【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
現実でもそうですが、無知は危険ですよ?
最後の挑戦者だった双子ニキ(兄)の名が青くなった。全員【時空耐性】は獲得済み。ちなみに双子ニキはクリアだけならすぐに出来たと思うが【耐性】を得るまで時間が掛かった。回復系が絶望的な以上、仕方無い事だが。
最後の挑戦者となった俺は、一人扉の先へ進む。
長く付き合っていただけあって【時空耐性】はそれなりに成長し、今なら【獣の眼光】を食らっても二アクションぐらいは動ける。つまり、殺すだけなら余裕だ。
コツコツと足音を響かせながら何度も通った道を進む。その先にはお世話になった【モト師匠】の姿が。
これから先、お前は多くの修羅の卵の心を折るのだろうな。
『それが役目ですから』
【獣の眼光】と共にその様な言葉が聞こえた気がする。
世界が灰色に染まっていく。宙を舞う土埃は重力を忘れた様にそのままを維持する。この
順調に【ラスタキャンディ】を積んでいく【モト】に対して、俺は両手を合わせて祈る。さらに多くの霊力を注ぎ込み──スキルを発動。
「【色即是空*1】」
「────!」
【
「【マハラギダイン】」
身体を燃やされながらも声で位置を把握し、そこに【ソウルドレイン】を〝槍*2〟の形にして射出。ついでに〝大鎌*3〟の【ソウルドレイン】も作り出して接近する。
「【獣の眼光】」
「甘いな──【ソウルドレイン】」
「──!?」
「ついでに食らっておけや──【煩悩即菩提*4】」
神道者としては忸怩たる思いだが、使える物は全て使わなければ【モト師匠】に失礼。だから血涙を流しながら、複数の状態異常に蝕まれた【モト師匠】に【ソウルドレイン】を振るい続ける。
後はひたすらこれを繰り返すだけ。
【万能属性】はシリーズによって扱いが異なるが、総じて『ロマンはあるけど弱点突いた方が強くね?』で終わる外れ属性だ。
シリーズによっては【マカラカーン*5】で普通に反射されるし、最近のメガテンには【万能耐性】とかいう【万能属性】の利点を全部潰す【スキル】まで現れたと聞く。
【万能属性】が弱点の敵が居ないにも関わらず、だ。
だから【万能属性】がメインウェポンの俺ら──というか、俺とシエラ婆はずっと考えていた。
これから先も戦い続けるなら【万能属性魔法】では無く【万能属性物理】にする必要があると。
その結果、生まれたのが──この【スキル】だ。
「【吸龍撃*6】」
「───!」
セリスが編み出した時、流石は俺の式神だと思ったぜ。
その一撃が止めになったのか【モト】が満足そうに光に変わる。それと同時に【転移】が発動して別の場所に飛ばされた。
「お、セツニキも来たな。あれに触れれば試験は終わりらしいぞ」
俺らの一人が指差した方を見ると、祭壇の上に浮かぶ光の玉が。特に抵抗する意味も無いので触れると──
「おめでとう。俺としては諦めて欲しかったけど、同時に嬉しいから複雑な気持ちだよ」
再び【転移】が発動し、異界の外へ飛ばされた。周囲にはショタオジの言葉の意味を理解出来ない式神達の姿が。ふと戻ってきたスマホの時計を見ると、飛ばされた時から一分も経ってない。式神の混乱から予想するにたぶん魂だけ飛ばされたな。相変わらずの神業だ。
「さて。案内と説明はセツニキに頼んで良いかな?」
「ああ。お前も式神作りで忙しいだろうしな?」
「最近はトイレ休憩中ぐらいしかスマホ弄れないんだよね……手伝ってくれても良いんだよ?」
「俺らが異界に入らないと式神作る余裕無くないか?」
「それが問題なんだよねぇ……」
がっくりと肩を落としたショタオジが【転移】で消える。それを見送り、後ろに振り向く。
「これから案内する場所はガイア連合の心臓部だ。さっきの許可書だと思われる玉に【他言無用】の〝契約〟がくっついていたから大丈夫だと思うが、迂闊に喋らない様にな」
「セツニキー、式神達は待機ー?」
「魂の繋がりを利用して式神達にも〝契約〟は結ばれてるから大丈夫だ。そんじゃ着いてこい」
ゾロゾロと大集団で星霊神社を抜け、鳥居の横の獣道を進む。
「こんな所あったか?」
「ここはショタオジの結界が張られててな。許可が無かったら違和感にすら気付けない場所なんだよ。実際、近くに居た俺達はこんな大集団で動いてる俺らを気にしなかっただろ?」
「確かに。強くなればなる程、ショタオジのチート具合がよく分かるな」
「それな」
ワイワイガヤガヤ騒ぎながらも獣道を抜けると、懐かしき星祭神社の裏手に出た。そこで振り向き、俺らに告げる。
