【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
RTA走者と現地民の温度差に笑う。
カオ転の小ネタも拾いたいけど、リナ関連は触れるとノクターンに隔離されるのだ……!
タタラネキを迎え、宴会を終えた翌日。日が昇る前に目覚めた俺は、ひとり死屍累々の宴会場を後にした。
一度部屋に戻り、最低限の
何でこうなったのか誰も分からないし、知ろうとも思わない。習慣なんて物は知らぬ間に生まれ、人知れず消えて行く。神や悪魔と似たようなもんだな。
洗い場で手早く身体を磨き、タオルを頭に乗せる。後は温泉に浸かるだけ。
「あ゛ぁ゛ぁぁ────!」
軽く放心しながら昇り始めた日の出をぼんやり眺める。考えるのは──タタラネキを始めとする新人達について。
半終末に突入して暫く経った頃、星祭所属の黒札が爆発的に増えた。迫る終末に危機感を覚え、駆け込み寺扱いする奴が多かったのだ。
お陰で温泉はスーパー銭湯並の拡張工事をする羽目になったし、左右対称にした設計図を元に別館を建てる必要も生まれた。
全世界の支部へ強行輸送した後に降って沸いた問題故に、精神的に辛かったのは今でも覚えている。
正直、断っても良かったんだが。
だが占術とショタオジチェックで人格が保証されている貴重な人材をわざわざこちらから断る理由も無い。結局、全員受け入れる判断を下した。
予想外だったのは、駆け込みするだけの事情を抱えている人間が多かった事だろうか。
父親はクソだからどうでも良いけど、育ててくれた母親は連れて来たい。姉は野垂れ死ねと思うけど、妹に罪は無い。自分の家族はすでに居ないけど、育ててくれた恩人を助けたい。
ガイア連合について知る事が遅れ、万全の対策を準備する時間が得られず、最善を尽くして30まで上げ、俺を頼りに来た集団。それが半終末合流組だった。
門前
とはいえ、もちろんタダじゃない。
ここらへんは星祭神社と名乗る以上、決して疎かに出来ない部分だ。祭神も普通に住んでるし。
「お、開いてんじゃ~ん!」
「開けたんだよなぁ」
真っ裸のまま続々とやって来た俺らが身体を洗い始める。野郎の全裸を眺める趣味は無いし、温泉にも満足した。
俺一人居たところで問題無いが、早めに上がるとしますかね。
◇
集団生活を強制した事は無いし、一人が好きな古参も居る。声こそ掛けるが、基本的に混ざりたい時に混ざれば良いんじゃね?というノリで俺らは動いている。
だが不思議な事に、旅館内で過ごす俺らは一人残らず甚兵衛姿になる。ソロが好きな奴も自らの意思で。
単純に便利なのだ。
これが来たばかりの一般的な黒札なら遠慮から断ったり、洗濯済みとはいえ他人が着た甚兵衛に袖を通すのを躊躇うかも知れない。
だがここで過ごす内に楽な方へと流れに流れ、最終的には俺らと一緒に甚兵衛生活を送り始める。
アラクネキ作の【環境適応】と【着心地S】のスキル付き甚兵衛には勝てないのだ。他にも【浄化】とか色々付いてるし。
(ま、人間なんてそんなもんだ──お?)
湯上がり散歩気分で本殿を彷徨いていると、昨日の主役を見付けた。ついでに甚兵衛姿の秋雨ニキの姿も。
「二人揃って何してんだ?」
「あ、セツニキ」
こちらに振り向いたタタラネキは修羅Tにジーパンというシンプルな姿だった。まさかもう購入してるとは判断が早い。いや、憧れてた感じかね?
「中層試験の実技で落ちたらしくてな。何が原因だったのか探っていたのだよ」
「筆記の方は平気だったのか?」
「そっちは
「頑張ったな。普通に落ちる奴も居るのに」
俺が知ってるのはマヨヒガ攻略の頃の話だが。
「でも、まさか落ちるとは思ってなかったわ~。【貫通擊】使えるし、余裕だと思ったんだけどな~」
「実際、何が問題だったんだ?」
「単純にMAGが
「あー……タタラネキの場合はそうなるか」
古参はそもそも問題無かった。後追い組も越えた時の能力は俺らと大差無いレベルだったろう。
ただ式神遠征組が何の努力も無く越えられるかと言うと……ショタオジの試験はそこまで甘くない。
「ねーねー。
「む?もしかしてタタラネキは気付いてないのか?」
「???」
首を捻り、疑問符を浮かべるタタラネキ。その姿を見て秋雨ニキが困惑を浮かべる。
「俺、レベル30になったから中層に行けるだけのMAGあるんじゃないのん?それともまだレベル不足?」
「いや、中層からはどちらかと言うと
「???」
「あー……秋雨ニキ。これに関して言えば俺らの伝え方が悪いわ」
というか原因は俺な気がする。後、ショタオジ。厳しい修行で覚醒すると何となく伝わるし、術式を教える時に古風というか一族の言葉でそのまま伝えてたからなぁ。
霊符を適当にばら蒔き、ホワイトボードとペンを錬成。作戦説明に良く使っていたからか、素材込みで霊符に入れておく習慣があって良かった。
「タタラネキに分かりやすい分野に置き換えて説明してやるよ」
「お願いしまっす!」
キュッキュとペンを動かし、書いていく内容はそう難しい物では無い。
逆に秋雨ニキには伝わりづらい──いや、大丈夫そうか。星祭の〝天才〟は伊達じゃないな。
「愚者──いや、非覚醒者を1
「うい」
ちなみに黒札はレベル1から10Bぐらいあると思う。じゃないと俺が餓鬼を
「上層に出てくる悪魔はレベル1~30前後。これを情報量の単位に直すと、大体1Bから1000
「レベル30で大体1
「違う」
ここを間違うと何故試験に落ちたかを理解出来なくなるので、ハッキリと断言する。
「
「……成る程。データ量的には似た数値でも、単位の違いがそのまま壁になると」
「流石に理解が早いな」
「分かりやすく説明してくれたからね」
この絶対的な差を理解出来ず、死んだ奴は何人も見てきた。諦めた奴はそれ以上だ。
原因は単純明快、
「一応、聞いておきたいんだけど、下層や深層もそんな感じなの?」
「おう。下層は
「ほえ~……」
「ちなみにセツニキの例えで表すと、ショタオジは間違いなく1
「いや、イッチ強すぎでは……?」
「それな。……ま、だからこそ俺はショタオジに全振りしたんだよ。絶対に勝てる賭けだったし」
むしろ賭けない愚か者おりゅ?というレベルだった。世界中の誰も気付いてなかったけどな!
