。
「死神同盟*3に入れて貰えなかった俺の憎しみを喰らえッ!!」
刃の部分で数匹纏めて深き者の首を跳ね飛ばし、くるりと大鎌を回して石づきをアザミへ突き刺す。そのまま力任せに蹴り剥がし、別の悪魔の肩に乗り、首に刃を引っ掻けて飛び降りると──あら不思議。悪魔の首が落ちるではありませんか!
「……そこまで使いこなせてるのに同盟入り出来なかったん?」
「俺もそうだが、MAGを鎌にしてる奴等は共通の欠点があるんだよ」
「欠点?」
「
適当に周囲の悪魔を刈り取り、漏れた奴を鎌の柄で叩く。【レベルドレイン】で構築された鎌は十全に効果を発揮し、その
「刃を当て無くても武器になるんだわ」
「あー……納得」
死神同盟は鎌で刈り取るロマン派の集まりだ。故にこんな外法は認めたくないのだろう。それから暫く氷の大地で暴れていると、未だ格闘中の幼女ネキが叫んだ。
「セツニキッ!このマグロ、普通に私の力に対抗してるんだがっ!?」
「【高級魚の誇り】っつーギミック兼スキルのせいだ。
「え、待って。って事は、今マグロのステって三桁クラスと同じになってるの!?」
「そうだぞ、田舎ニキ。そのせいで俺らは船を沈められたんだ」
海域調査の時、初見で食らって死者が出なかったのは奇跡に近い。何せ引っ掻けたのはガイア連合で最高値に近い力ステ持ちのマスパンニキだったからな。
「────ッ!ちょ、それは不味いってッ!」
「あたしも援護に回るッ!!」
【突撃】してきたマグロに対して田舎ニキが氷盾を張った。さらにカス子ネキが【ラクカジャ】を掛ける。これで安心安全──とはならないのが終末後の海だ。
「【デカジャ】」
『『『【タルカジャ】』』』
「~~~~ッ!!この糞悪魔ぁぁぁッ!!」
「数の暴力ってスゲーよなぁ」
「呑気に言ってないでセツニキも手伝ってぇ!!」
「まだ焦る程、追い込まれて無いだろうに」
「敵にバフ掛かってるのが精神的に嫌!」
田舎ニキのその気持ちは良く分かる。女神転生の世界だしな!
さて、現状を整理しよう。カス子ネキの【ラクカジャ】は野良悪魔の【デカジャ】に消され、さらに幼女ネキの力と同等のステを持つマグロへ【タルカジャ】が三回重ね掛けされた状況だ。
う~ん、改めて文字にすると地獄過ぎる。流石は終末を迎えた世界だ。
まぁ、こういう状況は一つづつ地道に解決していくしか無い。まずは【デカジャ】のカードをマグロへ投擲。続いて霊符で陰陽結界を多重展開。
陰陽結界はゲーム的な説明をするなら100ダメージを肩代わりする身代わり人形に近い。それを何百枚と展開する事で、俺は修羅勢の攻撃を防いでいる訳だ。
もちろんバフ扱いでは無いので【デカジャ】で解かれる事は無く、今回の様な状況なら普通に活躍する。
「最近はグラ爺どころか星杖ニキにも越えられるけどなッ!!」
次元を切り裂いて結界の境界線を無視するのは駄目だと思うんだ。【貫通】とは別の概念が乗ってるせいで防御ごと叩き切れるぐらい〝重い〟し。
「アニメや漫画の技の再現する様になってから星杖ニキの成長ヤバいよねぇ!!」
ついに本気を出し始め、複数の人形に加えて配下の悪魔を呼び寄せたカス子ネキのフォローに回る。とはいえ煙々羅を呼び寄せてダーツを投げるぐらいだが。
「昔はシンプルな剣客だったから読みやすかったのになぁ。誰だよ、あの人に技再現教えた奴」
「間違い無く星祭なんだよなぁ。山梨の修羅勢は模擬戦そこまで積極的じゃないし」
「マジかよ、最低だな!星祭!」
『『『そこの代表ぉぉぉ!!』』』
そんな雑談を交えながら数時間。コピー出来ていない器用さを巧く使い、繊細な竿捌きで孤軍奮闘していた幼女ネキがついに吼えた。
「いい加減……私に降れぇぇぇ!!」
豪快に竿を引っ張り上げ、幼女ネキがマグロを釣り上げると、即座に田舎ニキが処理に入る。それが終われば──後は消化試合だ。
「溜まった鬱憤はお前らに全てぶつけるッ!!」
「
「もちろん私も暴れさせて貰うッ!」
田舎ニキ達から立ち上る圧倒的なまでの霊力。それは先程まで狂騒の渦に居た悪魔達が正気を取り戻すのに十分な圧力を発しており──
殲滅に掛かった時間は一分に満たなかった事をここに記しておこう。ま、マグロに配慮しなきゃそんなもんだわな。
◇
本当は年2ぐらいで魔列車走らせて鎮魂しようぜ!とか考えてたけど、色んな人が色んな列車案出してるから自重した(笑)
カオ転三次また増えたし、どくいも様が新たに書いてくれた裏ラスベガスも何時か書きたいなぁ。