【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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今回で短編は終了。後は掲示板だけ。

田舎ニキのネタキャラも行ける汎用性の高さよw

気になる方は【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たちのバトルロワイヤルin田舎ニキを読むんだ!



終生の親友(ライバル) 肆

 

 

「のう、セツニキ」

 

 

 一秒先の未来を読み、最善手を想像する。僅かでもミスれば、俺はそのまま殺されるだろう。

 

 

「ハッキリ言って良いか?」

 

「駄目だ」

 

 

 グラ爺の槍を受け流す想像をし、続いて振るわれる剣を避ける想像をする。これを()()()()()()に行わなければ駄目なのだから、この『投射呪法』は扱いが難しい。

 

 

投射呪法(ソレ)深層修羅勢(儂ら)にとってはゴミじゃろ」

 

「事実を言うなんて人の心とか無いんか?」

 

 

 グラ爺の言う通り、()()()『投射呪法』は深層クラスの修羅どころか下層クラスにすら通用しない。

 

 だからこそドブカスニキは苦労した訳だしな。

 

 とはいえ現状は勝つ為に必要な行程。口ではふざけているが、俺は至極真面目に戦っている。

 

 

「ふざけている様に見えて、その〝眼〟を見れば真面目にやってる事は分かっておる。だが──儂は準備が整う前に貴様を殺せるぞ?」

 

「…………ッ!」

 

 

 一秒前に予測した動きを越え、グラ爺が武器を振るう。何発か貰ったが、こちらは〝最善手〟を打っているのだ。そのお陰で術式が崩壊する程では無かった。

 

 払い、躱わし、受け流し、防ぐ。ありとあらゆる手段を用いて、グラ爺の猛攻から命を繋ぐ。

 

 【ソウルドレイン】さえあれば、もう少し楽だったんだが……まぁ、無い物は仕方がない。ある物で頑張るしか無いわな。

 

 それから暫く戦っていると、漸く〝条件〟を満たした。突如して変わった俺の動きに難なく反応出来る辺り、グラ爺の〝武〟は笑えん。が、これでまだ続けられる。

 

 

「……ふむ。そういう術式か」

 

「たぶん想定している効果とは違うぞ?この術式は──ちょっと特殊だからな」

 

「ほう。それは楽しみだ」

 

 

 激しくなるグラ爺の剣槍擊。濁流の様なそれを0().()1()()()2()4()()()()()()()で捌いていく。これでもまだ下層レベルなのだから、この世界は凄まじい。

 

 

「ふむ。ちと面倒な速さじゃのう」

 

「普通に対応されてるんだが?」

 

「下層レベルじゃしの」

 

 

 十を越える攻撃を捌き、一撃を返す。文字にすればそれだけの話だが、高速で殺り合ってるお陰で周囲には火花が散り、銀光が宙を駆ける。

 

 獲物を槍にしておいて正解だったな。少なくとも剣と両方を相手取る必要が無い。

 

 それから暫くして、術式がもう一段階()()した。

 

 

「……!成る程のう!」

 

 

 喜びを表情に浮かべたグラ爺の猛攻がさらに激しくなる。それを丁寧に対処していき、漸く現れた僅かな隙を突く。

 

 軽い刺突。十秒もすれば治ってしまう程度の傷だが、確かにグラ爺の胸に届いた。

 

 お互いに距離を取り、改めて武器を構える。グラ爺の顔に油断は無い。慢心も無い。あるのは──〝好敵手()〟への称賛か。

 

 

「昔、お主が言っていたの。近接型は考えるより先に動き、万能型は考えながら動き、魔型は考えてから動くと」

 

「おう。そのせいで万能型は明確に近接型に劣る。考えながら動く奴より、考える前に動ける奴の方が〝迅い〟のは当然だしな。ま、霊格でごり押せる程度の違いだが」

 

 

 星祭所属の修羅勢を観察した感じ、たぶん30差が境界線だと思う。魔型レベル100は近接型レベル70と打ち合える。耐性に関しても同じだ。

 

