【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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今回はちょっと特殊な設定のリサイクル。

自分の作品は三次書いてる人達楽しそうだな~混ざりたいな~って言うのが出発点だったんですが、これはそれより前の妄想の話になります。

具体的にはどくいも様の連載を追ってた時の話。




とある黒札のガイア連合活動記録

 

 最初に感じたのは『やっぱり〝持ってる〟奴は違うなぁ』という感想だった。

 

 まだガイア連合が存在していなかった頃。

俺程度の人間でもイッチに気安く話し掛けられた時代の話。

 

 すぐに覚醒したいと我が儘を言う俺らの為に、今では修羅勢と呼ばれている()が実験台として人身御供となり、〝厳しい修行〟で順調に覚醒して行く所を俺は少し遠くから眺めていたんだよね。

 

 別に参加を断られた訳では無い。単純に勇気が無かったのだ。

 

 ついでに言えば、方法が確立した後に一度だけ〝厳しい修行〟を受けて──初日で挫折した。

 

 俺は何処にでも居る一般黒札でした。

 

 それからは特に語る事の無い平凡な日々だったな。

 

 当時20代も半ばだった俺はギルニキの会社に籍だけ置かせて貰い、山梨の実家には大企業で働くエリートと嘘の様な本当の話を語り、実際は星霊神社で緩い修行を淡々と行ったんだ。

 

 

──そして、それから半年後。

 

 

 特に何のイベントも無く、霊符作りの為の霊草を細かく裂いている最中に覚醒しました。

 

 世界が光輝く、自分なら何でも出来るという全能感。

 

 それに溺れて問題を起こした奴の話は聞いていた。というか、その現場を見ていたんだよね。

 

 男鹿ニキを手に入れたばかりの【アギ(異能)】で燃やしたアイツの姿は今でも鮮明に思い出せる。──その末路も。

 

 だから俺はそうならない。そう固く誓っていた筈なのに、身から溢れる全能感は容易く理性を溶かし、俺の中に眠る傲慢さを呼び起こした。──けども。

 

 

『辞めておけ、■■■■■。黒歴史になるぞ』

 

 

 愚者だった時は()()に見えていた少年が。覚醒してからは()()にしか見えなくなった少年が俺を止めた。止めてくれた。

 

 その後の事は語るまでも無い。イッチを見て全能感を砕かれ、自分は凡人だって自覚した。

 

 もちろん、そこから始まる俺の英雄伝説なんて都合の良い話は無く、山梨異界の浅層をおっかなびっくり攻略する日々を送ったよ。

 

 とは言っても修羅勢の様に毎日潜った訳では無くて、緩い修行に使っていた時間をそのまま異界探索に回しただけだったりするけども。

 

 幸いだったのは〝厳しい修行〟を一回だけだが受けていた事と、当時はセッツァーニキと呼んでいたセツニキと〝縁〟を結べた事か。

 

 そのお陰で無茶な探索を行う前に回避と防御の訓練を行えたし、素人が陥る()()()()()()()を手に取る事なく片手で使えるハンマーを手に出来た。

 

 星祭神社の巫女達が潜っていた鍛練用異界で落ちる『初心者セット*1』をタダで譲って貰えたお陰で他の霊装にお金を回す事が出来たから、当時の俺は他の黒札より相当恵まれていたと思う。

 

 もちろん貯金を崩してイッチお手製の一反木綿も購入したぜ。それを盾にしてレベル上げを頑張ったんだけど──レベル10を越えた辺りで範囲魔法の痛みに耐えきれず挫折しました。はい。

 

 

……改めて見ると本当に根性無いな、俺。

 

 

 20まで行けた奴らから見下される事も多くなったし、後から〝厳しい修行〟を受けて覚醒した奴に追い抜かれる事もたくさん経験した。

 

 腐らずに済んだのは、そんな俺を〝仲間〟だと言ってくれる奴らが居た事だろう。まぁ、星祭の愛すべき馬鹿共と探求ネキやエドニキの様な古参勢なんだが。

 

 それからは霊格を落とさない様に安全な場所で狩りを続け、終末に備えてコツコツマッカを貯める日々を過ごした。

 

 

 前には進めず、だけど後ろに下がりたくなくて。

 

 

 あの時の俺ほど〝停滞〟という言葉が似合う人間は居なかったと思う。

 

 だけど、そんな俺にも転機が訪れる。嫁式神が完成したのだ。

 

 もちろん速攻で予約したぜ!当時はまだ紙だったけど、それでも前世で自分が好きだった嫁の姿なのだ。貯めてたマッカ全額投資余裕でした。

 

 当時は全額マッカ支払いする人間が少なく、コツコツ山梨異界に潜っていた貢献度があった為、比較的早い段階で〝俺の嫁〟は完成した。

 

