【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
■連絡
ふーじん様お待たせ!
でっち上げて来たぜ!
全ては後書きに置いてきた!
流派は投げ捨てるモノ。
──西部戦線。
一人の男が廃墟の上で煙草を吹かす。その堂々とした姿には年季と貫禄があった。
男の名はバドラックニキ*1。掲示板では双子ニキ(弟)と名乗っている男だ。
「くっそ!見付からねぇ!」
「落ち着けって。先輩達からも言われただろ?一度は斥候型の恐ろしさを味わっておけって」
「分かってる!でもここまで見付からないなんて……!」
「開始から全力で探知系スキルや権能使ってるのにね……。他の修羅勢なら何度か引っ掛かったんだけど」
「そのせいで逃げ惑う羽目になったけどなー」
すぐ近くで煙草を吹かす男に気付かず、仲間内で呑気に会話しているのは〝新人〟達だろうか。身に秘めるMAG量的にレベルは70前後。
ガイア連合全体から見ると上澄みだが、修羅勢としては中堅。しかし星祭に来れる時点で、少なくとも利益の為に他者へ迷惑を掛ける存在では無く、最低限の常識を弁えているとショタオジからお墨付きを貰っている集団となる。
彼らが今回の『バトルロワイアル』で自主的に課した目標は、斥候型の発見辺りか。
先達の忠告を真摯に受け止め、実行に移すその性根は称賛に値する。だが──
「斥候型は万能型の亜種みたいなもんでな?戦闘力は下から数えた方が早いんだ。それこそバフ抜きの
煙草を吹かしながらも手放さなかったクロスボウの弦を引き、ボルトをセット。そして引き金を引く。
雑に放った筈のボルトが吸い込まれる様に〝新人〟達の胸に突き刺さると、そこからポタポタと血液と一緒にMAGが溢れ始めた。
「死ぬ前に気付けると良いな?尤も──気付かせる程、斥候型は優しくないぜ?」
〝新人〟達の横を堂々とバドラックニキが歩き去る。ついでの様に軽く肩を叩いて。
その五分後。彼らは何にも気付けず、いきなり死んだかの様に死亡判定を貰い、戦場から追い出された。
◇
──東部寄り南部戦線。
「アタシって武術の才能がからっきしだったのよね~」
気軽に振り下ろされたメイスが
「びっくりするぐらい才能無くて、グラ爺や秋雨ニキには迷惑を掛けたわ~」
雑に薙ぎ払われたメイスが廃墟を
「噂には聞いてたけど……ここまで凄いもんだと思ってなかったわ!」
「ウフフ。伊達に
クロビカリネキがやっている事はシンプルだった。大盾で防ぎ、メイスを振るう。ただそれだけ。
相手を正面に捉える様に細かく位置調整こそしているが、そこに〝技〟は無く、ついでに言えば体重移動も甘い。
少しでも武の心得がある人間ならこう断言するだろう。クロビカリネキは──
恵まれた肉体だけで戦う、努力しない黒札だと。
「アタシの根源って『女神マリア』なんだけど、このせいで戦闘関連の才能が全く無くてね?
「女神マリア!?
「アタシもそっちだったら陰口に悩まなくて済んだんだけどね~」
ギリギリ外周部とはいえ東部で暴れている氷結属性の頂点達の領域内で争える辺り、二人とも深層で生きている修羅勢である事に間違いは無い。
だが鍛え上げた技術を武器に戦う男とは違い、何処まで行ってもクロビカリネキは恵まれた肉体任せだった。
「心無い言葉をたくさん言われたわ。何とかしようと古参勢は庇ってくれたし、動いてもくれた。それが嬉しくて、だけど情けなくて、皆から距離を取ろうとした時もあった。そんな時、事の推移を見守っていたセツニキが言ったのよ」
「なんて──危ね!?ワンミス即ガメオベラとか糞過ぎだろッッ!」
「油断しちゃ駄目よ~?アタシに〝手加減〟なんて出来ないんだから」
会話している間にもクロビカリネキのメイスは空を殴り、そのまま大地を破壊する。それをギリギリで避けた男の息は少しだけ荒れていた。
男も無策で挑んだ訳では無い。自身の鍛え上げた速度があれば、他の古参はともかく
彼の合流は半終末の少し直前。山梨異界の様な便利な鍛練場には恵まれなかったが、代わりに世界中でメシア教と戦ってきた自負があった。
──だからこそ、解せない。
クロビカリネキは噂で聞いた通りの動きだ。しかし、間違いなく何千、何万、何十万と繰り返した鍛練の跡が見えるのだ。
戦場で生きてきたが故に、それが
とはいえ彼も90近くまで霊格を上げた高位霊能者だ。即座に息を整え、牽制しながらクロビカリネキに続きを促した。
