【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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沖縄の異界楽しそうだな!これは行かねば!って事で調べた結果、出来上がったのがこの話。

聞き役の破魔ネキはあちらの本編でうちの主人公に相談してる描写があったので起用しました。

時系列的には琉球ニキが支部を立ち上げたばかりの頃で、破魔ネキが星祭に来たばかりになります。



それは昔の話 参

 

 

「どうです?セツニキ」

 

「んー……やっぱり【破魔】以外も混じってるな」

 

 

 星祭神社本殿にある製造室。そこで原本になる霊符を製作する傍ら、最近本殿にやって来た破魔ネキ*1の矢を評価する。

 

 

「むぅ。自分では上手く作れていると思っていたのですが」

 

「破魔矢としての性能はちゃんとあるし、矢としても優れてるから何の問題も無いんだが……根源の影響で〝色〟が混じってるんだよ。──ほれ、俺ならこうなる」

 

「……【霊視】しなくても分かるぐらい周囲を払ってますね」

 

 

 修羅勢の印象が強くて忘れてる奴も多いが、【浄化】や【禊】といった()()()()()事に関して、俺はガイア連合内でも最高峰の性能だったりする*2

 

 出力や技術力という点でショタオジに劣るし、頂点とは口が裂けても言えないがな!

 

 

「根源が多才だと出来る事の多さに比例して〝純色〟作りの難易度が上がる。これが一般的な悪魔程度なら問題無いんだが……」

 

「中層以降では厳しいと?」

 

 

 破魔ネキの問いに首を縦に振る。

 

 

「修羅勢で例えるならカス子ネキや黒死ネキ辺りの権能は〝純色〟じゃないと抵抗すら厳しい。あの二人は【呪殺】【呪怨】【悪疫】等の〝穢れ〟に属する適正がブッ飛んでるからな。霊格差があるならまだしも同格だと出力負けが普通に起こる」

 

 

 他の修羅勢より明確に有利なのに、それでも本気でやらないと払えないのだ。これだけで二人の可笑しさが良く伝わると思う。

 

 これだから〝愛されてる〟奴等は……!

 

 

「成る程。相性が良いだけではどうにもなりませんか」

 

「うむ。ただ特化型はその分、出来る事の幅が狭くなりがちだ。格上を喰いやすいが、格下に喰われやすいとも言える。黒死ネキは歓迎するだろうが、カス子ネキはサブウェポンの狭さに苦労してる印象があるぞ」

 

 

 仲間という最強のサブウェポンが存在してるので、困るのはソロで相性の悪い奴とぶつかった時ぐらいだろうが。

 

 

「逆に万能型はサブウェポンは豊富ですが、使いこなすのに苦労するし、威力不足に悩む事になると」

 

「それが万能型の宿命って奴だ」

 

 

 ポケモンで例えるなら両刀型。RPGで言えば魔法戦士。序盤、中盤は活躍するが、終盤だと物足りなくなる。それが万能型だ。

 

 だからこそ術式を学んだり、装備で尖らせたりする訳だが……そこまでやって尚、特化型の出力には劣る。明確に劣る。

 

 その分、他の事が出来るのだが。俺ならドレイン系や回復、浄化に適正があるし、破魔ネキなんて探求ネキ並に多才だろう。

 

 その〝才〟を修羅勢に通る〝牙〟とするには、かなりの鍛練期間を必要とするだろうがな。

 

 

「うーん……まずは霊力操作の鍛練からですかね?」

 

「だな。望む〝純色〟を作れる様になれば、必要な時に望む力を完全に扱える様になる筈だ。創造と破壊の権能持ちが〝純化〟の訓練をしただけで概念強度(出力)が五割上がったケースもある。流石に破魔ネキはそこまで上がらんだろうが、二割くらいなら行くかもな」

 

「逆に言えば、現状だと二割は別の〝色〟が混じってるという事ですか」

 