 それからは心機一転、一反木綿と嫁式神の三人体制でレベル20を目指した──までは良かったんだけど、15までが限界でした。

 

 やっぱり痛いのは嫌だよ。修羅勢は何で耐えられるの。

 

 20まで上げられたのは嫁が抱ける様になってからだった。確かセツニキに20まで頑張るから俺の嫁も乗せ変えて!って土下座したんだよな、懐かしい。

 

 それに対するセツニキの返答は今でも覚えてる。

 

 

『これから俺の方も忙しくなるし、先に乗せ変えてやるから頑張れや』

 

 

 年の功なのか本当に人を乗せるのが巧い。途中で諦めても何も言われなかっただろうけど、何となく裏切るのは違う気がして頑張ったよ。

 

 それからは嫁の身体にハマって、また停滞した。前世は童貞だったから尚更ハマった。猿どころか兎だったね。あの時の俺は。

 

 ただ今までの俺とは違って25を目指す準備はちゃんとしてたんだ。簡単な術式を学んだり、悪魔召喚の勉強をしたり。

 

 残念ながらチキンな俺は『イヌガミ』限定資格を取るのがやっとだったけども。

 

 俺、嫁、一反木綿、イヌガミの四人で異界に潜る様になって、稼ぎも結構上がったのは嬉しかったな。

 

 ガチャで幾らか溶かしたのは御愛嬌。黒札はガチャの魅力に勝てないのだ。

 

 一応、アガシオンも購入した。またセツニキに土下座して索敵特化の奴を作って貰ったんだ。

 

 そのお陰で狩りの効率も上がり、気付けば俺は25まで辿り着いていた。

 

 この頃の俺のモチベーションになっていたのは『星祭に行きたい』って純粋な気持ちだけ。

 

 半終末の頃になって漸くだけど、未だに俺を〝仲間〟と呼んでくれる奴らの元に行きたかったのだ。

 

 

 だから俺は──イッチに土下座した。

 

 

 クダギツネくださいって。30になって星祭に行きたいからって。

 

 俺みたいな奴に渡してくれるか不安だったけど、イッチは笑いながら預けてくれたんだ。ただ一言『頑張って』って言葉と共にさ。

 

 他の〝仲間〟達からも色んな物を貰った。グラ爺からは【貫く闘気】のスキルカードを貰ったし、シエラ婆は【ソウルドレイン】のカードをくれた。

 

 男鹿ニキ達からはレベル30ぐらいの装備を貰った。お礼は星祭で受けるって。

 

 秋雨ニキや探求ネキからは危険な悪魔を纏めたノートとその対策方法を。他の〝仲間〟達も消耗品や耐性装備をくれた。

 

 みんな『頑張って』という言葉と共に色んな物を渡してくれたんだよね。古参だけど停滞しまくった俺なんかの為にさ。

 

 涙が出た。頑張ろうと思った。でも痛いのは今でも慣れないし、悪魔は怖い。

 

 レベルが一つ進む度に停滞して、その度に色んな人に土下座して力を貰った。

 

 スマホに『悪魔召喚プログラム』を入れてピクシーを仲間にしたり。ついでに脳缶ニキに色々COMP関係の技術を教わったりもした。

 

 どうやらこちら方面の才能があったのか、サクサク修得出来た事には我ながら驚いたよ。もうちょっと早く知りたかった……。

 

 探求ネキに土下座して作って貰った〝写輪眼〟を右目に入れたりもした。使いこなせなくて殆ど眼帯付けて過ごす様になったけど。

 

 いざという時の〝切り札〟としては優秀なんだけど、日常使いするにはハイスペック過ぎるんだよね。長時間使うと酔う……。俺は凡人なのだ。

 

 そんな牛歩の歩みで頑張っていたら、終末が来た丁度その日に30になった。……うん、賢い人なら気付いたろうね。

 

 

 イッチ死んじゃったから、許可を出せる人が居なくなったんだ。

 

 

 後から聞いた話によると、権限を渡していた分身に頼めば良かったらしい。でもセツニキ達は深層の防衛で泊まり込みだったし、俺はイッチが死んで途方に暮れてたから全く思い浮かばなかったという。

 

 

「──そんな訳で終末後になっちゃったけど……俺もやっと来れたよ」

 

「待ちくたびれたぜ!──()()()()()!」

 

 

 わざわざ出迎えてくれた古参修羅の一人が俺の名を呼ぶ。

 

 そう──〝写輪眼〟を入れて眼帯をするまで誰にも気付かれなかったけど、どうやら俺も〝原作持ち〟だったらしい。

 

 ソウルハッカーズ2に登場するキャラクターの一人。通称──タタラたん。俺はその姿にソックリだった。

 

 

「覚醒すると見える髪色が変色するヤツ多くて、普通に銀髪美女だと思ってたわ」

 

「霊視切って生活する事なんて殆ど無いしなー」

 

「俺はそもそも原作知らなかったから、鏡見ても銀髪になっちゃったなーぐらいな感想だったわ」

 

 

『『『自分の事なのに適当!?』』』

 

 

「いや、俺ってば一応古参だから。セツニキと知り合いだったから、ね?」

 

「あー……セツニキも覚醒してないと黒髪に見えるもんねぇ」

 

 

 皆の視線が一人の青年に集まる。出会った頃はイケメンショタ……いや、最初から老成した雰囲気あった様な?

