【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
『『『カンパーイ!!』』』
「いやー!クロマグロは強敵でしたね!」
「掛かってる時は楽しかったが処理に回ると地獄絵図だったな!」
「それねー。マジで地獄だったわぁ」
「早い内に人数分釣れて良かったぜ。翌日になると悪魔が補充されてる事もあるからな」
「うへー……」
嫌そうな表情を浮かべた田舎ニキも、マグロの刺身やついでに確保した海鮮類*2が運ばれてくれば笑顔に変わる。終末後の海鮮類は貴重なのだ。食べられる機会に恵まれたのならば心残りを残さない様に頂くべきだろう。
「ところでセツニキ」
「んあ?」
「この宴にセツニキのマグロを提供して本当に良かったの?しかもロハでさ」
「食いたくなったら星祭で人集めるから問題無いぞ?というか定期的にイベント扱いで取りに来てるしな」
味という一点ではトリコネキ──じゃなかった。探求ネキのトリコ食材に勝てないが、悪魔化の影響なのか年中無休で取れる様になったクロマグロはそれなりの頻度で乱獲しに来ている。
ある意味で星祭のウィークリーミッションになってると言っても過言では無い。ネギトロ丼はたまに食べたくなるのだ。
「黎明期から努力してるだけあって星祭はホントに好き勝手生きてるね。他の支部やシェルターは何処も苦労してるのに!」
「俺らは
「これが……格差社会……!」
驚愕の表情を俺に向ける田舎ニキには悪いが新潟支部が〝厄〟を引き受けてくれている結果でもある。
口は災いの元なのだ。田舎ニキ自身が引き寄せてる気もするが。
「ま、今日ぐらいは好きなだけ食って明日からの糧にしてくれや。──そろそろ幼女ネキが限界っぽいしな」
自然と移った視線の先には、目の前に置かれている料理を目を輝かせて見詰めている幼女ネキの姿が。探求ネキが餌付けする気持ちが良く分かる。
「ははは、そうだね。それじゃ──」
『『『頂きます!!』』』
田舎ニキの音頭と共に食事を開始。まず始めに箸を伸ばしたのは──イカの様な肉厚の白い魚肉だ。
照り焼きにされたソレを口に運べば、不思議な味が口一杯に広がった。もちろん軽く塗られた照り焼きソースの味の事では無く、魚肉自体の話だ。
このイカの様な鶏肉の様な……いや、これは──蛇?
「……イカと鶏肉?の合の子みたいなコレは何の肉だ?」
「クラーケンでは無いと思う。あれはイカの旨味を凝縮した様な味だったし」
「たぶんシードラゴンじゃないか?龍神系が蛇に似た食感だったし、それに海鮮類の旨味を足すとこんな感じになるだろ」
「むしろ龍神系悪魔の捕食経験あるセツニキに驚き何だけど?一応、日本だと川の神よ?」
「そういやカス子ネキは知らなかったか。俺の初期スキル【丸かじり】だぜ」
「そうなの!?」
驚くカス子ネキに頷きながら日本酒で口の中の味をリセット。無難にマグロや野太刀魚の刺身を経由した後、再び謎食材に箸を伸ばす。
「私はブフと物理だったな」
「俺もブフだった」
「あたしはムドだった……と思う」
「何で曖昧なん?」
「ガイア連合と合流する前の恐山にはデスマーチしてた記憶しか残ってない!!」
『『『あー……』』』
俺も創設前は【トラポート】の登録がてら各地を回ったし、当時の霊能者達の状況は良く知っている。
油断すればスライムや餓鬼で死者が出てしまう世界。そんな状況下で国防の為に戦い続けていたのだから、一部名家の横柄な態度にも理由があったのだ。実力差は理解して欲しかったが。
「というかセツニキ、良く
