【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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この話はマカーブル様から貰ったFAから妄想を膨らませて書いたんですが、暑さにやられてこんなにも書き上げるまでに時間が掛かってしまった……。

たぶん男のFAもらったのは作者だけ(笑)

本編で使えなかった物は後書きに置いておくぜ!



残酷な世界の真理

 

 

 俺達の集まりがガイア連合という名に変わり、俺を含む戦闘好き達が星祭に拠点を移した頃。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「珍しいな。オオルリか」

 

 

 散歩の途中、ふと足を止めた先には山梨の森林に生息する野鳥の姿が。

 

 白いお腹、青い羽、黒い喉元、バランスの良い三色をちりばめた美しい体。

 

 渓谷に良く響くクリアな鳴き声は聞いた者に清涼を感じさせ、ウグイス、コマドリと並ぶ〝日本三鳴鳥〟としても有名な鳥だ。

 

 主に低山帯から亜高山帯にかけての山地に生息しており、渓流沿いのよく茂った森林に多く生息しているが、鳴き声を探すのも大変、姿を見つけるのはもっと大変な鳥だったりもする。

 

 

 つまり、レアキャラだな。出現率は察しろ。

 

 

 北杜市にある吐竜の滝近くに生息しているのは知っていたが、まさか一般人が参拝可能な拝殿側とはいえ星祭神社にまで来ているとは。珍しい事もあるもんだ。

 

 

「おや?ナナシ様がこちらに来ているとは珍しいですね」

 

「依頼帰りだよ」

 

 

 拝殿の掃除帰りだろうか。箒を抱えた禊が声を掛けてきたので、視線をオオルリに固定したまま答えを返す。

 

 その間にもニ羽のオオルリが気持ちよさそうに鳴いている。

 

 近くを流れる渓流の音と共に聞けば、クソみたいな依頼で疲れた心に染み渡るのは自然の道理。

 

 人は自然と共にしか生きられぬのだ。どれだけ強かろうとな。

 

 

「依頼というと……先日依頼したあの件ですか?」

 

「おう。無知と傲慢が引き起こした面倒な事件だったぜ」

 

 

 話としては単純だ。ロクに知識の無い名家が間違った儀式を行い、一族の〝希望(ホープ)〟を悪魔の依代にした。

 

 俺達から見ればドングリの背比べにもならない程度だが、それでもレベル二十には成れそうだった依代だったらしく、結果として名家はひとり残らず餌となり、異変を察知した分家の人間が表向きガイア連合の窓口となっている星祭へ依頼を出した。

 

 で、俺が出張った訳だが……

 

 

「実は分家は闇召喚士に洗脳されていてな?霊才を上げる儀式として間違った知識を本家に吹き込んだのは分家だったんだよ」

 

「えっと、それなら闇召喚士が元凶だったのですか?」

 

「いや?その闇召喚士は近隣のヤクザの使いっ走りに過ぎず、ヤクザは自分の()()の親分に命令されただけで、その親分は自分の土地神に命令された神社を管理する名家で、命令した土地神は、実はすでに悪魔に食われていてなー」

 

「……えっと?」

 

「ま、そういう反応になるわな」

 

 

 話を簡単に纏めると、土地神を食った悪魔がより上質な餌を求め、本家の〝希望〟に目をつけた結果、今回の事件が起きた、で終わる。

 

 その単純な答えに辿り着くまでに一週間も汗水垂らして調査した俺を褒めてほしい。やっぱり人材強化は急務だな。

 

 流石の俺も一人で日本全土の悪魔事件を調べられん。

 

 

「とりあえず事件は解決したし、調査ついでに周囲の鎮魂と清掃もやっておいたから暫くあそこの周囲は気にしなくていいぞ。問題が起きたとしても大事件に繋がらないからな」

 

 

 事件を起こしそうな異界は討伐したし、MAGも纏めて浄化してきたのだ。少なくとも自然発生する悪魔は低位の奴だけだろう。

 

 メシアや闇召喚士が暗躍したら知らん。流石にこれ以上のアフターケアは別料金だ。

 

 

「ありがとうございます。お陰で私たちも暫くぶりの休みを取れそうです」

 