 

 自身の作った破魔矢と俺の破魔矢を見比べ、何か納得した様に頷く破魔ネキ。

 

 

「確かにセツニキの〝色〟と比べると濁ってますね」

 

「この技術に関しては俺もまだ未熟だし、永遠に鍛練あるのみだぞ」

 

「待ってください。()()()()まだ未熟なんですか?」

 

「時間があったらショタオジに【破魔】を込めて貰うと良い。それを見れば、俺程度の〝純色〟なんざ水に泥を混ぜてかき混ぜたレベルにしか見えんからな」

 

 

 【破魔】や【祓】という概念そのものと言ったレベルの()()を見ると、自分の霊力操作の拙さが本当に目立つ。

 

 精密機器工場の工業用水で純水が求められる訳だ。あれだけ不純物の無い物ならば、幾らでも利用価値はあるし。

 

 

「そんなに、ですか」

 

「そんなに、だぞ」

 

「……それだけの【禊】の力があるなら、琉球ニキ*3が担当してる沖縄の異界*4を何とか出来るのでは?」

 

「あー……まぁ、破魔ネキがそう考えるのも無理ないんだが……」

 

「何か問題でも?」

 

「んー……ちょっと待ってろ。軽く説明してやる」

 

 

 霊符作りを一段落付けるところまで進めた後、机ごと隅に寄せ、代わりにホワイトボードを引っ張り出す。

 

 

「沖縄は霊地として凄く厄介な土地でな?琉球神道以外にもヒヌカン信仰、仏教、道教、本州神道、キリスト教、イリキヤアマリ信仰があり、琉球神道も実はニライカナイ信仰と御嶽(うたき)信仰に分かれたりもしてるんだ」

 

 

 これの何が厄介かと言ったら、今の沖縄で主流な民族信仰が()()()()()()()()という、ただその一点に尽きる。しかもメシア教が暴れた後であり、闇鍋を力任せにかき混ぜられた状態だ。

 

 下手に手を出せば何処が爆発するか分からない不発弾の山であり、個人的な感想で言えば、正直本島ごと隔離したい。それぐらい霊地として混沌とした場所となっている。

 

 

「で、先程の話に戻るが、ショタオジの力を込めた破魔矢や霊水で異界を何とかする事はたぶん出来る*5。だけど異界を更地にした後に訪れるのは沖縄を舞台とした宗教戦国時代であり、現状だと勢力的に強いメシア教しか得をしないんだわ」

 

「なるほど。つまり琉球ニキ達が力を付けるまで現状維持が望ましいのですね?」

 

「終末後をどういう形で過ごす予定なのか決まってないってのも理由の一つだけどな。呉の様にオカルトを排するのか、岩手支部の様に人類の守護者となりうる神を奉るのか。新潟支部や恐山の様に黒札と名家主体で運営する方向性だと思うが、琉球ニキの中にまだ確固たるヴィジョンが無さそうでなー」

 

 

 異界攻略の為の物資支援は行っているし、建設費用に関しても補助金を出している。だが直接関わっているかと言うと、実は星祭神社としてそこまで関わっていない。というか()()()()()

 

 報告書を読んだ感じ【銃火暴風怨嗟域】は第二次世界大戦期の怨念がベースとなっている。そして俺はその戦争に参加していた人間であり、大陸で戦っていた人間だが──()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ギミックになる程の怨念だ。そこへノコノコ関係者が現れた時の反応は、どう考えても良い方には転がらないだろう。

 

 ついでに言っておくと、星祭の古参も少し怪しい。星祭の鍛練は俺とグラ爺と秋雨ニキの技術をベースに組み立てられているが、その中には当然、大日本帝国時代の思想や鍛練法も紛れている。

 

 破魔ネキみたいな合流組は大丈夫だと思うが、初期から俺の鍛練を受けた人間は念のためにも行かない方が良さそうなんだよな。

 

 