「見た目は最悪だが味は悪くないぞ?貝柱と昆布を混ぜた様な味だし」
「マジか。俺も行ってみようかな」
田舎ニキが箸を伸ばした先には、イソギンチャクと海草を混ぜ合わせた様なフード悪魔を千切りにした品が。……うん、ハッキリ言おう。ぶっちゃけ触手の千切りだ。
「確かに悪くないね。コリコリして御摘まみになりそう」
「茎ワカメみたいな感じだよな」
「む。それなら私も挑んでみるか」
「みんな良くそんなもんに箸伸ばせるね~……あたしは普通に刺身を楽しむわ」
「無理に食うもんでも無いしな」
さて、再び日本酒で味覚をリセットだ。ちなみにこの酒は田舎ニキの持ち込みで新潟の新酒らしい。
呑兵衛の会に売り込むついでに賄賂として貰ったんだが、口に含んだ瞬間、米の香りが広がって中々美味い。
まぁ、
「何時までもセツニキに先陣切らせるのもあれだし、次は二人で新規開拓しに行く?」
「なら私はこの怪しい魚卵に行こう」
「じゃ、俺はこっちのデンジャーカラーにするぜ!」
幼女ネキが黒青い?イクラに、田舎ニキが焼いて尚、黄色と黒の色合いを残した魚?に箸を伸ばす。
そして二人同時に──パクリ。
「どうだ?」
御猪口を傾けながら二人に問い掛けると、二人とも眉間に皺を寄せ、考えながら感想を口にした。
「ん~……なんだろうな、これ。不味くは無いんだが……」
「こっちは見た目以外普通のホッケでした!何の面白味もねぇ!」
「お、それならあたしも行けそう」
「じゃ、俺は魚卵で」
田舎ニキが毒味したデンジャーホッケにカス子ネキが箸を伸ばしてパクリ。俺は俺で魚卵の方に箸を伸ばして少しだけ摘まみ、口に運んだ。
「……御飯ですよinたらこ?」
「それだ!」
喉に刺さった小骨が取れたかの様な笑みを浮かべ、御飯の上に乗せて掻き込む幼女ネキ。こちらはこちらでオオマチと二人で小皿に取り、二人で分け合いながら摘まむ。……うん?
「今更気付いたんだがオオマチ居たんだし、宮城から北上しなくても良かったな」
『『『今更!?』』』
声を張り上げた三人に苦笑いを返す。
「星祭と一緒に居る時のノリだったんだよ。道中のシェルターの安全確保ついでに良くやるんだ」
「あ~……それが許される強さだもんね。星祭」
ちなみにその時は山梨から異界や悪魔を凪ぎ払いながら北上する。ついでに霊道の定期清掃も兼ねているのだ。
それから暫く会話しながら飲み食いしていると、話題は黎明期の話へ。田舎ニキ達は半終末後の合流組なので、そこら辺の昔話に興味があるらしい。
「初期の頃なら脳缶ニキ*3とか鑑定ニキ*4は記憶に残ってる。流石はメガテン世界だと驚いたもんだ」
「あ~……あの二人はちょっと特殊だもんねぇ」
納得した様に頷くカス子ネキに対して、幼女ネキが口の中を空にしてから疑問を問い掛ける。
「脳缶ニキは始まりの境遇が凄すぎて記憶に残る事も理解出来るんだが、鑑定ニキもなのか?」
「鑑定ニキと出会った時、俺よりレベルが上だったってのもあるが……隠形結界は見破られるし、魔導書大量に持ち込んで何ともないし、何というか
初手魔導書はマジで驚いた。ついでに本人に何の影響も無かった事に二度驚いた。
最下級に近い写本だから良かったが、後少しでもランクが高い魔導書だったら、普通の霊能者に過ぎない俺の精神は汚染されていたと思う。
原本だったらショタオジ以外、当時支部に居たメンバー全員発狂もあり得たよな、アレ。その驚きもミロク経典に吹き飛ばされたが。
「そんなに分かりやすく違ったのん?」
「違ったな。普通の人間の元にあんな
世界中の書店から『民数記』を探し出して処理した俺でも、自分で魔導書を見付けた事は一度も無い。
