【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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今回は終末後の話。

思い付いたらッ!書かずにはいられない!!


ショタオジと遊ぼう!

 

 

 旅館の一階北東にある自販機&喫煙エリア。中庭に埋めた万年桜をガラス越しに眺められるここは、嫌煙者達に虐げられている喫煙者の最後の聖域だ。

 

 まぁ、終末によって放射能や瘴気やらが満遍なく非覚醒者を襲っているので、副煙流を気にする繊細な奴は大体魔界の大地に還っているが。

 

 喫煙所には終末後も商品切れが一度も無い事が誇りの二台の自販機があり、二十個ある枠の一つはエメマンで固定されている。

 

 残り十九枠は毎月一日の『バトルロワイアル』の景品だ。日々多くの修羅勢が自身の望むドリンクを突っ込もうと武器を振い、望みの飲み物を自販機に入れようと鍛練を頑張っている訳だ。

 

 まぁ、一月分を纏めて購入するからな。各地の支部も資金を得ようと頑張るのだ。特に新潟支部。

 

 個人的に新潟限定のル・レクチェジュースは〝当たり〟だ。煽る為だけにルートビアとか入れる馬鹿も居るし。

 

 安定して強いのはやはりコカ・コーラだ。あの赤い缶を守るために多くの俺達が動いただけあって、今でも不動の地位に居る。

 

 まぁ、それに触発されてペプシも生き残ってるんだが。

 

 ちなみに反対側には普通の休憩所があり、同じ内容の自販機が二台置かれている。ここらへんは共同で暮らす上での配慮であり、マナーだ。

 

 術式の関係で色々混ぜた香草を紙で巻いて焚く奴も居るし、煙草を日常と非日常の切り替えに使う奴も多く居る。

 

 その為に嫌煙者でも納得出来るぐらいには分煙に力を入れているのだ。そもそも覚醒者に対して無毒だし、魔界の瘴気よりマシ、という反論は常に胸に秘めているけどな。

 

 そんなどうでも良いことを考えながら煙草を吹かしていると、ガラスの扉の向こう側に人影が。

 

 出会った時から何一つ変わらず、未だ無精髭の似合う双子ニキ(弟)がセッター*1を掲げながら入ってきた。

 

 

「おっす。相変わらずここは空いてて良いな」

 

「一応、各階層に喫煙所はあるからな。わざわざ一階に降りて来る奴は俺らぐらいだろ」

 

「まぁな」

 

 

 手慣れた手付きで煙草を咥えたので適当に火種を飛ばしてやる。

 

 

「……ぷはー。さんきゅ」

 

「おう」

 

 

 返事をしつつ吸い切った煙草を水の張られた灰皿へ投げ入れ、スマホゲーのデイリー消化に移る。

 

 

「今、何やってんだ?」

 

「俺らに勧められたブルアカだ。情報収集したらやる気失せたけどな」

 

「んあ?何でだ?俺は面白いと思うが」

 

「俺、まどマギだとマミさん推しだったんだ。後は分かれ」

 

「あ~……なるほど。そりゃ悲しい」

 

 

 つまり、そういう事だ。興味はあるんだが。

 

 

「空崎ヒナとかセツニキ好きそうなんだけどな。苦労人キャラ好きだろ?」

 

「ヒナも嫌いじゃないが、従者の横乳に目を奪われるんだ。後、陸八魔アルはキャラも含めて結構好きだわ」

 

「この爆乳スキーめ」

 

「黙れ双子好き」

 

 

 無駄に高速で、無駄に制御の極まった、修羅勢基準の()()()()()を連打する。周囲の物を壊さない様に音速を越えるのは修羅勢の嗜みだ。

 

 というか、これが出来ない奴は身体能力を完全に制御化に置けていない。下手すりゃ把握すらしてないだろう。

 

 

「っと、灰が落ちそう」

 

「仕方ないにゃあ。今日はこれぐらいで許してやろう」

 

「満月の夜は背後に気を付けろよ?」

 

「気を付けても気付けないんだが?」

 

 

 斥候型の最上位帯はマジで気付けん。正直、刃が体に刺さる直前に回避行動を取った方が楽なぐらいだ。

 

 それぐらい集中力を持っていかれるし、労力に対して成果が見合わない。

 