 

 ここ最近は大車輪の活躍だったからな。社畜生活(ブラック企業)も真っ青なぐらい働かせたし、ゆっくり休んで欲しい──と言いたいところだが。

 

 

「悪いな、もう少しだけ我慢してくれ。ちらほら仕事を任せられる俺らも増えてはいるが、まだまだショタオジ(盟主様)の許可が降りる奴は少ないんだ」

 

「心得ております。それに──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。私たちの事は気にせず、存分にお使いください」

 

 

 今更説明するまでも無い事だが、元々星祭の巫女達にはロバ程度の霊才と、メシア教に改変された間違った霊能知識しか無かった。

 

 それをショタオジに血の繋がりを認識された事によって霊才が引き上げられ、俺が正しい知識を与えた事で今がある。

 

 覚醒者が疲労を感じるレベルの仕事は対価として重すぎると思うが。それがマシだと思えるほど、星祭の巫女達は苦労してきたらしい。

 

 

「ところでナナシ様はここで何を見ていたのですか?足を止めて何かを眺めていたようですが」

 

「ああ、あそこにいるオオルリだ。上流近くで見かけた事はあっても神社の境内で見たのは初めてでな。思わず足を止めちまったんだ」

 

「…………あ、そういえばナナシ様は暫く星霊神社のほうで過ごされてましたね」

 

「ん?どういう事だ?」

 

 

 オオルリから視線を外し、ポンッ!と掌を叩いた禊に視線を向けると、禊は手入れのされた美しい右手をオオルリに向け、人差し指の上にニ羽のオオルリを留める。

 

 

「木花咲耶姫様が神社の副祭神になった頃からでしょうか。野生の動物や鳥達が、まるで挨拶をするかのようにやって来るようになったんです」*1

 

「……なるほど。ここら一帯の管理者に挨拶しに来てる訳か」

 

「その様です」

 

 

 山や森に住んでいる者にとって、その場を支配する神は絶対の存在だ。

 

 そりゃ顔見せぐらいはするわな。動物達にとっても絶対的な安全地帯だし。

 

 

「彼らは神社の周囲では糞尿もしませんし、私達にも懐いてくれてますので特に報告しなかったのですが……こういう僅かな変化も報告した方がよろしいでしょうか?」

 

「いや、この程度の問題なら大丈夫だ。流石に神社を汚したり、壊したりするようなら対処するがな」

 

「畏まりました。……良かったですね、皆さん。御行儀良く居る分には問題無いそうですよ」

 

 

 禊が手に留まったオオルリの頭を軽く撫でると、ニ羽は嬉しそうに綺麗な声で鳴いた。

 

 その声を聞きながら熊が現れた時の一般人の反応を考え、俺はその対処の為に木花咲耶姫(サクヤ)に式神を飛ばした。

 

 

 

 

────終末後、暫く経った頃。

 

 

「何故だ……!何故貴様が動く……!」

 

 

 手足を切り落とされ、這う事しか出来ない悪魔が吠える。

 

 

「答えろ……!銀髪鬼!

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 悪魔の計画には何一つ落ち度は無かった。

 

 このシェルターに黒札が居ない事を何度も確認していたのは把握している。それどころか〝札持ち〟にお気に入りが居ないかまでしっかり確認していた。

 

 ここまでガイア連合に配慮し、敵対しないように細心の注意を払っていたのだ。

 

 

 それなのに目の前の()()はやって来た。

 

 

 だからこそ悪魔の叫びには突如して来襲してきた()に対する怒りが混じるのだろう。同時に、その声色には確かな〝恐れ〟の感情も存在しているが。────まぁ、その悪魔はなんだが。

 

 

「ぶっちゃけな?お前が家畜(人間)の管理者やるなら俺も動かなかった」

 

 

 これは事実だ。俺達〝黒札〟は人類の管理者なんて真っ平御免だからな。──だが。

 

 

「だけどな?お前、()()()()()()()()?それをされたら俺達はお前を許す理由にはいかねぇんだわ」

 

「何故だッ!それの何が問題なのだッ!?このシェルターに居た黒札はここから手を引いたッ!!愚かな人間達が自ら追放した!故に我はここを襲った!!それ故に感謝される事はあっても殺される理由にはならん筈だッ!!」