 

 ま、まぁ、今では危ない雰囲気漂うイケメンが苦笑いを浮かべて軽く皆の視線を払った。

 

 

「ほれ、ここでずっと話すわけにも行かないし、さっさとタタラネキ連れて宴会場へ行くぞ。昨日から準備してたんだろ?」

 

「おっと、そうだった!」

 

「今日は宴会しながらパーティーゲームでオールだぜ!」

 

「じゃ、俺は連絡付かない奴等の所にダイレクトお邪魔しますってくるわ」

 

「私もそっち行くわ。同性の部屋に突撃するならそっちの方がいいだろうし」

 

「タタラネキ知らない奴等はどうする?」

 

「今日は呼ばなくて良いんじゃね?自発的に来るなら勝手に混ざるだろうし」

 

「ショタオジも来そうだな」

 

「あー……古株だもんねぇ」

 

 

 好き勝手駄弁りながら俺らが消えていく。もちろん俺の目では捉えられない速度だ。たぶん〝写輪眼〟を開いていても無理だったと思う。

 

 やっぱ、俺は皆とは違うな──等と考えていたら。

 

 

「そういや、これをやってなかったな。……星祭へようこそ、タタラネキ。歓迎するぞ」

 

 

 何気無いセツニキのその言葉で、左目から涙が溢れた。

 

 

 

 

 

*1
忘れてる読者も多いだろう装備群。『ジャックナイフ』『ヘッドギア』『サバイバルベスト』『レザーグラブ』『レザーブーツ』のセット装備。





書いてる途中までダンまちのラウルが脳内AAだったんですが、探求ネキの写輪眼ネタをぶちこんだらタタラたんになりました。

独眼で一人称を変える作業も入らない俺っ娘なのが悪いんや!

元ネタからの繋がりで脳缶ニキも入れられるし……。


以下、駄文。


この話を書いた切っ掛けは、どくいも様が考える、ショタオジが甘やかして最後には命を賭ける決め手となった一般的な黒札ってどういう人なんだろう?という妄想が始まりです。

本家様やSSを何度も読み直してこんな感じかな?って勝手に妄想してたんですが、いざ三次を書こう!と思った時に重大な欠点が見付かったので御蔵入りとなってました。それをリバイバルしたのが今回の話です。


だって──他の三次様に


絡 め な い ! 


↑の話から星祭要素を取り除くと、下手すれば探求ネキとワンチャン知り合えたかどうかレベルというw

ただ一般黒札の成長ラインはこんなもんかな?って作者の中で明確な基準となり、それが最速に繋がってます。

初期勢、全てのイベントに不参加(恐山や日本神解放戦等々)、一般的な黒札設定で終末時に30。それを基準に性格や能力なんかで上下させてました。

修羅勢や愛宕ネキ達のレベルも大体これを参考にしてます。


以下、設定。


☆タタラネキ

スキル アギ系統(バリオンは無理) 温度調整 鎚術 
鍛治 下位術式 プログラム系技能

仲魔:嫁、イヌガミ、アガシオン、クダ、ピクシー

根源はもちろんイッポンダタラ。容姿はソウルハッカーズ2のタタラたん。ラウルなんていなかったんや。

初期覚醒技能は【スレッジハンマー】

そのせいで自分を戦闘向けだと思い込み、そこそこ頑張ってレベル上げしてた。でも根源的には製造向けだよね、君。

一番最初の覚醒修行に参加した後、そのまま修行僧になった組の一人。自分の理想の嫁を作ったは良いが、女同士のやり方が分からず、ミナミィネキの元に走った経験がある(後付けTSの被害とも言う)

スケベ部所属で、ミナミィネキの開店前プレオープンに参加した経験がある事が密かな自慢。

古参に土下座を決める度にパワーアップを繰り返しては挫折してきた。たぶん古参組の製造系人格者三次主人公達には土下座を決めたと思う。

うちの主人公的には山梨にずっと潜り続けてくれてる有難い存在という扱い。必然的に星祭からの好感度も高い。

どくいも様がSSで開示してくれた設定的に遠征組が居ないと深層はもっと地獄になるっぽいんだよね……。そりゃ遠征組を大切にするよねって。
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