 後、本気で狙撃される時は()()の夜の方が危ない。MAGが活性化し、予期せぬ揺らぎを生み出す満月とは違い、新月はMAGが沈静化するからな。マジで違和感に気付けない。

 

 ちなみに一流程度なら新月の方が分かりやすかったりする。静まったMAGの中に、僅かに殺気が混じるのだ。

 

 荒れるMAGから殺気を感じ取るのも大変だけどな。それでも()()()()()()()()()()()()と比べれば、大人と子供ぐらいの差がある。あくまでも個人的な感想だが。

 

 

「よっし、デイリー終わり」

 

「お疲れ。これ吸い終わったら現実の深層探索(デイリー)消化するか?」

 

「そうするか。先に出て準備してくる──」

 

 

「セツえもーん!助けてよ!」

 

「どうしたんだい?ショタオジ太くん」

 

 

「……微妙にゴロ悪くない?」

 

「俺もそう思った」

 

 

 乱入してきたショタオジと二人で苦笑い。珍しく本体だな。

 

 

「で、どうしたんだ?」

 

「いやさ、今日、何とか予定開けて俺達と一緒にゲームやってたんだけどね?皆が昔のあるあるで盛り上がって疎外感が凄くてさ~」

 

「あー……あれは不便を不便と思わなかった時代のネタだしなぁ」

 

 

 そう呟いたのは吸い終わった煙草を灰皿に投げ込み、ドクペ*2片手に隣で愚痴を聞いていた双子ニキ(弟)だ。相変わらずのドクペ信者か。コーラのが美味いのに。

 

 

「そう、それだよ!昔はこうだったよな~とか皆が盛り上がってるのに入っていけなくてさ!孤独感凄かったんだから!」

 

「とはいえ今更体験してもストレスになるだけだと思うぞ?」

 

「それでも知りたいの。何とか出来ない?」

 

「ん~……」

 

 

 どんな会話かを俺達としたのか知らんが、たぶん平成の頃の話だろう、たぶん。

 

 ポケモンで通信ケーブル持ってる奴がヒーローだったネタ辺りか?

 

 それとも※友達は付属していません。の方か?

 

 ドラクエ2のシドーネタもあったか。あれは平成の前だが。

 

 

(……いや、昔のあるあるなら鉄板ネタがあったな)

 

 

 前世のショタオジの境遇はうっすらとしか知らんが、間違いなく経験して無いだろう。

 

 それに鉄板ネタだから使える範囲も広い。自分から振ったとしても、乗れる俺達は多い筈だ。

 

 

「次の休みを教えてくれ。その日までに準備しておくわ」

 

「よっしゃ!明日までに仕事終わらせておくぜ!!」

 

「はえーよ。せめて三日はくれ」

 

 

 幾ら俺がセツえもんでも今日明日では無理だ。

 

 

「……そういえばセツニキ。前世お爺さんなのに色んなネタ知りすぎじゃない?」

 

「孫も息子も居たからな。子供を相手にして気になった言葉を調べれば、大抵のネタは拾えるんだ」

 

 

 流行語大賞とか見てたしな。古いネタは古いネタで、使えば子供が『お爺ちゃん古ーい!今は○○が流行ってるんだよ!』とか教えてくれるし。

 

 

「まさか転生後に役立つとは、このガイアのリハクと呼ばれた俺の目を持ってしても分からんかったが」

 

「セツニキ。そりゃ孔明でも読めんと思うぞ」

 

「俺もそう思う。……ま、そんな訳で三日後な?」

 

「了解。占術フルに使って邪魔が入らない様にしておくよ」

 

 

 笑顔で去っていくショタオジを見送り、頭の中で予定を組み立てる。……あ、そうだ。

 

 

「悪い、双子ニキ(弟)。そういう訳でデイリーは無理だ」

 

「了解。暇な奴を適当に連れて行ってくるわ」

 

「気を付けろよ」

 

「おう」

 

 

 ヒラヒラ手を振って出ていく双子ニキを見送り、スマホを弄ってメッセージを送信。才能が千差万別な上に層が厚いのがガイア連合の良いところだな。

 

 

 

 

──三日後

 

 

 今回のネタを星霊神社でやると、間違いなく周囲に多大な影響が出るので、集合場所は俺の自室となった。

 

 旅館にあるショタオジの部屋でも良いんだが、あそこは()()()が来れないからな。こっちの方が都合が良い。

 