 レベル100火炎弱点の奴はレベル70の火炎攻撃を等倍で受けられるし、40差なら耐性アリで受けられる。50もあれば無効まで行く。尤も、吸収までは行かない*1が。

 

 

()()()()()()()()。それがその術式の利点か」

 

 

 答えを言い当てたグラ爺に首を縦に振る。

 

 

「一般的な人間の思考速度は約10bit*2だそうだ。対して人間の反射速度は男性で約0.36秒、女性で約0.40秒。覚醒者ならそれより速いし、高位霊能者ならさらに速くなる。だが何処まで行こうが〝人間〟である以上、その優劣を越える事は無い」

 

「だから物理型(儂ら)の反射速度を越えられる、という訳か」

 

「ああ。ま、万能型(俺ら)より魔型の方が思考速度は上なんだけどな」

 

 

 【並列思考(マルチタスク)】も含め、頭の動きに関して万能型が魔型を越える事は無い。その分、身体を動かす想像に関しては万能型の方が上なので、単純な優劣で語れる話でも無いが。

 

 万能型の長所は才ある分野をより伸ばし、短所を簡単に補える所にある。それを()()()()()と言ってる訳だ。

 

 

「じゃ、説明も終わった事だし、そろそろ始めるか」

 

「うむ。これ以上、会話で時間を稼がれるのは御免じゃからの」

 

 

 バレてーら。

 

 軽く肩を竦め、改めて十字槍を構える。対峙するグラ爺も漸くエンジンが暖まってきたのか、赤い闘気が漏れ始めていた。

 

 一撃貰えば致命傷。【ソウルドレイン】が手元にあったとしても、立て直す前に殺されるだろう。──なんだ、何時もの事じゃないか。

 

 

「【ソウルブレイク】」

 

「【神槍グングニル】」

 

 

 刹那以上の領域で、お互いに必殺の一撃を放つ。俺が放ったのは【マジックブレイク】が権能化した時に覚えたMAGを消失させる物理技だ。メガテンD2でスラオシャ*3に与えられた技でもある。

 

 ぶっちゃけ【ソウルドレイン】の方が使い勝手が良く、こんな時じゃないと正直使わない。破壊するより奪った方が楽だし。鍛練を怠った事は無いが。

 

 

「くははッ!凄まじいのう!」

 

「ここまでやって漸く追い付ける程度だけどなッ!」

 

 

 槍と槍を交え、権能と権能をぶつけ合う。そこへ時折混じる斬擊を躱わしながら鎌で足を狙う。流石のグラ爺も迎撃する余裕は無いらしく、回避しつつ攻撃を返して来た。

 

 お互いに【貫通】を乗せた攻撃である。速度は対等。だが万能型と物理型では、そもそもの威力が違う。

 

 それは武器を打ち合えば打ち合う程、重くのし掛かる。──それを何とかするのが万能型の生き方よ。

 

 

「────むっ!?」

 

 

 掬い上げる様に放った槍擊が()()し、グラ爺の槍を大きく跳ね上げる。その隙を狙い、心臓目掛けて突きを放つが──勢いを回転に変え、放たれた斬擊に防がれた。

 

 

「油断も隙も無いのう!」

 

「何時だって火力不足に悩んできたからなッ!」

 

 

 思考で肉体を動かす傍ら合間合間に呪符を仕込む。今回は起爆札だったが、状態異常を積んでも良いし、属性付与しても良い。

 

 さらに空いてる左手で煙玉を投擲。グラ爺の視界を一時的に奪い、瞬時に槍を取り換え、槍擊を放つ。

 

 新たに取り出した十字槍は先程までの槍より5cm長い、同色同型の一品だ。この僅かな差が極限領域の争いの中で雑音(ノイズ)となり、俺に勝機を与えてくれる。

 

 

「…………いつぞやの小細工かッ!」

 

「おっと、もう気付いたかッ!」

 

 

 やはり一度使ったネタはバレるのも早い。まぁ【ダストマ(幻惑)】でもう一回誤魔化して、一回り大きい物に変えるんだが。

 

 コツコツ張ってきた布石のお陰で戦場に()()が生じ、少しづつ戦況がこちらに傾いてきた。

 