説明しながら1024KBと1MBの【
「【霊視】すりゃ分かると思うが、これぐらいKBとMBではMAGの輝きが違うんだ」
「確かに全然違うね。壁って言われるのも納得だわ」
ジッと剣を見詰めるタタラネキに軽く打ち込む様に合図すると、何の躊躇いも無く斬り掛かって来る。それを即座に迎撃するとKBの剣が砕け、大気に還る。
「ま、これが秋雨ニキが言った〝薄い〟って言葉の正体だ」
「レベル30になっただけじゃ全然駄目なんだね……」
「MAGの量だけなら1MB分あるのは間違いないんだが、
「まぁ、自覚はあるよ。嫁とイチャついてたしね」
「それでも
魅せ筋では実戦で鍛え上げられた筋肉には勝てないのだ。悲しいけど、これが現実なのよね。
「成る程ねぇ。スカウターはそういう指標*3だったのか……。ちなみに〝厚く〟ないって言うのは流れ的に〝硬*4〟みたいな感じ?」
「どちらかと言うと〝流*5〟になる。俺らは一ヶ所にMAGを集めても〝絶*6〟にならんしなぁ」
「あー……確かに一ヶ所に集めても非覚醒者の様な惨状にはならんね」
「タタラネキ。正確には
「でも秋雨ニキ。リビングソードや妖刀とかあるじゃんさ」
「あれは武器を我々で言う肉体に見立て、依り代にしている様な物だ。それでも
「う~ん……分かるような分からないような?」
腕を組み、首を傾げるタタラネキ。……こりゃ実際に見せた方が良いか。
「ほれ、ここに一本の剣があるじゃろ?」
空中に生み出したのは、毎度お馴染み【ソウルドレイン】の形を変えた両刃の剣だ。ロングソードとも呼ぶ。
「これを〝堅〟で必要な部位に集めると──こうなる訳だ」
剣が形を崩し、刃の方にMAGが集まっていく。数秒もしない内に剣は
「これがもしリビングソードだったとして、まだ意識が残っていると思うか?」
「……無理だね。これは
「そう、それが大事なんだよ。悪魔は〝情報体〟であり、形も含めて〝
「それなら悪魔合体はどうなの?あれは形が変わるでしょ?」
「悪魔合体はベースとなった悪魔の意識を残したまま別の悪魔に変異させるから、ガイア連合では高等技術に指定されている。元の悪魔の意識を残さないと、悪魔合体で強力な力を得られた瞬間、間違いなく今まで結んでいた契約を破棄されて反逆されるからな」
だからどんなに性格が変わっても、性別すら変わっても、ベースにした悪魔の意識が変異後と繋がっているというのがガイア連合の見解だ。
ちなみにこれは図書館組の一部の研究結果でもある。*7
「って事は自然に悪魔が変異する事は無い?」
「それがそうでも無いから悪魔界隈はややこしいんだ。外部から強制的に〝
「……頭パンクしそう。深層勢はそこらへんもちゃんと覚えてるの?男鹿ニキとかマスパンニキとか苦手そうなのに」
「あの二人も脳筋に見えて、そこらへんの神学者や民俗学者を軽く越えてるぞ?というか知識が無いと下層で詰むしな」
「うむ。私やセツニキ、ミナミィネキや探求ネキ辺りが目立っているが、修羅勢は基本的に知識も技術もあるから修羅勢をやれている。無い奴はその前にリタイアだ」
霊符作りや霊薬生成、悪魔素材の安定処理に採掘や採取技術。ただ悪魔を倒してドロップを拾うだけでは下層や深層で戦う事は出来ない。
〝
連載前にカオ転読んでた時の妄想を文章化したぜ!
連載中はこんな風に考えつつ書いてた(笑)