 

「さて、今回ショタオジにプレイして貰うのは社会的現象にまでなった『ドラクエ3』だ」

 

「お~。一応、全クリした事あるよ」

 

「それなら細かい説明は不要だな。それじゃ始めてくれ」

 

「了解」

 

 

 わざわざこの日の為に用意した実機──では無く、エミュレーターを搭載したガイアステーションの電源を入れ、コントローラーを握るショタオジ。

 

 俺の方は酒を片手にショタオジのプレイを肴にするつもりだ。もちろんツマミも用意してあるが。

 

 既プレイらしい慣れた動きで王様と謁見し、そのままルイーダの酒場に突撃する『勇者ドウマン』を眺めていると、ショタオジが話を振ってきた。

 

 

「ドラクエ3ってさ。魔王を倒せって無茶振りするのに渡す装備が貧弱だよね。ゲーム的に仕方ないんだろうけどさ」

 

「んー……そこらへんは現代っ子との認識の差だな」

 

「と言うと?」

 

「ひのきのぼう片手に冒険を始めるから、初めてどうのつるぎを買った時に感動があるんだよ。コツコツ魔物を倒して金を稼いで、そのお金で買う事()楽しみの一つと言うか」

 

「確かにそれは伝説の剣スタートじゃ味わえないね」

 

「最近見た二次創作の解釈だと、国の紐付きにならない為に独力で力を手に入れる事に意味があるらしいぞ」

 

「あ~……勇者をアリアハンが独占したら世界征服余裕だもんねぇ」

 

 

 会話しながらもサクサク仲間を集める勇者ドウマン。武道家の『レイシ』、僧侶の『やるお』、そして遊び人の『セッツァ』……うん?

 

 

「賢者にするつもりか?」

 

「ううん?ずっと遊び人のつもりだよ?だってセツニキだし」

 

「おい」

 

 

 いや、別に構わないが。

 

 

「こういう遊び方もあるって俺達に教わったからね。一度やって見ようかと思って」

 

「だったら『セッツァ』リストラして女キャラを一体入れないと駄目だろ。好きな子の名前を使うのは鉄板だぞ」

 

「ほ、ほら。今回は関係ないから……」

 

 

 ヘタレめ。

 

 

 まぁ、良いだろう。()()()()()()()()()()()()()()()しな。

 

 それから勇者ドウマンプラスαの旅が始まった。どうやら手堅く装備を買ってから進めるスタイルの様だ。

 

 

「この作業、一人でやってると式神に任せたくなるんだよね」

 

「まさに今時の子供の感想だな。平成初期の頃はお小遣いを貯めるまで同じゲームを何度も繰り返すのが基本だぞ」

 

「無料で遊べるゲームなんて無かったんだっけ?」

 

「それ以前にゲームの本数自体が余り無かったな。だから当時の子供達は午後五時まで外で友達と遊んで、家に帰ったらクリアしたゲームを何度も遊んでいた感じだ」

 

「詳しいね?」

 

「孫が丁度その世代だったんだわ」

 

 

 当時は新作ゲームが出るまでコツコツお小遣いを貯めたり、家事を手伝って御駄賃を貰い、それで新しいゲームを買うサイクルが出来ていた。

 

 孫もお小遣いを貰えるからか、年末年始や長期休みは頻繁に里帰りしてくれた時代でもある。

 

 そんな他愛のない話をしている間にゲームを開始してから一時間経った。さて、ショタオジ。ここからが──本番だぜ?

 

 

「あーあー……ううん。よし」

 

「いきなりどうしたの?」

 

「先に言っておくぞ。これが平成生まれの子供達を泣かせまくった──鉄板ネタだ」

 

 

 

──ショタオジ太!ゲームは一時間って約束だったでしょ!!