 それに──問題はそれだけじゃない。

 

 

「破魔ネキも中層試験を突破したなら知ってると思うが、信仰ってのは同じ名前でも全く別物だったりするんだ」

 

「仏教というカテゴリの中でも無数の宗派があるのと同じですね」

 

「そう。そして、これが沖縄が厄介な霊地扱いになる最大の原因にもなっている」

 

 

 例えばニライカナイ。東方の海の彼方の底にあるとされている理想郷を指す言葉で、沖縄神道では他界*6や命の生まれる場所とされている。

 

 確か奄美ではニルヤ、ネリヤと呼ばれ、八重山ではニーラ、ニール、ニライスクとも呼ばれている筈だ。

 

 これに関してはどちらが正解という話では無く、土地の言葉に置き換わっただけだと思う。どれも〝ニライカナイ〟を指す言葉という事に間違いは無いからな。

 

 

「で、問題になるのはここから先だ。琉球開闢(かいびゃく)神話では〝アマミキヨ〟という名の神がニライカナイに降り立ち、国作りを始めたとされている。だが神道での国の始まりは伊邪那岐(イザナギ)伊邪那美(イザナミ)の二人。まず、この時点で神道と沖縄神道の間には溝がある」

 

「歴史的には神話が二つあるのも当然な気がしますけど……言い方的に()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「まぁ、これは北海道でも起きてる事だからな。問題なのはこの後だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、どうなると思う?」

 

「……うわー」

 

 

 同じような名前だから、という安直な考えで動くと、この罠に見事に嵌まる。

 

 というか前世ですら似たような話を聞いたからな。

 

 市がここは行っても大丈夫ですよと太鼓判を出した場所がその地域の御嶽(うたき)であり、問題になったという話だ。

 

 大まかな御嶽──地域の信仰地を把握していても、細かい場所まで把握していない。さらに市の職員が沖縄以外から来てる場合、他の職員なら知ってる沖縄の常識が分からない。

 

 そんな小さなミスを積み重ねた結果、信仰問題に発展する訳だ。

 

 

「ちなみに同じ沖縄神道の許可を得ていたとしても安心するのはまだ早いぞ。離島間で大丈夫な場所、駄目な場所が違ったりするし、そもそも琉球王国に弾圧されたイリキヤアマリ信仰の聖地の可能性もある。神道なら自然崇拝ベースだから山や森が聖地扱いされる事に多少の理解はあるが、仏教やキリスト教が大切にするのは仏像や教会(祈る場所)であり、そこまで重視されていない」

 

 

 ここで一拍空け──ニヤリと笑う。

 

 

「どうだ?聞いてるだけでワクワクするだろう?」

 

「もうお腹一杯なんですけど?」

 

 

 だが俺のターン(沖縄の問題)はまだ終わっちゃい無いぜ!

 

 

「前世でも問題になっていた米軍基地移設問題は覚えてるか?」

 

「ニュースか何かで見た記憶があります」

 

「移設先の名護市辺野古(へのこ)をスマホで調べてみると良い。何であんな市民から反発されるのか良く分かるぞ」

 

「……()()()()()()()()()()()()

 

「さて、ここで問題だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 本州の政治家には分からない、沖縄特有の問題。もちろんそれだけが原因という訳では無いが、反発の一部に信仰心のある島民の想いが隠されている事は疑いようが無いだろう。

 

 キリスト教徒が多いアメリカには理解不能な考えだろうがな。これは自然崇拝(神道)の考えと沖縄発祥の民間信仰が入り交じった話になるし。

 

 

「ちなみに沖縄では本州と比べ物にならないぐらい米軍の持つ重火器がメシア教徒に流れてるらしい。大変だな!」

 

「上層部の頭に手羽先の羽根を入れるだけの簡単な作業の報酬って訳ですか」

 