 お互いに直撃こそ許してない。が、与えた傷の深さでは俺が有利。このまま行ければ──そう、少しでも考えたのがフラグだったのだろうか。

 

 

「まさか儂の方が先に切る事になるとは……相変わらずセツニキは儂を楽しませてくれるのう!」

 

 

 口を三日月に変えたグラ爺が強く踏み込み、領域を展開する。

 

 深層でミミックと殺り合った時のグラ爺の領域は〝魂すら凍り付く冷たき冥界〟の具現化だった。雪原でも無く、氷山でも無い。しかし魂を凍らせていく〝寒さ〟を感じるこの場所は確かに冥界の名に相応しく、初見の時は前世で味わった死に行く恐怖を思い出した事を今でも鮮明に覚えている。

 

 そんなグラ爺の領域だが、あの頃とは少し──というには大き過ぎる変化があった。

 

 聳え立っているのだ。天を衝く程に高い世界樹が。

 

 生命力溢れる世界樹と、魂を凍らせる冥界の夢のコラボレーション。グラ爺の根源がハデスという事に間違いは無い。ただ先祖にオーディンの転生者でも居たのだろう。正直、オーディンの直系と言われても不思議じゃないが。

 

 そんな事を思い浮かべてる間にもグラ爺の傷口に黄金色の光が集い、癒していく。対してこちらの傷口には青い光を放つ闇が纏わり付き、傷口を()()()()()凍らせる。オマケの様に魂にまで干渉し、まるで遭難者の様に睡魔を呼び寄せた。

 

 

「む……?展開しないのか?」

 

「そんな霊力残ってねぇよ。【投射呪法】の維持だけで精一杯だっつーの」

 

 

 燃費という点では【投射呪法】は良い方だ。ただ物理型に匹敵する領域まで性能を上げた代償が軽い筈も無く、これまでの連戦のお陰もあり、俺の残霊力は二割を切っている。

 

 発想自体は悪く無かったんだけどな。【アギ】が【アギラオ】になる様に設定した条件を満たして昇華(ランクアップ)させて行き、物理型に匹敵する速度を得る。

 

 最初から匹敵する速度を得るのでは無く、敵との攻防も含めて一つの儀式として行う事により、霊力(MAG)を過剰請求される事の無い、実戦向けの自信作(術式)だったんだが。

 

 

 惜しむらくは団長ニキに回収手段を奪われた事か。

 

 

 地脈や周辺に漂うMAGをチャクラや息吹(集気法)で回収しているが、それでも足りん。……仕方ねぇ。()()()に賭けるとするか。

 

 

「この様な幕引きになって残念だのう」

 

「まだ勝利を確信するには早いぜ?」

 

「お主自身が理解しておろうに。……儂の領域は生者に優しくない。言葉を交わす今この時も、お主の命を脅かしている」

 

「…………」

 

 

 構築される領域は異界と同じ。展開者の世界と言い換えても間違いでは無い。

 

 グラ爺が望めば、大地が、空気が、水位を上げ、足を濡らす冥界の川が。その何もかもが俺の敵となり、牙を向く。

 

 とはいえ何もせず、敗北を認める事は俺の〝誇り(プライド)〟が許さない。だから膝まで浸かった水の中にズボンの裾から()()()を落とし、次への布石を打つ。

 

 

「構えろよ、グラ爺。俺はまだ死んじゃいない。俺の命が欲しけりゃ──全力で来いよ」

 

「……では、そうしよう」

 

 

 返事と共に放たれたのは、グラ爺が下層時代から磨いてきた【モータルジハード】だった。纏わり付く冥界の冷気が回避を許さず、川の水が俺の両足を縛る。もはや回避は不可能。──だからこそ

 

 

「最後の悪足掻きってなぁッッ!!」

 

 

 ()()()を胸に当て、ライダー系俺達が御愛用している【瞬間換装】でデモニカを纏う。装備したのは──脳缶ニキが作成した【★サンドバッグ】*4を深層でも通用する様に素材から見直し、術式も新たに再構築した【★サンドバッグ改】とでも言うべきネタ装備。

