【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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二回行動だ!


続・教えて!セツニキ先生!

 

 

「……よし!そこらへんは未来の俺に任せよう!今は試験対策だ!」

 

 

 割り切りが見事過ぎる。気質的には星祭の奴等と本当に近いんだなぁ、タタラネキ。

 

 

「実技を越える為には俺のMAGをMBに変換すれば良いんだよね?どうやれば良いん?」

 

一朝一夕(いっちょういっせき)には出来ないぞ?」

 

「それは分かってる。ここに来るまで苦労したしね。でも、間違った努力で時間を無駄にしたくないんよ」

 

「メシア教のせいで現地霊能組織は地獄を見たからな……。創設期から居るなら把握してるか」

 

「うむす。ヤバイよね。間違った努力の方に進ませる仕掛けを残しておくとか悪意と殺意が高すぎる」

 

 

 メシアの名前だけで嫌そうな表情になったタタラネキに対して、秋雨ニキがフォローを口にする。

 

 

「星祭はセツニキやブロントさん率いるキリスト系と付き合いがあったお陰でまだマシだが……一応、過激派と穏健派は分けて考えねばならんぞ?」

 

「えーメシアはメシアじゃんさ」

 

「私も無理に仲良くなれなんて世迷い言は言わんさ。ただ前世の日本の話になるが、1988年の時点でキリスト教徒は国内に約100万人居た。タタラネキはこの中の何人が()()()だと思う?全員?それならわざわざ野良の覚醒者を利用なんてしないで自前で賄った筈だ」

 

 

 組織内だけで行う悪行の方が露見しないのだから、と言葉を締め括る秋雨ニキ。

 

 

「えーっと、つまり?」

 

「俺らの良く知るメシア教徒の実態は九分九厘がただの()()()で、仕事が忙しければ週末に教会に行って祈る程度の事すらしない奴ばっかりだったって事だ。声が大きい奴のせいでメシア教全体がそういう風に見えるけどな」

 

 

 穏健派はそいつらを抱えて守っていて、過激派はそいつらを洗脳して手駒に変えている。

 

 穏健派に紛れ込んだ過激派は操りやすい手駒としか考えておらず、穏健派は穏健派で一般人を迷える子羊程度にしか思っていない。

 

 まぁ、結論から言うと、メシア教の覚醒者達は一般信徒を対等な存在とは考えてない。汝の隣人を愛せよとは何だったのか。

 

 

「日本人には分からんだろうが、信仰を捨てるってのは大変なんだわ。俺なら信仰を捨てるぐらいなら世界を滅ぼす。それぐらい普通は変えられないもんなんだ」

 

「つまり、セツニキは今でもメシア教徒を名乗ってる人達は自分と同じ気持ちって言いたいの?」

 

「悪魔が襲い掛かってきて、食べる物にも困る日々。救世主が降臨すれば救ってくれるという話を信じることは悪い事か?実は人類は滅びを待つだけの存在で、未来はすでに無いと教え、一般人を絶望に叩き落とす事は果たして正しい事なのか?」

 

 

 終末後の今ならメシア教徒を一人残らず殺す事は余裕だろう。しかし今更滅ぼして何になる?

 

 人類の守護者を穏健派の代わりにやると言うのなら、俺が今すぐにでもメシア教を滅ぼしてやろう。だがその程度の覚悟すら無く、メシア教を滅ぼせと叫ぶのは間違っている。少なくとも星祭(俺達)はそう考えている。

 

 

「むーん……もっと分かりやすくお願い。俺でも理解出来るぐらいさ」

 

 

 その言葉に秋雨ニキと顔を見合せ──ニヤリと笑う。

 

 

「牧場やったらブッ殺す」

 

「ガイア連合に迷惑を掛けたらブッ殺す」

 

「大人しく人類の守護者やってろ。それ以外するな」

 

「私達に(たか)るな。自立しろ」

 

「多神連合と争うのは良い」

 

「それにガイア連合を巻き込むな。何より──」

 

 

「「ショタオジを神にするな」」

 

 

 これが俺達の嘘偽りの無い本心だ。世界の守護者の座はやるから俺達に頼るなと言う、ただそれだけの話。

 

 

「残念ながら理想論になるがね。我々ガイア連合抜きでシェルターの維持は無理だし、シェルター内の黒札への嫉妬はどうにもならん。故に我々に対する凶行も無くならないだろう」

 

「一般人を切り捨てる事が出来ない以上、俺達ガイア連合は穏健派との繋がりを断てない。それを政治的な理由で〝ズッ友〟とか喧伝されるのはムカつくが、それをしないと一般人を纏められず、暴走させるからな。我慢するしか無いってのが終末後の現状になる」

 

「纏めると、穏健派は一般人の世話っていう貧乏クジを引かせ続ける為に残してるって事?」

 