 

 

 俺の声に反応し、プツンと電源が落ちるガイアステーション。

 

 突然の事態に呆けた顔のショタオジには悪いが()()があるんだよな、このネタは。

 

 

「ほら、電源入れてみろ」

 

「う、うん……」

 

 

 恐る恐るショタオジが電源を入れると、ドラクエで最も子供達の聞きたくないBGMと共に冒険の書が消えました。の文字が。

 

 これが平成初期の子供達が最も恐れた鉄板ネタ──ママリセットだ。

 

 

「……俺の一時間の努力はどこ?」

 

「そこに無ければ無いぞ」

 

「セツニキ。これは悪魔の所業だよ。人間はここまで酷い事を善意で行えるの……?」

 

「当時はアニメや漫画、ゲームは子供の教育に悪いって事で叩かれていた時代だからな。子供達は容赦なく電源を落とされ、良く泣いたもんだ」

 

「いや、そりゃ泣くよ。俺も泣きそうだもん」

 

「ちなみに泣いたら泣いたで『五月蝿い!約束を守れないアンタが悪いんでしょ!何時までもビービー泣くなら捨てるよ!!』って言葉が待ち受けてるぜ」

 

「うわ~……」

 

 

 孫の話では本当に捨てられた子供も居たそうだ。しかも、泣きながら拾いに行った時には近所の大人に拾われていたというオチまで付く。

 

 まさに泣きっ面に蜂ってヤツだな。──子供もやられっぱなしじゃないが。

 

 

「今なら自殺する子供も出そうだが、当時の子供達は【食いしばり】と【不屈の闘志】で何度も立ち上がるんだ。そして、ここからが子供側の鉄板ネタになる」

 

「ほうほう。勉強してるフリでやり過ごすとか?」

 

「それだけだと三十点だな。正解は()()()()()()()()だ。具体的に言うと五十分経ったら教会でセーブしてゲームを終了、みたいな動きをする。──良い子ちゃんはな」

 

「……へぇ。それなら悪い子ちゃんはどういう風に動くの?」

 

 

 そちらの方が好みなのか、ショタオジが楽しそうに笑う。まぁ、俺らガイア連合はこっちの人間ばっかりだろう。

 

 

「決まってんだろ。──テレビのリモコンをすぐ近くに置いて、親の足音が聞こえたらテレビ消して机にダッシュだ」

 

 

 ちなみにこの時、ゲーム機本体に振動を与えてはいけない。与えてしまうと『冒険の書が消えました』が普通に起こる*3

 

 せっかく親から逃れられてもセーブが消えてしまえば意味がない。だから平成の子供達は猫の様な動きを日々鍛練し、聞き耳を立てながらゲームをするのだ。

 

 イヤホン?ヘッドホン?どうやら君はママリセットを食らいたいフレンズの様だな!

 

 

「普通の子供も大変だったんだね」

 

「だからこそ歳取ると盛り上がるんだよ。当時の苦労を共有出来るからな」

 

「なるほど」

 

 

 こんな経験をした事が無いショタオジが疎外感を感じるのも無理は無い。俺達の大半は平成生まれだろうし。

 

 

「さて、今日のゲームのルールは理解したか?」

 

「うん。俺は〝ママリセット〟を避けながら全クリ目指せば良いんだね?」

 

「そうだ。今回の為にわざわざイベント表を作ってきたからサイコロの音に怯えるが良い」

 

「すでに心臓ドキドキなんだけど?」

 

「緊張感あって良いだろう?──っと、そうだ。()()()()()()()()()()()痺れたら休憩入れろ」

 

「それも鉄板ネタ?」

 

「これは子供に長時間ゲームをやらせたくない家庭で良くやられていた指導だな。色んな派生があるから鉄板ネタまでは行かないと思う」

 

 

 目覚まし時計が鳴ったら休憩の家庭もあるしな。全部、孫からの又聞きだが。

 

 それから再びゲームを再開するショタオジを眺めつつ、ダイスを振るう。ここからはダイジェストだ。

 

 

──お、珍しいもん引いたな。

 

 

──えっ?

 

 

──『にゃ~ん』

 

 

──あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!

 

 

──猫リセットって奴だ。家猫が居る家庭限定のイベントで、ゲームばっかりして構わない御主人を取り返す為にちょっかい掛けてくるんだ。

 

 

──実際にやられても可愛くて怒れないの狡くない?

 

 

──それが〝猫リセット〟だぜ。

 

 

 またある時は。

 

 

──『ショタオジ太!ゲームは一時間って言ったでしょ!!』

 

 

──待って!まだ五十分しか経ってないよ!!

 

 

──家庭内の時間は母親が支配しているんだ。油断したな。

 

 

──あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!