「うむ。だから琉球ニキが支部を立ち上げるまで支部を作ろうって話すら無かったんだよ。ショタオジは俺達を危険に晒したくないし、連合の方針的にも手を出す必要が余り無かった。だけど、それ以上に援軍として派遣出来る人間の選別が厳しいんだ」

 

「……なるほど。重火器に対応出来る能力と正しい知識を持っていて、尚且つ現地宗教に配慮出来る人間じゃないと問題が起きる訳ですね?」

 

「対メシア教で団結してる間は良くても、終末後は分からんしな。せっかく終末を越えたのに現地で内輪揉めは勘弁だろ?かと言って無数の宗教を束ねるには〝力〟が居るし──って時に現れたのが」

 

「琉球ニキって事ですか」

 

 

 破魔ネキの言葉に頷く。もし琉球ニキが現れなかったら、沖縄を切り捨てたか、良くて現地組織への支援で止まってた気がする。

 

 それぐらい沖縄は手を出しづらい土地なのだ。挨拶する神の順番で統治難易度が容易く変動するしな!

 

 

「ちょっと調べただけでも男子禁制の場所とかありますが、この場所に異界が湧いた場合どうするんです?」

 

「ギミック*7覚悟して突撃か、大人しく嫁や女俺達に任せるしか無いぞ?尚、男が突入した場合の地元民の好感度ダウンは避けられない物とする」

 

「バレなければ良いのでは?」

 

「破魔ネキに分かりやすく言うと、余所者が村に来て警戒しないなんて事あるか?」

 

「……見掛けない男性が男子禁制地の近くに居るってだけで好感度が下がる訳ですか」

 

「そういう事だ」

 

 

 村の近くの異界に行く場合、ノロ*8とユタ*9の違いを理解する必要があり、地域信仰への理解と配慮が必要であり、いざという時に対処出来る〝力〟が必要な土地。それが──沖縄だ。

 

 

「ま、俺から言える事は沖縄に遠征しに行くならしっかり調べた方が良いぞって事だけだ」

 

「もし行く機会がありましたらそうします」

 

 

 ホワイトボードを片付け、霊符の製作に戻る。星祭に来る奴も多くなったお陰で消耗が激しい。嬉しい悲鳴って奴だ。

 

 

 

 

*1
ディストピア様作 【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい の主人公。この時期はまだだが、確定してる未来で【エターナルロリ】をスキルに保証されている一部の俺達歓喜な存在。お借りするぜ!

*2
本霊【ダイソウジョウ】で神道関係者。

*3
血涙鬼・彼岸様作 凡庸でありふれた転生者達の小話 の主人公。雷撃系が得意。嫁は巡音ルカ。良い趣味してますねぇ!

*4
正式名称は【銃火暴風怨嗟域】

*5
もちろん一個だけで何とかなるレベルでは無く、数を作る必要がある。=式神作りが滞る事を俺達が許せばという問題になるので、理論上可能だが事実上不可能。仕方無いね、ショタオジが動いたら物語が始まる前に終わってしまうのだ。

*6
天国や地獄も含む、現世では物理的に辿り着けない場所の意味も含んでいる。

*7
性別:男に反応して出現する悪魔のステータス十倍とか性別:男の場合ステータス1/10とかありそうだよね!

*8
琉球王国の公務員。女性神職で地域の安全と繁栄の守り手。

*9
民間の霊媒師(シャーマン)。村の相談役。





いや、沖縄って凄いね。

たぶん遠征条件に女性のみ、地元の信仰知識あり、重火器に対応可能とか凄いいっぱい条件あると思う(笑)

うちの主人公と星祭の古参修羅勢が参戦出来ない理由もこじつけたので、安心して【銃火暴風怨嗟域】の攻略頑張って!

修羅勢は色々な理由で封印される宿命なのだ……!(出したら物語が終わっちゃうからね!)

お弁当ニキとの話はどうするかなー?個人的にトレードやらせたい(笑)
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