「ようこそ。『星祭神社』へ」
ショタオジと会った時とは違い、式神は飛んでも居ないし、歩いても居ない。しかし、俺らぐらいの霊視があるなら分かるだろう。この神社には明らかに可笑しい『神威』が存在している事を。
「取り敢えずここの責任者と会って貰って寝床決めだな。だから探索するなら後にしろ」
それだけ言って再び歩き出す。目指すは社務所。禊が居ると良いんだが。
◇
禊は留守だった。部屋の用意だけ側仕えの巫女に頼み、先に境内の案内をする。──で。
「ここで最後だな」
何も無い本殿、では無く、景観を崩さぬ様に新しく建てられた祭具小屋。その地下にある〝貯蔵庫〟に連れてきた。
「神様が当たり前の様に居たのも驚いたけど、これはこれでスゲーな」
「何であんな式神量産出来るのかと思ったら……」
「どう考えても俺らの稼ぎだけじゃ配給出来てなかったもんな」
見渡す限りの黄金、黄金、黄金。ギルニキに頼んで色んなゲーム会社とデータの利用に関する契約を結んでもらい、悪魔から現在進行系で搾り取っている成果。
人間なら一度は夢を見て、そして諦める光景が目の前に広がっていた。
「見ての通りここがガイア連合の心臓部だ。元々は本殿にあったんだが、量が多すぎて底が抜けそうになってな?サクヤとベルフェゴールと俺の三人で増設したんだよ」
俺とベルフェゴールが掘り進め、サクヤの山の権能によって地盤と壁を補強したこの場所は、シェルターとして機能するぐらい物理的にも霊的にも相当な強度を誇っていたりする。
ちなみに途中で面倒になったサクヤが異界を作り、無理矢理部屋を広げている為、コイツらが見ている光景は氷山の一角に過ぎない。まぁ、知らなくても問題無いが。
「神様を扱き使ってるのが実にセツニキ」
「悪魔もちゃんと平等に扱き使ってるぞ?」
「これは魔王の風格」
「というか、これだけマッカあったら俺らって稼ぐ必要無くね?」
「俺らのメインはショタオジの手を空ける為に異界に潜る事だから、元々マッカはオマケじゃね?」
「そういやそうか」
「ま、この神社の秘密はこんなもんだな。覚えるべき事は拝殿は表向き『星霊神社』となっていて、結界に隠された『星霊神社』の代わりに各地の霊能組織から依頼を受けているって事と、本殿には許可書が無いと幹部クラスでも入れないってことの二つだけだ」
「許可書さえあれば現地人も入れちゃうの?」
「ショタオジ次第だな。ま、俺としてはショタオジが認めたなら仲間の様なもんだから気にしてない」
「可能性があるのはペルソナ組くらい?」
「ペルソナ組は数が少なすぎて現地人の方が多いからなぁ」
「セツニキは終末の為に頑張ってる子には優しいから……」
「頑張らないと氷より冷たいけどな。本部にたまたま居たセツニキに絡んだクレクレ厨とか存在自体を無視されてたぞ」
「路傍の石を見る目ってあんな目なんやな」
「お前らだって似たようなもんだろ。俺だけ叩くのはイクナイ」
ワイワイ騒ぎながら外に出ると、禊や他の巫女達が集まっていた。相変わらずの狐面。俺じゃなきゃ忘れちゃうね。
「皆様、本日はお疲れ様でした。お部屋の御用意が済みましたので、今から案内させて頂きますね」
「セツニキ!凄いたくさんの巫女さんが居るよ!」
「そら神社だから当然だろ?」
何言ってんだコイツ。
「いや、俺達のなんちゃって巫女じゃない巫女だよ!むしろ何でそんなテンション低いの!?有り得なくね!?」
「もしかしたらセツニキには見慣れすぎて慣れちゃったのかも知れない」
「これだからお子様は……」
若干イラっとしたが、これも良い機会だと考え直し、霊符から巻物を取り出す。
「この巻物にサインしたら手出し自由だぞ?」
「マジで!?もちろんするする〜!──前に〝契約〟の確認するわ」
「それな」
「賢くなったなぁお前ら」
呆れつつも巻物を広げる。それを巫女好き共に手渡すと、興味津々に読み込み、隣の俺らに回す。一周して俺に戻って来る頃には〝契約〟について真剣に話し合っていた。
「デメリットは祀神がイワナガ様とサクヤ様になるぐらいじゃの。後は霊能組織によくある子作り依頼があるぐらいじゃな」
「俺らってショタオジ派筆頭のセツニキの派閥だし、元々磐長姫様が御祭神の様なもんじゃね?」
「そうじゃのう。それより儂はメリットの方が気になるの」
「磐長式術式が中位まで使えるってどんなもん?セツニキ」
「俺が良く使ってる収納術までは行けるから、地方遠征の時の行き帰りの武器保管は楽になるぞ。というか単純にムラサキ達から【転移】系を抜いて、代わりに収納術が付いてるもんだと思って良い。見習いは除くけどな」