 

 性能は【★サンドバッグ】と殆ど変わらない。変更したのは食いしばり回数に制限を入れ、装着者の霊力に反応する様に改造し、装着者が〝抜け道〟を使えない様に改造しただけだ。その代わり装着速度を跳ね上げている。

 

 つまり、正真正銘の生きる為だけの棺桶だ。装着者の霊力に反応する関係上、嫁式神や俺が良く使う擬人式神ですら何も出来ない。大人しく仲間が救援に来てくれるのを待ってろと言わんばかりな、ただそれだけの装備となっている。──まぁ、別の〝抜け道〟を進むんだが。

 

 【モータルジハード】が【★サンドバッグ改】を纏った俺に直撃する。

 

 俺ら深層組は食いしばり無効の権能を当たり前の様に所持しているし、グラ爺も間違いなく【モータルジハード】に乗せただろう。

 

 だが食いしばり制限を入れ、概念を強化した【★サンドバッグ改】はギリギリの所で耐えてくれた。そのお陰で、次の段階へ駒を進める事が出来た。

 

 予め仕込んでおいた()()()が効果を発揮する。時限式で術式が起動する様に設定した()()は正しく効果を発揮し、俺の身体をグラ爺の背後へと【トラポート(姿表し)】させた。

 

 この為だけに欧州まで行ったのだ。俺の霊力では無く、トムニキの霊力が込められたカード。それは正しく【★サンドバッグ改】の認識を誤魔化し、起動してくれた。さらに──

 

 

「────ッ!()()かッ!」

 

『グラ爺チィースッ!悪いけど一緒に死んでくれwww』

 

 

 落とした封魔管の中身──【水魔 ケルピー】がグラ爺の動きを封じる。ここまで行けば、後は槍を振るうだけ。

 

 この勝負、貰った────!

 

 

*1
もちろん独自設定。でもレベル1のアギがレベル100に通るとは思えないので、こんな感じだと連載中は考えていた。

*2
一秒間に『はい/いいえ』を10回判断出来る速度

*3
原典はゾロアスター教の下級神または天使階級。名前の意味は〝聴取〟と〝服従〟の二つあるらしく、作者が調べた感じ、前者はゾロアスターに征服されたペルシア神話時代の〝神の耳〟の名残だと思われる。

*4
ポポァ様作 【カオ転三次】本霊デビルなのバ レ バ レ の デモニカ! あのこれってマガタm に登場したデモニカ。絶対食いしばる代わりに何も出来ないという性能を持っている。





わざわざこの一発芸の為に欧州に行く修羅勢の鏡。というか、ここまでやらないと対グラ爺に勝率五割を確保出来ないという。

アビャゲイル様も含めて追える範囲で三次を追ってると、書きたいネタが多くて困る。

どくいも様のお年玉もネタにしたいしなぁ。


以下、読み飛ばしても大丈夫な設定。


【水魔 ケルピー】レベル70

スキル 肉体変換(水) 環境同化(水) シバブー 自爆


うちの主人公が所持する六体目の悪魔。

元々は半終末旅行時に拾った【妖獣 バイコーン】

色々合体したり、スキルを追加した結果、現在ではケルピーとなっている。

出会いはヨーロッパのとある荒野。たまたま主人公の目の前で現界したのだが、その時の第一声が『問おう!貴様の性癖は何か!』だった。

それに対してもちろん褐色巨乳と答えて意気投合。現世での暮らしを保証する代わりに契約を結んだという流れ。

ちなみにコイツの性癖も褐色巨乳。だから毎日イワナガを見て鼻の下を伸ばしてる。

ついでに瓊瓊杵尊への殺意は主人公以上。癖を返品した神だからね。仕方ないね。

悪魔としての【水魔 ケルピー】の役割は水場での足場兼敵の足枷役。基本的に主人公の領域とセットで使われる。

水に同化出来る権能を持ち、水溜まり程度でも余裕で潜める。雨の日は落ちる雫にすら同化出来る。代わりに砂漠や火山では死ぬ。当然だね。

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