「その通りだ。過激派をどう扱おうが好きにすれば良い。メシア教徒を名乗る全てに復讐したいなら止めもしない。だけど、一般人をどうするのかについては考えろって話だな」

 

「これはセツニキの話の補足になるが、穏健派を排除した個人シェルターは全体的に黒札が逃げる確率がかなり高い傾向にある」

 

「なんで?」

 

「良くならない暮らしの責任が全て黒札に向くのだよ。無責任な一般人が口にする『俺ならもっと上手くやる』という言葉に心身を磨り減らし、逃げ出すのだ。穏健派が入れば、民衆の矛先が『メシア』の看板に向かうので上層部は楽になるのだがね」

 

「成る程ねぇ。あ、だから修羅勢はメシア排除に動かないんだね?」

 

 

 疑問が解けた様に笑うタタラネキに真実を告げるのは申し訳無いが……一応、伝えておくかね。

 

 

「俺らにそんな高尚な考えなんて無い。好き勝手生きてるからな!」

 

「うむ!そも、わざわざ狩りに行くなんて面倒な事をする暇があったら趣味に時間を使う。その方が万倍楽しいからな!」

 

「これだから修羅勢は……!」

 

 

 これがガイア連合が誇る戦力の一端だ。

 

 

「ま、メシア教(カルト集団)の話はここまでにして、タタラネキの実技対策に移ろうぜ」

 

「あ、そうだった。それで、オススメの鍛練方法はある?」

 

「単純にMBに変換するだけなら根源の権能を狙いに行くのが手っ取り早いぞ。タタラネキの場合は【鍛冶】だな」

 

「え、別に戦闘外の技能でも良いの?」

 

「単位が一つ上がれば纏めてMB計算になるんだ。ダンまち*1のレベルアップみたいなもんだ」

 

「あー……存在自体が昇華する感じなんだね。でも、それだと中層で苦労しない?」

 

「もちろんする。でも【鍛冶】は戦闘利用も可能な権能だ。故にそこらへんは自身の戦闘スタイル次第になるとしか言えん」

 

「え、利用出来んの?」

 

「エミヤニキとかアーチャーニキとか利用しまくってるだろ」

 

 

 他にも色々流用してるが、剣を作り出す工程は【鍛冶】の権能が無いと不可能だ。原作と違って根源に鞘が干渉してないし。

 

 

「他には真修羅勢の北斎ネキ*2なんかは【絵画】の権能を戦闘に利用してるぞ?」

 

「どんな権能も本人次第って事ね。……ところで今更なんだけど、術式とスキルと権能の違いって何?」

 

「教本に書いてある通りなんだが……その様子だと読んでないな?」

 

「仕方ないじゃん!図書館に納められた頃は雲の上の話だったし!」

 

「「あー……」」

 

 

 ショタオジや修羅勢総出で頑張って編集したんだが……緣が無い奴はとことん無い話だからなぁ。

 

 ちなみに教本は山梨の図書館、星祭の図書館、後は探求ネキのアカデミーや岩手支部、鬼手一族の神社に置かれていて、基本的に貸し出し不可の本になっている。

 

 他の支部もコピーなら望めば簡単に手に入る*3が、現地民の中で30を越える奴は滅多に居ないし、基本的に果たして欲しがる奴は居るのやら、と言った感じの扱いの本となる。

 

 ただ終末後は〝野生の主人公〟も大量に現れるだろうし、そういう奴等の手助けに少しでもなれば良いと思う。触れられる機会は無さそうだが。

 

 

「セツニキ?」

 

「おっと悪ぃ。別のこと考えてたわ」

 

「そんなに教えづらいもんなの?」

 

「いや、結論だけ語るならすぐなんだが……」

 

「だが?」

 

「オカルト業界は理解と認識を疎かにすると死ぬ世界だからな。中途半端に教えて事故られても困るし、何処から語るべきか悩んでるのよ」

 

「権能は暴発しやすく、成り立てだと本人の意思とは無関係に発動する事が多々あるのだよ。そのせいで仲間や嫁を殺したくないだろう?」

 

「え゛?そんな事あるん?」

 

 

 んー……?