 

 

 確かに悪魔の言う通り、このシェルターは黒札が見捨てたシェルターの一つだ。終末後に自らガイア連合との繋がりを断ち、悪魔の餌になる以外の未来が無かった場所だ。

 

 俺達ガイア連合としても見捨てる方針に決まっていた。わざわざ黒札を精神的に追い詰める市民様を助ける意味も無かったしな。

 

 

 とはいえ、それはあくまでも()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 それ以上の大切な理由が生まれれば、修羅勢(俺ら)は散歩のような気軽さで動く。

 

 

 

「ここの近くには未だハズレくじを自ら引いた(人間の守護者をやってる)黒札が居るんだわ。心を削りながら、未だ状況を理解せず喚く者達を助ける為に頑張ってる奴がな」

 

「それがなんだッ!?私とは関係ないだろうッ!?」

 

「──まだ分からないのか?」

 

 

 コツコツと靴音を鳴らし、悪魔の頭に足を乗せる。そして少しずつ力を込めていく。

 

 

「そんな頑張ってる奴の周りにシェルター 一つ喰って力を得た悪魔(害獣)が居たら危ないだろう?だから駆除するんだよ」

 

「ま、待てッ!!わ、私は黒札の居るシェルターには絶対に手を出さん!貴様と──い、いや、貴方と契約を交わしても良いッ!!我が真名に誓う!!」

 

「個人的にその判断の早さは嫌いじゃないが、仕事は仕事。私情を挟むにはお前の取った行動が愚か過ぎて、幾ら俺でも弁護は不可能なんだ」

 

「ま、待って──」

 

 

 ブチュリ、という音と共に悪魔の頭部が潰れ、残されていた肉体が大気へと還っていく。

 

 本当に愚かな事をしたもんだ。人を襲った野生動物(悪魔)の末路なんて死ぬ以外に無いというのに。

 

 

 

 

 星祭に帰還すると、それを待っていたかのようにオオルリを始めとする野生動物達が集まり、嬉しそうに鳴いて俺の体に擦り寄って来る。

 

 この魔界に落ちた世界で未だ()()()()()()()()生きている姿を見た者達は口々に声を揃えて〝幸運〟だと言うが、俺に言わせれば自身の怠惰と臆病を棚に上げた発言にしか聞こえない。

 

 彼ら彼女らは野生の勘で木花咲耶姫(サクヤ)の下で生きる事を選び、星祭の巫女(人間)と共に生きる事を選択した生粋の賭博師(ギャンブラー)なのだ。

 

 それを〝幸運〟の一言で片付けるのは彼らの選択に対して無礼過ぎる。現状の差は投資時期の差でしか無いし、投資する機会は誰にでも平等に与えられていたのだから。

 

 

「ま、それでも文句を吐くのが人間か」

 

 

 オオルリの頭を軽く撫でてやり、そのまま散るように手で合図を送る。

 

 その俺の意思を理解したのかは知らないが、それに反応した動物達は来た道を戻り、山へ消えていく。

 

 動物以下の生活をしていると認めたくない気持ちも分かるんだが……口を開けば黒札特権への恨みや妬みの言葉を吐き出す存在と、荒んだ心を静かに鎮めてくれる動物達。

 

 

 俺じゃなくてもどちらを選ぶかは明白だろう。

 

 

 残酷だが、それが世界の真理ってヤツだ。

 

 

 

 

*1
まだこの時期には石長比売はいない。





魔界落下時にも未覚醒の俺達は居ただろうし、ちゃっかりショタオジの保護に相乗りして生き残った感じ。

その後に石長比売達が全力で頑張った結果、魔界落下後も地球の環境がそのまま維持されているという、ある意味では動物界の黒札ポジのオオルリ達。

ところで道南支部や十勝支部はシマエナガさんを保護してくれたのだろうか……彼らの損失は〝可愛い〟の概念が消える可能性がある(過激派)


以下、マカーブル様からの貰い物



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↓は護廷十三隊に居そう


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↓トランプのように見えて微妙に違うカードは、たぶん何らかの術式が刻まれてる


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