 

 

 ショタオジに降り注ぐ数々の理不尽。母親は子供の将来の為を思って叱っているので、父親が居たとしても庇ってあげる事は不可能。

 

 俺もお父さんは黙っていてください!!って良く怒られたもんだ。

 

 もちろん、理不尽なだけでは片手落ちだ。合間合間に使えそうな小ネタを挟んでいく。

 

 

──要領の良い餓鬼は学校で宿題を終わらせてな。それを片手に親を黙らせ、夕飯までゲームする時間を確保するんだ。

 

 

──セツニキの孫もそうだったの?

 

 

──いや?孫は夏休みの宿題を半端に終わらせて、後は分かりませんでしたでゴリ押し提出する様な奴だぞ。んで、空いた時間は全力で遊んでた。

 

 

──何というかセツニキの血筋って感じがするね。

 

 

──その分、受験で苦労してたがな。

 

 

 恋人と同じ高校を受けて、彼女だけ落ちた話とか話せる事はまだまだたくさんあるんだが、ここらへんはガイア連合だと『ざまぁw』の反応しか無いので黙っておく。

 

 あくまでも今回は俺達に通じる鉄板ネタの経験が優先だ。

 

 そんな事を考えていると、時計の針が午後七時を指していた。ついに来たか、本日の山場。

 

 

「さて、ショタオジ。そろそろ最後の鉄板ネタの時間だぞ」

 

「待って。今ヤマタノオロチと戦ってるの!!」

 

「残念だがそれは不可能だ。──『ショタオジ太!ご飯の時間よ!早く降りてらっしゃい!!』

 

「待って待って!せめて倒させて!セーブさせて!」

 

「どれくらい多くの子供達がそう思った事か。でも何時だって現実は非情なんだ。──『何時までゲームやってるの!!早くご飯食べてお風呂入っちゃいなさい!』

 

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!」

 

 

 音声認識機能により、電源が落ちるガイアステーション。四つん這いになって悔しがるショタオジ。……時間も丁度良いか。

 

 

「今日はここまでだな」

 

「やばい。本気で泣きそう」

 

「それが俺達の味わってきた子供時代だぜ」

 

 

 当時は自室に鍵を掛けられなかったという事情もある。だから親の足音を警戒しながらゲームするしか無かった。

 

 目的の為に予定を組み立てる考え方も、十分前に行動する心掛けも。全部、この時の経験が根本にあるんだよな。

 

 少なくとも俺の孫はそうだった。理不尽(母親)に抵抗する為に必死に考えていた。

 

 父親の立場だと、ゲームばっかりして勉強しない子供を心配する母親の気持ちも分かるから時々しか手助けしてあげられないんだが。

 

 まぁ、時には共犯者になって、子供に〝悪い事〟を教えるのも父親の役目だ。

 

 具体的には母親が寝た後に起こしてあげて、二人でこっそりゲームするとかな。

 

 普段は余り買い与えてあげないお菓子も食べ放題だぜ!

 

 

「ま、これだけ経験しておけば俺達相手でも使えるだろ。味わった苦しみは本物だし」

 

「正直、今すぐ俺達に愚痴りたい。このやるせなさを共有したい」

 

「その気持ちがショタオジが疎外感を感じた時に持ってなかった物だぜ」

 

「凄く納得した」

 

 

 他にも色々あるが、そこらへんは今回の話を元に他の俺達が与えてくれるだろう。

 

 俺は孫からの又聞きだしな。直接経験した世代じゃない。だから肝心な部分が薄っぺらくなる可能性は普通にある。

 

 だから、ここからは俺達に任せるべきだ。少し寂しいが。

 

 

「さて、今日はどうする?泊まっていくか?」

 

「いや、帰るよ。また明日から仕事だしね」

 

「そっか。見送りはいるか?」

 

「ううん、大丈夫。──それじゃまたね」

 

 

 軽く手を振ったショタオジが一瞬で消える。ムラサキ達を凌ぐ転移。俺じゃなかったら見逃しちゃうね。

 

 そんな馬鹿な事を考えながら、俺は友達と遊び終わった後のお片付けを始めた。

 

 

 

 

*1
セブンスターの略。

*2
ドクターペッパー

*3
マジ。それぐらい簡単にSFCはセーブが飛ぶ。





一緒にゲームやっても話題に乗れず、しょんぼりするショタオジの概念が頭にこびり付いてたんだ……!
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