 

 

「タタラネキは俺達連続殺人未遂事件の詳細知らないっけか?」

 

「セツニキ。あれは創設期から三ヶ月経った覚醒者にしか知らされておらんだろう。当時の星霊神社の本殿は未熟な覚醒者が多く、未覚醒者は忌避感から寄り付く事を無意識に避けていた筈だ」

 

「あー……タタラネキは半年掛かったんだっけか。それなら知らなくて当然だな」

 

 

 気にせず入り込む奴も多かったし、当時の覚醒者達も別に拒絶していた訳でも無い。

 

 ただ覚醒直後は傲慢になる奴が多かったし、無意識にばら蒔く霊圧に気圧され、距離を取る人間が多かったのも事実。むしろ当時から神の領域に居たショタオジが、俺らから信仰を向けられなかったのが逆説的にショタオジの【霊力操作】の技量を示している。

 

 俺ですら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と対峙してる気分になるって言われてたんだが。

 

 

「随分と物騒な事件名だけど、そんな事が本当に起こったの?名前的に犯人は俺達よね?」

 

「説明を聞けば納得しかないと思うぞ?」

 

「あれは我々も含め、誰もが起こしうる事件だったからな」

 

「んー……?」

 

「ま、これから説明してやるよ。取り敢えず大人しく聞いておけや」

 

「うい」

 

 

 事件の発端は、ある一人の黒札が長期休暇を利用して覚醒修行を受けた事だった。厳しい修行では無く、緩い修行を受け、修行が根源に合っていたのか所謂〝半覚醒〟の状態で故郷に戻った。

 

 普段の生活に問題があった訳では無い。前世の苦労を今世に生かし、そこそこの大学を出て、普通の会社に就職。別にブラックでも無かった為、覚醒に至る心理的苦痛(ストレス)を会社で得た訳でも無かった。

 

 

 問題だったのは──前世の職業経験だ。

 

 

 彼は所謂〝就職氷河期〟の人間であり、その煽りを受けて就職に失敗。死ぬまでの間、コンビニの夜勤で働いていたそうだ。

 

 その関係でコンビニ事情に詳しく、また店員が嫌がる客と言う存在を熟知していた。

 

 結論から話そう。彼はガイア連合のお陰で早期に普及したコンビニへ仕事帰りに立ち寄り、()()()()()()()()()()()。それが──覚醒の引き金となった。

 

 根元が【呪殺】向きだったのも影響している。覚醒後にショタオジの元へ向かい、霊力のコントロールを身に付ければ問題は起きなかった。

 

 

 とはいえ、これはたらればの話。

 

 

 幸いにもショタオジが【占術】で小まめに俺達を占っていた事で俺が出動。事件の解決に尽力した事で未遂に終わった。

 

 その教訓を生かして覚醒後のコントロール修行が強制になったのは言うまでも無い。

 

 

「──って事件が昔に起きたんだよ。その後に必修になった覚醒後の霊力操作の修行はそれが切っ掛けだ」

 

「俺が受けたあの修行ってそういう意味があったんだね」

 

「俺達の中にはコンビニでアルバイト経験ある奴も多かったし、覚醒の切っ掛けになった()()()ってのが客視点だと『えっ?そんな事で?』ってレベルだったからな。そら、こちら側で対策するしか無いわな」

 

「あー俺も働いた事あるから分かるかも。会計後にレシートを取らない奴、レジにお金を投げ捨てる奴、年齢確認(ネンカク)でごねる奴。おにぎり一個で袋を要求する奴や箸を使わない商品で箸を要求する奴とか他にもたくさん居たけど、一人一人はイラッ☆程度なんだよね。だけど、一日に百人近く接客するから……」

 

「フリマアプリが普及した後は大量に出品物を持ち込む奴や電子マネーで支払いが完了する前に出ていこうとする奴なんかもムカついたと言っていたな。聞いていた感じ、レジでちんたらされるのに苛立ってたって印象だ」

 

 

 聞き取り調査を行った時、表情に出さないで親身に聞き続けた俺を褒めたい気分だったが……コンビニ経験のある俺達がほぼ全員共感していたのが印象深い事件だった。

 

 

「取り敢えず権能に至った直後は危ないって事は理解したよ。レベル1でそんな大事になった訳だし、レベル30の今だと大惨事になりそうだもんね」

 

「権能自体が()()()()()()()()()()()()()()()という領域の話だから大半の人間には止めようが無いのも被害の大きさに拍車を掛けるのだよ。下層(GB)以上の人間なら止められるが、常に側に居る訳にも行かないし、タタラネキも嫌であろう?」

 

「センセー!プライベートな時間が欲しいです!具体的には嫁とイチャイチャする時間!!」

 

「素直で宜しい。って事で権能の説明に入るぞ」

 

 

 正直、長くなるし、権能を得るまで理解が進まない分野なんだが。

 

 

*1
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのだろうか

*2
頓西南北様作 ファッション無惨様のごちゃサマライフ に登場する修羅勢の一人。間違いなく真修羅勢。

*3
但し黒札ならという条件が付くのは当然だよなぁ!?





アビャゲイル様のコメント欄見て、修羅勢がメシア穏健派を叩かない理由を妄想したのが今回の話。

要約すると『強くなる事に忙しいから相手してる暇がねぇ!』というガイアらしい理由だったり。
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