魔導書とは本来それぐらい見付からない物なのだ。──例え写本であっても。
「他には何か無いのか?グロでも大丈夫だぞ!」
「とは言ってもなぁ……当時は当時でワチャワチャしてたからな。何かフックが欲しい」
「んー……それじゃ製造部の面白話とか無い?終末前に黎明期ガチャ*5やったし」
「そういやそんなガチャあったな。俺も作ったわ」
「え、マジ?何作ったん?」
箸を止め、こちらに視線を向けてきたカス子ネキにニヤリと笑う。
「クトネシリカのレプリカだ」
クトネシリカはアイヌ民族の叙事詩『ユーカラ』に登場する英雄──ポイヤウンペが所有していたとされる宝刀*6だ。
所有者であるポイヤウンペがピンチになった際には霊威によって顕現し窮地を救ったという伝承もあり、どう考えても四体の
「ちょっと待ってセツニキ!緣深い筈なのに、あたし当てられて無いんだけどっ!?」
「所詮レプリカだしなぁ。本物とは緣があってもパチモンには無いんじゃないか?」
「そんなー!」
「ちなみに性能はどうなの?エクスカリパーみたいなネタ武器?」
「いや、地元の英雄が使えるガチ武器だった筈だ。ちょっと待ってろ。今、思い出す」
確か──本物は柄頭に狼神の飾り、鍔の縁に雄竜神、雌竜神が鞘に絡み付き、鞘の鯉口に耳と尾の先だけ毛の生えた夏狐の飾りの付いた太刀だった筈だ。
で、全く同じじゃつまらんから
「あー……思い出した。推奨レベル30の
「なにその便利武器」
「やろうと思えば破魔と呪殺も行けたんだが、そこまで行くと当たり枠に行くから入れなかったんだわ。ま、黎明期らしく属性に苦労してた頃のアイディアっぽいだろ?」
「確かに」
黎明期の頃は属性と耐性を追い求めてたからなぁ。みんなが欲しがる物なんてこんな奴ばっかりだった気がする。
「後はドルフィンヘルムをモヒカンみたく乗せるタイプの奴も作ったな」
「確かに横向きに乗せるよりはマシか。私は縁が無かったが」
「幼女ネキの場合、レン子ニキが被らせないと思うわ」
「確かに。せっかくの見た目なのになんて事を……!とか言いそうだよな」
「言いそう!」
喋った分だけ渇いた喉を酒で湿らせていると、カス子ネキが昔を懐かしむかの様な声で話に入ってきた。
「そういや昔、嫁に装備させてる人一杯居たよね。イルカヘルム。いやー笑いを堪えるのが大変だったの覚えてるわー……ぶふっ!」
「どうしたカス子ネキ?思い出し笑いか?」
「くくっ……いやさ、セツニキ達が馬鹿やった時の光景を思い出しちゃって……ふふふ」
「あー、あれか」
「あれ?」
こてん、と首を傾げた幼女ネキに軽く視線を向け、て適当に摘まみを取りながら答えてやる。
「当時は山梨と星祭の修羅勢で分かれて無くてな。一緒に行動する事も多かったんで、模擬戦に負けた腹いせに皆でショタオジの笑いを取りに行った事があったんだ」
「……何やったの?」
「五十人近い人数でドルフィンヘルム被って真剣な顔してやったぜ!」
『『『ぶふっ!』』』
もちろんショタオジは大爆笑して死にかけた。たぶんアレが終末前で一番ショタオジにダメージを与えた
ツボに入ったのか笑い転げてる三人を見つつ酒を嗜む。たまにはこんな日も良いもんだ。
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ちょっと強引だけどここまで!
ダーオカニキの話を拾おうかと思ったけど⑨ニキとの関わりが無さすぎて話が……!w
書くとしたら探求ネキ経由かな?たぶん呉支部にマッカ送りつけてると思うけどもw