【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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今回の話は基本的に途中参戦を強要されたクトゥルフTRPGです


答え合わせ

 ファンファーレが鳴り響き、目の前にドロップアイテムを知らせる画面が浮かび上がる……訳も無く、現実はここからが本番。

 

 屋根の上から飛び降り、取り敢えず天使人間のドロップアイテムを霊符に封印。人の頭に埋め込んだら洗脳出来る羽根とか怖すぎだろ。

 

 続いて闇召喚士の遺体と壺の破片も封印。ちなみにこの封印術は一神教の〝隔離〟を利用した術だ。利点は張れる結界のサイズがそのまま収納力になる事。欠点は一度解放すると中身が全部出てしまう事と、術者が未熟だと札のサイズに中身を圧縮してしまう事の二つ。中身が霊的に強かったりすると、圧縮段階で破られたりもする。だからゲームで良く登場するアイテムボックスの様な利便性は無く、どちらかと言うと布団圧縮袋だ。

 

 そんな便利符術を使い倒し、ついでに式神を放って教会内を探索。未だに教会の結界が維持されてる以上、術者は生き残ってる筈だが……

 

 

 「おっ?これは……日記か?」

 

 

 宿舎と思われる場所で、手掛かりになりそうな物を見付けた。パラパラと流し読むが、天使の事が書かれ始めた辺りを境に書き手が変わったのかと思うぐらいの狂信者になっているのが怖すぎる。

 

 とはいえ手掛かりは手掛かりなので、一ヶ月前辺りのページを開き、読み進める。

 

 

 ○月××日 晴れ

 

 忌々しい事にローマからテンプルナイトが派遣された。それもかの有名な〝白騎士〟らしい。我らと同じ主を信じていながら異教徒までも助ける奴の考えは理解出来ん

 

 ○月×△日 曇り

 

 あぁ!本当に何なのだアイツは!この街の事はこの街の猿どもに任せて我らは終末の事さえ考えていれば良いのだ!それを街の猿どもと協調しろだと!?何様のつもりだ!我らには天使様がついているのだぞ!?

 

 ○月×□日 曇り

 

 今日は天使様からさらなる天使様を召喚する為の計画を聞いた。これを成せれば私の本国での発言力も上がるだろう。失敗は許されん。手始めに天使様への捧げ物を集めなければな。

 

 ○月×○日 晴れ

 

 くそっ!くそっ!失敗した!それも〝白騎士〟のせいで!なんなのだ奴は!人を〝祝福〟するのは間違っているだと!?異教徒の猿は人間では無い!それを救ってやろうとしているのだ!何故それがわからない!

 

 ○月×▽日 曇り

 

 ははは!流石は天使様だ!あの愚かな〝白騎士〟を封じてしまうとは!これで後の問題は主の素晴らしさを理解出来ない闇召喚士共だけだ。主の為にも計画を成功させねばな!

 

 △月×日 曇り

 

 作戦は成功した。闇召喚士達の〝祝福〟も終わった。しかし天使様の話では大天使様達が現れるには周囲の信仰心が足りないらしい。だからこの街を〝祝福〟する必要がある様だ。他の者達には負けていられん。私もすぐに手伝いに行かなければな!

 

 △月△日 雨

 

 儀式の為の準備は全て終わった。大天使様の降臨に奴が使われる事だけは不満だが……まぁ奴も大天使様の糧になれるなら本望だろう。今日は隠しておいた秘蔵のワインを楽しむとしよう。

 

 

「……いや、馬鹿だろコイツら」

 

 この街を異界に落としたのはメシア教(クソ)で確定。そりゃ〝隔離〟系の術式を術具込みで使ったらそうなるわ。目的はGP(ゲートパワー)の上昇だろう。終末が到来していないなら霊的要素(マグネタイト)が薄すぎて高位の()()は活動できないしな。

 

 ついでに何で蟲毒(こんなこと)になっているかも予想が付いた。仮称『合体の壺』の本来の用途は一瞬で蟲毒を終える為の道具だったのだろう。〝中身〟が最後の一つになれば、その時点で術式は自壊する。しかし教会のへっぽこ結界は〝隔離〟まで届かず、そのせいで教会の外に広がっていた異界が蟲毒の舞台になった。そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 「ホントに余計な事しかしねぇなコイツら」

 

 

 日記を証拠として符に仕舞い、ここまで働いたからの精神で足を動かす。

 

 目的地は先程式神が見付けた聖女像の下から行ける地下室。どうせお廃物ですわ!な光景が広がっているんだろうな、と確信を持ちながら階段を下る。

 

 

──やはり、というべきだろうか。

 

 

 辿り着いた地下室は、常人なら発狂しそうな程、イカれていた。

 

 霊力(マグネタイト)を絞り出され、枯れた脳味噌。エサ(食事)に始まり何もかも機械に管理されている、子供から大人まで幅広い年代の人形(ニンゲン)だったミイラ。GPの低さを考えれば、あの悪魔(エンジェル)が現界し続けられる訳が無い。その代償がこの光景だ。

 

 

「すまんな、供養は後回しだ。もう少しだけ待ってろ」

 

 

 符に全ての遺体を収納し、先を急ぐ。日記の通りなら、この先に居るのだろう〝白騎士〟の元へ。

 

 幸いな事に〝白騎士〟はすぐに見付けられた。──目と口を縫い合わされ、手足を切り落とされた後に乱雑に処置されたであろう姿だが。

 

 

「助けに来たぞ。ついでに治療もしてやるから動くな」

 

 

 霊符をばら蒔き、結界を展開。今回は治療用の神道式だ。メガテン的に言えば、一時的に回復プレロマとブースタを得る効果があると思えば良い。

 

 展開した結界内で一度【瞑想】して周囲の霊力を吸収し、回復系(ディア)異常治療(パトラ)系の霊符を全身に隙間無く貼り付ける。……へぇ、身体に埋め込まれた異物も排出されるのか。

 

 

「うぅ……俺は……まだ……生きてるのか……?」

 

「間一髪、ってところだな。運良くと言えば良いのか知らんがな」

 

 

 何もなければ召喚の生け贄、何かあったからこそ生きていたが、俺が間に合わなければ死んでいた。

 

 俺も負けてないが、中々クソな人生だな。

 

 

「儀式は……どうなった……?」

 

「最初から破綻していたぞ」

 

「そう……か……」

 

 

 安堵の溜め息と共に〝白騎士〟が目を閉じる。いやいや、ちょっと待てや。

 

 

「疲れてるところ悪いが動いて貰うぞ。俺達ならともかく一般人が保たない」

 

 

 手元にある最後の霊符をばら撒き、手足を失った太腿や肩に巻き付け、符で再構成。これぞ四千年の歴史がある大陸の秘術よ。そこ!死体すら道具として使うから部位欠損を埋める術が必要になるとか言わない!

 




頑張って予想して対策するって大変ですよねぇ
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