「で、うちの大将はなんて言ったんだ?」
「笑っちゃうわよ?武を尊び、誰よりも努力してるのに呆れ顔でこう言ったのよ。お前ら勘違いしてる様だが、
「大将らしい、なッ!!」
緩急を付け、作り出した隙を縫う様に加速した男の短剣がクロビカリネキの腹部に突き刺さる。だがクロビカリネキが行った
「まだまだアタシを舐めてるわね?早く気付かないと──死ぬわよ?」
何事も無かった様に振り下ろされるメイス。爆砕する大地。飛び下がるついでに慌てて引き抜いた短剣には確かに血が付いている。しかし──
「……【超速再生】?」
「その質問にはYESと答えるわん」
大盾を構えたままクロビカリネキが突撃する。だが残念ながら男にとって事前に読めた動きでしか無く、ダンプカーを鼻で笑いながら吹き飛ばしそうなその攻撃を軽々と躱わし、隙だらけの背にナイフを投げる余裕すらあった。──しかし。
「刺さらない……?」
男の投げたナイフは金属と肉を同時に叩いた様な不思議な音と共に空を舞う。無効では無い。吸収でも無い。手応えはあったのに、結果が付いてこない。
そんな摩訶不思議な状況に困惑していると、クロビカリネキは向き合う様にゆっくりと振り返った。
「セツニキ達が言うにはアタシの身体って世界最高の肉体らしいのよ。それを前世の経験と星祭の知識で鍛え上げてきたのが今のアタシってワケ」
「つまり、クロビカリネキは武術の代わりにひたすら肉体を鍛え上げていた……?」
「YES。自分が死ぬ前に敵を殺せば良い。一撃なら尚良し。それが戦闘ってもんだ。……これがセツニキがアタシにくれた言葉よ」
「はは、ははは……サイッコウに頭悪いね」
「でも、今のアタシは美しいでしょう?」
戦闘中にも関わらず、クロビカリネキはグラビアアイドルの様なポーズを決める。全身を見せ付けるその姿には確かに自信が宿り、
「……うん。素直に美しいと思えるわ。積み上げた努力の方向性は違えど、クロビカリネキは確かに星祭の修羅勢だよ」
「ええ。それがアタシの自慢で、誇りだから」
お互いに笑い合い、武器を構える。知らぬ間に抱いていた侮蔑の心はすでに無い。あるのは──純粋なる敬意と、それを
「行くよ」
「ええ」
語るべき事を語り終えれば、後はどちらが勝者かを決めるだけ。自らの勝利を疑わぬ二人の修羅が、再び己の牙をぶつけ始めた。
◇
必要なのは戦う意思と結果だけで、過程は気にしない。それがうちの主人公。
以下、設定!(後付け)
◇双子ニキ(弟)、バドラックニキ
コテハン:ケチな斥候
性癖:全く同じ容姿なのに、妹の方が優秀な事にコンプレックスを持っている姉が好きな双子好き。
ヴァルキリープロファイルのバドラック似の黒札。ポジションは斥候。武器はクロスボウと火薬。
偵察やマッピング、ギミック看破や弱点把握等々、中層~深層の初見エリアで大活躍してきた古参修羅勢。うちの主人公が初見プレイで必ず連れていったぐらい古参達はお世話になっている。
権能はハイアナライズ、罠外し、気配遮断、希薄、同化。他には隠形系術式を得意としている。
作中で使ったボルトは〝
分かりやすく言えば無痛認識不可の【ソウルドレイン】
相手は気付けずに死ぬ。
◇クロビカリネキ。
コテハン:美肉体
見た目はワンパンマンのクロビカリ。前世はプロも顧客に居るスポーツジムのトップトレーナー(♂)だった。現在は♀です。
霊能の根源は女神マリア。この関係で回復系統はぶっ壊れレベルの素質持ちだが、攻撃系スキルは一つも権能化出来ず、伸び悩んだ時期がある。
権能は回復、蘇生系全部とテトラカーン、マカラカーン、バフ、超速再生、状態治癒、鋼鉄の処女。得意術式は↑に加えて付与や浄化。
今回は使ってなかったが、メイスに権能化したテトラカーンを掛け、無理矢理物理反射をそれ以上の反射でぶち抜くストロングスタイルだったりする。(無効は属性付与で対処)
肉体はとある魔術の禁書目録のアックアだと思えば大体合ってる。そのお陰でメガテン的に言えばダメージ中以下を全て無効化する。
さらに毎ターン回復し、状態異常も刹那で治る根源&肉体持ち。一撃当たれば即死。にも関わらず小技を許さないので、ジワジワと体力を削って焦った所を叩き潰すカウンター型だったり。うーん、裏ボスかな?
ちなみに足は遅いので「やってられるかっ!!」ってブチキレた修羅勢に良く逃げられる。当然だね。