元闇召喚士達は上限レベルが低く、中位の符術すら使いこなせない。代わりに裏のお仕事が得意で、そっち方面の時は役に立つ。この業界は綺麗ごとだけじゃやっていけないのだ。
「ムラサキ達のサポート能力に加えて収納術か。【転移】は輸送科に頼めば良いし、割とありでは?」
「現地人のサポートなんて使えるのかって思ったけど、巫女さん達レベル高くね?」
「それな。確か日本の霊能組織はメシアに根切りにされた筈だろ?」
「コイツラはショタオジの遠い親戚でな?【因果逆転】して才能を得た特異存在なんだよ」
「ふむ。ショタオジがあの強さ故に同じ血が流れている彼女達も強くなった、という訳か」
「理解が早いな、秋雨ニキ」
頭のキレがいい奴と話すのは楽で良いなぁ。
「ま、そういう訳だからレベル四十ぐらいの狩り場までなら戦力になるぞ。流石に子供が出来たら許可出せないがな」
「それは当然だろ。取り敢えず、俺はサインするわ」
「俺も俺も〜」
「私は保留ですかね?」
「ミナミィネキや秋雨ニキは学べば自分で出来るし、それで良いんじゃね?別にサインしなかったら仲間じゃないって訳でも無いし」
「そう言ってくれると気が楽だな」
お喋りしながらサインしていく俺らと、まだ所属は遠慮したい俺らでその様な会話をしていると、グラ爺が動いた。
「儂もサインするかのう」
「え、グラ爺、大丈夫?子作り依頼あるよ?」
「これでも爺じゃからな。人並み以上には経験あるぞ?それに儂はそれ以上にここの在住権が欲しいんじゃ。こんなにも異界が近く、何もかも揃ってる場所はここ以外では星霊神社ぐらいじゃしの」
「一応、神社出てすぐの門前街の土地も買い漁ってるから紹介は出来るし、売れるぞ?」
「それだと異界に半年籠もりっきりとか出来なくなるじゃろ?儂は強くなる為にそれ以外の煩わしさを捨てたいのじゃ」
「そうかい。だったらサインよろしく」
「うむ」
想像以上に求道者だったな。まぁ、闘神に成るつもりならそれぐらいの覚悟は必要か。
「セツニキ、ワシも書くぞ!」
「シエラ婆はなんでだ?」
「実家が見合いしろと煩くてのう。この機に別人になろうかとな?」
「手配は構わないが……良いのか?」
「女を子供を産む道具と勘違いしてる様な家族じゃ。カカ様以外はどうなろうと気にはせんわ」
吐き捨てる様にそう言い切ったシエラ婆に俺らが黙り込む。予想以上に闇が吹き出たな。とはいえこの空気は気に入らないので、気楽に語りかける様に口を開く。
「ま、それなら戸籍を用意するぞ。希望はあるか?」
「特に無いの。お任せじゃ」
結局、そのシエラ婆の話を皮切りに多くの家庭に厄介を抱えていた俺らがサインしていく。初期組では秋雨ニキとミナミィネキを除く全員。新規組からは十人程だ。これで星祭も安泰だな。
「ところでセツニキ、彼女達の意思の確認は良いのか?俺、流石に無理矢理は嫌だぞ?」
「禊」
「はい」
名前を呼ぶと、禊が一歩前に出る。
「私達霊能組織にとって皆様の子を授かれるなら肌身を晒して足を舐めても良いぐらい本望なのです。名無し様──失礼、セッツァー様の話ではこれから先、強き方々の庇護下に居ないと大変ですからね」
「うーん、その覚悟、正に霊能組織」
「無理矢理襲って来ないだけ他の霊能組織よりマシな部類」
「俺、地方遠征で八十の婆に襲われ掛けた事あるぞ」
「おう……今夜酒奢るぞ」
「悪いな……」
余りにも酷い方向に話が転がったので、拍手一回で切り替えさせる。
「ま、そういう訳だから気にすんな。ついでにお前らの嫁にも言っておくが、最初の一回さえ我慢すれば、コイツラがお前らの主を求めるのは一年後だ。だから年一ぐらいは主人の為に我慢しろ」
「セツニキ、それどういう事?」
「明日になったら教えてやるよ」
神話に無知な事の恐ろしさを身を以て知るが良い。
────翌日。
『『『セツニキッ!貴様、やりやがったな!』』』
「ふっ。
木花咲耶姫の権能は子授け、安産、縁結び。しかも、ここには限り無く本霊に近いサクヤが居る。
そして未だに解放されてないが、石長比売の権能は縁結び、安産、子孫繁栄。もちろん磐長式の術式には
これで子供が出来なかったら嘘だろ。
メガテン世界に居ながら神に対して無知で居る事の怖さよ。たぶん本家の方も何人か同じ事やられたんじゃないかな?
あ、今日(2023/12/22)で来年の一日までの予約投稿完了しました。取り敢えず新年まで毎日投稿されます。
ただ余りにも新年に相応しくないグロ系の話が投稿されるので、読むのは来年の五日ぐらいに纏めてが良い思う……。